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2023.10.02

相続で銀行の口座凍結が発生した場合の対処方法/行政書士が解説

相続で銀行の口座凍結が発生した場合の対処方法/行政書士が解説

 この記事では、親族の死亡により亡くなった方(被相続人)名義の口座が凍結してしまった場合の対処方法について、各金融機関別に対応方法等を記載しております。

相続で口座凍結が発生しお困りの方は

相続で口座凍結が発生しお困りの方

 執筆者は大阪市で相続専門の事務所を経営している行政書士です。親族間の相続について戸籍の収集や書類作成(遺産分割協議書等)、金融機関の払戻手続きなどを代理で行わせていただいております。親族間の相続を円満に解決する手助けをさせていただきますので、相続問題にお困りでしたら、まずは無料の電話相談やメール相談をご利用ください。 

それでは、本題に入りましょう。

相続による口座凍結やその他の口座凍結について

 口座凍結とは、銀行の口座から一切の金銭の引き落としや振込ができなくなることです。口座凍結がなされる理由はいくつかあり、1つ目は口座名義人の死亡による口座凍結です。これがいわゆる相続による口座凍結と言われるものです。

 相続による口座凍結は金融機関が名義人の死亡を知ることで凍結されます。よく、役場に死亡届を出したら、銀行口座が凍結されたという話を聞きますが、実際は役場から金融機関に死亡した方の情報を伝えることは考えにくいためこちらは間違った認識と言っていいでしょう。ではどのような経緯により銀行の口座は凍結されるのでしょうか。

相続により口座凍結がなされるケースとして3つのケースが考えられます。

銀行への伝達

 上記のとおり、口座凍結がされるケースは親族等が銀行に連絡を入れて口座が凍結されるケースと、銀行に連絡することなく口座がされるケースがあります。最近では、ほとんどの口座凍結は親族や相続人からの連絡により口座が凍結されるケースが多いと言えるでしょう。

なぜ相続による口座凍結がなされるのか

口座凍結の種類

 相続によって口座凍結がされる主な理由は、銀行による二重払いを防止するためでしょう。銀行が名義人の死亡事実を把握していたにもかかわらず、口座凍結を行わず、請求者に対して払戻がされた場合には、払戻を受けた者が真正な届出印を持参して手続きを行っていたとしても、銀行は責任を免れることができないでしょう。そのため、こういった二重払いを未然に防止するためにも銀行は名義人の死亡が分かった時点で口座の凍結をする必要があります。

相続による口座凍結以外は?

 相続以外による口座凍結にはどのような事由があるのでしょうか。これらの内容は今回の記事の内容と直接関係はありませんので、さらっと説明させていただきます。

 口座凍結がなされる理由の2つ目のケースは「犯罪利用による口座凍結」です。「振り込め詐欺救済法」を例にあげると、振り込め詐欺によりお金の振込みが利用された口座(「犯罪利用口座」といいます。)について犯罪が行われたと疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、当該口座を停止(凍結)しなければならないと定められています。

 3つ目は「債務整理手続きによる口座凍結」です。自己破産や任意整理などの債務整理の開始を銀行が知ると、銀行はなるべく多くの借金を回収する目的で、これ以上、預金を引き出されないよう口座凍結する場合があります。この場合、原則として、借金をしている金融機関口座のみ口座凍結の対象となります。

 以上のとおり、口座凍結は主に3つの理由により実施されます。以下は相続により口座凍結がなされた場合をさせていただきます。

相続で口座凍結してしまった場合の一般的な対処

 上述のとおり、銀行の口座名義人が亡くなったことが銀行に知ると、その方名義の口座が凍結されます。相続により口座が凍結してしまった場合の対処は亡くなった方が遺言書を作成しているか、作成していないかによって手続が異なります。こちらのトピックでは、相続による口座凍結は誰が対応することができるのか、又どのように対応するのかについて解説しております。各金融機関での具体的な対応方法は次の「相続で口座凍結してしまった場合の各金融機関での対処」で記載しておりますのでそちらをご確認ください。

まずは遺言書を作成しているケースから見ていきましょう。

相続で口座凍結-遺言書あり

遺言執行者による相続の口座凍結解除の手続

 遺言書を作成されている方が亡くなり、その方名義の口座が銀行にある場合には、遺言書の内容に従って遺言執行者と呼ばれる者が遺言書の内容を執行しなければなりません。遺言執行者は通常、遺言書によって定められていますが、定められていない場合には遺言者の最後の住所地を管轄する裁判所に遺言執行者の選任申立てを行う必要があります。(遺言執行者の選任申立ては下記URLよりご確認いただけます。)

>遺言執行者の選任

 遺言執行者は、遺言内容を実現させるための遺言執行に必要な全ての手続を行うことができます。遺言執行者が行う最初の手続は、被相続人や相続人の戸籍、被相続人の財産関係の書類の取得や、相続関係説明図、財産目録等の作成です。これらの書類を作成し、共同相続人に対し送付します。その際に、遺言執行者として指定された旨や遺言内容、遺言執行をする旨を伝えておきましょう。遺言執行者はこれらの内容を共同相続人に対して伝える義務が、民法により定められています。

 これらの手続を行った上で、遺言執行者が銀行や法務局に出向き、預貯金の払戻や不動産の所有権移転登記(不動産の登記は共同相続人による登記が可能です。)等を行います。遺言執行者以外の共同相続人は遺言執行が完了するまで間、遺言者の財産を処分し、遺言執行手続を妨げることはできません。つまり、相続による口座凍結で遺言書がある場合には、遺言執行者が亡くなった方の預貯金の名義変更や払戻等の手続を行います。

遺言執行者の権利と義務

◆遺言執行者の権利

遺言執行者は民法1012条より「遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。」と定められています。そのため、遺言執行者は遺言書内容を実現する為に必要な手続きを、他の相続人に執行を妨げられることなく行うことができます。また、遺言執行を行った者は、遺言執行によって生じる債務による報酬を得ることができ、報酬額は遺言に記載する、又は家庭裁判所へ報酬を申立することにより請求します。

以下に根拠となる法律を記載致します。

第1012条(遺言執行者の権利義務)
 遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。

第1013条(遺言の執行の妨害行為の禁止) 
 遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。

第1018条(遺言執行者の報酬) 
 家庭裁判所は、相続財産の状況その他の事情によって遺言執行者の報酬を定めることができる。ただし、遺言者がその遺言に報酬を定めたときは、この限りでない。

◆遺言執行者の義務

 続いて、遺言執行者の義務についても説明いたします。遺言執行者として指定されたものは、遅滞なく相続人に対し、遺言執行者として指定された旨及び遺言執行を開始した旨を相続人に対し通知しなければいけません。さらに、遺言執行者は遺言執行を行うにあたって相続人に対し、財産目録を作成し交付しなければいけません。

第1006条(遺言執行者の指定)
1 (省略)
2 遺言執行者の指定の委託を受けた者は、遅滞なく、その指定をして、これを相続人に通知しなければならない。

第1007条(遺言執行者の任務の開始)
1 遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない。
2 遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。

第1011条(相続財産の目録の作成)
1 遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならない。
2 遺言執行者は、相続人の請求があるときは、その立会いをもって相続財産の目録を作成し、又は公証人にこれを作成させなければならない。

以下は、遺言書が無いケースの相続による口座凍結の解決方法でございます。

相続で口座凍結-遺言書なし

遺言書が無い相続による口座凍結解除の手続

 遺言書が無い場合で、相続による口座凍結を解除するためには、相続人同士で話し合って被相続人が所有していた預貯金を誰がどのように相続するかを決めなければいけません。手続の流れは、相続関係説明図、財産目録等の作成までは遺言書がある場合と同じです。遺言書が無い手続では、これらの書類を作成した後、共同相続人間の話し合いによって誰が預貯金を相続するかを決めて、その内容を記載した遺産分割協議書や合意書等の書面を作成し、銀行で口座凍結の解除手続を行います。遺産分割協議書や合意書には実印により押印をする必要がありますので、これらの書類には印鑑登録証明書を添付する必要があります。

 銀行の相続手続きの場合、現在、ほとんどの銀行に所定の相続専用の用紙があり、共同相続人が署名と実印をする欄がありますので、これによって相続人間の払戻や名義変更に関する合意を証明することができます。下記に、一般的な預貯金の払戻や名義変更に必要な書類を記載致します。

◆残高証明書の発行に要する書類

◆銀行に提出する書類

遺言執行の前の注意

 遺言書を自筆証書遺言(自筆で作成されている場合)には遺言書の検認手続と言われる、遺言書の存在や内容を相続人に知らせるとともに、遺言書の署名や日付、形状等を確認し、遺言書の偽造や変造を防止する手続きを行わなくてはいけません。検認手続が必要な場合には、亡くなった方の住所地を管轄する家庭裁判所に検認の申立てを行いましょう。

相続で口座凍結してしまった場合の各金融機関での対処

各金融機関の相続

 下記にゆうちょ銀行と三井住友銀行の相続による口座凍結後の手続を記載致します。これらの手続きは遺言書を作成されていないケースの説明でございます。

◆ゆうちょ銀行

 ゆうちょ銀行の口座凍結の解除手続を行うにはまず「相続確認表」を印刷しましょう。これ等の書類には記載見本(こちら)が載っておりますので、そちらを参考にご自身の相続内容に当てはめて記載します。もし、亡くなった名義人の預金の自体の有無や、記号番号が不明な場合には上記の相続確認表内に、「貯金等照会書」がありますので、そちらも記載見本(こちら)を参考に記入し、払戻の前に提出しましょう。こちらの貯金等照会書を提出することで残高証明書発行することができます。

以下に、ゆうちょ銀行の遺言書が無い場合の払戻に必要な書類を記載致します。

◆三井住友銀行

 三井住友銀行の口座凍結の解除手続を行う場合には、以下の書類を準備して窓口に行きましょう。遺産分割協議を行う際などに残高証明書を要する場合には、残高証明書の発行に880円かかります。

相続の口座凍結について仮払い制度が新設されました

 民法の改正により、相続人が各人で亡くなった方の預金について3分の1を限度に他の相続人の同意を得ることなく、金融機関へ仮払いを請求できるようになりました。(民法第909条の2)仮払い制度は亡くなった方の未払の「医療費、介護費、税金」等を払う目的で主に利用されることがあります。

民法第909条の2(遺産の分割前における預貯金債権の行使)
 各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち相続開始の時の債権額の三分の一に第九百条及び第九百一条の規定により算定した当該共同相続人の相続分を乗じた額(標準的な当面の必要生計費、平均的な葬式の費用の額その他の事情を勘案して預貯金債権の債務者ごとに法務省令で定める額を限度とする。)については、単独でその権利を行使することができる。この場合において、当該権利の行使をした預貯金債権については、当該共同相続人が遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなす。

相続で口座凍結してしまった場合の対処-よくある質問

Q1.亡くなった父が取引していた銀行の口座凍結がされました。払戻手続にはどれくらいの時間がかかるのでしょうか。
A.亡くなったお父様が遺言書を残されているのかによって、時間は大きく異なりますが平均として、遺言執行による相続手続きは約2~4か月程、遺産分割による相続手続きは約3~6か月程かかります。

Q2.相続による銀行手続は税理士のみ対応できるのでしょうか。
A.いいえ。銀行手続は原則として、委任状があればどなたでも行えます。しかし、金融機関によっては行政書士や司法書士、弁護士等のみ代理人による手続を可能としている場合があります。

Q3.亡くなった父がキャッシュカードを亡くしていましたが、手続可能でしょうか。
A.可能です。最初の銀行への訪問時に窓口の方に亡くなっている旨をお伝えください。

Q4.相続が開始した場合にはどのタイミングで金融機関に連絡すればよいでしょうか。
A.金融機関への連絡は、亡くなったことが分かった時にされるとよいでしょう。払戻や名義変更の手続は相続人や遺産の調査及び遺産分割後に行うことになります。

Q5.銀行の相続手続きは予約が必要でしょうか。
A.原則予約が必要です。

相続による銀行口座凍結の対応はお任せください

 弊所は、相続を専門とした事務所としてこれまでにゆうちょ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行をはじめ各金融機関にて相続による口座凍結解除の手続を代理によって行ってまいりました。

相続による銀行手続は、書類の軽微な不備についても原則として他の相続人の同意なしではできませんので、訂正を要求され銀行を何度も行き来する方は多いです。また、相続に関する書類は金融機関によって書式が異なるため、慣れていなければ適切に記載することは難しいです。弊所であれば、これまでに多くの相続手続きを行った経験がありますので、書類の記載や必要な手続きについては熟知しております。

銀行手続きは丸投げで対応いたしますので、ご依頼者様に行っていただくことは委任状や相続関係書類への署名と押印と印鑑登録証明書の取得のみです。ご依頼をご検討中の方は、是非初回無料の電話相談をご利用ください。皆様からのご依頼をお待ちしております。

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