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別居合意書を公正証書とするポイントを専門の行政書士が解説

別居合意書を公正証書とするポイントを専門の行政書士が解説 婚姻

夫婦が別居を決意することは、非常に大きな決断であり、別居中の生活費の負担、子どもの育児と生活環境の調整などさまざまな問題が生じる可能性があります。こういった弁居中の問題に対応し、生活を安定させるためには、「別居の合意書」を公正証書にすることが重要です。

こちらの記事では、公正証書にすることの法的効力と利点、特に婚姻費用の支払いを確実にするための重要性、公正証書の作成方法と手順、強制執行力と生活の安定性への影響、そして別居中の生活を安定させるための公正証書の活用方法について詳しく解説します。

別居の合意書とは

別居合意書とは

別居の合意書とは、夫婦が別居を決定し、その際に合意した条件や取り決めを文書として記録するものです。

この書類は、夫婦関係の再構築や離婚前の手続きの一環として作成されることが多く、以下の内容を含むことが一般的です。

別居の合意書が必要となるケース

別居の合意書が必要となる具体的な状況や理由について、以下の3つのトピックで詳しく説明します。

婚姻費用の分担を決める

別居中の生活費や子どもの養育費を含めた婚姻費用の分担を明確にするためには、別居合意書を作成することが重要です。別居中も夫婦は互いに生活費を分担する責任がありますが、具体的な金額や支払い方法について合意がなければ、将来的にトラブルが発生する可能性があります。合意書を作成することで、双方が納得の上での支払いが実現し、金銭的な問題を未然に防ぐことができます。

子どもの親権と監護権を決める

別居する際の、子どもの監護権についても事前に決めておく必要があります。具体的には、どちらが子どもと一緒に生活するのか、面会の頻度や方法、子どもの教育や医療に関する協議などを合意書に記載することで、子どもの福祉を最優先に考えた取り決めが可能です。これにより、別居後も子どもにとって安定した生活環境を提供できます。

財産の管理について決める

別居に伴い、共有財産の分割や住宅ローンの支払いについても取り決めが必要です。特に住宅ローンが残っている場合には、誰がローンの支払いを続けるのか、住宅の所有権はどうするのかなどを明確にしておくことが重要です。合意書にこれらの内容を記載することで、後々の財産分与やローン支払いに関するトラブルを避けることができます。

別居の合意書に主に記載する内容

1.別居開始日と終了日

別居開始日を具体的に決定します。もし日付が不明確な場合は、「○月末頃」のようにおおよその日付を記載することも可能です。この日付を設定することで、別居の開始時期を明確にし、双方の合意を確認および証明することができます。さらに、別居後に離婚に至る場合、財産分与を算定する基準日が別居開始日から適用されるため、明確な日付の設定が重要となります。

終了日についても重要です。公正証書で婚姻費用や養育費を取り決める際には、これらの費用の支払い終期を明示する必要があります。さらに、別居の目的が夫婦関係の再構築や離婚の準備であるため、終了日を設定しないと、別居期間が長引きすぎて目的に反する可能性があります。したがって、適切な期間を設定することで、別居の目的を達成しやすくなります。

2.婚姻費用(生活費や養育費等)の負担

別居中の生活費の負担を定めます。具体的には、毎月の生活費として負担する金額やその支払方法、支払期限を決めることが含まれます。この取り決めによって、生活費に関する不安を解消することができ、支払いの遅延や未払いを防ぐ助長になります。また、別居中に未成年の子どもを引き取る場合には、その子どもに関する養育費についても合意する必要があり、養育費は毎月の金額以外にも特別な費用(医療費等)についても負担割合を決めておくと安心です。これらの費用に関しては、まずは夫婦間で話し合いを行い決定しますが、標準的な金額を知りたい場合は家庭裁判所が公表している「養育費・婚姻費用算定表」を参考にするのが良いでしょう。なお、この算定表は夫婦の収入に応じた婚姻費用や養育費の基準を示しています。

養育費・婚姻費用算定表は→こちら

3.子どもとの面会交流

別居により子供を引き取らない親は、未成年の子供について面会交流を相手に求めることができます。別居の合意書による面会交流の定めには、具体的な面会日のスケジュールや面会頻度、交流の方法についても詳細に取り決めることが可能です。

4.住居に関する取り決め

別居後の住居に関する取り決めでは、どちらが現在の住居に住むか、またその住居の扱いについて明確にすることが重要です。具体的には、現在夫婦が共に住んでいる住所を別居中はどちらが住むのかを決めて、その間の固定資産税や修繕費、住宅ローンなどの各種費用の負担についても明記しておきます。

特に、住宅ローンや不動産の名義人が別居中に住まなくなる場合、その名義人が自分が住んでいない間の費用負担を拒む可能性があります。そのため、どちらが費用を負担するかについての合意を事前にしておく必要があります。こういった細かなところまで取り決めておくことで将来のトラブルを防止することができます。

5.財産管理について

財産の管理と分配については、共同名義の財産や不動産の取り扱いについて詳細に取り決めます。具体的には、各自が保有する財産(不動産、預貯金、車両など)の管理方法や分配方法について記載します。財産を売却、譲渡する場合は、そのタイミングについても明確にしておくことで、万一、離婚をすることとなっても財産分与に関する争いを防ぎ、離婚時の手続をスムーズに進めることができます。

6.別居中の合意内容の修正

別居中に合意内容を変更する必要が生じた場合に備えて、変更手続きや修正方法を合意書に明記しておくことが望ましいです。その際、具体的な手続きや修正の方法についても詳細に記載し、さらに合意書に協議規定を設けることで、話し合いを円滑に進めることができます。

別居合意書は公正証書にしておくことが重要

公正証書とは

別居合意書の公正証書

公正証書とは、公証人という法律の専門家が作成する公式な文書です。公正証書は私人が作成する文書よりも信頼性が高く、公正証書にすることで得られるメリットは多くあります。たとえば、別居合意書を公正証書として作成することで、次のような利点があります。

別居合意書を公正証書として作成するメリット

別居合意書を作成する際には、公正証書にしておくことが非常に重要です。公正証書にすることで、以下のような多くのメリットがあります。

法的拘束力が強くなる

公正証書は法的な効力が高く、別居合意書の内容が履行される可能性が私文書よりも高まります。これは、公証人が関与するためです。公正証書を作成する際には、当事者が公証役場に出向き、公証人の前で文書を確認するため、責任感や緊張感が生まれます。その結果、当事者双方はその内容を守ることが予想されます。

有力な証拠となる

公正証書は公証人が作成するため、その内容の信頼性が非常に高く、裁判所でも強力な証拠として認められます。また、公正証書の原本は公証役場で保管されるため、内容が変更されるリスクが少なく、万が一公正証書を紛失しても、公証役場でコピーを取得することができます。

強制執行が可能

公正証書によって記載された金銭債務について未払が発生した場合には、裁判の判決等を得ずに強制執行の手続に移行することが可能です。例えば、別居中に婚姻費用や養育費の支払いが滞った場合でも、公正証書があれば迅速に強制執行手続きを進めることができます。

別居合意書を公正証書とする場合の作成手順

別居合意書を公正証書とする作成手順イメージ

別居合意書の公正証書の作成手順は次の通り進めます。

手順は一般的なケースを記載しておりますが、全体を把握することで、スムーズに公正証書を作成することができます。

ステップ1 公証役場の選定

まず、公証役場を選定します。公証役場は全国にあり、どこでも公正証書を作成することができます。公証役場が決まったら電話で連絡をして、作成したい公正証書の内容や必要書類を聞き、さらに公証人との打ち合わせ日(1回目)を調整します。

ステップ2 必要書類の準備

公正証書を作成するためには、公正証書に記載する案文、本人確認書類として運転免許証やマイナンバーカード、また夫婦であることの証明として戸籍謄本が必要となります。戸籍謄本は、本籍地のある役場で取得することができます。これらの書類を準備しておきましょう。

ステップ3 公証人打ち合わせ(1回目)

1回目打ち合わせでは、上記で準備した書類を公証人に提出します。案文等はその場で目を通してもらえますので、必要に応じて公証人の質問に答えます。

ステップ4 原稿の確認

打ち合わせ後に、公証人からメール等で公正証書の原稿が届きますので、夫婦で内容に間違いが無いかを確認します。問題なければその旨を伝えて、さらに公正証書を作成する日を予約しましょう。

ステップ5 公正証書の作成

予約した日に公証役場に訪れ公正証書に署名と捺印をして手続は以上です。当日は、必ず当事者の本人確認書類、印鑑、手数料が必要ですのでお忘れなくお持ちください。

以上が、公正証書を作成する一般的な流れです。なお、公正証書を申込みした後の作成キャンセルをする場合には、既にかかった作成準備の費用として公証役場にキャンセル手数料を請求されることがありますので、取り消しはなるべく早めに行うことが重要です。

別居合意書を公正証書とする場合の作成費用

別居合意書の公正証書の作成費用

公正証書を作成する際には、公証役場で公証人手数料を支払う必要があります。

この手数料は、別居契約に記載される財産や金額(例:婚姻費用や養育費)に応じて変動しますが、一般的には約5万円程度で済むことが多いです。

また、専門の行政書士などにサポートを依頼する場合は、公正証書作成費用に加えて専門家への報酬が発生し、総額で数10万円に達することもあります。

公正証書作成の費用負担については、夫婦間での取り決めが必要です。一般的には、費用を半分ずつ負担する方法や、収入比率に応じて分担する方法、作成を希望した側が全額負担する方法などがあります。費用が高く感じるか低く感じるかどうかは家庭の状況によって異なるかもしれませんが、公正証書作成の費用は将来のトラブルを防ぐための投資と考えられます。法的保護を確保し、契約内容が不十分になるリスクを避けるためにも、適切な費用をかけて公正証書を作成することが望ましいとされています。

【関連記事】
>公正証書を夫婦間で作成する場合の注意点は?

別居合意書を公正証書として作成する―よくある質問

Q 別居合意書を公正証書として作成する場合、どのような手続きが必要ですか?
A 別居合意書を公正証書として作成するには、以下の手順を踏む必要があります。

  1. 夫婦の話し合い
    まずは夫婦で別居にあたる契約を話し合いする必要があります。公正証書は夫婦が話し合って合意した内容を作成します。
  2. 公証役場の予約
    近くの公証役場に連絡して予約を取ります。
  3. 必要書類の準備
    公正証書の案文、戸籍謄本、運転免許証、マイナンバーカードなどの必要な書類を用意します。
  4. 公証人との面談
    公証人に合意内容の説明や必要書類の提出をします。
  5. 原稿確認
    公証人から届く公正証書の原稿を確認します。
  6. 公正証書の作成
    公証人が内容を読み上げ、夫婦で確認のうえ公正証書に署名捺印をし作成します。

Q 公正証書の作成にはどのくらいの費用がかかりますか?
A 公正証書の作成には、公証人手数料がかかります。一般的には約5万円程度ですが、契約内容(婚姻費用や養育費の額など)によって費用は変動します。さらに専門家にサポートを依頼する場合には数10万円が必要になることもあります。

Q 別居合意書の公正証書作成にかかる費用は誰が負担しますか?
A 費用の負担については、夫婦間で取り決めが必要です。一般的には、費用を半分ずつ負担する方法や、収入比率に応じて分担する方法、作成を希望した側が全額負担する方法などがあります。家庭の状況によって異なるため、事前に合意しておくことが重要です。

Q 公正証書の作成を途中でやめることはできますか?
A はい、可能です。しかし、公正証書の作成を中止した場合には、すでにかかった作成準備の費用として公証役場のキャンセル手数料が発生することがあります。

Q 別居合意書の公正証書を作成する際に注意するべきポイントは何ですか?
A 公正証書を作成する際の注意点は以下の通りです。

・契約内容の確認:内容が正確であることを確認し、双方が合意しているかを確認します。
・費用負担の取り決め: 費用負担について事前に合意し、トラブルを避けます。
・書類の準備: 必要な書類を忘れずに準備し、手続きをスムーズに進めます。
・公証人との確認: 公証人としっかり確認し、納得のいく内容に仕上げます。

Q 公正証書作成の費用を抑える方法はありますか?
A 公正証書作成の費用を抑える方法としては、契約内容をシンプルにし、公証人手数料を最小限に抑えることが考えられます。ただし、費用を削減することで契約内容が不十分になるリスクがあるため、適切な法的保護を確保するためには、適切な費用をかけて公正証書を作成することが推奨されます。

別居合意書を公正証書として作成するサポートは

別居合意書を公正証書として作成するサポートは

当事務所では、民事法務を専門としており、これまでに夫婦間の別居合意書や誓約書、公正証書の作成を多数サポートしてきました。夫婦間の契約には取消権の規定が関わる場合があり、適切な表現の選定は重要です。このような依頼では、行政書士など書類作成の専門家に相談することで、安心して文書を作成することができます。行政書士が作成する文書は公証人が作成する公正証書とは異なり、内容の記載範囲が広いため、夫婦間の合意を確認する手段として非常に有効です。

当事務所は大阪市内に拠点を構えていますが、契約書や公正証書の作成サポートについては、近畿圏の大阪府、兵庫県、奈良県、京都府をはじめ、東京都、神奈川県、沖縄県、広島県など、広範囲な地域からのご依頼にも対応しています。以下では、当事務所にご依頼いただい場合の手続の流れ等について説明させていただきました。

ご依頼後の流れ

別居合意書や公正証書の作成をご希望の場合には、次の流れによりご申込いただけます。

1.ご連絡
まずは、次のお問い合わせフォーム、メール又はお電話等でお申込みください。お申込みの時点では、別居合意書や公正証書を作成するために必要な「事件の概要や経緯、希望」等をお伺いさせていただきます。行政書士は、依頼を受けた業務や内容について守秘義務が課されていますので、安心してご相談いただくことができます。

お問い合わせフォーム→こちら
Tel:050-3173-4720

2.お見積書とご契約
前記1によりお伺いした内容を元に、お見積書と契約書を作成させていただきます。内容にご了承いただけた場合には、契約とお振込みをいただきます。お振込みは、契約後5日以内の事前払いとさせていただいておりますので、ご了承ください。

3.別居合意書や公正証書の案文作成
当事務所によって、別居合意書や公正証書の案文を作成し、チャットやメールによってお送りさせていただきます。内容を、ご夫婦で確認いただきながら、内容や表現の変更や修正を重ねて、最終的にお二人が合意された別居合意書や公正証書を完成させます。なお、変更や修正においては、追加費用をいただいておりませんので、最後まで安心してサポートをご利用いただけます。

お問い合わせ

    電話番号*

    ご依頼内容をご選択ください*

    相談のご希望日*

    料金

    業務内容 料金 概要
    別居合意書の作成 35,000円 別居合意書を私文書として作成させていただきます。
    離婚協議書 30,000円 離婚に伴う契約書を作成させていただきます。
    公正証書のサポート 30,000円~ 上記の契約について公正証書として作成する場合にはこちらの料金が加算されます。なお、上記全ての契約で公正証書の作成が可能なわけではありませんので、ご了承ください。

    お客様の声

    現在(令和6年6月)時点で、他のウェブサイトやGoogleなどを含めて、計150件以上の口コミをいただいており、総合的な評価は「4.9/5」と高く評価されています。このため、当事務所が提供するサービスは自信を持ってご提供しています。

    ただし、すべての口コミが良い評価ではなく、改善すべき点もあります。具体的には、相談のしやすさなどに関する改善点が見られますので、日々その向上に努めています。

    お客様の声は→こちらです。

    作成のイメージ

    通常は7ページから9ページの別居合意書や公正証書を作成させていただいております。さらに、離婚協議書や離婚公正証書についても同様にサポートさせていただけます。

    別居合意書の公正証書を作成する―まとめ

    最後までご覧いただきありがとうございました。こちらの記事では、別居合意書を作成した方がいい重要なケースや記載内容、公正証書とする場合の費用や作成の流れなどについて下記の内容を述べさせていただきました。

    1. 別居の合意書とは
      1. 別居の合意書が必要となるケース
        1. 婚姻費用の分担を決める
        2. 子どもの親権と監護権を決める
        3. 財産の管理について決める
      2. 別居の合意書に主に記載する内容
    2. 別居合意書は公正証書にしておくことが重要
      1. 公正証書とは
      2. 別居合意書を公正証書として作成するメリット
        1. 法的拘束力が強くなる
        2. 有力な証拠となる
        3. 強制執行が可能
      3. 別居合意書を公正証書にする場合の作成手順
      4. 別居合意書を公正証書にする場合の作成費用
    3. 別居合意書を公正証書にする―よくある質問
    4. 別居合意書を公正証書として作成するサポートは
      1. ご依頼後の流れ
      2. お問い合わせ
      3. 料金
      4. お客様の声
      5. 作成のイメージ
    この記事を書いた人
    行政書士 大倉雄偉

    【自己紹介】
    事務所名称:大倉行政書士事務所
    公式サイト:https://okura-lawjimusho.com
    所在地:大阪市鶴見区鶴見三丁目5番19号-702号
    保有資格:行政書士、宅地建物取引士

    【専門業務・強み】
    経験:当事務所は、民事法務を専門とする行政書士として、これまでに多数のカップル、夫婦、同性間の契約書や誓約書、公正証書の作成サポートを行ってまいりました。
    評価:ネットの総口コミ数は現在150件を超えており4.9/5と高い評価をいただいていることも当事務所の強みです。

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