
許可証が交付されたら、営業を始める前に営業所等へ標識(プレート)を常時掲示し、ネット取引を行う場合はサイトにも所定事項を表示します。結論として、100均素材でも規格(縦8cm×横16cm、紺地に白文字、金属・プラ等の耐久材)と記載内容を満たせば自作は可能です。ただし色・寸法・表記を外すと不適合となるため、公式様式の見本に忠実に作ることが最短かつ安全です。
- 標識は営業開始までに用意し、営業所や仮設店舗に常時掲示する。
- 規格は「縦8cm×横16cm・紺地に白文字・金属/プラ等の耐久材」。100均素材でも満たせば可。
- 記載は「公安委員会名・許可証番号・営業の種類(○○商)・氏名または名称」。屋号のみは不可。
- ネット販売は標識とは別に、サイト上へ「公安委員会名・許可証番号・氏名/名称」を表示する。
- 規格・表記を外すと是正指導の対象になり得る。迷う点は管轄警察で確認する。
100均で作れるかの結論と、守るべき規格
古物商の標識は、国家公安委員会規則(古物営業法施行規則)の様式に基づき、都道府県警が示す見本に合わせて作るのが原則です。代表的な見本では、次の3点が明確に示されています。①材質=金属・プラスチック又は同程度以上の耐久材、②色=紺地に白文字、③寸法=縦8cm×横16cm。これらを満たす限り、購入先や製作方法の指定はありません。したがって、100均で入手した素材(例えばアクリルプレート等)を使っても、要件充足すれば差し支えありません。
一方で、色味が「紺」から外れていたり、寸法が8×16cmに一致しなかったり、紙等の非耐久素材で屋外掲示に耐えないものは、見本に反するため実務上は避けるべきです。規格外の様式を用いる特段の必要がある場合は、都道府県公安委員会が別途承認を公示する枠組みがあるものの、通常の営業では見本どおりに作るのが最短で確実です。
標識に書く4つの情報—表記の決め方と書き方
標識の記載事項は見本に整理されています。営業所や仮設店舗に掲示する標識には、少なくとも次の4点を、所定の段組にしたがって記載します。
1. 許可を受けた公安委員会の名称
「東京都公安委員会」「大阪府公安委員会」など、許可証に記載された都道府県の公安委員会名をそのまま記載します。略称や旧表記は使いません。
2. 許可証番号
許可証の番号を正確に転記します。桁の省略や記号化は避け、許可証に記載のとおりに表記します。
3. 営業の種類(○○商)
取り扱う古物の区分名を「○○商」の形で記します。複数の区分を扱う場合は「主として取り扱う区分」を記載します。見本では、区分名のうち表記を統一する語が示されており、例えば「美術品」「時計・宝飾品」「オートバイ」「自転車」「写真機」「事務機器」「機械工具」「道具」「皮革・ゴム製品」「チケット」などの表記に揃えることになっています。衣類等は区分名をそのまま用います。迷う場合は、許可申請時に選んだ区分と照合し、見本の指示に合わせます。
4. 氏名または名称
個人許可なら本人の氏名、法人許可なら登記上の正確な法人名称を記載します。屋号(店舗名)のみの表記では足りません。
以上の4点は、フォントの指定まではありませんが、判読性を最優先に、誤記・略記を避けて「許可証の写しどおり」に作るのが実務の鉄則です。
掲示する場所とタイミング—「常時・見やすい場所」に置く
標識は、営業所や仮設店舗(催事出店・イベントブース等)に掲示します。外来者や取引相手から見やすい位置に、常時掲示するのが前提です。具体例としては、入口付近・レジカウンター背面・受付窓口の視線高さなど、来客の導線上で視認しやすい場所が適しています。営業を開始するまでに用意し、営業日・営業時間帯を問わず外さない運用にしましょう。
営業形態が「ネット中心」であっても、許可を受けた以上は営業所(事務所・自宅事務所等)が存在します。実店舗がなくても、営業所での掲示義務は残る点に注意してください。加えて、ネット販売には別途「サイト上の表示義務」があります(次節)。
ネット販売をする場合の表示義務
インターネットを利用して取引する場合、標識の掲示とは別に、ホームページや取引画面上で「許可を受けた公安委員会名」「許可証番号」「氏名または名称」を明瞭に表示する義務があります。個人許可では実名の表示が必要で、屋号のみの表示は認められません。この表示は、特定商取引法に基づく表示(氏名・住所・電話番号等)と併せて整備するのが実務的です。
配置場所は、ユーザーが容易に到達でき、取引過程でいつでも確認できる位置(フッター常設リンク先の「会社概要」「特定商取引法に基づく表記」ページ、マイページや商品詳細からの導線等)が望まれます。モール出店(フリマアプリ等)でも、プラットフォームの仕様に合わせて上記の表示要件を満たす必要があります。
100均素材で自作する実務チェックリスト
100均の素材で標識を自作する場合の、実務的な段取りとチェックポイントをまとめます。最短で不備なく仕上げるには、次の手順を順に確認してください。
- 素材選定(耐久性の確保):アクリル板や硬質プラスチック板など、屋内掲示で十分な耐久性のある素材を選びます。紙や薄手のラミネートのみは避けます(「金属・プラスチック又は同程度以上の耐久材」という要件に合わせる)。
- 寸法合わせ:板を「縦8cm×横16cm」に正確にカットします。数ミリの誤差でも見本から外れないよう、定規とカッターガイドで直角・直線を確保します。
- 下地の色(紺):紺色スプレーやカッティングシートで地色を「紺」に統一します。黒や青ではなく、見本画像の紺に近い色味を選ぶのが無難です。
- 文字入れ(白):白のカッティングシート、屋内用の耐水インクでのシルク印刷、または白文字の転写シート等で、はがれにくい方法を採用します。家庭用プリンターの紙出力を貼る方法は退色・剥離のリスクが高いため避けます。
- 記載事項の転記:許可証を見ながら、「公安委員会名」「許可証番号」「営業の種類(○○商)」「氏名または名称」を誤記なく配置します。営業の種類は、申請時に選んだ区分と都道府県警の見本表記を一致させます。
- 仕上げと固定:四隅を面取りし、角のささくれを除去します。掲示は両面テープ・ビス留め・スタンド設置など、常時視認できる固定方法を選びます。
ここまで整えれば、「規格・色・材質・記載」の4要素が揃い、100均素材でも要件充足が可能です。仕上がりを客観視し、「見本と同等の可読性・耐久性があるか」を最後に点検してください。
不適合になりやすい例と回避策
- 色が黒や濃青で、紺に合致していない:見本は「紺地に白文字」。紺に寄せた色味を選び、白文字のコントラストを確保します。
- 寸法が8×16cmから外れている:縮小・拡大はせず、定規どおりに仕上げます。端材を使うと誤差が出やすいので注意。
- 屋号だけを記載している:個人許可は本人氏名、法人許可は登記名が必要です。屋号は任意に併記しても、主要欄は氏名/名称で統一します。
- 営業の種類の表記がバラバラ:区分ごとの統一語(例:「時計・宝飾品」「写真機」「機械工具」「チケット」等)に合わせます。迷えば見本どおりに記載します。
- 掲示場所が見えにくい・常時掲示でない:入口や受付の視線高さなどに固定し、営業時間外に外さない運用を徹底します。
- ネット表示を忘れている:標識とは別に、サイト上でも「公安委員会名・許可証番号・氏名/名称」の表示が必要です。
既製プレートを注文する場合の確認ポイント
外部製作に依頼する場合も、最終責任は許可業者側にあります。以下の点を発注前後でチェックしておくと、作り直しを防げます。
- 規格の合致:サイズ(縦8×横16cm)、地色(紺)、文字色(白)、材質(耐久材)に対応している製品か。
- 表記の正確さ:公安委員会名・許可証番号・営業の種類・氏名/名称が、許可証と見本に一致するか。校正段階で必ず自社確認します。
- 掲示方法との整合:壁面固定用の穴あけ、スタンド有無、屋内外の耐候性など、掲示環境に適合しているか。
- 納期の見込み:営業開始に間に合うよう、許可証受領の段階で早めに手配します。
FAQ
100均のアクリル板に白い印字シールを貼るだけでも大丈夫?
材質が十分に耐久性を備え、色が紺地・文字が白で、寸法が縦8cm×横16cmに一致し、記載事項も正確であれば方法自体は問いません。はがれや退色で判読性が落ちる仕上げは避け、見本と同等の視認性・耐久性を確保してください。
色は「濃い青」でもいい?紺色との違いがわかりにくい。
見本は「紺地に白文字」とされています。色の許容範囲は細かく規定されていませんが、見本画像の紺に合わせるのが無難です。店内照明下でも白文字が鮮明に読めることを確認しましょう。
サイズは8×16cmより大きくしてもよい?
見本では縦8cm×横16cmとされています。原則として見本寸法どおりの作成が安全です。やむを得ず異なる様式を用いる必要がある場合、都道府県公安委員会が様式承認を行う枠組みはありますが、通常の営業では見本どおりに作るのが確実です。
屋号(ショップ名)だけを大きく表示してもよい?
主要欄には、個人なら本人の氏名、法人なら登記上の名称を記載します。屋号だけでは足りません。必要なら屋号は余白に任意で併記し、主要欄は見本どおりに構成してください。
ネットだけで販売していて実店舗がない。標識は必要?
許可を受けた以上、営業所(事務所・自宅等)に標識を掲示します。加えて、サイトや取引画面上にも「公安委員会名・許可証番号・氏名/名称」の表示が必要です。
イベント出店(仮設店舗)ではどうする?
仮設店舗で販売・買受を行う場合は、その場にも標識を掲示します。持ち運びできるスタンド式や、ブース壁面に固定できるプレートを用意しておくと運用が安定します。
まとめ
古物商の標識は、営業開始までに用意して掲示するのが必須の実務です。100均の素材を使うこと自体は問題ではなく、要件(縦8cm×横16cm、紺地に白文字、金属/プラ等の耐久材)と、記載事項(公安委員会名・許可証番号・営業の種類(○○商)・氏名/名称)を満たし、見本どおりに仕上げれば適合します。ネット販売を行う場合は、標識とは別にサイト上への表示も忘れず整備しましょう。迷う場合は、許可証の記載と都道府県警の見本に揃えるのが最短・最安全の対応です。