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法人が本店の「所在」を変更したときの古物商手続—主たる営業所の移転有無で分かれる届出と書換え

2026.08.27

法人が本店の「所在」を変更したときの古物商手続—主たる営業所の移転有無で分かれる届出と書換え

法人の登記事項としての所在地(本店)を変更したら、古物商の手続はいつまでに何を出すかがポイントです。結論は次のとおりです。主たる営業所を移転するなら「事前の届出」を移転前に、移転しないなら登記変更後「事後の届出」と許可証の書換申請を速やかに行います。県をまたぐ移転も新規許可は不要ですが、届出先が「変更後の主たる営業所の所在地を管轄する公安委員会」へ変わる点に注意してください。

  • 主たる営業所の所在地を変えるときは、移転前に「事前の届出」(規則様式)を提出する。
  • 本店の登記地だけ変え、主たる営業所は変えない場合は「事後の届出」と許可証の書換申請が必要。
  • 県外へ主たる営業所を移す場合も新規許可ではなく、変更後の所在地の公安委員会あてに届出する。
  • 事前の届出は「変更日の3日前まで」、事後の届出は「変更後14日以内(法人で登記事項証明書を添付する場合は20日以内)」が基準。
  • オンラインは国の共通基盤(e-Gov)で対応。対象手続を選び、管轄と添付要件を確認して申請する。

この記事で扱う「所在変更」の範囲と最初の確認

法人で古物商の許可を受けている事業者が、「登記事項としての本店所在地」を変更したとき、または古物営業の主たる営業所(許可証に記載される中核の営業所)を移転するときの実務手続を扱います。まず次の二点を切り分けてください。

  • 本店所在地の登記を変更したか(法人の「住所」に当たる部分)。
  • 古物営業の「主たる営業所」の所在地を動かすか(移転の有無、県内か県外か)。

切り分けの理由は、法令上「営業所の名称・所在地の変更」は移転前の事前届出、一方で「営業者の名称・住所(法人の本店)や代表者等、許可証記載事項の変更」は変更後の事後届出と許可証の書換申請という別の枠組みで求められるからです。主たる営業所を県外へ移す場合も、新たに許可を取り直すのではなく、変更後の所在地を管轄する公安委員会に対し事前届出を行うのが原則です。

用語の整理(本店所在地/主たる営業所/所在地の考え方)

ここで登場する用語の違いを早めに押さえると、手続を取り違えにくくなります。

  • 本店所在地(法人の住所):登記事項です。登記事項証明書の記載が根拠になり、変更登記の効力発生日を基準に事後届出期限が動きます。
  • 主たる営業所:古物営業の拠点のうち中心となる営業所です。許可証に「主たる営業所の名称・所在地」が記載され、ここが動くと「事前の届出」と許可証の書換えが伴います。
  • 従たる営業所(その他の営業所):追加の営業所。新設・廃止・区分入替は、主たる営業所の扱いと併せて届出・書換えの対象になります。
  • 所在地の範囲:建物名・階数・号室を含む具体の所在地が対象です。同一建物内で階や部屋番号だけが変わる場合でも、「所在地変更」に当たれば事前届出の対象となり得ます。

いつまでに何をどこへ出すか(期限と提出先)

期限は「営業所の移転(事前)」と「本店登記・代表者等の変更(事後)」で異なります。提出先の基準も合わせて確認します。

1. 主たる営業所の所在地を変更する(事前の届出)

  • いつまでに:変更日の3日前までに提出(営業所の所轄警察署長経由)。
  • どこへ:主たる営業所の所在地を管轄する公安委員会。県外へ移すときは「変更後の所在地」を管轄する公安委員会。
  • ポイント:移転予定日と新旧所在地を届出。複数営業所を持つ法人は、主たる/その他の別の変更も同時に整理します。

2. 法人の本店所在地だけを変更する(主たる営業所は据え置き)

  • いつまでに:変更の日から14日以内に提出(法人で登記事項証明書の添付が必要な変更は20日以内)。
  • どこへ:主たる営業所の所在地を管轄する公安委員会(警察署の生活安全課を経由)。
  • ポイント:事後の変更届出と同時に、許可証の記載事項が変わるため「許可証の書換申請」を行います。

3. 主たる営業所を県外へ移す(届出先の切替)

  • いつまでに:移転前に「変更後の所在地」を管轄する公安委員会あてで事前の届出。
  • どこへ:変更後の主たる営業所の所在地の所轄警察署(生活安全課)経由で新たな主たる公安委員会に届出。
  • ポイント:事前届出後、移転が完了したら新たな主たる公安委員会で許可証の書換申請を行い、旧許可証原本を添えて差替えます。

必要書類と様式(法人の所在変更/営業所移転)

様式は国家公安委員会規則(古物営業法施行規則)の「別記様式」を用います。各都道府県警察のサイトからダウンロードでき、電子申請(e-Gov)にも対応しています。地域運用で添付が追加されることがあるため、最終確認は所轄で行ってください。

事前の届出(営業所の名称・所在地の変更等)

  • 変更届出書(規則別記様式第5号):新旧の所在地、変更予定年月日などを記載。
  • 添付書類:原則として届出書本体で足りますが、建物使用権限や配置図の提出を求められる地域運用があるため、所轄警察署で指示に従います。
  • 代理提出:担当者や委任先が提出する場合は、委任状や本人確認書類の写しを求められることがあります。

事後の届出(法人の本店所在地等、許可証記載事項の変更)

  • 変更届出書(規則別記様式第6号):変更年月日・変更事項を記載。
  • 添付書類:法人の登記事項証明書(本店所在地や代表者等、登記に係る事項を変更した場合)。
  • あわせて行う手続:許可証の書換申請(規則様式)。許可証原本を添えて申請します。
  • 関連する変更:法人の名称変更、代表者の変更、取扱品目や管理者配置の変更が同時にある場合は、併せて必要な届出を整理します。

許可証の書換申請

  • 書換申請書(規則様式):許可証の記載事項に変更が生じた場合に申請。
  • 添付書類:許可証原本。変更の内容によっては登記事項証明書等を併せて提出。
  • 受領方法:窓口交付のほか、郵送返送を指定できる地域もあります。受付時に確認してください。

注:提出先はいずれも「主たる営業所の所在地を管轄する公安委員会」で、実際の受付は所在地の所轄警察署(生活安全課等)を経由します。主たる営業所が県外へ移る場合は、変更後の所在地の所轄警察署経由となります。

状況別の具体的手順(3パターン)

法人の「所在変更」といっても、実務の動き方は3パターンに分かれます。該当する流れだけを踏めば足ります。ここでは準備から受領・社内反映までの全体像を示します。

パターンA:本店の登記地だけ変える(主たる営業所は現状のまま)

  1. 登記の変更完了を確認する:登記事項証明書で新本店所在地を確認。社内の登録情報(社判、請求書住所、サイト表記)も整合を取ります。
  2. 事後の変更届出を作成する:規則別記様式第6号に、変更年月日・新旧の住所等を記載。法人は登記事項証明書を添付。
  3. 許可証の書換申請を同時に行う:許可証には営業者(法人)の住所が記載されるため、書換申請書に許可証原本を添えて提出。
  4. 提出先・期限:主たる営業所の所轄警察署経由で公安委員会へ。変更の日から14日以内(登記事項証明書を添付する法人の変更は20日以内)。
  5. 受領・保管:新しい許可証の受領後、標識・各営業所の掲示・社内台帳等の表示を新住所に更新。
  6. 周辺反映:名刺・領収書・電子契約書、ECサイトや出品者情報の住所表記も新住所に統一。

パターンB:主たる営業所を県内で移転する(登記の本店は同じ)

  1. 移転計画の確定:移転日・新所在地を固める。建物使用権限の裏付け(賃貸借契約等)は早めに準備。
  2. 事前の届出:規則別記様式第5号を用い、変更日の3日前までに、主たる営業所の所轄警察署長を経由して公安委員会へ提出。
  3. 移転実施:設備・台帳・標識を新所在地へ。古物の保管場所が変わる場合は社内手順も更新。
  4. 許可証の書換申請:移転後、許可証原本を添えて書換申請。主たる営業所の所在地が許可証に反映されます。
  5. 関連する事後届出:移転に伴い管理者の配置や営業所の別(主たる/その他)を入れ替える場合は、該当する事後届出も忘れずに。
  6. 社内通知:取引先・委託先・回収拠点への新住所通知、受領印・社印版下の差替えを同日に行うと現場が混乱しにくくなります。

パターンC:主たる営業所を県外に移転する(管轄の切替を伴う)

  1. 新管轄の確認:変更「後」の主たる営業所所在地を管轄する公安委員会・所轄警察署(生活安全課)を特定。
  2. 事前の届出:規則別記様式第5号で、変更後の所在地の所轄警察署長を経由し、新たな主たる公安委員会へ提出(変更日の3日前まで)。
  3. 移転実施:拠点移転。従たる営業所が複数ある場合は、主たる/その他の別の整理も同時に。
  4. 許可証の書換申請(新管轄で):新たな主たる公安委員会あてに許可証原本を添えて申請。許可証の公安委員会名・主たる営業所所在地等が差し替わります。
  5. 関連届出:本店登記も合わせて動く場合はパターンAの事後届出を併せて処理。URL届出等の別手続がある事業者は各自の管理台帳も更新。
  6. 旧管轄への連絡:必要に応じ、旧所轄にも移転済みの情報共有を行うと、問い合わせ時の確認がスムーズです。

スケジュール管理と日数カウントの具体例

期限の数え方を誤ると、直前での補正や差戻しにつながります。代表的な数え方と段取り例を示します。

  • 事前届出の「3日前まで」:変更日を含めずに起算し、土日祝を問わずカレンダー日で前倒し提出するのが安全です。オンラインでの受付時間外や差戻しの可能性も見込み、1週間前目標で準備します。
  • 事後届出の「14日以内/20日以内」:変更日(登記の効力発生日や代表者就任日など)を起算点にカレンダー日で計算。登記事項証明書の入手に時間がかかる場合は、取得リードタイムを逆算して予約発行を検討します。
  • 県外移転の重なり:移転日が月末・連休前後にかかる場合は、窓口混雑や郵送遅延も考慮して余裕を見込みます。
  1. 移転・登記の決裁が下りたタイミングで、届出様式と添付要件を一覧化(社内チェックリスト化)。
  2. 提出カレンダーを作り、「作成完了」「押印・承認」「提出」「補正対応」「受領・社内反映」の5区分で担当と期限を割り当て。
  3. 許可証の原本提出が必要な手続は、稼働日に余裕のあるスケジュールを設定し、営業への影響を回避。

オンライン申請(e-Gov)の使いどころと注意

古物営業関係の届出・書換えは、国の共通基盤であるe-Gov電子申請に対応しています。対象は、営業所移転等の「事前の届出」、法人の本店所在地等の「事後の届出」、および「許可証の書換申請」などです。オンラインを使う場合は次の点に留意します。

  • 提出先の選択:申請画面で主たる営業所の所在地を管轄する公安委員会(県警)を選択。県外移転時の事前届出は「変更後の所在地」の公安委員会を選びます。
  • 添付ファイル:登記事項証明書など、原本提示・写し添付が必要な書類はPDF等で添付。ファイル形式・容量制限を事前確認。
  • 本人確認・連絡:差し戻しに備え、担当課(生活安全課)の連絡が受けられる体制にしておく。申請控えと受付番号を保管。
  • 原本の扱い:許可証書換では許可証原本の提出・提示が必要です。オンラインで申請しても、原本の郵送・持参を指示される場合があります。
  • 電子署名・押印:電子署名で足りる運用と、社印のスキャン添付を求める運用が混在します。所轄の指示を優先します。

提出先の見つけ方と経由提出の可否

実務上の提出窓口は、営業所所在地の所轄警察署の生活安全課(部門名は県により異なる)です。県外に従たる営業所を持つ法人は、主たる公安委員会以外の公安委員会の管轄区域内にある営業所を経由して主たる公安委員会へ届出できる制度があります。遠隔拠点の担当者が最寄りの警察署で受付・経由提出できるため、全社の申請動線を設計する際に有用です。

周辺の実務更新(標識・台帳・社内文書・オンライン表示)

届出や書換えに加えて、日常運用の表示・帳票も確実に更新します。変更後、現場で旧情報が混在すると、検査時の指摘や取引先からの問合せ増加につながります。

  • 標識・掲示:各営業所の標識に記載された「営業者の住所」「主たる営業所の所在地」等を最新化。掲示場所・掲示様式の基準を再確認します。
  • 古物台帳・伝票:表紙・フォーマット内の住所欄を更新。電子台帳の場合はマスタ情報の住所・管轄名称を変更し、履歴が残るように設定。
  • 社内文書・契約書:買取同意書、委託書、チェックシート、委任状などの雛形を新住所版に差替え。旧版の誤用防止のため、版管理を徹底。
  • オンライン表示:自社サイトや出品者情報の「所在地」表記、問い合わせフォームの自動署名、メールフッター、コーポレートプロフィール等を統一。
  • 宅配買取・出張買取の動線:送り状・回収ルート・保管場所のラベルが新住所に紐づいているかを現場で確認。
  • 社内教育:変更点と、検査時に問われやすい論点(「いつ、どこへ、何を提出したか」)を共有し、受付票や受付番号を即時に提示できる体制に。

よくある落とし穴とチェックリスト

実務では、期限や届出先の取り違え、許可証の差替え忘れなど、見落としが生じやすい局面があります。以下の留意点を一つずつ確認し、社内のチェックリストに落とし込みましょう。

届出の「事前」「事後」を取り違える

営業所の所在地・名称の変更は「事前」、法人の本店所在地・代表者等の変更は「事後」と覚えておくと整理しやすくなります。特に主たる営業所の移転は、移転当日の直前に駆け込みでは間に合わないことがあります。

県外移転で届出先を誤る

主たる営業所を県外へ移すときは、変更「後」の所在地を管轄する公安委員会が届出先です。旧管轄あてに出しても足りず、処理のやり直しや遅延の原因になります。

許可証の書換えが後回しになる

届出だけで終わらせてしまい、許可証の書換申請を失念するケースがあります。許可証に記載される事項(主たる営業所の所在地、営業者の住所、代表者など)に変更があれば、差替えを受ける必要があります。

登記事項証明書の用意が遅れる

法人の本店所在地や代表者等、登記に係る変更は登記事項証明書の添付が必要です。入手に日数がかかる場合もあるため、期限(14日/20日)を逆算して取り寄せます。

同一建物内の部屋移動を軽視する

階や号室の変更でも、所在地の変更に当たれば事前届出が必要です。契約変更が伴う場合は特に注意してください。

複数営業所の「主たる/その他」の別の更新忘れ

主たる営業所を入れ替える場合は、「主たる/その他」の区分変更も事前届出の対象です。新設・廃止が伴うなら、その手続も併せて進めます。

窓口運用の違いを見落とす

添付資料の範囲や原本提示の要否など、都道府県ごとに運用差があります。事前に所轄へ問い合わせ、最新の案内に合わせて準備しましょう。

FAQ

主たる営業所を県外へ移します。許可は取り直しですか?

取り直し(新規許可)は不要です。法律上、主たる営業所の所在地を変更するときは、変更「後」の所在地を管轄する公安委員会に対してあらかじめ届出を行います。移転後は新管轄で許可証の書換申請を行い、許可証の差替えを受けます。

本店登記だけを移しました。営業所は動かしません。何を出しますか?

事後の変更届出(法人の住所=本店所在地の変更)と、許可証の書換申請を同時に行います。法人の変更で登記事項証明書の添付が必要な場合は、期限が20日以内に延びます。主たる営業所を動かさない限り、事前届出は不要です。

事前の届出はいつまでに出せばいいですか?「3日前まで」とは当日を含みますか?

営業所の所在地や名称等の変更は、変更日の3日前までに届出書を提出します。カウント方法は所轄の案内に従い、余裕を持って提出してください。オンラインの場合は、処理・補正の時間も見込みましょう。

e-Govで申請する場合、許可証原本はどう扱いますか?

許可証の書換申請では許可証原本の提出・提示が必要です。オンライン申請後に郵送や来署での原本提出を指示されることがあります。事前に提出方法を確認し、受領までのスケジュールを組んでください。

複数県に営業所があります。主たる営業所以外の県の警察から経由提出できますか?

主たる公安委員会以外の管轄区域に営業所を有する場合、当該公安委員会(その県)を経由して主たる公安委員会に届出できる制度があります。広域法人の実務では、最寄りの所轄警察署に相談するとスムーズです。

期限を過ぎてしまいました。どうすればいいですか?

遅延が判明したら、速やかに所轄警察署へ相談のうえ届出・申請を行ってください。遅延理由や補正の案内に従い、必要書類を整えて提出します。今後は登記・移転の日程と届出期限を同時に管理する体制を整えると安全です。

まとめ

法人の「所在変更」は、(1)主たる営業所を動かすか、(2)本店登記だけ動かすかで手続が分かれます。主たる営業所を移すなら変更日の3日前までの事前届出、登記だけなら変更後14日(登記事項証明書を添付する法人の変更は20日)以内の事後届出と許可証の書換申請が基本線です。県外移転でも新規許可は不要で、届出先が「変更後の所在地」へ切り替わること、許可証の差替えまで完了させることを押さえれば、手続は滞りなく進みます。オンライン(e-Gov)も活用しつつ、提出先・添付・期限の3点を確実に管理してください。

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