特定商取引法(特商法)は、一部の取引類型について事業者に対し「書面交付義務」を課し、契約時等に重要事項を記載した書類を消費者に渡すことを義務付けています。
エステサロンや語学教室、学習塾といった継続的サービス業や、訪問販売(例:リフォーム工事やウォーターサーバーの勧誘販売)などがこれに該当します。
こうした事業を開業する際には、契約前に交付する概要書面(申込書面)と、契約後に交付する契約書面のそれぞれに法定の記載事項を漏れなく盛り込む必要があります。
本記事では業種ごと(エステ・語学教室・学習塾・訪問販売)のケースに分け、特商法で定められた書類(概要書面・契約書面)に何を記載すべきかを詳しく解説します。記載漏れがあるとクーリングオフ期間が延長されるなど不利益を被りかねません。
エステサロンの場合(特定継続的役務提供)の記載事項

このトピックでは、エステサロンを例に、特定商取引法に基づく概要書面・契約書面にどのような項目を記載すべきかを説明します。エステは「特定継続的役務提供」に該当する代表的な業種であり、高額な長期契約となるため契約前後の書面交付が義務付けられています。
以下では、エステサロン開業時に必要な概要書面と契約書面の具体的な記載事項について解説します。
エステサロンが該当する「特定継続的役務提供」とは
エステサロン(痩身や美肌など美容を目的とする施術サービス)は、提供期間が1ヶ月超かつ対価が5万円を超える契約の場合、「特定継続的役務提供」として特商法の規制対象になります。
エステは効果が確実でない長期継続サービスの典型であり、業者側に契約前の概要書面交付と契約後の契約書面交付が義務付けられています。
このカテゴリーでは契約期間中いつでも中途解約(途中解約)が認められるなど消費者保護が図られており、書面にもその旨を記載する必要があります。
エステサロンを開業する事業者は、自社のサービス内容が規定の要件を満たす場合、必ず特商法のルールに沿った書面を用意しましょう。
エステの概要書面に記載する事項
エステ契約の概要書面には、契約に先立ち以下の事項を記載した書面を渡す必要があります。これは契約の申込みを受ける段階で、消費者に契約内容の概略を説明するための書面です。記載すべき項目は法律で細かく定められており、エステの場合も例外ではありません。
- 事業者の情報:サロンの名称(法人名)、住所、電話番号、※法人の場合は代表者氏名
- サービスの内容:提供するエステ施術の具体的内容(コースの種類や部位、回数など)
- 関連商品の有無:施術に際し購入が必要な商品(例:化粧品やサプリメント等)がある場合は、その商品名・種類・数量
- 役務の対価・費用:施術サービスの料金(権利の販売価格)および消費者が支払うべきその他すべての金額の概算
- 支払時期・支払方法:上記料金等の支払いタイミング(例:一括前払い・月額払い)と支払方法(例:現金・クレジットカード)
- 役務提供期間:サービス提供の契約期間(例:○ヶ月間のコース期間)
- クーリング・オフに関する事項:契約から8日以内であれば無条件解約できる権利(クーリングオフ)についての説明
- 中途解約に関する事項:8日を過ぎても途中解約が可能である旨や条件(例:提供前の未消化分の返金ルール等)
- 割賦販売法に基づく抗弁権の接続:クレジット払い等を利用する場合に、指定の事情があれば消費者がクレジット会社に支払い停止を主張できる権利について
- 前受金の保全状況:事業者が前受金(前払い金)を受け取る場合、その保全措置(銀行保証や保険加入状況など)の有無・内容
- 特約の有無と内容:契約に通常と異なる特約条項がある場合はその内容
以上が概要書面に必須とされる記載事項です。エステサロンではコース内容や総額費用、クーリングオフ可能期間などを消費者に分かりやすく示すことが重要です。
また、書面の一番上には「この書面をよくお読みください」と赤字・赤枠で注意喚起を記載し、クーリングオフに関する事項も赤枠・赤字で強調する決まりです。文字は8ポイント以上の大きさで印字しなければならず、細部にまで配慮した書面作成が求められます。
エステの契約書面に記載する事項
契約書面は、契約成立後に消費者へ交付する書類で、契約内容を確定的に示すものです。概要書面と重複する情報もありますが、契約書面では契約日時や担当者名など契約確定時点の事項も含め、より詳細な情報を網羅します。エステサロンの契約書面に記載すべき主な事項は以下の通りです。
- 役務の内容:提供するエステサービスの具体的内容(概要書面記載と同様)
- 関連商品の情報:購入が必要な商品がある場合、その商品名(※契約書面では種類・数量も含め記載)
- 役務の対価・金額:エステコースの料金総額および消費者が支払うべき全ての金額
- 支払時期・方法:支払いのタイミング(例:毎月○日、初回一括等)と手段(例:銀行振込、カード払)
- 役務提供期間:契約サービスの提供期間(開始日と終了日、または有効期間)
- クーリング・オフに関する事項:契約書面受領日から8日以内は無条件解約可能であること
- 中途解約に関する事項:8日経過後でも途中解約できる旨と、その手続・条件(返金計算方法等)
- 事業者の情報:サロン事業者の名称(法人名)、住所、電話番号、※法人なら代表者氏名
- 契約担当者の氏名:契約手続を行った担当者(エステティシャン等)の氏名
- 契約の年月日:契約を締結した日付
- 関連商品の種類・数量:購入が必要な商品がある場合はその種類と数量
- 抗弁権接続に関する事項:クレジット払い利用時の抗弁権接続に関する説明(概要書面と同様)
- 前受金の保全内容:前受金の有無と、あればその保全措置の内容
- 特約の内容:特約条項がある場合、その具体的内容
これら契約書面の記載事項をすべて網羅した書面を消費者に交付することで、初めてクーリングオフ期間(8日間)が進行します。
つまり、記載漏れがあると正しい書面を渡すまで期間がリセットされ続け、消費者はいつでも契約解除できる状態が続いてしまいます。違反した事業者には100万円以下の罰金等の罰則も科され得ます。
エステサロン経営者はこれら書面の重要性を認識し、法定事項を漏れなく記載した契約書類を整備しましょう。
【関連記事】
>エステサロンが遵守すべき特定商取引法のポイント
語学教室の場合(特定継続的役務提供)の記載事項

このトピックでは、英会話教室など語学教室を開業する場合に必要な書面(概要書面・契約書面)の記載事項を解説します。語学教室もエステと同様に特定継続的役務提供の一類型であり(契約期間2ヶ月超・総額5万円超の講座が対象)、契約期間が長期にわたる講座ではクーリングオフや中途解約が認められています。
以下では語学教室の書面記載事項を確認します。
語学教室が規制対象となる条件
語学教室(英会話スクール等)は、契約期間が2ヶ月を超えるコースで料金総額が5万円超の場合に特定継続的役務提供として特商法の対象となります。
例えば半年間の英会話コースや年間プログラムなどは該当し、契約前交付書面(概要書面)と契約書面の作成・交付義務が発生します。
多くの民間語学スクールは該当します。語学サービスではテキスト代や入会金が発生することも多く、そうした費用を含め契約内容を明示する書面が必要です。
語学教室の概要書面に記載する事項
英会話教室など語学サービスの概要書面には、エステの場合とほぼ共通する項目を記載します。契約を申込む前に渡すこの書面で、受講者(消費者)は契約の重要事項を事前に知ることができます。記載事項は次の通りです。
- 事業者の情報:教室運営者の名称(法人名)、住所、電話番号、※法人なら代表者名
- サービスの内容:提供する語学レッスンの内容(例:英会話〇〇コース、週〇回レッスン、オンライン/対面等)
- 必要商品の有無:受講に際し購入が必要な教材や機材があれば、その商品名・種類・数量(例:テキスト教材名と冊数)
- 役務の対価:受講料、入会金、教材費など消費者が支払う総額費用
- 支払時期・方法:授業料等の支払い時期(例:毎月払い・一括前払い)と支払方法(例:口座引落し)
- サービス提供期間:コース提供期間(例:2025年○月~○月まで○カ月間)
- クーリング・オフ:8日以内の書面解約が可能である旨
- 中途解約:8日経過後でも途中解約できる旨と条件(受講開始後の残り授業料の精算方法等)
- 抗弁権の接続:クレジット契約を利用する場合の支払停止の抗弁権に関する説明
- 前受金の保全:前受金を預かる場合の保全措置の有無・内容
- 特約事項:特約条項がある場合はその内容
※上記はエステの場合と同様であり、語学教室特有の項目が追加されるわけではありません。ただし、語学教室では教材や副教材の購入が必要となるケースが多いため、その有無と費用を明確に記載しましょう。
またレッスン内容・スケジュール(週〇回・1回〇時間等)も「役務の内容」として具体的に明記し、消費者に誤解がないようにします。
語学教室の契約書面に記載する事項
語学教室の契約書面も、その記載項目は基本的にエステ等の場合と共通です。概要書面の内容に加え、契約成立日や担当者名、教材提供者情報など契約時点で確定する事項を含めた書類を契約締結後遅滞なくに交付します。主な記載事項は以下の通りです。
- サービス内容:提供する語学講座の内容・コース名(受講科目やレベル等を含める)
- 必要商品の情報:購入が必要な教材がある場合、その名称・種類・数量(例:英語テキスト〇冊、オンライン教材ライセンス等)
- 料金総額:受講料、教材費、入会金など契約にかかる総額費用
- 支払方法・時期:代金の支払方法(銀行振込、カード決済等)とスケジュール(例:初月前払い、毎月末払い等)
- 提供期間:サービス提供期間や受講有効期限
- クーリング・オフ:契約書面受領日から8日以内は無条件解約できること
- 中途解約:8日を過ぎても途中退会(解約)可能であること、および精算方法
- 事業者情報:事業者の名称・所在地・電話・(法人なら代表者名)
- 契約担当者:契約手続きを行った教室スタッフ等の氏名
- 契約日:契約を締結した年月日
- 教材提供者の情報:購入が必要な教材を販売・提供する業者が別にいる場合、その名称・住所・電話・(法人代表者名)
- 抗弁権接続:クレジット払い利用時の抗弁権に関する事項
- 前受金保全:前受金の有無と保全措置の内容
- 特約事項:特約条項の具体的内容
以上を記載した契約書面を交付することで、語学教室の契約は適法に成立します。語学教室の場合も、記載漏れがあればクーリングオフ期間が延長され続ける点は同じです。
特に授業料や教材費の額・内訳に不備があるとトラブルになりやすいため、正確かつ明確に記載しましょう。
【関連記事】
>英会話教室を開きたい人のための特商法ガイド
学習塾の場合(特定継続的役務提供)の記載事項

このトピックでは、学習塾(進学塾)や家庭教師サービスを開業する場合に必要な書面の記載事項について説明します。学習塾や家庭教師サービスも特定継続的役務提供に該当し、長期・高額の指導契約では特商法の規制を受けます(契約期間2ヶ月超・契約金額5万円超の指導コースが対象)。
その場合、概要書面・契約書面の交付義務が生じ、中途解約やクーリングオフについても書面で案内する必要があります。
学習塾・家庭教師サービスが対象となる範囲
学習塾や家庭教師派遣サービスは、学校の入試対策や補習を目的に一定期間・高額の授業料を受け取る契約形態であれば特定継続的役務提供に該当します。
ただし、小学校入学準備の幼児教室や、小中学校が運営する課外授業など一部除外もあります。一般の民間進学塾、高校・大学受験予備校、家庭教師派遣会社などはほぼ対象と考えてよいでしょう。
これらの業種でもエステや語学教室と同様、契約前後の法定書面の交付と記載事項の遵守が求められます。
学習塾の概要書面に記載する事項
進学塾や家庭教師サービスの概要書面も、基本的にはエステや語学教室の場合と同じ項目を記載します。契約を申し込む前に交付する概要書面にて、以下の事項を明示しましょう。
- 事業者情報:塾やサービス提供会社の名称・住所・電話番号(法人は代表者名も)
- サービス内容:提供する指導内容(例:高校受験コース、週〇回授業、1回〇時間、個別指導/集団指導等)
- 必要商品の有無:購入が必要な教材や機器がある場合、その名称・種類・数量(テキスト代・模試費用など)
- 料金の総額:授業料、入会金、教材費、模試代等、契約にかかる全ての料金の合計額
- 支払時期・方法:授業料等の支払スケジュール(例:毎月分割払い・学期毎前払い)と方法(口座振替等)
- サービス提供期間:指導サービスの提供期間(例:◯年◯月◯日から◯年◯月◯日まで)
- クーリング・オフ:契約書面受領日から8日以内は無条件で契約解除できること
- 中途解約:8日経過後でも途中退会が可能なことと、その条件(受講済み分の精算方法や違約金の有無)
- 抗弁権の接続:クレジット払いの場合の抗弁権に関する説明
- 前受金の保全:前受金を預かる場合の保全措置について
- 特約事項:契約に特約がある場合はその内容
学習塾では教材費や模試代など授業料以外の費用が発生することが多いため、それらも「支払うべき金銭」に含めて正確に記載します。
また家庭教師派遣の場合、講師とのマッチングサービス料等があれば忘れずに明記します。消費者(生徒や保護者)が契約内容を十分理解できるよう、複雑な料金体系であれば内訳を補足説明するなど工夫しましょう。
学習塾の契約書面に記載する事項
学習塾や家庭教師サービスの契約書面も、他の特定継続的役務提供と同様に上記概要書面の内容を包含しつつ、契約確定情報を追加したものとなります。以下の事項を盛り込んだ契約書面を契約締結後に遅滞なく交付します。
- サービス内容:提供する指導サービスの具体的内容・コース名(教科や指導形態も含める)
- 必要教材の情報:購入が必要な教材がある場合、その名称・種類・数量(使用教材一覧等)
- 料金総額:授業料、教材費、その他一切の料金の総計
- 支払方法・時期:料金の支払方法(例:銀行引落)と支払時期(例:毎月○日、学期開始前等)
- 提供期間:指導サービスの提供開始日・終了日または有効期限
- クーリング・オフ:契約書交付日を起算日として8日以内は書面解約可能なこと
- 中途解約:8日経過後でも途中解約(退会)が可能であること、及びその手続き・条件
- 事業者情報:事業者の名称・所在地・電話番号・(法人の場合代表者名)
- 契約担当者:契約手続きを担当したスタッフまたは相談員の氏名
- 契約日:契約を締結した年月日
- 教材提供者情報:教材を別途販売する業者がいる場合、その名称・住所・電話番号等
- 抗弁権接続:クレジット払い利用時の抗弁権に関する事項
- 前受金保全:前受金の有無と保全措置の内容
- 特約事項:特約条項がある場合はその具体的内容
これらを網羅した契約書面を交付すれば、消費者(保護者や生徒)は契約内容を書面で確認でき、クーリングオフ期間の起算も開始されます。
学習塾でも書面不備によるトラブルは少なくないため、法律の要求する事項をもれなく記載した書面を作成することが重要です。
【関連記事】
>学習塾と特定商取引法:特定継続的役務提供の要件と書面作成
訪問販売の場合(リフォーム・ウォーターサーバー等)の記載事項

このトピックでは、訪問販売による商品・サービス提供の場合に必要な書面の記載事項について説明します。
訪問販売では、契約申込み時と契約成立後に、それぞれ申込書面と契約書面を消費者に交付する義務があります。
代表例として住宅リフォーム工事やウォーターサーバーの訪問契約を取り上げ、それぞれの書面記載事項と注意点を解説します。
訪問販売に該当する取引とは(工事勧誘など)
「訪問販売」とは、事業者が営業所等以外の場所(消費者の自宅や喫茶店、路上など)で契約の勧誘・締結を行う販売形態を指します。
典型的にはリフォーム工事の営業員が自宅訪問して契約するケースや、ウォーターサーバーのセールスがオフィスに訪ねて契約をとるケースなどが該当します。
短期の展示会場やホテルの一室での販売会、路上で声をかけ営業所に同行させて契約させるケース(キャッチセールス・アポイントメントセールス)も広く「訪問販売」に含まれます。訪問販売ではその場の雰囲気に流され契約してしまう消費者も多いため、特商法で厳格な書面交付義務やクーリングオフ制度が定められているのです。
訪問販売の申込書面に記載する事項
訪問販売では、契約の申込みを受けた時点で消費者に渡す書面(いわゆる申込書や概要書面)にも一定の事項を記載しなければなりません。特にリフォームや設備機器の訪問契約では契約金額が高額になるため、申込み段階で契約内容を明示することが重要です。申込書面に記載すべき主な事項は以下の通りです。
- 商品・役務の種類:販売する商品や提供するサービスの種類(例:リフォーム工事一式、ウォーターサーバー設置サービス)
- 販売価格または役務の対価:商品の代金やサービス料金の額
- 代金の支払時期・方法:代金を支払うタイミング(例:工事完了後〇日以内、初回納品時等)と支払方法(例:現金・振込・クレジット)
- 商品の引渡時期等:商品の引渡予定時期、役務提供の開始時期(例:工事開始日・完了予定日、サーバー設置日など)
- 契約解除(申込み撤回)に関する事項:契約後でも8日以内なら無条件解約できるクーリングオフについての説明(一部適用除外がある場合はその旨も)
- 事業者の情報:販売業者または役務提供事業者の名称(法人名)、住所、電話番号、および法人なら代表者氏名
- 勧誘担当者の氏名:契約の申込み手続きを担当した営業員等の氏名
- 契約の申込日:申込みを受け付けた年月日
- 商品名や型式:販売する商品の具体的な名称・ブランド・製造事業者名、型番(型式)がある場合はその型式番号
- 商品の数量:販売する商品の数量(個数)
- 瑕疵責任に関する特約:引き渡した商品に欠陥・不適合があった場合の販売業者の責任について特約があればその内容
- 契約解除に関する特約:契約の解除条件に関する特約が別途ある場合はその内容
- その他の特約:上記以外に特約条項がある場合はその内容
例えば、住宅リフォームの訪問契約であれば、「工事内容(キッチン改修工事など)」「工事代金○○円」「工期◯月◯日から◯月◯日まで」「支払方法:着手金○円・完工時残額支払」「担当営業:○○」「契約日:◯月◯日」等を記載した申込書面を交付します。
またウォーターサーバーの勧誘販売であれば、「商品:ウォーターサーバー機種名」「サーバー料金○円+水ボトル定期購入代○円/月」「初回設置日○月○日」「支払方法:毎月口座振替」などを記載します。
申込書面の段階でこれら情報を明示することで、消費者に契約内容を十分理解させ、不意打ち性を和らげる狙いがあります。
訪問販売の契約書面に記載する事項と注意点
訪問販売の契約書面(契約成立後に渡す書面)は、上記申込書面の内容を基本的に引き継ぎつつ、契約が正式に成立したことを証する書類です。契約書面に記載すべき事項も申込書面とほぼ共通していますが、以下の点に注意してください。
記載事項自体は申込書面と同様に、「商品/サービス」「価格」「支払方法・時期」「引渡し時期」「事業者情報」「担当者氏名」「契約日」「商品名・型式・数量」「クーリングオフ」「瑕疵担保責任特約」「契約解除特約」「その他特約」等すべて漏れなく含めます。
特に契約日や担当者氏名は契約書面で新たに確定する情報なので忘れずに記載します。クーリングオフに関する注意書きを赤枠・赤字で明示し、契約書面を受け取った日から8日間行使できることを記載します。
仮に契約書面を渡していなかったり、必要事項に不備がある場合、クーリングオフ期間は進行せず8日を過ぎても消費者は契約解除可能です。書面不備は致命的であるため注意しましょう。
訪問販売では現金取引で代金総額が3,000円未満の場合や、消耗品を使用済みの場合などクーリングオフできない例外もあります。しかしその場合でも契約書面自体の交付義務はありますので、省略してはいけません。
契約書面も文字サイズ8ポイント以上で読みやすく作成します(申込書面と同様)。また、記載事項に変更が生じた場合(例:追加工事で金額増額等)は、正しい内容に訂正した書面を交付し直すくらいの丁寧さが求められます。
リフォーム業や設備機器の訪問販売業者にとって、契約書面は顧客との合意内容を書面で確認しトラブルを防止する重要なツールです。万一書面交付を怠ったり記載漏れがあると特商法違反となり、業務停止など行政処分の対象にもなり得ます。訪問販売を行う際は必ず法定書面を整備し、適切に交付するようにしてください。
【関連記事】
>訪問販売事業者の特商法に基づく書面交付義務とは?
まとめー特商法書面の準備は行政書士への依頼もご検討を
エステサロンや語学教室、学習塾、訪問販売といった取引では、特定商取引法に基づく概要書面・契約書面の交付と記載事項の遵守が法律上の義務です。
それぞれ細かな違いはありますが、共通して事業者情報、商品・サービス内容、価格・支払条件、クーリングオフ等の重要事項を網羅する必要があります。記載事項を欠けば法律違反となり、罰則や契約無効リスクを招きます。
事業者としては、自社の提供サービスが特商法の規制対象に該当するかどうかを正しく判断し、該当する場合は必要書面を事前に整備しておくことが肝心です。書面作成には法的知識が要求されるため、「特定商取引法に基づく書面の作成」に不安がある方は専門家に相談するのも一策です。
特商法の記載事項が分からない方は当事務所にお任せください

当事務所では、契約書や法定書面の作成代行を行っており、特商法に精通したサポートを提供できます。全国対応しておりますので、特商法の書面作成でお困りの際はお気軽にご相談ください。適切な書類準備によって、健全なビジネス運営と消費者との信頼関係構築に努めていきましょう。
当事務所に依頼する3つのメリット
法定記載事項を網羅した正確な書面が作成できる
特定商取引法に基づく概要書面(申込書面)および契約書面には、記載しなければならない法定項目が詳細に定められており、記載漏れや形式不備があると契約無効や行政処分のリスクも生じます。当行政書士事務所に依頼することで、こうした複雑な要件をすべて満たした正確な書類を作成してもらえるため、安心して運用できます。
実務に沿った運用指導が受けられる
概要書面(申込書面)や契約書面は「作成して終わり」ではなく、どの段階で、どのように交付し、何を説明すべきかといった実務運用が極めて重要です。当行政書士事務所は、実際の業務の流れに即して、説明する用語内容や、契約締結の手順などを詳しく説明しますので、違反リスクの少ない運営が可能となります。
最新の法改正や実務動向に対応できる
特定商取引法は定期的に改正が行われており、例えば近年では書面交付の電子化が一部認められるようになるなど、事業者側に求められる対応も変化しています。行政書士はこうした法改正にも精通しているため、時代に合った内容の書類整備や契約運用が可能になります。自力では見落としがちな法的変更点にも素早く対応できるため、常に適法な状態を維持するうえでの強力な支援となります。
料金表
当サービスの費用は明瞭な定額制となっております。
| 内容 | 料金 | 詳細 |
|---|---|---|
|
⑴概要書面(申込書面)・契約書面の作成
⑵契約手順の説明書
|
55,000円 | 事前相談からヒアリング、書類の作成・納品までの一連のサービス費用が含まれています。追加料金なしで、2種類の書面を一括して作成いたします。契約の手順書もお付けします。 |
| 選択プラン | ||
|
⑶電子交付対応
|
11,000円 | 書面を Word 文書で提供し、サービス利用者への電子交付に必要な同意取得の方法や手順についてアドバイスいたします。 |
|
⑷延長相談
|
22,000円 | 書面を提供した日の翌日から1か月間の電話やメール等の相談に対応させていただきます。 |
※上記料金以外に、特殊なご要望や追加の書類作成が発生しない限り、基本的に追加費用はございません。
手続きの流れ
当事務所へのご依頼から書類お渡しまでの一般的な流れをご説明します。初めての方でも安心してご利用いただけるよう、丁寧に対応いたします。
お問い合わせ・ご相談
まずはお問い合わせフォームやお電話等でお気軽にご相談ください。業種や事業内容、ご依頼の概要をお伺いします(この段階では費用はかかりません)。
お見積りのご提示
ヒアリングした内容にもとづき、正式にサービス提供する場合の費用のお見積りを提示いたします。基本的には前述の定額料金ですが、もし特殊な事情で追加料金が生じる場合はこの時点でご説明します。お見積りにご納得いただいた上で正式にご依頼ください。
契約締結
当事務所にて委任契約書を作成し、電子形式で締結していただきます。
追加質問のお伺い
書面作成に必要な事項について詳しくお伺いします。サービスの内容・特徴、提供条件、料金体系、契約条件(解約条件や返金規定等)などをメールにてお伺いいたします。
書類の作成
お伺いした内容を踏まえて、概要書面(申込書面)および契約書面を作成します。法律用語が多く難解になりすぎないよう配慮しつつ、法定事項を漏れなく盛り込んだ書類案を作成いたします。通常、1週間程度でドラフト(下書き)をご用意し、一度内容をご確認いただきます。ご要望に応じて修正を加え、最終版を完成させます。
書類の納品
完成した書類を納品いたします。基本的には電子データ(Word文書やPDFなど)でお渡しいたしますので、お客様の方で必要部数を印刷してご利用いただけます。また、納品後の運用方法についてもご不明点があれば納品から5日はサポートいたします。作成した書類を実際にお客様が顧客に交付する際の手順や留意点などについてもご説明できますので、安心してご利用いただけます。
以上がご依頼から納品までの基本的な流れです。不明点がございましたら各段階で遠慮なくご質問ください。当事務所が責任を持ってサポートいたします。
お問い合わせ
お問い合わせは電話「0743-83-2162」又は下記「お問い合わせフォーム」からお願いいたします。
【関連記事】
>特定商取引法ガイド
>消費者庁


コメント