特定商取引法(特商法)では、訪問販売やエステ契約など一定の取引において、事業者が消費者に契約内容を書面で交付する義務があります。近年の法改正により、この「書面交付義務」を消費者の承諾を条件として電子データで提供(電子交付)することが可能になりました。
電子メールやウェブを活用した書面の電子交付は、事業者にとって手続きの効率化につながりますが、一方で消費者保護の観点から厳格な手順とルールが定められています。電子化による業務効率化・コスト削減のメリットがある一方、定められた手順を守らなければ法違反となるため注意が必要です。
違反時には契約無効や行政処分といったリスクもあるため、慎重な運用が求められます。本記事では、特商法に基づく書面の電子交付手順について、一般事業者向けに重要ポイントをわかりやすく解説します(エステサロンや学習塾など特定継続的役務提供事業者のケースも含みます)。
特商法の電子交付制度の概要と背景

このトピックでは、特商法における書面交付義務の内容と、電子交付制度が導入された背景・概要について説明します。
消費者の承諾がいかに重要か、また電子交付できる書面の範囲についても押さえましょう。
書面交付義務と電子交付の解禁
特商法の対象取引(訪問販売、電話勧誘販売、訪問購入、連鎖販売取引(マルチ商法)、特定継続的役務提供(エステサロン・語学教室等)、業務提供誘引販売取引など)では、契約の申込時や契約締結時に取引内容を記した書面(申込書面・契約書面・概要書面等)を消費者に交付する義務があります。
従来は紙の書面のみが認められていましたが、2022年の法改正で消費者が事前に承諾した場合に限り、こうした書面を電子データで提供すること(電子交付)が可能となりました。
これはデジタル化推進の一環ですが、あくまで消費者の同意が前提であり、同意が得られない場合は従来どおり紙で交付する必要があります。
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電子交付が適用される書面の種類
電子交付の対象となるのは、特商法で交付が義務付けられている契約関係書面です。例えばエステや語学教室(いわゆる特定継続的役務提供)の契約では概要書面(サービス内容や料金の概要を記した書面)および契約書面(契約の詳細内容を記した書面)の交付義務があります。
また訪問販売では契約時に契約書面、申込みを受けた時点では申込書面(申込内容を記載)を交付する義務があります。こうした申込書面・契約書面・概要書面(総称して「契約書面等」)が電子交付の対象です。ただし通信販売は従前より書面交付義務自体がないため電子交付の範囲外となります。
消費者の承諾の必要性
書面の電子交付を行うには、必ず事前に消費者本人の承諾を得る必要があります。消費者が承諾しない限り電子交付はできず、事業者は紙の書面を交付しなければなりません。
承諾は消費者の自由意思に基づくもので、事業者側で一方的に電子に切り替えることは許されません。また承諾手続きを形式的に行っただけで、消費者がよく理解していない場合もトラブルの原因となります。
承諾がない電子交付は法律違反(契約書面の不交付)となり、契約後でも無効・取消のリスクやクーリング・オフ期間が進行しないといった問題が生じるため、承諾取得は最重要ポイントと言えます。
特商法に基づく書面電子交付前の準備:方法の提示と事前説明

このトピックでは、書面を電子交付する前段階として、消費者に対して行う電子交付方法の提示および必要な事前説明について解説します。事業者は消費者に電子交付の具体的方法を示し、十分な説明を行った上で、消費者が電子交付を受けるのに適した環境・能力を有するか確認する義務があります。
電磁的方法の種類・内容の提示
事業者はまず、電子交付にあたってどのような電磁的手段を用いるか、その種類と内容をあらかじめ消費者に示します。例えば「契約書面の内容をPDFファイルにしてEメールで送信する」や「当社ウェブサイト上の専用ページから契約内容のファイルをダウンロードしていただく」といった方法です。
またファイル形式や閲覧ソフトのバージョン要件があればそれも提示します(例:「PDF形式(バージョン○○以上)で提供」等)。こうした方法・内容を事前に明示することで、消費者はどの媒体・形式で契約内容が提供されるのかを把握できます。
消費者への事前説明事項
事業者が電子交付の承諾を得る前には、消費者が不利益を受けないよう、以下の内容を丁寧かつわかりやすく説明する必要があります。これは特定商取引法の趣旨である「情報の非対称性の是正」を満たすためにも極めて重要です。
電子交付はあくまで任意であり、承諾しなければ紙の書面が交付されること
消費者に「電子交付にしなければならない」という義務は一切ありません。電子交付を希望しない場合は、従来どおり紙の書面を無料で交付する義務があります。
また、事業者は、電子交付を承諾しないことによって不利益が生じるような説明をしてはなりません(例:電子交付でないと契約できない…等)。
電子交付される情報は、本来“紙で交付すべき重要な契約事項”であること
電子交付の対象となるのは、法律上、紙で渡すことが義務付けられている重要な契約書面です。そのため、メール添付ファイルやクラウドURLであっても、内容は「契約の根幹部分」であり、消費者に特に注意を促す必要があります。
この説明をしないと、消費者が「ただの案内資料」と誤解する可能性があるため、必ず明示しておきます。
電子メール等で提供されたファイルが“消費者の端末に記録された時点”で書面交付とみなされること
電子交付の「交付時点」は、メール受信時ではなく、ファイルが消費者の機器(スマホ・PC等)に保存されたタイミングです。
この「交付日」を起点として、後述のクーリング・オフ期間がスタートします。事業者は、誤解が生じないよう「送った瞬間」ではなく「消費者が受け取った瞬間」であることを丁寧に説明します。
クーリング・オフ期間は、電子ファイルが記録された日から進行すること
電子交付した場合であっても、クーリング・オフ期間は紙の場合と同じように適用されます。期間は以下のとおりです。
- 8日間:訪問販売、電話勧誘販売など
- 20日間:連鎖販売取引、業務提供誘引販売取引
電子交付であっても期間の起算日は「ファイルの記録日」であり、事業者はその点を明確に伝える必要があります。
電子交付を受けられるのは、一定の操作能力と環境を備えた消費者に限られること
消費者自身が電子機器を操作し、資料の保存・確認ができる体制でなければ電子交付は利用できません。特に説明すべき要件は以下のとおりです。
- 画面サイズ4.5インチ以上のスマートフォン・タブレット・PCを日常的に使用していること
- 電子メール等を受信し、ファイルを保存・閲覧する操作が自分でできること
分かりやすい説明として「4.5インチ以上のスマートフォンやパソコンを普段から使い、ご自身でファイルを保存できる方のみ、電子交付をご利用いただけます。」などと具体例を示すと理解されやすくなります。
消費者が誤解・不利益を被らないために、平易な表現で説明する必要があること
専門用語を並べるのではなく、一般の方が読んで理解できる言葉へ“翻訳”して伝えることが行政指導上も強く求められています。
| 【説明文の作成例】 「電子交付を選ぶと、契約書の内容がメールで送られてきます。お手元のスマートフォンに保存された日が『書面を受け取った日』となり、そこからクーリング・オフ期間が始まります。」 |
適合性の確認(操作・環境のチェック)
事前説明を行った後、事業者は消費者が電子交付を受けるのに適した環境・スキルを備えているか確認しなければなりません。
具体的には、「消費者が自分で電子メールの送受信やウェブサイトの閲覧など必要な操作を行えること」、「電子交付に使用する電子機器(PCやスマホ等)を日常的に使い慣れていること」を確認します。
また、消費者が希望する場合には「指定した第三者(例えば家族)のメールアドレスにも契約書面データを送信してもらえるか」という要望の有無と、希望する場合はそのメールアドレスを確認します。
これらの確認は、単なる口頭質問では不十分で、消費者自身に日常使っている機器で操作してもらう方法で行います(例:事業者のウェブページにアクセスして必要情報を入力してもらう、SMS認証を行う等)。このプロセスにより、消費者が実際に電子交付を受け取れる環境にあるかを客観的に確認できます。
特商法による書面電子交付:承諾の取得方法と承諾証明書の交付

このトピックでは、消費者への事前説明・確認を経て実際に電子交付の承諾を得る方法と、その承諾を得た証明として交付すべき書面について解説します。
承諾の手続きには一定の様式が要求されており、適切に実施することが重要です。
書面またはITを利用した正式な承諾手続き
電子交付の承諾は、書面による方法か、あるいは政令・省令で定められた情報通信の技術を利用する方法(電子的方法)で行います。書面で行う場合、消費者に承諾書に署名・記名押印してもらう形です。
電子的方法の場合には、例えば消費者の使用する電子機器から承諾の意思表示を事業者側に送信し記録する方法があります。具体例として、事業者から消費者宛に承諾用の確認メールを送り、消費者が承諾の旨を返信してその内容が事業者側で記録される、といった手段です。
または事業者のウェブサイト上で承諾フォームを表示し、消費者にそこで必要事項を入力の上「承諾する」ボタンをクリックしてもらう方法も認められます。さらに、CD-R等の電磁的記録媒体に承諾の意思を記録して消費者から提出してもらう方法もあります(現実には電子メールやウェブフォームによる方法が主でしょう)。
いずれの場合も事業者側で記録を出力して紙の書面として保存できる形式である必要があります。
記名と意思表示の要件
承諾手続きでは、消費者が自らの氏名と承諾内容を明確に記入・入力することが求められます。例えば紙で承諾書を交付する場合は、消費者自身に氏名と「説明内容を理解し、電子交付に同意します」といった文言を直筆させます。
電子フォームの場合も、チェックボックスをクリックさせるだけでは不十分で、氏名等の入力欄と「説明を理解した上で承諾する」という旨の明示的な確認項目を設けます。単なる「✓承諾します」ボタンだけでは、消費者が本当に理解・認識したかが不明確なため認められません。
法律上、このような記号だけの承諾表示は禁止されており、必ず本人の認識が明示された方法を用いる必要があります。
承諾を得たことの証明書交付
消費者から電子交付の承諾を得たら、実際に電子データで契約書面を提供する前に、その承諾を得たことを証明する書面を消費者に交付しなければなりません。通常これは紙の書面として交付します。
例えば「○年○月○日付でお客様が契約書面の電子交付に承諾されたことを証します。契約内容は後述の方法で電子提供いたします。」等と記載した書面を渡します。
この承諾証明書を交付しておけば、家族など第三者が見ても「契約書面は紙ではなく電子で渡す承諾を得ている」ことが一目でわかり、消費者への周知にもなります。
なお、例外的に不意打ち性のない取引ではこの証明書を電子で提供することも認められています。例えばエステや語学教室等の特定継続的役務提供(連鎖販売取引や業務提供誘引販売取引を含む)における概要書面の承諾証明は紙でなく電子メール等で送付することが可能です。
また、契約申込からサービス提供まで全てオンラインで完結するような場合(オンライン英会話教室等)の契約書面についても、承諾証明書を電子交付できるケースがあります。これら特例を除き、基本的には承諾証明は紙で交付するのが原則です。
特商法に基づく電子交付の実施と遵守すべきポイント

このトピックでは、消費者の承諾取得後に行う契約書面等の電子交付手順と、交付後に確認すべき事項、さらに電子交付に関して定められた遵守事項(禁止行為など)について説明します。適切に電子交付を実施し、消費者が確実に内容を受領・閲覧できるようにすることが求められます。
契約書面データの提供方法
電子で提供する場合も、紙の書面と同様に法律で定められた全ての記載事項を漏れなく含めた契約書面データを用意する必要があります。その上で、提供方法としては主に2通りあります。
電子メール等で送信する方法
契約書面のデータ(PDF等)をメール添付で送付したり、SNSのメッセージ機能等で送信し、消費者の端末にファイルを記録させる方法です。
なお、送信後にメッセージが自動消滅するような手段では、消費者の端末にファイルが保存されたとは認められない可能性があるため注意が必要です。
ウェブサイトからのダウンロード方式
事業者のウェブページに契約書面のデータを掲載し、消費者がアクセスして自分の端末にそのファイルをダウンロードする方法です。また別途、CDやUSBメモリなど記録媒体を直接手渡しする方法もあります。
いずれの方法でも、消費者側でプリントアウトして書面を作成できる形式で提供する必要があります(紙に出力すれば法定書面と同等になること)。
さらに、提供されたデータが改ざんされていないかどうかを確認できるような措置(例えば事業者側の原本データと突合すれば改変が判明する仕組み等)も求められています。
ウェブダウンロード方式の場合は、ダウンロード先のURL等を事前に通知し、消費者が迷わずアクセスできるようにします。また提供時には、文字が小さすぎたり極端に読みにくい表示にならないよう明瞭に読める形式で表示させます(例えば赤背景に赤文字といった判別しづらい配色や、極端に小さいフォントは不可(赤地に赤字、非常に小さな文字、逆に極端に大きすぎる文字で一画面に一文しか表示されない等のケースが不適切な表示例とされています))。
こうした工夫により、電子データであっても消費者が紙の書面同様に内容を確認できるようにすることが重要です。なお、メール送信やダウンロードの場合は、消費者の機器にファイルが保存された時点が書面交付日とみなされます(クーリング・オフ期間の起算点)。CD等の媒体手渡しの場合は、実際に媒体を受け取った日が交付日となります。
到達の確認とクーリング・オフ
電子交付を行った後、事業者は消費者の手元に契約書面データが確実に届き、閲覧できる状態になっているかを確認する義務があります。
例えばメール送信した場合、消費者に電話や返信メール等で「問題なくファイルを開けたか」を確認します。万一データが壊れて開けない場合などは書面交付が成立していないことになるため、速やかに再送等の対応が必要です。
電子交付後も消費者がデータを閲覧できなければ書面を交付したとは認められず、契約書面不交付として違法となります。クーリング・オフ期間も進行しないため、いつまでも契約解除され得る不安定な状態になってしまいます。
そうしたリスクを防ぐためにも、事業者側で電子交付の到達確認をしっかり行い、できれば閲覧できた証跡(例:消費者に内容の一部を確認する質問に回答してもらう等)を残すと安全です。
電子交付に関する禁止行為
特商法では、電子交付の導入に際して消費者の意思をないがしろにする行為を防ぐため、事業者が行ってはならない行為を具体的に定めています。以下に主な禁止事項をまとめます。
- 消費者が「電子ではなく紙で書面交付してほしい」と希望した場合に、無理に電子交付の手続きを進めないこと。
- 電子交付を承諾させるために、事実と異なる説明(不実告知)をしたり、威圧的な態度で困惑させたりしないこと。
- 電子交付を選択した消費者にだけ金銭的な特典を与えたり、紙の書面を希望した場合に手数料等の不利益を課したりしないこと。
- 承諾の際の適合性確認手続を省略したり、事業者側が代理で操作するなど不正な方法で形だけ整えることをしないこと。
- 確認を行わずに電子交付を実施したり、確認の結果電子交付に不適と判断される相手に対して電子交付を強行しないこと。
- 消費者本人の承諾意思を偽って他者が代わりに承諾したり、勝手に電子データを受領するような行為をしないこと。
以上のような行為は禁止されており、発覚すれば行政処分等の対象となります。消費者庁から違反行為の是正指示を受けた場合、その事実が公表されるため企業の信用に悪影響を及ぼします。
さらに悪質なケースでは、最長2年の業務停止や役員への業務禁止命令が科され、事業継続が困難となる恐れもあります。
特に「電子交付が法律で義務化された」などと誤った説明をするケースや、承諾を焦らせて消費者の冷静な判断を妨げる行為は問題視されます。事業者としては、消費者の意思を尊重し、定められた手続きを丁寧に踏むことが何よりも重要です。
こうしたルールを順守して電子交付を行えば、特商法の書面交付義務を満たしつつ、業務効率化や非対面契約の促進といったメリットを享受できるでしょう。
なお、これらの手続きを効率化し確実に履行するため、電子契約サービス(電子署名ツール等)の活用も有効です。例えば契約書面データの送付・承諾確認から到達確認までをクラウド上で一元管理でき、誰がいつどのような合意をしたかの記録を残せるため、万一トラブルが生じた際の証拠としても役立ちます。
なお、本制度の詳細な解釈については、消費者庁が公表しているガイドライン(「契約書面等に記載すべき事項の電磁的方法による提供に係るガイドライン」)も参考になります。
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ケーススタディ:エステサロン契約における電子交付の流れ
事前説明と承諾案内
エステサロンの店頭で契約手続きを行う際、スタッフが書面の電子交付について顧客に説明します。「後日メールで契約内容をお送りしますが、よろしいですか?紙での受け取りも可能です」といった形で、電子交付の趣旨や注意点(クーリング・オフ期間の起算日など)を案内します。
適合性の確認
顧客が電子交付を希望した場合、その場で顧客のスマートフォンを使ってもらい、専用の承諾フォームにアクセスしてもらいます。
画面上で「○○エステ株式会社契約書面電子交付承諾フォーム」に氏名やメールアドレスを入力して送信してもらい、同時にSMS認証も実施します。これにより、顧客が自身のスマホを使いこなせることやメール受信環境が整っていることを確認します。
承諾の取得
フォーム送信後、顧客のメールアドレス宛に承諾確認メールが届きます。メール内のリンクをクリックすると承諾完了画面が表示され、「電子交付に同意する」旨と顧客名が記録されます。
店舗スタッフは、承諾完了画面を顧客に確認してもらった上で、その内容を印刷した控え(承諾証明書)をその場で手渡します。
契約書面データの送付
後日、サロン側は契約内容をPDFにまとめ、顧客が指定したメールアドレス宛に送信します。PDFには施術コースや料金、クーリング・オフの方法等、法定の記載事項がすべて含まれています。顧客のスマートフォンにもPDFファイルが保存されました(この時点が契約書面交付日となります)。
到達確認とフォロー
メール送信後、サロンスタッフは念のため電話で顧客に連絡し、「先ほどメールで契約内容をお送りしましたが、ご確認いただけましたか?」と到達状況を確認します。
顧客が「受け取り、内容も閲覧できた」と答えれば到達確認完了です。仮にファイルが開けないなどの問題があれば、再送や紙書面の郵送対応に切り替えます。
クーリング・オフ期間経過
契約書面データを受け取った日を1日目としてクーリング・オフ期間(8日間)が進行します。電子交付により契約内容を伝えているため、問題なく8日が経過すれば契約は確定します(期間内に解約の意思表示がなければ、以降はクーリング・オフ不可)。
なお、期間内であれば消費者は書面または電子メールで契約解除の通知を送付することで無条件に解約が可能です。
データ保存と証跡管理
電子交付に関する一連のデータ(承諾フォームの送信日時、承諾証明書、契約PDF送付履歴、顧客からの開封確認連絡など)は、サロン側で保存・管理します。後日もし顧客との間で「説明を受けていない」等の紛争が起きても、これらの記録が証拠となります。
電子交付制度は、消費者にとっても契約書をデータで受け取れる利便性がある一方で、電子媒体では見落としや誤解が生じないよう、事業者側のこれまで以上に丁寧な対応が求められます。
関係法令の手順を順守し、適切な説明と確認を行うことで、紙の書面交付に劣らない安心・安全な電子契約を実現していきましょう。
特商法【電子交付対応】の書面作成は行政書士にお任せください

特商法に基づく書面の電子交付は、「契約書面等をPDFにするだけ」で済む単純な手続ではありません。事前説明の内容や承諾の取り方、承諾証明書の書き方、到達確認の運用方法など、細かな点で解釈が分かれる部分も多く、自己流で始めてしまうと「書面不交付」と判断されるおそれもあります。
当事務所では、特商法や消費者庁ガイドラインの趣旨を踏まえたうえで、電子交付用の契約書面・承諾書・チェックリストなどを一体として整備するサポートを行っています。
業種や実際の運用フローをヒアリングし、「現場で使えるか」「行政指導に耐えられるか」の両方を意識した実務的な書面を作成いたします。特に次のような事業者さまは、一度ご相談ください。
- 電子交付を導入したいが、承諾書・承諾証明書・説明文の雛形がなく、どこから手を付けてよいか分からない
- これまで紙だけで運用してきた契約書・申込書を、特商法に沿った形で電子交付前提の内容に見直したい
- エステサロン・語学教室・学習塾などの特定継続的役務で、店舗スタッフ向けの事前説明やチェックリストを整えたい
- 既に電子交付を行っているが、現行の承諾フローや書式がガイドラインに適合しているか専門家に点検してほしい
- 行政処分やクレームを避けるために、クーリング・オフ説明や到達確認、データ保存のルールを文書化して社内規程に落とし込みたい
当事務所では、オンライン(メール等)での全国対応も可能ですので、「まずは自社の現在の運用が問題ないか知りたい」といった段階のご相談でも構いません。
特商法の電子交付対応に不安をお持ちの事業者さまは、ぜひ一度当行政書士事務所までお問い合わせください。
当事務所に依頼する3つのメリット
法定記載事項を網羅した正確な書面が作成できる
特定商取引法に基づく概要書面(申込書面)および契約書面には、記載しなければならない法定項目が詳細に定められており、記載漏れや形式不備があると契約無効や行政処分のリスクも生じます。当行政書士事務所に依頼することで、こうした複雑な要件をすべて満たした正確な書類を作成してもらえるため、安心して運用できます。
実務に沿った運用指導が受けられる
概要書面(申込書面)や契約書面は「作成して終わり」ではなく、どの段階で、どのように交付し、何を説明すべきかといった実務運用が極めて重要です。当行政書士事務所は、実際の業務の流れに即して、説明する用語内容や、契約締結の手順などを詳しく説明しますので、違反リスクの少ない運営が可能となります。
最新の法改正や実務動向に対応できる
特定商取引法は定期的に改正が行われており、例えば近年では書面交付の電子化が一部認められるようになるなど、事業者側に求められる対応も変化しています。行政書士はこうした法改正にも精通しているため、時代に合った内容の書類整備や契約運用が可能になります。自力では見落としがちな法的変更点にも素早く対応できるため、常に適法な状態を維持するうえでの強力な支援となります。
料金表
当サービスの費用は明瞭な定額制となっております。
| 内容 | 料金 | 詳細 |
|---|---|---|
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⑴概要書面(申込書面)・契約書面の作成
⑵契約手順の説明書
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55,000円 | 事前相談からヒアリング、書類の作成・納品までの一連のサービス費用が含まれています。追加料金なしで、2種類の書面を一括して作成いたします。契約の手順書もお付けします。 |
| 選択プラン | ||
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⑶電子交付対応
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22,000円 | 書面を Word 文書で提供し、サービス利用者への電子交付に必要な同意取得の方法や手順についてアドバイスいたします。 |
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⑷延長相談
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22,000円 | 書面を提供した日の翌日から1か月間の電話やメール等の相談に対応させていただきます。 |
※上記料金以外に、特殊なご要望や追加の書類作成が発生しない限り、基本的に追加費用はございません。
手続きの流れ
当事務所へのご依頼から書類お渡しまでの一般的な流れをご説明します。初めての方でも安心してご利用いただけるよう、丁寧に対応いたします。
お問い合わせ・ご相談
まずはお問い合わせフォームやお電話等でお気軽にご相談ください。業種や事業内容、ご依頼の概要をお伺いします(この段階では費用はかかりません)。
お見積りのご提示
ヒアリングした内容にもとづき、正式にサービス提供する場合の費用のお見積りを提示いたします。基本的には前述の定額料金ですが、もし特殊な事情で追加料金が生じる場合はこの時点でご説明します。お見積りにご納得いただいた上で正式にご依頼ください。
契約締結
当事務所にて委任契約書を作成し、電子形式で締結していただきます。
追加質問のお伺い
書面作成に必要な事項について詳しくお伺いします。サービスの内容・特徴、提供条件、料金体系、契約条件(解約条件や返金規定等)などをメールにてお伺いいたします。
書類の作成
お伺いした内容を踏まえて、概要書面(申込書面)および契約書面を作成します。法律用語が多く難解になりすぎないよう配慮しつつ、法定事項を漏れなく盛り込んだ書類案を作成いたします。通常、1週間程度でドラフト(下書き)をご用意し、一度内容をご確認いただきます。ご要望に応じて修正を加え、最終版を完成させます。
書類の納品
完成した書類を納品いたします。基本的には電子データ(Word文書やPDFなど)でお渡しいたしますので、お客様の方で必要部数を印刷してご利用いただけます。また、納品後の運用方法についてもご不明点があれば納品から5日はサポートいたします。作成した書類を実際にお客様が顧客に交付する際の手順や留意点などについてもご説明できますので、安心してご利用いただけます。
以上がご依頼から納品までの基本的な流れです。不明点がございましたら各段階で遠慮なくご質問ください。当事務所が責任を持ってサポートいたします。
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