近年、夫婦が別々に暮らす「別居婚」が注目を集めていますが、この形態を選んだ場合でも婚姻届の提出は欠かせません。別居婚とは、互いの生活様式や仕事を尊重しながらも、法的に夫婦としての関係を維持する新しいライフスタイルです。
こちらの記事では、別居婚における婚姻届の提出手続きや必要書類、夫婦の住所や本籍地の選定に関する注意点を詳しく解説します。別居婚を検討中の方や、既に実践されている方にとって、婚姻届の正しい手続きはスムーズな夫婦生活を支えるためにとても重要です。ぜひ参考にしていただければ幸いです。
別居婚における婚姻届の提出と必要書類について
別居婚の場合、婚姻届の提出は必要か?
別居婚とは、法律上の夫婦として婚姻届を提出する一方で、結婚後も同居せずに生活する夫婦の形態を指します。この選択肢を選ぶ理由は多くありますが、代表的なものとして、仕事や趣味に集中したいという事情や、結婚後も自由で縛られない生活をしたい、さらには夫婦の新鮮な関係を保ち続けたいという思いなどが挙げられます。
別居婚を選択する場合であっても、通常の婚姻と同様に、婚姻届の提出が必須です。婚姻届を提出することにより、法的に夫婦として認められることになり、これに伴い夫婦間に法的権利や義務が発生します。
【関連記事】 >別居婚とは/知っておくべき6つのポイント >別居婚をする場合の生活費は公正証書にしておくべき? |
別居婚の場合、婚姻届の提出先について
婚姻届の提出先については、全国のどの自治体でも受理されますが、提出する市区町村役場によっては、追加の書類が必要となる場合があります。具体的には、以下のようなケースが考えられます。
- 夫または妻のいずれかの本籍地がある市区町村役場に提出する場合
- 夫または妻のいずれかの住所地がある市区町村役場に提出する場合
上記以外の市区町村役場に提出する際には、戸籍謄本を用意する必要があります。市区町村役場の通常の開庁時間は平日9時から17時頃までとなっていますが、婚姻届の提出については、夜間や休日の時間外でも対応可能です。ただし、提出先の具体的な対応時間や手続きに関しては、事前に各自治体の公式ウェブサイトや窓口で確認することをお勧めします。
別居婚に必要な婚姻届の書類について
別居婚を始める際に必要となる手続きは、一般的な婚姻手続きと同様です。つまり、市区町村役場に婚姻届を提出することが求められます。提出に際して準備すべき書類は以下の通りです。
- 婚姻届(証人の署名・押印があるもの)
夫と妻、証人2名の署名と押印が必要です。 - 戸籍謄本
夫または妻のいずれかの本籍地以外の市区町村役場に提出する場合に必要となります。 - 本人確認書類
運転免許証やパスポートなどの身分証明書を用意してください。
これらの書類を揃えた上で、市区町村役場に婚姻届を提出します。別居婚を選択した場合でも、婚姻届の提出は、法律上の夫婦として関係を正式に始めるためには欠かせない手続きです。
別居婚から同居を始めた場合の婚姻届と手続きについて
別居婚から同居を始める際に、婚姻届の再提出は必要ありません。婚姻届の提出は、夫婦としての法的な関係を成立させるための一度限りの手続きであり、一旦提出された後は、別居や同居にかかわらず再度提出する必要はありません。しかしながら、同居を開始する際には住民票の異動手続きを行うことが求められます。
これにより、夫婦が同居を開始したことが認められ、住民票上でも同じ住所で生活していることが反映されます。
具体的な手続きとしては、まず旧住所地の市区町村役場で「転出届」を提出し、次に新しい住所地の市区町村役場で「転入届」を提出します。これらの手続きにより、夫婦の住民票が新しい住所に移され、同居が正式に開始されます。住民票の異動手続きは、転居後14日以内に行うことが法律で定められているため、忘れずに行うようにしましょう。
別居婚の場合の婚姻届の住所記載について
別居婚において婚姻届を提出する際には、夫と妻それぞれの現住所を正確に記載することが重要です。婚姻届には、夫婦それぞれの住所を記入する欄が設けられており、ここには婚姻届を提出する時点での住民票上の住所を記載します。別居婚の場合、夫の住所と妻の住所が異なることは珍しくなく、これによって婚姻届の受理に問題が生じることはありません。
それぞれの現住所を婚姻届に記載することで、法的に認められた夫婦としての権利や義務が生じ、また各種の行政手続きが円滑に進むようになります。なお、婚姻届を提出した後に同居を開始する場合には、上述のように住民票の異動手続きが必要となりますが、婚姻届そのものに関しては特別な変更手続きは必要ありません。
別居婚における婚姻届の世帯主記載について
別居婚を選択した場合でも、婚姻届の記載に関しては一般的な婚姻と同様の手続きが求められます。その中で、特に注意が必要なのが「世帯主」の記載です。婚姻届には、夫と妻それぞれの世帯主の氏名を記載する欄があります。この欄には、婚姻届を提出する時点における各自の世帯主の氏名を記入する必要があります。
例えば、婚姻届を提出する時点で夫と妻がそれぞれ一人暮らしをしている場合、夫側の世帯主は夫自身、妻側の世帯主は妻自身ということになります。しかし、もし夫や妻が実家に住んでいる場合、その世帯の世帯主、すなわち父や母の氏名を記載することが一般的です。
別居婚のケースでは、夫と妻がそれぞれ独立した世帯を維持する場合が多いため、このように各自の現在の状況に基づいて正確に世帯主の氏名を記入することが重要です。
別居婚における婚姻届の本籍地記載について
婚姻届の提出に際して、もう一つ重要な項目が「本籍地」の記載です。婚姻届には「婚姻後の夫婦の新しい本籍」を記載する欄があり、これは結婚後の夫婦の戸籍をどこに置くかを決定するための情報です。別居婚の場合でも、夫婦の本籍地は戸籍法によって、一つに統一する必要があることが定められており、夫婦の本籍を別々にすることはできません。
本籍地は、以下のような場所が候補となります。
- 夫の現在の住所地
- 妻の現在の住所地
- 夫の実家の所在地
- 妻の実家の所在地
本籍地は、夫婦の住所とは異なる場所を選ぶことも可能です。例えば、実家の所在地を本籍地にすることもできます。ただし、本籍地が遠方の場合、戸籍謄本を取り寄せる際に郵送での請求が必要となり、不便を感じることもあるため、慎重な判断が求められます。戸籍謄本は日常的に必要とされる書類ではありませんが、特定の契約や相続などで求められることがあります。そのため、本籍地を決定する際には、夫婦で十分に話し合い、最適な場所を選ぶことをお勧めします。
【おすすめ記事】 >夫婦間の扶養の義務はあるのか?別居時の契約とは >夫や妻から別居したいと言われた場合の契約書作成について >別居合意書を公正証書とするポイントを専門の行政書士が解説 |
別居婚における契約書の作成はお任せください
近年のインターネットでは、多くの契約書サンプルやテンプレートが提供されていますが、これらを用いて法的に有効な契約を結ぶことは可能なのでしょうか。各ケースには特有の事情があるため、安全な契約を確保するには専門家の関与が不可欠です。
当事務所では、民事法務を専門にし、夫婦やカップルの誓約書、契約書、合意書、示談書の作成を多数手がけています。大阪市内に拠点を置きつつ、大阪府、兵庫県、奈良県、京都府に加え、東京都、神奈川県、沖縄県、広島県など、全国各地からのご依頼にも対応しています。以下に、当事務所での依頼後の流れをご説明いたします。
ご依頼後の流れ
1.ご連絡
まずは、お問い合わせフォーム、メール、またはお電話でご連絡ください。ご連絡時には、別居契約書作成のために必要な「事件の概要や経緯、希望」などをお伺いします。行政書士は、依頼された業務について守秘義務を負っていますので、安心してご相談ください。
お問い合わせフォーム→こちら
電話: 050-3173-4720
2.お見積書とご契約
ご連絡いただいた内容を基に、お見積書と契約書の案を作成します。内容にご納得いただけた場合、契約とともにお振込みをお願い申し上げます。お振込みは契約後5日以内の事前払いをお願いしておりますので、ご理解ください。
3.別居契約書の案文作成
当事務所が別居契約書の案文を作成し、チャットやメールでお送りいたします。ご夫婦で内容をご確認いただきながら、必要な変更や修正を行い、最終的に合意された契約書を完成させます。変更や修正には追加費用は発生しませんので、安心してサポートをご利用いただけます。
お問い合わせ
料金
業務内容 | 料金 | 概要 |
別居契約書 | 35,000円 | 別居時に作成する婚姻費用等を決めた契約書を作成させていただきます。 |
夫婦間合意契約書 | 35,000円 | 夫婦間の合意内容を記載した契約書を作成させていただきます。 |
離婚協議書 | 30,000円 | 離婚に伴う契約書を作成させていただきます。 |
公正証書のサポート | 30,000円~ | 上記の契約について公正証書として作成する場合にはこちらの料金が加算されます。なお、上記全ての契約で公正証書の作成が可能なわけではありませんので、ご了承ください。 |
お客様の声
令和6年6月現在、当事務所には150件以上の口コミが寄せられ、総合評価は「4.9/5」と非常に高い評価をいただいています。このことから、当事務所が提供するサービスには自信を持っております。
ただし、すべての口コミが高評価というわけではなく、改善の余地がある点もございます。特に、相談のしやすさに関するご指摘があり、日々その改善に努めています。以下に、お客様からいただいたご感想の一部をご紹介いたします。
作成のイメージ
通常は7ページから9ページの別居契約書や合意書を作成させていただいております。これら以外にも、離婚協議書や離婚公正証書についても同様にサポートさせていただけます。
別居婚における婚姻届について-よくある質問
Q:別居婚とは何ですか?
A:別居婚とは、婚姻届を提出して法的に夫婦となりながらも、同居せずにそれぞれの住所で生活する夫婦の形態を指します。主な理由として、仕事や趣味を重視したい、自由な生活を維持したいなどが挙げられます。
Q:別居婚の場合でも婚姻届の提出は必要ですか?
A:はい、別居婚であっても通常の婚姻と同様に婚姻届の提出が必要です。これにより、法的に夫婦として認められ、夫婦間に法的権利や義務が生じます。
Q:婚姻届を提出する際の必要書類は何ですか?
A:必要書類は以下の通りです。
- 婚姻届(証人2名の署名・押印があるもの)
- 戸籍謄本(本籍地以外の市区町村に提出する場合)
- 本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)
Q:婚姻届の提出先はどこが適していますか?
A:婚姻届は全国のどの市区町村役場でも提出可能です。一般的な提出先は、夫または妻の本籍地や住所地の役場です。
Q:婚姻届の提出に際して事前に確認すべきことは何ですか?
A:事前に各自治体のウェブサイトや窓口で確認することをお勧めします。
Q:婚姻届の提出は夜間や休日でも可能ですか?
A:多くの市区町村役場では、婚姻届の提出を夜間や休日の時間外でも受け付けています。ただし、具体的な対応時間や手続きは事前に自治体に確認してください。
Q:別居婚の場合、婚姻届にはどの住所を記載すべきですか?
A:婚姻届には、夫婦それぞれの現住所を正確に記載する必要があります。別居婚の場合でも、夫の住所と妻の住所が異なることに問題はありません。
Q:別居婚でも婚姻後に本籍地を指定できますか?
A:はい、別居婚でも夫婦の新しい本籍地を指定することができます。なお、戸籍法により夫婦は同一の本籍地にすることが決まっています。
Q:本籍地をどこにするか迷った場合、どのように決めるべきですか?
A:本籍地は戸籍謄本の取得ができる場所となり利便性が求められるため、夫婦で話し合って決めると良いでしょう。
Q:婚姻届を提出後、別居から同居に移行した場合の手続きは?
A:別居から同居に移行する場合、婚姻届の再提出は不要ですが、住民票の異動手続きが必要です。
Q:住民票の異動手続きはどう行いますか?
A:旧住所地で「転出届」を提出し、新住所地で「転入届」を提出します。これにより、住民票が新住所に移ります。
Q:住民票の異動手続きの期限はありますか?
A:はい、転居後14日以内に住民票の異動手続きを行うことが法律で定められています。
Q:別居婚を選んだ場合、子どもが生まれた際の手続きはどうなりますか?
A:子どもが生まれた際は、出生届を提出する必要があります。別居婚の場合でも、通常の夫婦と同じ手続きとなります。
Q:別居婚後に離婚を考えた場合、どのような手続きが必要ですか?
A:離婚を考えた場合、協議離婚や調停離婚などの選択肢があり、法的手続きに従って行う必要があります。専門家に相談することをお勧めします。
別居婚における婚姻届について-まとめ
最後までご覧いただきありがとうございました。こちらの記事では、別居婚における婚姻届の提出手続きや必要書類、夫婦の住所や本籍地の選定に関する注意点を詳しく解説させていただきました。本記事を簡潔にまとめたものを下記に記載させていただきました。
1.別居婚における婚姻届の提出と必要書類
・婚姻届の提出別居婚でも婚姻届の提出は必須です。これにより法的に夫婦として認められ、法的権利や義務が発生します。
・提出先婚姻届は全国どの市区町村役場に提出可能です。ただし、提出する場所により戸籍謄本が必要な場合があります。通常、役場の開庁時間内であれば、婚姻届の提出は夜間や休日でも対応可能ですが、詳細は事前に確認することをお勧めします。
- 必要書類
- 婚姻届(証人2名の署名・押印が必要)
- 戸籍謄本(必要な場合)
- 本人確認書類(運転免許証やパスポート)
2.別居婚から同居を始めた場合の手続き
別居婚から同居を開始する場合、婚姻届の再提出は不要です。しかし、住民票の異動手続きが必要です。具体的には、旧住所地での転出届、新住所地での転入届を提出し、住民票を新しい住所に移す必要があります。この手続きは転居後14日以内に行う必要があります。
3.婚姻届の各項目の記載方法
・住所婚姻届には夫と妻それぞれの現住所を記載します。別居婚の場合、夫と妻の住所が異なっても問題ありません。
・世帯主婚姻届にはそれぞれの世帯主の氏名を記載します。独立した世帯を維持している場合、夫側の世帯主は夫自身、妻側の世帯主は妻自身となります。実家に住んでいる場合は、実家の世帯主(親)の名前を記載することが一般的です。
・本籍地婚姻届には「婚姻後の夫婦の本籍」を記載します。別居婚であっても、本籍地は一つに統一する必要があります。本籍地は夫婦の住所地とは異なる場所にすることも可能ですが、遠方にすると戸籍謄本の取り寄せが不便になる場合があります。よって、本籍地は夫婦で話し合い、慎重に選定することが重要です。
【参考】 >民法 – e-Gov法令検索 |
コメント