
県外への引越しや本店移転では、営業所の所在地変更は変更予定日の3日前までに事前届、個人住所や法人本店の変更は変更後14日以内(登記事項証明書が要る場合は20日以内)に許可証の書換えが必要です。提出先は「営業所の移転=移転先の都道府県」「住所のみ変更=主たる営業所のある都道府県」が原則です。うっかり先送りせず、期日と提出先を先に確定しましょう。
- 営業所の所在地変更は「3日前までの事前届」。県外へ移すときは移転先の公安委員会宛。
- 個人住所・法人本店の変更は「14日以内(登記事項証明書が要る変更は20日以内)の書換申請」。
- 提出は所轄警察署長経由。書換申請は主たる営業所を所管する都道府県で受理される。
- オンライン手続(警察行政手続オンライン化システム)で事前届・書換えの対象あり。全国共通の基盤。
- 経由警察署長の管轄が変わる場合は「経由警察署長変更届出書」も併せて提出。
最初に結論—誰が・いつ・どこへ手続するか
県外への移転・引越しに伴う古物営業の手続は「営業所の所在地」を動かすかどうかで分かれます。営業所の所在地を変えるときは、変更予定日の3日前までに変更先(移転後)の都道府県公安委員会あてに「変更届出書(別記様式第5号)」を提出します。個人住所・法人本店(法人の住所)など許可証に載る事項を変えるときは、変更後14日以内(登記事項証明書が必要な変更は20日以内)に「変更届出・書換申請書(別記様式第6号)」を主たる営業所を所管する都道府県に提出します。
なお、現行制度では、複数都道府県に営業所があっても、許可は主たる営業所の所在地を所管する「一の公安委員会」の許可で足ります。県外移転だからといって、改めて新規に許可を取り直す取扱いではありません(必要なのは届出・書換え)。
期限の起算点と数え方
- 「3日前まで」は、変更予定日から遡って起算する暦日が原則です。土日祝が挟まると提出・審査が実務上タイトになるため、余裕をもって早めに出すのが安全です。
- 「14日以内」「20日以内」は、変更が生じた日(住民票の異動日・本店移転の登記日など)を起点に数えます。起点が分かる資料(住民票の異動日、登記事項証明書の登記日)を一緒に確認しましょう。
提出窓口と受理の関係
届出・申請は「公安委員会」が受理主体ですが、実務的な提出窓口は営業所を所管する「所轄警察署長」を経由します。県外への移転でも、書換申請は「主たる営業所を所管する都道府県」で受けるのが原則であり、新居住地の県へ出すものではありません。書類の細部(添付の原本・写しの別、住民票の記載要件など)は都道府県警ごとに案内が出ているため、事前の電話確認が確実です。
県外に引っ越したが営業所はそのまま(住所のみ変更)
個人の住民票の住所や、法人の本店所在地だけが県外へ変わり、主たる営業所の所在地は変えないケースです。この場合は「許可証の書換え」に該当します。期限は変更後14日以内(登記事項証明書を添付すべき変更は20日以内)です。提出先は、主たる営業所の所在地を所管する都道府県の公安委員会(窓口はその所轄警察署)です。新しい居住地の県へ出すのではありません。
必要書類のめやす(住所のみ変更)
- 変更届出・書換申請書(別記様式第6号)
- 個人の住所変更:住民票の写し(本籍や国籍等の記載要件は各警察で指定あり)
- 法人本店の変更:登記事項証明書(履歴事項全部証明書等)
- 許可証(書換えのため原本提示・提出の取扱いあり)
書類の細部(本籍・国籍欄の要否など)や原本提出の扱いは所管警察での確認が安心です。
手続の進め方(実務)
- 起点日の確認:個人は住民票の異動日、法人は本店移転の登記日を確認。
- 様式の入手と記載:別記様式第6号を記載し、添付書類をそろえる。
- 提出方法の選択:オンライン・窓口・郵送の別を選ぶ(原本提出が絡む場合は指示に従う)。
- 許可証の書換え対応:交付・返送方法(窓口受取・郵送返送等)の案内に従って完了。
変更事項の範囲を再確認
- 個人名・法人名称の変更が併存する場合は、名称変更の証明(住民票の戸籍事項、登記事項証明書)も必要です。
- 管理者(営業所の管理責任者)の住所変更がある場合は、その者の住民票等の添付が求められることがあります。
- 標識(プレート)やウェブサイト、領収書・古物台帳の表示も、書換完了後に最新記載へ差替えます。
主たる営業所を県外へ移す(所在地変更の事前届)
主たる営業所の所在地を別の都道府県へ移すときは、「変更予定日の3日前まで」に、移転後の所在地を所管する公安委員会(新しい県)へ事前届をします。提出様式は「変更届出書(別記様式第5号)」で、所轄警察署長を経由します。
提出先の考え方(県外へ移すとき)
- 提出先の公安委員会:移転「後」の主たる営業所所在地を所管する都道府県
- 経由する警察署長:当該営業所の所在地を所轄する警察署長
移転に伴い、従前の所轄(経由)警察署の管轄区域に営業所が無くなる場合は、「経由警察署長変更届出書(別記様式第11号)」の提出もセットで行います(多くの警察で運用要領が整備されています)。
移転後に追加で必要になりやすい手続
- 代表者や管理者の住所が変わる場合の「書換申請」(14日以内・20日以内の区分あり)
- 営業所の管理者が変わる場合の届出(14日以内等、添付書類あり)
所在地の変更(事前届)と、許可証記載事項の変更(書換申請)は別建てです。移転計画と同時に、代表者・管理者等の変更有無を洗い出し、併せて準備します。
スケジュール例(主たる営業所をA県→B県へ)
- 移転日を確定(例:10月15日)。
- 10月12日までに、B県の公安委員会あてに別記様式第5号を提出(所轄警察署長経由)。
- 同時に、経由警察署長変更届(別記様式第11号)が必要か確認し、必要なら提出。
- 移転後、代表者・管理者・法人本店・個人住所など記載事項に変更が出たら、起点日に応じて14日以内(登記事項証明書が必要なものは20日以内)に別記様式第6号で書換申請。
- 標識・台帳・ウェブ記載・店内掲示を新所在地に合わせて更新。
同時に見直す事項
- 管理者の常勤性・適正配置(新所在地での勤務実態が確保できるか)。
- 保管場所の表示・セキュリティ体制(盗難防止措置)に変更があれば内部規程を更新。
- 古物台帳の記載継続性(移転に伴う台帳管理方法の変更があるか)。
よくある組合せ別の判断フロー
以下は、県外移動に絡んで現場で頻出する組合せを、期日と提出先の観点で整理したものです。まずは「営業所の所在地が動くか」を起点にし、その上で「許可証の記載事項(住所・氏名・代表者・本店など)に変動があるか」を重ねて判断します。
1)自宅=営業所の個人が県外へ引越す
- 該当手続:営業所所在地の事前届(3日前まで)+ 個人住所の書換申請(14日以内)
- 提出先:事前届は移転先の県、書換申請は移転後の主たる営業所が所在する県
2)法人の本店だけを県外へ移す(営業所はそのまま)
- 該当手続:法人の住所(本店)変更に伴う書換申請(14日以内・登記事項証明書添付で20日以内)
- 提出先:主たる営業所のある県(新しい本店所在地の県ではない)
3)主たる営業所を県外の拠点へ移す(代表者住所は不変)
- 該当手続:所在地変更の事前届(3日前まで)。必要に応じ、経由警察署長変更届も提出
- 提出先:移転先の県(公安委員会)。経由は移転後所在地の所轄警察署長
4)その他の営業所のみ県外へ移す(主たる営業所は不変)
- 該当手続:該当営業所の所在地変更の事前届(3日前まで)
- 提出先:当該営業所の新所在地を所管する県
上記の期日・提出先の根拠は、事前届の「3日前」(施行規則第5条)と、県外に主たる営業所を移す際の「変更後の公安委員会」への提出(法7条)です。複合パターンでは、それぞれの期限が別々に走ります。スケジュール表を作り、タスクを分解して管理しましょう。
オンライン申請(全国共通システム)の使い方
古物営業の届出・申請は、国が整備する全国共通の警察行政手続オンライン化システム(e-Gov経由で案内される仕組み)から行えます。各都道府県が別制度を持つわけではなく、国の共通基盤に各警察が接続して処理します。対象には「古物商等の許可事項の変更届出(事前届出)」や「変更届出・許可証の書換申請」も含まれます。紙提出が求められる原本(許可証等)がある手続では、オンライン提出後に窓口・郵送での原本対応を指示される運用があります。
オンライン手続の一般的な流れ
- 手続選択:該当する「変更届出(3日前まで)」または「変更届出・書換申請(14日以内)」を選ぶ。
- 入力・添付:届出事項を入力し、住民票や登記事項証明書などのスキャンを添付。
- 送信後の連絡:受付通知・補正依頼・原本提示(送付)指示等を確認し、必要に応じて来署・郵送対応。
- 完了:書換の場合は許可証の交付・返送等の案内に従う。
窓口・郵送・代理提出の可否
- 窓口提出:即日確認が進む利点。混雑状況や受付時間は所轄ごとに異なるため事前連絡が無難。
- 郵送提出:控えの返送方法(返信用封筒の要否、簡易書留の推奨等)の指示に従う。
- 代理提出:委任状での代理可否や本人確認書類の要否は所轄の案内に合わせる。
オンラインでの「よくある補正」
- 住民票に本籍・続柄等の記載がなく再提出を求められる。
- 登記事項証明書の有効性(最新性)に関する指摘。
- スキャンの解像度不足や、許可番号・氏名の読み取り不鮮明。
必要書類チェックリスト
ここでは、事前届と書換申請で典型的に求められる書類を整理します。都道府県警の実務運用で細部が異なることがあるため、下記は目安として活用し、提出前に所轄の最新案内を必ず確認してください。
事前届(営業所の所在地変更:3日前まで)
- 変更届出書(別記様式第5号)
- 移転日(変更予定日)と新旧所在地情報
- (必要に応じて)経由警察署長変更届出書(別記様式第11号)
書換申請(住所・氏名・代表者等:14日以内/20日以内)
- 変更届出・書換申請書(別記様式第6号)
- 個人住所の変更:住民票の写し
- 法人本店の変更:登記事項証明書
- 代表者・管理者の変更:略歴書、住民票の写し、誓約書、身分証明書 等(該当時)
- 許可証(書換用)
営業所の名称・所在地の変更(事前届)自体には、添付書類が不要とされる運用が多い一方、管理者変更や新設などを同時に行う場合は添付が必要です。個別の添付要件は所轄警察の案内に従ってください。
共通で準備しておくと無難なもの
- 認印・記名押印データ(オンライン時)。
- 本人確認書類の写し(運転免許証等)。
- 連絡先(担当者名・電話・メール)を明記した送付状。
- 返信用封筒(郵送返送が想定される場合)。
やりがちな落とし穴と標識・表示の見直し
期日・提出先の取り違えは実務で最も起きやすいミスです。次の観点をチェックし、移転プロジェクトの初期段階で洗い出しておきましょう。
- 「県外へ引越=新規許可が要る」と誤解しがちですが、現行制度は主たる公安委員会の許可で全国の営業に対応します。必要なのは届出・書換えです。
- 事前届(3日前まで)と書換申請(14日以内/20日以内)を混同しない。所在地変更は「事前」、住所や代表者等の記載事項変更は「事後(期限内)」。
- 経由警察署長の管轄が変わるのに、変更届を出し忘れない(専用様式あり)。
- 標識(プレート)の表示は営業所の名称・所在地等が変われば差替えが必要。立入時に確認対象です。
- ウェブサイト・名刺・見積書・領収書・古物台帳の表記更新を忘れない(許可番号・名称・所在地)。
- 移転直後の買取イベント等は、届出・書換の進捗を踏まえて計画する(確認体制の都合上)。
FAQ
実務でよく寄せられる疑問に、要点だけ端的に回答します。詳細は各セクションの解説も参照してください。
個人の住所だけ県外に移しました。主たる営業所(店舗)は同じ県のままです。どこへ出すのですか?
「許可証の書換申請」を、主たる営業所の所在地を所管する都道府県の公安委員会あて(窓口は所轄警察署)に出します。新しい居住地の県ではありません。期限は変更後14日以内(登記事項証明書が必要な変更は20日以内)です。
主たる営業所を他県へ移します。提出先と期日は?
移転「後」の所在地を所管する公安委員会宛に、変更予定日の3日前までに「変更届出書(別記様式第5号)」を提出します。所轄警察署長を経由する点も忘れずに。
自宅=営業所の個人です。県外へ引越す場合、事前届と書換申請は両方必要ですか?
はい。営業所所在地の変更は「3日前までの事前届」、個人住所の変更は「14日以内(条件により20日以内)の書換申請」となり、双方の手続が必要になります。
オンラインで全部完結しますか?許可証の原本提出は?
変更届出・書換申請は国の共通オンライン基盤で対象化されていますが、許可証の書換え等で原本の提出・受領が伴う手続は、送信後に窓口来訪や郵送など追加対応の指示がある運用です。
経由警察署長の管轄が変わりました。何か届出が必要ですか?
はい。「経由警察署長変更届出書(別記様式第11号)」を提出します。所在地移転の変更届と同時に案内されることが多いので、所轄で確認してください。
期限を過ぎてしまいました。どうすればよいですか?
まずは速やかに届出・申請を行い、遅れた経緯を窓口で説明してください。以後の再発防止のため、内部の管理簿やチェックリストを整備することが望まれます。期限を徒過しない運用体制の見直しも重要です。
複数の都道府県に営業所があります。書換申請はどこで扱われますか?
許可は主たる営業所を所管する「一の公安委員会」が担当します。記載事項の変更に係る書換申請は、主たる営業所を所管する都道府県で受理されます。
まとめ
県外への引越し・移転でまず決めるのは「営業所の所在地が動くか」です。所在地が動くなら、移転先の県へ「3日前までの事前届」。住所(居所)や法人本店など許可証の記載事項が変わるなら、主たる営業所のある県へ「14日以内(登記事項証明書が必要な場合は20日以内)の書換申請」。オンライン手続も活用しつつ、経由警察署長の変更や標識の差替えなど周辺対応も同時に片付けるのが実務的です。期日の起算点・提出先の原則さえ押さえれば、県外への移動で必要となる作業はシンプルに管理できます。