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特商法違反とはどんなケースが該当するの?

特商法違反とはどんなケースが該当するの? 特定商取引法
特定商取引法・契約書実務

特商法違反というと、強引な訪問販売や悪質な電話勧誘を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、特定商取引法に違反する行為は、それだけではありません。広告に必要事項を表示していない、勧誘目的を告げていない、解約条件を説明していない、法律上必要な書面を交付していないといった事務上の不備も、特商法違反となる可能性があります。

特に、通信販売、訪問販売、電話勧誘販売、オンラインスクール、エステティック、語学教室、学習塾、結婚相手紹介サービスなどを運営している事業者は、自社の契約や販売方法が特商法の規制対象となるかを確認しておく必要があります。本記事では、特商法違反に該当する代表的なケースを、初心者にも分かりやすく解説します。

特商法(特定商取引法)とは

特商法とは、正式には「特定商取引に関する法律」といい、消費者トラブルが生じやすい一定の取引について、事業者が守るべきルールを定めた法律です。

消費者と事業者との間には、商品やサービスに関する情報量、交渉力、法律知識などに差があります。特に、突然自宅を訪問される訪問販売や、電話口で契約を勧められる電話勧誘販売では、消費者が十分に検討できないまま契約してしまうことがあります。

そこで特商法は、事業者に対して、勧誘目的の明示、重要事項の説明、広告表示、書面交付などを義務付けるとともに、不実告知や威迫的な勧誘などを禁止しています。また、一定の取引については、消費者が契約後に再検討できるよう、クーリングオフ制度も設けられています。

特商法の対象となる主な取引

  • 訪問販売
  • 通信販売
  • 電話勧誘販売
  • 連鎖販売取引
  • 特定継続的役務提供
  • 業務提供誘引販売取引
  • 訪問購入

ただし、消費者向けの契約であれば、すべて特商法が適用されるわけではありません。販売方法、契約場所、サービス内容、契約期間、契約金額、契約者の属性などを踏まえ、どの取引類型に該当するかを個別に判断する必要があります。

特商法違反とはどんな行為か

特商法違反とはどんな行為か

特商法違反とは、特定商取引法で禁止されている行為を行った場合だけでなく、法律上義務付けられている表示、説明、書面交付などを行わなかった場合も含みます。

事業者が意図的に消費者をだました場合はもちろん、法律を十分に確認していなかったために必要な表示や書面が不足していた場合も、違反状態となる可能性があります。

「知らなかった」「他社も同じ方法で営業している」「利用規約に記載している」といった事情だけで、当然に適法となるわけではありません。

特商法違反を防ぐためには、自社の取引がどの規制を受けるのかを確認し、広告、申込画面、契約書、概要書面、営業方法、解約対応などを一体として見直すことが重要です。

勧誘方法に関する主な特商法違反

氏名等を明示しない勧誘

訪問販売や電話勧誘販売では、事業者は勧誘を始める前に、事業者名、担当者名、商品またはサービスの種類、契約の勧誘を目的としていることなどを明らかにしなければなりません。

例えば、「近所で工事をしているので屋根を無料で確認します」「アンケートに答えてください」などと告げて接触し、実際には屋根修理や高額商品の契約を勧誘するケースがあります。点検や調査だけが目的であるように装い、販売目的を隠していた場合は、特商法上の問題となる可能性があります。

不実告知

不実告知とは、契約を締結させるために、重要な事項について事実と異なる説明をすることです。

例えば、根拠がないにもかかわらず、「今日契約しなければ二度とこの価格では買えません」「この投資は必ず利益が出ます」「このままでは住宅がすぐに倒壊します」などと説明する行為が挙げられます。

商品の性能、サービスの効果、契約金額、解約条件、事業者の実績、商品の必要性などについて虚偽の説明をした場合は、不実告知に該当する可能性があります。

威迫して困惑させる勧誘

大声を出す、長時間居座る、帰ってほしいという意思を無視する、契約するまで電話を切らないなど、消費者を威迫して困惑させる勧誘は禁止されています。

刑法上の脅迫に該当するほど強い言動でなくても、消費者が自由に判断できない状況を作り、心理的な圧力によって契約させた場合は、特商法違反となる可能性があります。

重要事項を故意に告げない

消費者が契約するかどうかを判断するうえで重要な事項を、故意に説明しない行為も問題となります。

例えば、中途解約時に精算金が発生すること、受講料とは別に高額な教材費が必要であること、契約が自動更新されること、利用期間に制限があることなどを説明しないケースです。

契約に不利な条件を利用規約に記載しているだけでは、十分とは限りません。取引類型によっては、契約前の説明や法定書面への記載が必要です。

広告・表示に関する主な特商法違反

誇大広告や根拠のない表示

通信販売では、ウェブサイト、SNS、動画広告、ランディングページなどの表示内容が重要です。商品やサービスについて、著しく事実と異なる表示や、実際よりも著しく優良または有利であると誤認させる表示を行えば、特商法違反となる可能性があります。

「成功率100%」「誰でも必ず稼げる」「絶対に効果がある」などの断定的な表現を使用する場合は、その表示を裏付ける合理的な根拠があるかを慎重に確認しなければなりません。

返品特約を表示しない

一般的な通信販売には、訪問販売と同じクーリングオフ制度が原則としてありません。そのため、返品できるか、返品可能期間、返品送料の負担者などの返品特約を、消費者が容易に確認できるよう表示することが重要です。

「返品不可」と定めることが直ちに違法となるわけではありませんが、その条件が広告や申込画面に分かりやすく表示されていなければ、事業者が想定していない返品対応を求められる可能性があります。

契約書面や概要書面を交付しない場合

特商法では、取引の種類に応じて、契約内容を記載した書面の交付が義務付けられています。特に、エステティック、語学教室、学習塾、パソコン教室、結婚相手紹介サービスなどの特定継続的役務提供に該当する契約では、契約前の概要書面と契約後の契約書面が必要です。

一般的な契約書を作成して署名を受けていたとしても、特商法で定められた事項が不足していれば、適法な法定書面として認められません。

また、適法な契約書面を交付していない場合は、クーリングオフ期間が開始していないと判断され、契約から一定期間が経過した後にクーリングオフを主張されるリスクがあります。

特定継続的役務提供では概要書面・契約書面が法律上義務付けられています

特定継続的役務提供では概要書面・契約書面が法律上義務付けられています

特商法違反の中でも、事業者が見落としやすいのが特定継続的役務提供に関する規制です。
「契約書は作成しているから問題ない」「利用規約をホームページに掲載しているから十分だろう」と考えている事業者も少なくありません。しかし、特定継続的役務提供に該当する契約では、それだけでは法律上の義務を果たしたことにはならない可能性があります。

特商法では、対象となる契約について、契約前に概要書面を交付すること、さらに契約締結後に契約書面を交付することを義務付けています。これらは単なる契約書ではなく、法律で記載事項や交付時期が定められた重要な書面です。

特定継続的役務提供とは

特定継続的役務提供とは、一定期間にわたり継続して提供されるサービスのうち、消費者が期待する効果や成果が必ず得られるとは限らず、高額な契約となりやすいものについて、消費者保護のため特別なルールを設けた制度です。

継続的な契約だからといって、すべてが特定継続的役務提供になるわけではありません。政令で定められた役務であり、さらに契約期間や契約金額などの基準を満たす場合に限って適用されます。

対象となる代表的なサービス

サービス 契約期間 契約金額
エステティック 1か月超 5万円超
美容医療 1か月超 5万円超
語学教室 2か月超 5万円超
家庭教師 2か月超 5万円超
学習塾 2か月超 5万円超
パソコン教室 2か月超 5万円超
結婚相手紹介サービス 2か月超 5万円超

契約金額を判断する際は、受講料やサービス料金だけではありません。契約に関連して購入が必要となる教材、化粧品、機器、テキストなどの関連商品がある場合は、それらも含めて判断する必要があります。

また、契約名称が「コンサルティング契約」「オンラインサポート契約」「会員契約」であったとしても、契約書のタイトルだけで判断されるわけではありません。実際に提供されるサービス内容や契約実態によって判断されます。

オンラインサービスでも対象になることがあります

「オンラインだから特商法は関係ない」と誤解されることがありますが、そのようなことはありません。

例えば、オンラインで語学レッスンやパソコン指導を一定期間継続して提供し、契約期間や契約金額が法令上の基準を超える場合には、特定継続的役務提供に該当する可能性があります。

一方で、すべてのオンライン講座やコンサルティング契約が当然に対象となるわけではありません。サービス内容や契約実態を個別に確認する必要があります。

概要書面とは

概要書面とは、契約を締結する前に交付する書面です。

消費者が契約するかどうかを適切に判断できるよう、サービス内容、契約期間、契約金額、支払方法、クーリングオフ制度、中途解約、関連商品の内容など、法律で定められた重要事項を記載します。

口頭で説明しただけでは原則として足りません。また、ホームページや利用規約へ掲載しているだけでも、法令上の概要書面を交付したことにはならない場合があります。

契約書面とは

契約書面とは、契約締結後に交付する法定書面です。

契約内容を正式に明らかにするための書面であり、役務の内容、提供期間、契約金額、支払方法、事業者の名称・住所・連絡先、クーリングオフ、中途解約など、法令で定められた事項を記載しなければなりません。

概要書面は「契約する前の判断材料」、契約書面は「契約後の内容確認」という異なる役割があります。そのため、契約書だけを渡していれば足りるものではありません。

概要書面・契約書面を交付しないとどうなるのか

特定継続的役務提供に該当する契約であるにもかかわらず、概要書面や契約書面を交付しなかった場合は、特定商取引法違反となります。

また、書面を交付していても、法定事項が不足している、重要事項が記載されていない、文字が極端に小さいなどの場合には、適法な書面として認められない可能性があります。

さらに、契約書面に重大な不備がある場合には、クーリングオフ期間が適切に開始しないと判断されることがあり、契約から相当期間経過した後でもクーリングオフを主張されるリスクがあります。

当事務所では、特定継続的役務提供に該当する契約について、事業内容や料金体系を確認したうえで、概要書面・契約書面の作成、既存契約書の見直し、特商法への適合性チェックをサポートしています。
契約書だけでなく、交付時期や運用方法まで含めて確認することで、将来のトラブルや行政処分のリスク軽減につながります。

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特商法違反になるとどうなるのか

特商法違反が判明した場合、「少し書類が不足していただけだから大丈夫」と考えることはできません。違反内容によっては、行政処分や刑事罰の対象となる場合があり、さらに契約者とのトラブルや事業の信用低下など、事業継続に大きな影響を及ぼす可能性があります。

特に、特定継続的役務提供に該当する契約で概要書面や契約書面を適切に交付していない場合は、クーリングオフや中途解約に関する紛争へ発展することも少なくありません。

リスク 内容
行政処分 違反内容に応じて指示や改善命令などの行政上の措置を受ける可能性があります。
業務停止命令 一定期間、対象となる取引について営業できなくなる場合があります。
業務禁止命令 役員等が一定期間、対象事業を行うことを禁止される場合があります。
刑事罰 違反内容によっては懲役刑や罰金刑の対象となる場合があります。
民事上の責任 返金請求、クーリングオフ、契約取消し、損害賠償請求などの対象となる可能性があります。
信用失墜 行政処分の公表や口コミ、SNS等により社会的信用を失うおそれがあります。

行政処分を受けた場合には、違反内容や事業者名などが公表されることがあります。その結果、新規顧客の減少、既存顧客からの解約、取引先との契約見直しなど、法律上の問題だけでなく経営面にも大きな影響が生じる可能性があります。

クーリングオフを妨害してはいけません

消費者からクーリングオフの申出があった際、「キャンセルできません」「もうサービスを利用したので無理です」「違約金を払わなければ解約できません」など、法律に反する説明をしてクーリングオフを断念させることは認められていません。

契約書や利用規約に「返金不可」「キャンセル不可」と記載していても、それだけで法律上認められたクーリングオフ制度や中途解約制度を排除できるわけではありません。

中途解約のルールにも注意

特定継続的役務提供では、クーリングオフ期間経過後であっても、法律上、中途解約が認められる場合があります。

契約書で高額な違約金を定めていても、その全額を当然に請求できるわけではありません。事業者独自の契約条項が法律に優先するわけではないため、契約書の内容についても特商法との整合性を確認することが重要です。

特商法違反を防ぐポイント

特商法違反は、悪質な事業者だけの問題ではありません。法改正への対応不足や契約書の見直し漏れなどによって、知らないうちに違反状態となっているケースもあります。次のチェックリストを参考に、自社の運用を確認してみましょう。

  • 自社の取引が特商法のどの類型に該当するか確認している
  • 勧誘前に事業者名・勧誘目的を明示している
  • 重要事項を漏れなく説明している
  • 誇大広告や断定的表現を使用していない
  • 返品条件を分かりやすく表示している
  • 契約書の内容を定期的に見直している
  • 特定継続的役務提供に該当するか確認している
  • 概要書面を契約前に交付している
  • 契約書面を契約後に適切に交付している
  • クーリングオフや中途解約への対応方法を整備している

行政書士へ相談するメリット

特商法対応では、インターネット上の契約書ひな形をそのまま利用するだけでは十分とはいえません。提供するサービス、料金体系、販売方法、契約期間、支払方法などは事業者ごとに異なるため、それぞれの事業内容に合わせた契約書や法定書面を作成する必要があります。

  1. 事業内容の確認

    サービス内容や販売方法、契約形態を確認します。

  2. 特商法の適用関係を整理

    どの取引類型に該当するかを検討します。

  3. 契約書・概要書面・契約書面の作成

    法令に適合した必要書面を整備します。

  4. 既存書面の見直し

    現在使用している契約書や利用規約の問題点を確認します。

  5. 法改正への対応

    法改正やサービス内容の変更に応じて継続的な見直しを行います。

当事務所では、契約書を作成するだけでなく、概要書面・契約書面の作成、特商法適合性の確認、運用方法のアドバイスまで総合的にサポートしています。

よくある質問

概要書面は必ず必要ですか。

特定継続的役務提供に該当する契約では、原則として契約締結前に概要書面を交付する必要があります。

契約書だけ交付すれば足りますか。

足りません。概要書面と契約書面は交付時期や目的が異なるため、それぞれ必要となります。

オンラインスクールも対象になりますか。

サービス内容や契約期間、契約金額などによっては特定継続的役務提供に該当する可能性があります。

書面を交付しなかった場合はどうなりますか。

特定商取引法違反となる可能性があり、クーリングオフ期間にも影響する場合があります。

利用規約だけでは足りませんか。

利用規約だけで法定書面の交付義務を満たすとは限りません。

通信販売にもクーリングオフはありますか。

一般的な通信販売には原則として法定のクーリングオフ制度はありませんが、返品特約の表示には注意が必要です。

契約書に「返金不可」と書けば有効ですか。

その記載だけで法律上認められた権利を制限できるわけではありません。

行政書士へ依頼できますか。

契約書、概要書面、契約書面の作成や特商法への適合性チェックなどを依頼できます。

まとめ

特商法違反は、強引な勧誘だけでなく、広告表示の不足、重要事項の説明漏れ、返品特約の表示漏れ、概要書面や契約書面の未交付など、日常の業務の中でも発生する可能性があります。

特に、特定継続的役務提供に該当する契約では、契約前の概要書面契約後の契約書面の交付が法律上義務付けられています。これらの書面を適切に整備することは、消費者保護だけでなく、事業者自身を守ることにもつながります。

「自社の契約は特商法の対象になるのだろうか」「現在使用している契約書で問題ないだろうか」と不安を感じた場合は、早めに専門家へ相談し、契約内容や書面を見直すことが、コンプライアンスの確保と将来のトラブル防止につながります。

特商法対応・契約書作成をご検討の事業者様へ

当事務所では、特定継続的役務提供に関する概要書面・契約書面の作成、契約書の見直し、特商法適合性チェックなどをサポートしております。事業内容に応じた適切な書面整備をご希望の方は、お気軽にご相談ください。

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