英語教室の開業は、特商法などの一定の制約を受けるものの、多くの人に英語を教えることで社会に貢献できる魅力的なビジネスです。子どもから大人まで英語学習の需要は高く、個人事業主や法人が英語教室を始めるケースも増えています。英語教室の開業自体には特別な免許や資格は不要で比較的参入しやすい分野ですが、その一方で契約トラブルを防ぐための法的対応が欠かせません。
特に英語教室は、単にレッスンを提供するだけでなく特定商取引法という法律の規制を受ける可能性がある点に注意が必要です。本記事では、英語教室を開業する際に押さえておくべき重要ポイントを解説します。法律で義務付けられた概要書面・契約書面の準備と、行政書士に依頼するメリットについて詳しく説明します。
法令を遵守して適切な書類を整備することで、トラブルを防ぎ受講者からの信頼を得ることができます。
英語教室開業の基本と事前準備
英語教室を開業するにあたっては、市場のニーズを把握し、サービス内容や運営形態をしっかり計画することが大切です。英語教室は「教育サービス業」に分類され、学習者の語学力向上をサポートすることが目的となります。事前に十分な準備を整えることで、開業後のスムーズな運営につなげることができます。
ここでは、英語教室ビジネスの魅力と、開業前の準備段階で押さえておきたいポイントを紹介します。
英語教室ビジネスの魅力
英語力の向上は、子どもから社会人まで幅広い層にとって関心の高いテーマであり、安定した集客が見込める分野です。特にグローバル化が進む現代社会においては、受験英語やビジネス英語に対するニーズが年々高まっており、地域に根差した対面教室から全国・海外に対応可能なオンラインレッスンまで、多様な展開が可能です。
英語力が活かされる場面は非常に多岐にわたります。たとえば、次のようなケースで英語力は武器として高く評価されます。
- 受験や進学における英語科目の強化
- 就職活動での履歴書や面接時のアピール材料
- 海外留学やワーキングホリデーでの現地コミュニケーション
- 旅行先での英会話
- 国際交流イベントな
- ビジネスでの英文メールのやり取りや会議、プレゼンテーション、海外取引先との商談など
また、英語教室は運営形態に柔軟性があることも大きな魅力です。自宅の一室で個人レッスンを開講したり、カフェの一角を活用して少人数レッスンを行ったりと、規模やライフスタイルに応じて自由な形で展開できます。生徒の成長や成果を直接感じることができる点も、大きなやりがいにつながるでしょう。
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開業に向けた必要な準備
開業前には、カリキュラム作成や教材準備、教室設備(またはオンライン環境)の整備、料金設定、集客方法の検討など、綿密な計画が必要です。ビジネスとして開業する以上、開業届の提出や屋号の検討、場合によっては法人設立などの手続きも考慮しましょう。
特に料金プランは月謝制(毎月払い)にするかコース制(一括前払い)にするかで契約形態が変わり、後述する法律上の扱いにも影響します。事業として安定させるために、資金計画やマーケティング戦略もしっかり立てておくことが重要です。
サービス提供時の注意点
教育サービスである以上、受講者が期待する成果(英語力の向上)について過度な宣伝を行わず、適切な目標設定とサポートを行うことが重要です。例えば「必ずTOEICで満点が取れる」などと断言する誇大な広告はトラブルの元になります。
誠実なサービス提供と丁寧な指導に徹し、受講者と信頼関係を築きましょう。また、生徒との契約内容やルール(欠席時の扱い、支払い方法など)は事前に書面で提示し同意を得ておくことが大切です。最初にルールを明確に周知することで、後々の認識違いやクレームを防ぐことにつながります。
英語教室と特定商取引法の関係
英語教室を開業するにあたり忘れてはならないのが、特定商取引法(特商法)との関係です。
英会話スクールなどの語学教室は、この法律で規制される「特定継続的役務提供」というサービス類型に該当しうる事業です。
これは、消費者保護の観点から、長期間・高額なサービス契約について事業者に一定の義務を課すものです。英語教室が特定商取引法の対象となる条件や、適用された場合に守るべきルールをしっかり理解しておきましょう。
特定継続的役務提供とは
特定商取引法に定められた継続サービスの一種で、エステサロン、学習塾、語学教室などが該当します。英語教室の場合も、提供する契約の受講期間と支払総額が一定の基準を超えると「特定継続的役務提供」に当たります。契約期間が2ヶ月を超え、かつ総額5万円を超える英語レッスン契約は規制対象です。
例えば6ヶ月~1年間のコース受講契約で一括30万円の受講料を支払うような場合が典型例として挙げられます。こうした長期・高額の契約では、事業者は契約前後の書面交付義務やクーリング・オフ制度など、特商法上のさまざまな義務を負うことになります。
特商法の対象となるケース
上記基準を満たす長期・高額な契約を結ぶ場合、英語教室の運営者は特商法の規制対象となります。特商法の対象事業者となった場合、契約締結前(勧誘時)と契約締結時の2段階で書面交付義務を負い、契約後も一定期間のクーリング・オフ(8日間)や途中解約のルールに従う必要があります。
たとえば契約書面を交付した日を含めず8日以内であれば理由を問わず契約解除が可能であり、契約成立後でも所定の方法で中途解約が認められます(未受講分の返金対応と違約金の支払い。※違約金は残額の20%または5万円のいずれか低い額が上限)。
長期コースを販売する際には、これら法律に基づく消費者保護ルールを踏まえて運営しなければなりません。なお、こうした義務に違反すると所管官庁からの行政指導や業務停止命令、悪質な場合は罰則が科される可能性があるため注意が必要です。
適用除外となるケース
すべての英語教室が常に特商法の規制対象となるわけではありません。例えば月謝制や都度払いで、生徒がいつでも解約・退会できる形態であれば、契約が長期に固定されないため特定継続的役務提供には該当しません。
また、契約期間が2ヶ月以内または総額5万円以下の短期・低額のコース(例:1ヶ月完結の集中講座や数回のプライベートレッスン)も規制対象外です。さらに、形式上は月謝制でも実質的に長期間の拘束がある場合は注意が必要です(例:解約には数ヶ月前の予告が必要、初回に高額な入会金や教材費を支払わせ実質的に長期契約と同等にしている場合など)。形式にかかわらず契約の実態が長期・高額であれば特商法が適用される可能性があります。
英語教室開業に必要な概要書面と契約書面って?
特定商取引法の対象サービスを提供する場合、事業者には概要書面と契約書面という2種類の書面を交付する義務があります。これは英語教室の開業者にとって特に注意すべきポイントです。適切な書面を用意して交付しなければ、後々のトラブルや行政からの指導を招くリスクがあります。
ここでは、概要書面・契約書面それぞれの役割と交付に関する留意点を解説します。
概要書面とは何か
概要書面とは、生徒と正式に契約を結ぶ前の勧誘段階で交付する書面です。契約内容の概略やサービス概要など、契約に関する重要事項を事前に知らせる役割があります。具体的には、提供する英語レッスンの内容・期間、料金総額や支払い方法、契約期間などの基本情報に加え、クーリング・オフや中途解約の条件も記載されます。
この書面を交付して内容を説明することで、生徒は契約前に十分な情報を得て判断できるようになります。原則として書面(紙)で交付する必要があり、交付しないまま契約を結ぶことは禁止されています。
契約書面とは何か
契約書面は、その名の通り契約締結時に交付する書面で、正式な契約書にあたります。概要書面より詳細な情報が含まれており、事業者の名称・所在地、サービス内容と提供期間、受講料などの対価や支払い方法、そして解約に関する条項(クーリング・オフの手順や途中解約の方法)など、法律で定められた事項をすべて記載しなければなりません。
契約書面は契約締結後速やかに交付する義務があり、この交付をもって契約が正式に成立します。契約書類は通常2部作成し、事業者と生徒が各自保管します。契約書面を交付した日からクーリング・オフ期間(8日間)の起算も始まります。契約書面を交付すれば、生徒は契約内容が明記された書面を手元に保管できるため、安心してサービスを利用することができます。
書面交付における注意点
概要書面・契約書面はいずれも法定の重要事項を漏れなく正確に作成する必要があります。万が一、記載すべき内容に漏れや不備があると、契約自体が無効とみなされたり、生徒側に有利な形で契約解除が認められてしまうリスクがあります。
例えばクーリング・オフに関する記載を怠った場合、契約後8日を過ぎても生徒に契約解除を主張されかねません。また、故意に書面を交付しなかったり不備のある書面で契約した場合、所管官庁から業務停止などの行政処分を受ける可能性もあります。こうした事態を避けるためにも、書面には法律の定める事項を正確に記載し、必ず所定のタイミングで交付することが重要です。法律遵守は事業者の義務であると同時に、円滑な運営と生徒からの信頼確保に不可欠な要素と言えるでしょう。
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英語の教材費の扱いと中途解約時の注意点
英語教室の運営において、授業料とは別に教材費を設定するケースは一般的です。特に、独自カリキュラムに基づいて使用するテキストやワークブックなどを教室側が指定・提供する場合、その教材の費用は学習内容の一部として契約に組み込む必要があります。
しかし、英語教室が「特定継続的役務提供」に該当する場合には、教材費の扱いについても特定商取引法の規制を受ける可能性があります。教材の提供形態や購入義務の有無、中途解約時の取扱いなどを誤ると、契約無効や行政処分といった重大な法的リスクが生じるため、正しい知識と準備が不可欠です。
教材購入を義務づける際の注意点
まず、教室側が「受講に必要不可欠な教材」を指定し、その購入を受講条件とすること自体は法律上可能です。ただし、教材が授業の遂行に必要な「関連商品」と見なされる場合、事業者は契約書面や概要書面にその内容と費用を明記する義務があります。
この際、「教材は必ず購入してください」という一方的な定めだけでなく、教材の名称・単価・支払時期・提供方法などを具体的に記載し、受講者に十分な説明を行うことが求められます。これを怠ると、不実告知や困惑勧誘とみなされるおそれがあります。
教材を教室側が一括手配する場合のリスクと対応
教材をあらかじめ教室が一括購入し、受講者に配布する運営形態も少なくありません。特に学期単位・年単位でカリキュラムが組まれている場合には、使用教材が事前に決まっていることも多く、一括仕入れによる効率化が図られています。
しかし、ここで注意すべきは、受講者が途中で退会(中途解約)した場合の教材費の取扱いです。特定商取引法では、関連商品の契約も役務契約と同様にクーリング・オフの対象とされており、契約締結後8日以内であれば教材費も含めて無条件で解除・返金請求が可能となります。
英語教室開業時の法定書類作成は行政書士に依頼しよう
英語教室開業にあたり、特商法に基づく概要書面・契約書面を自力で整備するのは容易ではありません。
法律用語や細かな記載要件を満たしながら、自身のサービス内容に合致した書類を作成するには専門知識が求められます。
そこで頼りになるのが行政書士という書類作成のプロフェッショナルです。ここでは、法定書類の作成を行政書士に依頼するメリットを紹介します。当事務所は全国対応可能な行政書士事務所として、英語教室の開業を法務面から強力にサポートいたします。
法定要件を満たす正確な書面作成
行政書士に依頼する最大のメリットは、法律で定められた記載事項をすべて網羅した契約書類を用意できる点です。特定商取引法で求められる項目(事業者情報、役務内容、期間、料金、解約方法など)を漏れなく盛り込んだ書面を作成してもらえるため、契約無効や行政処分のリスクを低減できます。
また、英語教室のビジネスモデル(対面レッスンかオンラインレッスンか、月謝制か一括前払い制か等)に合わせて書類を最適な形に調整してもらえるため、自分で試行錯誤する手間を省けます。(当事務所はご質問があった場合にはご提案させていただきます。)複雑な法律要件をクリアした正確な書面が手に入れば、安心して開業後の運営をスタートできるでしょう。
スムーズな契約手続きと運用サポート
行政書士は書類を作成して終わりではなく、実際の運用面でのアドバイスも行います。例えば、概要書面をどのタイミングで交付して何を説明すべきか、契約書面に署名・押印をもらう際の適切な手順、クーリング・オフや途中解約の申し出があった場合の対処方法など、現場で役立つ具体的な指導を受けられます。
これにより、法律違反のリスクを抑えつつ、生徒との円滑な関係構築が可能になります。また、契約後に生徒から契約内容について質問やクレームがあった場合も、適切に対処するための助言を得られるため安心です。
豊富な実績と全国対応の安心感
特商法に強い行政書士事務所であれば、過去に多くの語学教室などの契約書類作成を手掛けてきた豊富な実績があります。当事務所でも、英会話スクールを含む語学教室など、特定継続的役務提供に該当する事業者のサポート実績が多数ございます。蓄積されたノウハウにより、初めて開業する方も安心してご依頼いただけます。
また、遠方の事業者様でも電話・メールなどを活用した全国対応が可能ですので、所在地に関係なく専門サービスを受けられます。
英語教室の開業を成功させるには、質の高いレッスン提供はもちろん、法律に則った適切な契約手続きを踏むことが欠かせません。特定商取引法に基づく書面をしっかり整備し、消費者保護の観点を取り入れた運営を行うことで、生徒との信頼関係を築きながら安定したビジネス展開が可能となります。
契約書類の準備に不安がある方は、ぜひ専門の行政書士へご相談ください。当事務所では語学教室の契約書類作成に関するご相談を随時受け付けておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。皆様の英語教室開業の成功を心より応援しております。
英語教室開業時に必要な法定書面はお任せください
英語教室の開業にあたっては、優れた教材や指導力はもちろんのこと、法令に適合した契約書類の整備が不可欠です。特に特定商取引法の対象となる可能性がある場合には、概要書面・契約書面の不備や誤りが致命的なトラブルにつながることも珍しくありません。
「自分で作成した契約書で大丈夫か不安…」
「教材費や解約条項をどう書けば法律に沿うのか分からない…」
「開業後に消費者センターや行政から指摘されたらどうしよう…」
こうしたお悩みをお持ちの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。当事務所では、語学教室・学習塾等の特定継続的役務提供事業に特化した法定書類の作成実績が豊富にあります。事業者様の実態に合わせて、法令遵守かつ運用しやすい書類一式を迅速に整備し、万全の開業準備をサポートいたします。
当事務所に依頼する3つのメリット
法定記載事項を網羅した正確な書面が作成できる
特定商取引法に基づく概要書面および契約書面には、記載しなければならない法定項目が詳細に定められており、記載漏れや形式不備があると契約無効や行政処分のリスクも生じます。当行政書士事務所に依頼することで、こうした複雑な要件をすべて満たした正確な書類を作成してもらえるため、安心して運用できます。
実務に沿った運用指導が受けられる
概要書面や契約書面は「作成して終わり」ではなく、どの段階で、どのように交付し、何を説明すべきかといった実務運用が極めて重要です。当行政書士事務所は、実際のクリニック業務の流れに即して、説明する用語内容や、契約締結の手順などを詳しく説明しますので、違反リスクの少ない運営が可能となります。
最新の法改正や実務動向に対応できる
特定商取引法は定期的に改正が行われており、例えば近年では書面交付の電子化が一部認められるようになるなど、事業者側に求められる対応も変化しています。行政書士はこうした法改正にも精通しているため、時代に合った内容の書類整備や契約運用が可能になります。自力では見落としがちな法的変更点にも素早く対応できるため、常に適法な状態を維持するうえでの強力な支援となります。
料金表
当サービスの費用は明瞭な定額制となっております。
内容 | 料金 | 詳細 |
⑴概要書面・契約書面の作成 ⑵契約手順の説明書 |
55,000円 | 事前相談からヒアリング、書類の作成・納品までの一連のサービス費用が含まれています。追加料金なしで、2種類の書面を一括して作成いたします。t契約の手順書もお付けします。 |
選択プラン | ||
⑶電子交付対応 | 11,000円 | 電子交付対応では、書面をWord文書で提供し、サービス利用者への電子交付に必要な同意取得の方法や手順についてアドバイスいたします。 |
※上記料金以外に、特殊なご要望や追加の書類作成が発生しない限り、基本的に追加費用はございません。
手続きの流れ
当事務所へのご依頼から書類お渡しまでの一般的な流れをご説明します。初めての方でも安心してご利用いただけるよう、丁寧に対応いたします。
お問い合わせ・ご相談
まずはお問い合わせフォームやお電話等でお気軽にご相談ください。業種や事業内容、ご依頼の概要をお伺いします(この段階では費用はかかりません)。
お見積りのご提示
ヒアリングした内容にもとづき、正式にサービス提供する場合の費用のお見積りを提示いたします。基本的には前述の定額料金ですが、もし特殊な事情で追加料金が生じる場合はこの時点でご説明します。お見積りにご納得いただいた上で正式にご依頼ください。
契約締結
当事務所にて委任契約書を作成し、電子形式で締結していただきます。
追加質問のお伺い
書面作成に必要な事項について詳しくお伺いします。サービスの内容・特徴、提供条件、料金体系、契約条件(解約条件や返金規定等)などをメールにてお伺いいたします。
書類の作成
お伺いした内容を踏まえて、概要書面および契約書面を作成します。法律用語が多く難解になりすぎないよう配慮しつつ、法定事項を漏れなく盛り込んだ書類案を作成いたします。通常、1週間程度でドラフト(下書き)をご用意し、一度内容をご確認いただきます。ご要望に応じて修正を加え、最終版を完成させます。
書類の納品
完成した書類を納品いたします。基本的には電子データ(Word文書やPDFなど)でお渡しいたしますので、お客様の方で必要部数を印刷してご利用いただけます。また、納品後の運用方法についてもご不明点があれば納品から1か月はサポートいたします。作成した書類を実際にお客様が顧客に交付する際の手順や留意点などについてもご説明できますので、安心してご利用いただけます。
以上がご依頼から納品までの基本的な流れです。不明点がございましたら各段階で遠慮なくご質問ください。当事務所が責任を持ってサポートいたします。
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