「自宅で英会話教室の開業をしたいけれど、開業の手続が不安・・・」とお考えの方はぜひこちらの記事をご覧ください。こちらの記事では、自宅で英会話教室を開業予定の個人事業主や法人の方を主な対象としています。
自宅の一室を利用して英会話教室を開業すれば、低コストで始められる魅力があります。しかし、自宅であっても英会話教室を開く際には守るべき法律が存在します。
特に重要なのが「特定商取引法」と呼ばれる法律です。この法律では英会話教室のように長期間にわたりサービスを提供し、高額な料金を受け取るビジネスを「特定継続的役務提供」と位置付けています(※「特定継続的役務提供」とは、長期間にわたってサービスを継続提供し、その対価として高額な料金を受け取る取引類型のことです)。
もし英会話教室がこの「特定継続的役務提供」に該当すると、事業者には契約前後に一定の書面を交付する義務や、クーリング・オフ(一定期間内での無条件解約)への対応義務など、さまざまな法的義務が課されます。法律のポイントを押さえた上で、安心して英会話教室をスタートさせましょう。
自宅での英会話教室の開業でも必要な法的知識
自宅で小規模に英会話教室を始める場合でも、契約形態によっては特定商取引法の規制対象になります。
開業前に該当する法律や規制を正しく理解し、違反のないよう準備することが重要です。
小規模でも適用される特定継続的役務提供
英会話教室は、その契約期間が2ヶ月を超え、かつ受講料や教材費など契約金額の総額が5万円を超える場合に「特定継続的役務提供」として特定商取引法の対象となります。たとえ自宅で生徒数が少ない教室でも、複数月にわたるコースを提供し、まとまった授業料を受け取る形態であれば法律が適用される点に注意が必要です。
なお、レッスンをオンライン(インターネットや電話)で提供する場合も、契約期間と金額の条件を満たせば同様に特定商取引法の規制対象となります。短期の単発レッスンのみであれば該当しませんが、一般的に英会話上達には継続学習が前提となるため、多くの自宅英会話教室がこの規定に当てはまります。
英会話教室が規制対象となる理由
特定商取引法で英会話教室が規制対象に含まれているのは、長期契約かつ高額になりやすいサービスだからです。英会話習得には一定期間の継続受講が必要なケースが多く、そのため数ヶ月から一年単位のコース契約や一括前払い料金が発生しやすい傾向があります。
こうした契約では、事業者と消費者の間で認識違いやトラブルが起こりやすく、消費者保護の観点から法律によるルール整備が行われています。特に、契約内容を分かりやすく説明することや、不当な勧誘を防ぐことが重視されているのです。
例えば、契約前に契約内容をまとめた概要書面を渡す義務や、契約後8日以内であれば無条件で解約できるクーリング・オフ制度などが設けられています。なお、特定商取引法では誇大な広告表示や事実と異なる説明による契約勧誘を禁止する規定(特定商取引法第43条・第44条)も設けられています。
「必ず英語がペラペラになる」といった根拠のない宣伝や、契約を急がせるような威圧的な勧誘は厳禁です。事実、過去には大手英会話スクールが経営破綻し、前払いした受講料が返還されない被害が社会問題となった例もあります。こうした事態を防ぐためにも、契約段階でのルール整備が法律によって行われているのです。
自宅開業ならではの注意点
自宅で英会話教室を開業する場合、自宅だからといって法律の適用が免除されるわけではありません。なお、自宅がマンションなど集合住宅の場合は、管理規約で営業行為(教室の開業)が禁止されていないか事前に確認しておく必要があります。
また、自宅開業では近隣への配慮や設備面の注意も必要です。例えば、自宅が賃貸物件であれば契約上営業行為が許可されているか確認し、防音対策を講じて周囲の生活環境に配慮しましょう。
法律面では所在地や屋号を契約書類に明記する必要がありますが、自宅住所を開示することになるため、プライバシーへの配慮や必要に応じた郵便受けの整備なども検討しましょう。
自宅で英会話教室を開業/契約前に交付する概要書面のポイント
英会話教室の契約において、事業者は契約を結ぶ前に必ず「概要書面」と呼ばれる書面を生徒(消費者)に交付しなければなりません(特定商取引法第42条)。概要書面は、その契約の概要を記載した文書で、消費者が契約内容を理解するための重要な資料です。
この段階で必要な情報をもれなく提供し、相手に十分検討してもらうことが、後々のトラブル防止に繋がります。
概要書面を詳しく
概要書面とは、英会話教室の受講契約を締結する前に交付する書面です。法律上は「契約の概要を書面にして交付すること」と定められており、契約前に消費者へ重要事項を説明する役割を果たします。
口頭で説明した場合でも、この概要書面を渡さなければ法律違反となるため注意が必要です。例えば、無料体験レッスン後に生徒が入会を検討する際には、この概要書面を事前に渡し、サービス内容や契約条件を確認してもらう必要があります。特に通信教育やオンライン英会話の場合でも、紙の書面を郵送するか、あるいは消費者の承諾を得て電子メール等で交付する対応が求められます。
概要書面に記載すべき事項
概要書面には特定商取引法第42条に基づき記載すべき事項が細かく定められています。具体的には、主に次のような内容の記載が求められます。
- 事業者の氏名(法人名)
- 住所・電話番号(法人にあっては代表者の氏名)
- サービスの内容と提供期間
- 支払うべき料金の総額(授業料や教材費の概算を含む)とその支払方法・時期
- 返品やクーリング・オフの制度に関する説明
- 中途解約(途中解約)の条件やその際の精算方法
- 特約がある場合にはその内容
また、英会話教室ではテキスト代等の教材費が別途かかる場合も多いため、その有無や金額も明記しなければなりません。これらの事項を漏れなく記載した概要書面を用意しておくことが重要です。
書面交付の形式と注意点
概要書面は消費者が契約内容を理解するために保存できる形で交付する必要があります。法律上は書面で手渡すのが原則ですが、2022年の法改正により、消費者が希望し承諾した場合には電子メール等での交付も可能になりました。
ただし電子交付を行う場合でも、事前に消費者に対し電子的提供について説明し、書面による交付に代えることへの同意を得る必要があります。また、概要書面には赤枠で囲んだ注意書きを赤字で記載するなど、消費者への注意喚起が義務付けられています。文字の大きさも8ポイント以上といった判読性の条件があり、これら形式面の要件も満たすようにしましょう。
契約締結時の契約書面交付と解除ルール
契約成立後には、事業者は速やかに契約内容を明示した「契約書面」を交付しなければなりません(特定商取引法第42条)。契約書面は、お互いが合意した契約条件を書面に残すもので、概要書面より詳しい内容が記載されます。
契約書面の交付によって消費者は正式な契約内容を確認でき、その日からクーリング・オフ期間のカウントが始まります。また、契約後であっても一定の条件で契約を解除できる中途解約制度も法律で保証されています。ここでは契約書面に盛り込むべき事項と、契約後の解約ルールについて説明します。
契約書面に記載すべき事項
契約書面には、概要書面に記載した事項に加えて、契約固有の情報を含める必要があります。例えば、上述した概要書面への記載内容に加えて、次の内容が求められます。
- 契約の締結を担当した者の氏名(自宅教室の場合は自分自身が担当者となります)
- 実際に契約を締結した年月日
- 提供するサービスの具体的な内容や期間
- 支払総額とその内訳(入会金・月謝・教材費などの明細)
- 支払方法とその時期等
クーリング・オフ制度の詳細
特定商取引法により、英会話教室の契約は書面を受け取った日から起算して8日以内であれば、消費者は理由を問わず契約を解除(クーリング・オフ)することができます(特定商取引法第48条)。
たとえ既にレッスンが開始していても、8日以内であれば無条件で解約可能です。事業者はクーリング・オフを行使した消費者に対して支払い済みの代金を速やかに全額返金しなければならず、違約金や損害賠償金を請求することはできません。
なお、契約書面を交付していなかったり、不実の説明により消費者がクーリング・オフを行わなかった場合には、8日間を過ぎてもクーリング・オフが認められます。事業者側としては、適切に契約書面を交付し正確な説明を行うことで、公平な取引とトラブル防止に努めることが求められます。
クーリング・オフを行う場合、通常は消費者が書面(ハガキや内容証明郵便など)で契約解除の意思表示を行います。書面を発した時点で解除の効力が生じ、事業者はそれ以降のサービス提供を停止しなければなりません。
また、解除に伴い既に引き渡した教材等がある場合には、事業者負担で回収する必要があります。もちろん受領済みの代金は全額返金し、違約金や手数料も一切請求できません。
中途解約と損害賠償の上限
クーリング・オフ期間を過ぎた後でも、消費者は契約期間中で未受講のサービスについて中途解約(途中解約)をする権利があります(特定商取引法第49条)。英会話教室の場合、契約途中で解約された場合に事業者が請求できる損害賠償額には上限が定められています。
具体的には、提供していない残りのサービス代金の20%相当額か5万円のいずれか低い方が上限となります。例えば10万円分のレッスンが未消化で残っている場合、解約時に事業者がお客様に請求できる違約金(解約料)は最大で2万円という計算になります。
※役務提供前に契約が解除された場合(サービス開始前の解約)は、事務手数料相当として一律1万5,000円が上限となります。
それ以上の額を受け取っていた場合は超過分を返金しなければなりません。このように法律で明確なルールが設けられているため、事業者は契約時にあらかじめ中途解約時の精算方法を契約書等に明記し、適法な範囲で対応する必要があります。
万一、これらの法定ルールに違反する対応を事業者が行えば、行政処分(業務停止命令等)の対象となる可能性があります(特定商取引法第47条)。法令違反は開業後の事業継続に大きな支障をきたす恐れがありますので、遵守徹底が重要です。
英会話教室に必要な書類作成を行政書士に依頼するメリット
英会話教室の開業準備において、契約書類や法手続きの整備は専門知識を要する重要なステップです。こうした書類作成や法的対応については、行政書士という専門家に依頼することで大きなメリットがあります。全国対応可能な行政書士に相談しながら進めることで、法令順守はもちろん、安心して事業をスタートさせることができるでしょう。
専門家による契約書類の作成
行政書士は各種契約書や官公庁への許認可申請書類の作成を職務とする国家資格者であり、ビジネス立ち上げ時の法務サポートに広い知見を持つ専門家です。行政書士は契約書や利用規約など各種書類の作成を業務として行う法務の専門家です。
英会話教室の概要書面や契約書面についても、法律で定められた記載事項を盛り込んだ適切な書式で作成することが可能です。素人では見落としがちなクーリング・オフの赤字表示や特約条項の文言整備なども、行政書士に依頼すれば漏れなく反映してもらえます。
法的に有効でトラブルに強い契約書類を用意できる点で、専門家に依頼するメリットは大きいと言えます。さらに、行政書士事務所には類似業種の契約書類の雛形やチェックリストが蓄積されており、過去の知見を活かした書類作成が可能です。
経験に基づいた契約書類であれば、後から記載漏れが発覚したり、消費者との間で契約認識に食い違いが生じたりするリスクも低減できます。
法改正や最新情報への対応
特定商取引法をはじめとする関連法令は、社会情勢に応じて改正されることがあります。例えば書面交付義務の電子化に関する規制緩和(2022年施行)など、法改正によって求められる対応が変わる場合もあります。
行政書士に依頼すれば、こうした最新の法改正情報も踏まえて適切な書類作成や手続きを進めることができます。自身で常に法令をチェックするのは難しいですが、専門家なら最新動向を把握しているため安心です。法令順守は顧客からの信頼にも繋がりますので、プロの知見を活用してアップデートされた対応を取ることが重要です。
全国対応のサポート
英会話教室開業の法的サポートは、行政書士であれば全国対応が可能です。遠方にお住まいの方でも、電話やメール、オンライン会議等を通じて相談・依頼ができます。実際の契約書類のやり取りも郵送や電子ファイルで対応可能なため、地域を問わず専門サービスを受けられます。
なお、行政書士は各都道府県に登録されていますが、当事務所では全国対応で英会話教室の開業支援業務を承っております。地域に関係なくお気軽にご相談ください。行政書士は都道府県ごとの登録制度ですが、扱う法律は全国共通です。
そのため、たとえ身近に詳しい専門家がいない場合でも、全国対応している行政書士事務所に依頼すれば問題ありません。全国対応の行政書士に依頼することで、日本中どこにいても安心して英会話教室の開業手続きを進められるでしょう。
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自宅での英会話教室の開業の関連書類の作成はお任せください
当事務所では、自宅で英会話教室を開業される個人事業主・法人の方を対象に、特定商取引法に基づく概要書面・契約書面の作成支援を行っております。
特に以下のようなお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。
- 特定商取引法の対象になるかどうか、自分では判断できない
- クーリング・オフ対応や契約解除の条項をどう書けばよいかわからない
- 契約書の文言に不備があった場合のトラブルが心配
- 書面のレイアウトや赤字表示など、形式要件が正確に整っているか不安
- 自分で調べても法改正の内容に追いつけない
- 地方在住で、近くに詳しい専門家がいない
当事務所では、最新の法令を踏まえた実務対応と、全国対応による迅速な書類作成サポートを行っております。メール・電話での相談に対応し、契約書類はWordやPDF、郵送でのやり取りが可能です。英会話教室の開業に必要な法的整備を、安心・確実にサポートいたします。まずはお気軽にお問い合わせください。
当事務所に依頼する3つのメリット
法定記載事項を網羅した正確な書面が作成できる
特定商取引法に基づく概要書面および契約書面には、記載しなければならない法定項目が詳細に定められており、記載漏れや形式不備があると契約無効や行政処分のリスクも生じます。当行政書士事務所に依頼することで、こうした複雑な要件をすべて満たした正確な書類を作成してもらえるため、安心して運用できます。
実務に沿った運用指導が受けられる
概要書面や契約書面は「作成して終わり」ではなく、どの段階で、どのように交付し、何を説明すべきかといった実務運用が極めて重要です。当行政書士事務所は、実際のクリニック業務の流れに即して、説明する用語内容や、契約締結の手順などを詳しく説明しますので、違反リスクの少ない運営が可能となります。
最新の法改正や実務動向に対応できる
特定商取引法は定期的に改正が行われており、例えば近年では書面交付の電子化が一部認められるようになるなど、事業者側に求められる対応も変化しています。行政書士はこうした法改正にも精通しているため、時代に合った内容の書類整備や契約運用が可能になります。自力では見落としがちな法的変更点にも素早く対応できるため、常に適法な状態を維持するうえでの強力な支援となります。
料金表
当サービスの費用は明瞭な定額制となっております。
内容 | 料金 | 詳細 |
⑴概要書面・契約書面の作成 ⑵契約手順の説明書 |
55,000円 | 事前相談からヒアリング、書類の作成・納品までの一連のサービス費用が含まれています。追加料金なしで、2種類の書面を一括して作成いたします。t契約の手順書もお付けします。 |
選択プラン | ||
⑶電子交付対応 | 11,000円 | 電子交付対応では、書面をWord文書で提供し、サービス利用者への電子交付に必要な同意取得の方法や手順についてアドバイスいたします。 |
※上記料金以外に、特殊なご要望や追加の書類作成が発生しない限り、基本的に追加費用はございません。
手続きの流れ
当事務所へのご依頼から書類お渡しまでの一般的な流れをご説明します。初めての方でも安心してご利用いただけるよう、丁寧に対応いたします。
お問い合わせ・ご相談
まずはお問い合わせフォームやお電話等でお気軽にご相談ください。業種や事業内容、ご依頼の概要をお伺いします(この段階では費用はかかりません)。
お見積りのご提示
ヒアリングした内容にもとづき、正式にサービス提供する場合の費用のお見積りを提示いたします。基本的には前述の定額料金ですが、もし特殊な事情で追加料金が生じる場合はこの時点でご説明します。お見積りにご納得いただいた上で正式にご依頼ください。
契約締結
当事務所にて委任契約書を作成し、電子形式で締結していただきます。
追加質問のお伺い
書面作成に必要な事項について詳しくお伺いします。サービスの内容・特徴、提供条件、料金体系、契約条件(解約条件や返金規定等)などをメールにてお伺いいたします。
書類の作成
お伺いした内容を踏まえて、概要書面および契約書面を作成します。法律用語が多く難解になりすぎないよう配慮しつつ、法定事項を漏れなく盛り込んだ書類案を作成いたします。通常、1週間程度でドラフト(下書き)をご用意し、一度内容をご確認いただきます。ご要望に応じて修正を加え、最終版を完成させます。
書類の納品
完成した書類を納品いたします。基本的には電子データ(Word文書やPDFなど)でお渡しいたしますので、お客様の方で必要部数を印刷してご利用いただけます。また、納品後の運用方法についてもご不明点があれば納品から1か月はサポートいたします。作成した書類を実際にお客様が顧客に交付する際の手順や留意点などについてもご説明できますので、安心してご利用いただけます。
以上がご依頼から納品までの基本的な流れです。不明点がございましたら各段階で遠慮なくご質問ください。当事務所が責任を持ってサポートいたします。
お問い合わせ
お問い合わせは電話「050-3173-4720」又は下記「お問い合わせフォーム」からお願いいたします。
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