学習塾やエステ、美容医療、語学教室など、継続的にサービスを提供する事業では、消費者との契約内容を明確にするための書面整備が不可欠です。これらの業種は特定商取引法における「特定継続的役務提供(とくていけいぞくてきえきむていきょう)」に該当する可能性があり、契約書面や概要書面の交付義務を怠ると、契約無効・返金トラブル・行政処分など重大なリスクを招くことがあります。
特に「役務の提供期間(契約期間)」の設定は、法令上の要件判断に直結する極めて重要な項目です。本記事では、特定継続的役務提供に該当する条件、期間設定の考え方、行政書士に依頼するメリットを含めて、法的実務の観点から分かりやすく解説します。
特定継続的役務提供とは何か
このトピックでは、特定継続的役務提供の定義と、対象となる事業分野について説明します。
特定商取引法上の定義

特定継続的役務提供とは、一定の期間にわたり継続して提供される役務(サービス)で、契約金額が5万円を超え、かつ契約期間が1か月(業種により2か月)を超えるものを指します。政令により、対象業種はエステティック、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、パソコン教室、結婚相手紹介サービスの7種類と定められています。
対象業種の特徴
これらの業種はいずれも「長期間・高額・継続性」を伴う契約が多く、消費者とのトラブルが発生しやすい特徴を持ちます。特商法では、契約前後に「概要書面」「契約書面」を交付し、クーリングオフ・中途解約のルールを明示することを義務づけています。
特定継続的役務提供と通常取引の違い
単発の施術や短期レッスン契約は原則として特商法の規制対象外ですが、同一内容の契約を繰り返し更新して実質的に長期契約とみなされる場合は該当することがあります。行政書士としては、契約形態の実態判断を行い、適法な契約書式に整える支援を行うことが重要です。
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特定継続的役務提供の契約期間の考え方
このトピックでは、「契約期間」をどのように設定・記載するかを具体的に解説します。
始期と終期を明確に定める

契約書や概要書面には、役務提供の開始日と終了日を明示する必要があります。たとえば「2025年4月1日から2026年3月31日まで」と定めることで、1年間の契約であることが明確になります。単に「12か月間」などの抽象的表現でも有効ですが、暦日に当てはめて政令の期間を超えるかどうかを判断する必要があります。
期間の上限と業種別規制
エステティックサービスでは1か月、学習塾や語学教室では2か月を超える契約が特定継続的役務提供に該当します。つまり、1か月以内の短期プランや月謝制のように毎月契約更新を行う形態であれば、特商法の対象外となる場合が多いですが、実質的に継続を前提とした契約である場合は規制を受けます。
チケット・回数券の扱い
「5回コース」「10回分回数券」などの場合は、有効期限が「1年間」などと定められていれば、その期間が役務提供期間とみなされます。有効期限のない無期限チケットは、常に政令期間を超えると判断され、特商法の対象になります。このような場合は必ず概要書面と契約書面を整備すべきです。
特定継続的役務の提供期間設定の誤りによるリスク
このトピックでは、期間設定を誤った場合の法的リスクを解説します。
クーリングオフの無期限化
契約期間や記載事項に不備があると、クーリングオフ期間(8日間)が開始されません。つまり、いつでも契約解除を主張できる状態が続き、サロンや塾側にとって極めて不利な結果となります。
中途解約トラブルの発生
特商法では中途解約の違約金上限を「未消化役務料金の10%または2万円(業種によって異なる)」と定めています。契約期間を曖昧に設定していると、顧客との解約精算で不当請求と判断され、行政処分や返金命令を受ける可能性があります。
行政処分・信用失墜リスク
特定商取引法第71条により、概要書面や契約書面を交付しない行為、または不備のある書面を交付した場合には、6か月以下の拘禁刑(懲役)または100万円以下の罰金、またはこれらの併科が科されるおそれがあります。特商法違反で行政指導を受けた場合、SNSなどで公表されることもあり、事業の信用を著しく損ないます。行政書士の監修により、法的要件を満たす契約体系を構築することが不可欠です。
特定継続的役務による書面を行政書士に依頼するメリット
このトピックでは、専門家に契約書類作成を依頼する利点を紹介します。
最新法令に基づく書面整備

行政書士は特定商取引法施行規則や消費者庁ガイドラインを基に、法定記載事項を漏れなく反映した概要書面・契約書面を作成できます。自社作成のテンプレートでは抜け落ちやすい「期間」「特約」「返金条件」などを正確に反映できます。
事業形態に合わせた最適化
学習塾、語学教室、エステ、美容医療など、各業種の実態に合わせた契約構成を提案します。例えば月謝制塾では「毎月自動更新型」、脱毛サロンでは「1年間有効コース」など、実務運用と法令適合のバランスを取ります。
リスク防止と信頼性向上
行政書士による書面監修は、消費者トラブルの予防だけでなく、顧客に対する信頼性向上にもつながります。法令に準拠した明瞭な契約書類を整備することで、安心して利用できる事業者として評価される効果もあります。
特定継続的役務提供の期間設定は、契約書作成における最重要ポイントの一つです。始期と終期を明確に定め、政令で定められた期間を超える場合には必ず概要書面・契約書面を交付しなければなりません。
行政書士は、こうした法的整備を通じて、事業者の健全な経営を支えます。特商法対応書面の作成や見直しをご検討の際は、専門知識を有する行政書士への依頼をおすすめします。
特定継続的役務による法書面作成はお任せください

特定商取引法に基づく概要書面および契約書面には、記載しなければならない法定項目が詳細に定められており、記載漏れや形式不備があると契約無効や行政処分のリスクも生じます。当行政書士事務所に依頼することで、こうした複雑な要件をすべて満たした正確な書類を作成してもらえるため、安心して運用できます。
依頼いただくメリット
実務に沿った運用指導が受けられる
概要書面や契約書面は「作成して終わり」ではなく、どの段階で、どのように交付し、何を説明すべきかといった実務運用が極めて重要です。当行政書士事務所は、実際のクリニック業務の流れに即して、説明する用語内容や、契約締結の手順などを詳しく説明しますので、違反リスクの少ない運営が可能となります。
最新の法改正や実務動向に対応できる
特定商取引法は定期的に改正が行われており、例えば近年では書面交付の電子化が一部認められるようになるなど、事業者側に求められる対応も変化しています。行政書士はこうした法改正にも精通しているため、時代に合った内容の書類整備や契約運用が可能になります。自力では見落としがちな法的変更点にも素早く対応できるため、常に適法な状態を維持するうえでの強力な支援となります。
料金表
当サービスの費用は明瞭な定額制となっております。
| 内容 | 料金 | 詳細 |
|---|---|---|
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⑴概要書面(申込書面)・契約書面の作成
⑵契約手順の説明書
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55,000円 | 事前相談からヒアリング、書類の作成・納品までの一連のサービス費用が含まれています。追加料金なしで、2種類の書面を一括して作成いたします。契約の手順書もお付けします。 |
| 選択プラン | ||
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⑶電子交付対応
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11,000円 | 書面を Word 文書で提供し、サービス利用者への電子交付に必要な同意取得の方法や手順についてアドバイスいたします。 |
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⑷延長相談
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22,000円 | 書面を提供した日の翌日から1か月間の電話やメール等の相談に対応させていただきます。 |
※上記料金以外に、特殊なご要望や追加の書類作成が発生しない限り、基本的に追加費用はございません。
手続きの流れ
当事務所へのご依頼から書類お渡しまでの一般的な流れをご説明します。初めての方でも安心してご利用いただけるよう、丁寧に対応いたします。
お問い合わせ・ご相談
まずはお問い合わせフォームやお電話等でお気軽にご相談ください。業種や事業内容、ご依頼の概要をお伺いします(この段階では費用はかかりません)。
お見積りのご提示
ヒアリングした内容にもとづき、正式にサービス提供する場合の費用のお見積りを提示いたします。基本的には前述の定額料金ですが、もし特殊な事情で追加料金が生じる場合はこの時点でご説明します。お見積りにご納得いただいた上で正式にご依頼ください。
契約締結
当事務所にて委任契約書を作成し、電子形式で締結していただきます。
追加質問のお伺い
書面作成に必要な事項について詳しくお伺いします。サービスの内容・特徴、提供条件、料金体系、契約条件(解約条件や返金規定等)などをメールにてお伺いいたします。
書類の作成
お伺いした内容を踏まえて、概要書面および契約書面を作成します。法律用語が多く難解になりすぎないよう配慮しつつ、法定事項を漏れなく盛り込んだ書類案を作成いたします。通常、1週間程度でドラフト(下書き)をご用意し、一度内容をご確認いただきます。ご要望に応じて修正を加え、最終版を完成させます。
書類の納品
完成した書類を納品いたします。基本的には電子データ(Word文書やPDFなど)でお渡しいたしますので、お客様の方で必要部数を印刷してご利用いただけます。また、納品後の運用方法についてもご不明点があれば納品から5日はサポートいたします。作成した書類を実際にお客様が顧客に交付する際の手順や留意点などについてもご説明できますので、安心してご利用いただけます。
以上がご依頼から納品までの基本的な流れです。不明点がございましたら各段階で遠慮なくご質問ください。当事務所が責任を持ってサポートいたします。
お問い合わせ
お問い合わせは電話「0743-83-2162」又は下記「お問い合わせフォーム」からお願いいたします。
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