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自営業の相続手続と対処について

自営業の相続手続相続

個人事業主が亡くなって相続が発生した場合、その事業主(以下「被相続人」という。)が生前所有していた、財産は相続の対象として遺産分割協議にかけられます。

もし、被相続人が事業の継続を望んでいた場合、事業用の資産は事業を承継する相続人が相続することが望ましいです。

しかしながら、被相続人の遺産のほとんどが事業用の資産であった場合、事業を承継する相続人と他の共同相続人による遺産分割の際に、事業用の資産について、共同相続人の同意を得られない場合があります。

法律上、遺言書が存在しない場合の相続は、相続人同士で遺産の分割を話し合わなけらばならないとされています。つまり、話し合いがまとまらなければ、最終的に裁判所に判断を委ねることになるので、家族関係の悪化に繋がる場合もあります。

自営業の相続対策について

上述した通り、被相続人が自営業を営んでいた場合に、財産のほとんどが事業用の財産ということも珍しくはありません。

これでは、事業を承継したくても、遺産分割がまとまらなかったり、相続人が遺留分(相続人の最低限の相続分)を行使したりなどで相続が長引くことが予想されます。

それでは、自営業の事業主の相続対策はどのように行えばよいのでしょうか?

【遺留分に関する条文】

民法1092条(遺留分の帰属及びその割合)

1.兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次条第1項に規定する遺留分を算定するための財産の価額に、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合を乗じた額を受ける。
直系尊属のみが相続人である場合     三分の一
前号に掲げる場合以外の場合       二分の一

2.相続人が数人ある場合には、前項各号に定める割合は、これらに第900条及び第901条の規定により算定したその各自の相続分を乗じた割合とする。

⑴遺言書を作成しておく

遺言書を作成しておけば、死後に事業を誰に承継させて、どのように遺産を分割するかを定めることができます。

遺言書は被相続人の最後の意思表示ともいわれています。たとえ事業の財産のすべてを一定の者に相続させる旨の遺言を残したとしても、遺言書に付言として「事業を継続させるためにすべて、○○に財産を残した。共同相続人の○○や○○は遺留分を請求しないでほしい。」などと記述することで、共同相続人が被相続人の気持ちを汲み取ってくれることもあります。

⑵個人事業の法人化しておく

個人事業を法人化しておくことで、事業用の資産は会社の資産になります。つまり、個人用の財産と会社用の財産を明確に区別することができます。

この場合、遺産分割では会社の財産は株式として分割することになります。会社自体は「法人」として、独立した法人格を持つものなので、会社そのものを相続することはできません。

⑶生前贈与しておく

生前贈与とは、生きている間に財産を配偶者や子、孫などに贈与することです。つまり、個人事業主は、生前に事業を後継者に贈与させることができます。

事業の生前贈与を行うことで、相続を待たずに贈与にて後継者へ事業承継を行うことができます。事業の承継手続は、後継者へ事業用資産の贈与を実施し、贈与した事業主が所轄税務署と管轄の都道府県税事務所に、廃業届を提出して行います。

その後、後継者が同様に開業届を上記の場所を提出すると承継は完了です。

この場合、下記の事業承継税制の対象となる場合があるので、確認しておきましょう。

⑷事業承継税制の利用

「事業承継税制」とは、後継者が非上場会社の株式等(法人の場合)・事業用資産(個人事業者の場合)を先代経営者等から贈与・相続により取得した際、経営承継円滑化法による都道府県知事の認定を受けると、贈与税・相続税の納税が猶予又は免除される制度です。

事業承継税制について→こちら

自営業の相続手続の手順

自営業を営んでいた、事業主が死亡した場合、残された相続人は事業について廃業するか承継するかを選びます。下記に「事業を廃業する手続」と「事業を承継する手続」を記載しました。

事業を廃業する手続

死亡届の提出

提出先:所轄税務署
提出期限:死亡日以降すみやかに

国税庁「個人事業者の死亡届出手続」→こちら

死亡届は市区町村役場にも提出しなければなりません

廃業届の提出

提出先:所轄税務署
提出期限:死亡日から1カ月以内

国税庁「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」→こちら

事業廃止届出書の提出

提出先:所轄税務署
提出期限:死亡日以降すみやかに

国税庁「事業廃止届出手続」→こちら

給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書の提出

提出先:所轄税務署
提出期限:死亡日から1カ月以内

国税庁「給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出」→こちら

準確定申告書の提出

準確定申告とは、相続人が1月1日からその時点までに確定している所得額や税額を計算して、故人に代わって確定申告を行うことです。準確定申告の期限は、相続の開始を知った日の翌日から4カ月以内です。通常の確定申告とは、申告の期間が違うので注意しましょう。

提出先:所轄税務署
提出期限:亡くなった日から4カ月以内

国税庁「納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)」→こちら

事業を承継する手続

開業届の提出(後継者 )

開業届の提出を行う場合は、被相続人の廃業届の提出も行わなくてはいけません。

提出先:所轄税務署
提出期限:死亡日から1カ月以内

国税庁「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」→こちら

所得税の青色申告承認申請書の提出

提出先:所轄税務署
提出期限:相続人が相続前より既に事業を営んでいた場合は原則どおりその年の3月15日まで

国税庁「所得税の青色申告承認申請手続」→こちら

給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書の提出

提出先:所轄税務署
提出期限:死亡日から1カ月以内

国税庁「給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出」→こちら

まとめ:自営業の相続手続と対処について

このように、自営業の相続は一般的な相続手続よりも、ややこしくなる傾向があります。そのため、事業主は生前に遺言書を作成したり、贈与しておくことで死後の相続人の手続を軽減するための手続を行っておきましょう。

これらの遺言書や贈与に関して、不安がある方は弊所でご要望に寄り添ったご対応が可能ですので、下記の電話もしくは無料相談からご連絡をお待ちしております。

国税庁「財産を相続したとき」→こちら

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