別居婚とは/知っておくべき６つのポイント

近年、ライフスタイルの多様化に伴い、「別居婚」という婚姻形態が注目されています。別居婚とは、法律上は夫婦関係を維持しながら、実際には別々の住居で生活する形態です。これにより、夫婦は独立した生活を送りつつ、感情的なつながりや愛情を保つことができます。

こちらの記事では、別居婚やその特徴、選択理由、メリット・デメリット、手続き、契約の重要性について、知っておくべき6つのポイントを詳しく解説します。

別居婚とは

別居婚の特徴

別居婚は、正式に結婚しており法律上は夫婦として認められる婚姻形態です。夫婦は婚姻届を役所に提出し、その意思に基づいて結婚関係を法的に成立させています。これに対し、内縁婚や事実婚は婚姻届を提出していないため法的には夫婦と認められません。別居婚の特徴は、正式に結婚しているにもかかわらず、夫婦がそれぞれ別の住居で生活する点にあります。

別居婚の関係性

別居婚では、夫婦が独立した生活を送りながらも、感情的なつながりや愛情をしっかりと維持します。物理的な距離があっても、夫婦間の関係性は変わらず強いです。定期的に会ったり連絡を取り合うことで、お互いの絆を深めることができます。その頻度は夫婦によって異なりますが、例えば週に一度会い、毎日連絡を取り合うなど、恋愛の新鮮さを保ちながら関係を続けることが可能です。これにより、結婚生活においても恋愛感情を持ち続けることができると考えられます。

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別居婚をなぜ選択するのか？その理由は

下記では、別居婚を選択する理由を説明しております。

仕事の都合

個人の自由や空間を重視

お互いの生活スタイルを尊重し、それぞれの自由と空間を確保したい場合に、別居婚が適しています。夫婦は一緒に住む必要があるという固定観念にとらわれず、互いの合意のもとで別居婚を選択します。しかし、民法752条では「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」と定められており、夫婦には同居義務があります。正当な理由なく同居を拒否したり、相手の同意なしに別居を始めたりすると、同居義務違反となる可能性があります。そのため、別居婚を選択する場合には、相手の同意は必ず必要です。

親の介護などの事情

親の介護のために別居が必要となることもあります。両親が高齢になると、介護が必要になることがあり、介護施設への入居が難しい場合もあります。このような状況では、親と一緒に暮らすことを検討することができますが、配偶者の両親と同居することに抵抗を感じる方は少なくありません。また、両親自身が気を使って同居を断ることも多いです。このような事情から、配偶者とは別々に暮らし、一方が親の自宅で同居するケースもあります。親の介護が理由で別居婚を選択する場合、介護の必要性に応じて別々に暮らすこととなります。

その他の事情

• 夫婦関係の改善
  夫婦の関係を見直すために一時的に別居を選ぶことがあります。これは多くの別居の原因の一つと言えるでしょう。別居によって物理的な距離を取ることで、夫婦関係を再評価し、改善の糸口を見つける機会を得ることができます。
• 離婚の準備
  子供の教育やその他の事情によりすぐに離婚できない場合、離婚の合意をした上で一定期間別居をすることがあります。これにより、子供や家族への影響を最小限に抑えながら、離婚の準備を進めることができます。
• 経済的理由
  それぞれの経済的独立を維持したい場合に別居婚を選ぶことがあります。夫婦が別々の経済基盤を持つことで、経済的なリスクを分散し、より安定した生活を送ることが可能になります。

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別居婚のメリットとデメリット

別居婚のメリット

• 自由と時間が確保できる
  別居婚を選択することで、夫婦それぞれが独立した時間と空間を確保することができます。例えば、休日や自由な時間には、お互いの趣味や興味を追求しやすくなり、相手の干渉を受けることもありませんので、リラックスして過ごせます。これにより、個々の時間を大切にしつつ、夫婦関係も良好に保つことができます。また、会う日を事前に決めておくことで、予定の調整がしやすく、ストレスを感じることなく過ごせるでしょう。さらに、日常生活においても、夫婦間では生活リズムや習慣が異なるため、お互いのペースで生活できるのは大きなメリットです。
• 新鮮さを保ちやすい
  別居婚では、定期的に再会することで関係に新鮮さを維持することができます。会うたびに新しい発見や喜びがあり、夫婦関係がマンネリ化しにくくなります。また、長期間一緒にいることで起こりがちな、夫婦の摩擦を別居により避けることができ、関係を常にポジティブな状態で保つことができます。

別居婚のデメリット

• コミュニケーションの不足
  別居婚においては、物理的な距離があるために日常的なコミュニケーションが不足する可能性があります。これが原因で、相手に対する誤解や不信感が生じることもあります。特に、一方がもっと一緒にいたいと感じている場合は、定期的なコミュニケーションが重要です。忙しい仕事の合間に連絡が取れないと、相手が孤独感や不安を感じ、最終的には離婚を選択せざるを得ない可能性も考えられます。
• 経済的な負担が増える可能性
  別々の住居を維持するためには、契約する物件や光熱費も別々の支払いになるので通常よりも多くの費用がかかります。特に一方が専業主婦などで収入が限られている場合、毎月の婚姻費用（生活費等として収入が多い方が少ない方に払う金員）の額が生活費に見合わず、生活におけるストレスとなることがあります。また、支払う側としては、別居しているにもかかわらず金銭的な支援を続けることに心理的な抵抗を感じることもあります。
• 社会的な理解が得られにくい場合がある
  別居婚を夫婦の意志で選ぶ場合、特に単身赴任などやむを得ない事情でなく、自らの選択として別居婚を決定する場合、一般的な結婚観とは異なるため、周囲からの理解が得られにくいことがあります。特に、親族や友人からの反応が予想外であることが多く、周囲の期待や常識との違いにより親族や友人との関係も崩れてしまう可能性があります。

別居婚の割合や離婚率

しかし、近年の生活スタイルの多様化に伴い、別居婚を選択するカップルは徐々に増えてきていると考えられます。

別居婚の手続きに関する基本事項

別居婚には、法律で定められた特別な手続きはありませんが、法律上の婚姻状態であるため、いくつかの重要な手続きが必要です。まず、別居婚を選択する際には、役所に婚姻届を提出する必要があります。これにより、形式上は夫婦として認められ、法律上の権利や義務が発生します。具体的には、配偶者としての相続権が生じ、法律的には常に相続人となります。

別居婚における生活費と契約

別居婚を行う際には、生活費に関する取り決めを事前に書面で契約しておくことが非常に重要です。夫婦には相互扶助の義務があるため、お互いの生活を支え合う必要があります。具体的には、経済的に余裕のある方が配偶者に対して、毎月（または半月ごとなどの定期的に）婚姻費用（生活費）を支払う義務があります。

さらに、別居婚中に子どもがいる場合には、子どもの養育費も含めて婚姻費用を設定する必要があります。契約は必ず書面で行い、口頭での取り決めにとどめないことで、将来的なトラブルや誤解を防ぐことができます。また、別居婚の合意が円満に成立した場合には、将来的に夫婦間で契約の見直しや取消しのリスクがあるため、その点も考慮しておきましょう。

別居婚の婚姻費用（生活費）の決め方

別居婚における婚姻費用（生活費）の取り決めは、まず夫婦の協議によって行います。お互いの経済状況や生活費の必要額について話し合い、合意に基づいて決定することが基本です。婚姻費用の目安としては、家庭裁判所が提供している「養育費・婚姻費用算定表」を参考にするのが良いでしょう。この算定表には、一般的な経済状況や生活費の基準が示されており、合理的な額を決める際の指標になります。

もし夫婦間で協議しても合意に至らない場合や意見が一致しない場合には、第三者の介入を検討することも有効です。例えば、両親や弁護士を通じて仲介してもらう方法があります。それでも解決が難しい場合には、調停や審判といった法的手続きを利用することを考慮しましょう。これにより、適正な婚姻費用を決定することができるでしょう。

別居婚の子供の養育費

別居婚において子供がいる場合、子供の養育費も重要な要素となります。養育費は、通常、子供の監護権（主に直接的に子供の生活を見守る親）を持たない方が支払います。この費用は、婚姻費用の一部として扱われ、別居中の生活費と合わせて支払われることが通常です。

まずは、夫婦間で養育費の取り決めについて協議を行うことが重要です。お互いの意見を尊重しながら、どのくらいの額を支払うべきかについて話し合います。協議の際には、前記の婚姻費用と同様に家庭裁判所が提供している「養育費・婚姻費用算定表」を参考にするのが有効です。もし、協議を重ねても養育費の額で合意に至らない場合には、前記同様に第三者を介して決定する方法、調停や審判といった法的手続きを利用する方法を考慮しましょう。

【参考】 ＞別居婚をする場合の生活費は公正証書にしておくべき？ ＞裁判所 養育費・婚姻費用算定表

別居婚の契約は公正証書でするべき！

公正証書とは

公証役場で公証人と呼ばれる元々裁判官や検察官であった者が作成する文書のことです。公正証書は住民票などと同じ公文書に該当するため、作成における信頼性はとても高いです。

公正証書のメリット

• 公証役場で保管
  公正証書は公証役場で安全に保管されるため、文書の紛失や破損のリスクが低く、長期間にわたり保管されます。
• 強制執行
  公正証書には、強制執行力が付与されるため、契約内容が履行されない場合に法的手続きを通じて強制的に履行させることが可能です。
• 公証人のチェック
  公正証書の作成には、公証人による厳格なチェックが行われるため、内容が法的に正確であることが保証されます。

作成上の注意点

民法において、夫婦には取消権が認められています。しかし、夫婦関係が既に破綻している場合には、この取消権は適用されません。そのため、破綻した関係に基づく契約では、公正証書が作成される可能性が高く、双方の合意を法的に確立するための有効な手段となります。

一方で、別居婚を選択する夫婦が特に関係が良好な場合には、公正証書による契約が難しいこともあります。これは、夫婦関係が破綻していない状態では取消権が適用されるため、公正証書の記載内容の実現性が低くなるからです。そのため、別居婚を円満に選んだ夫婦の場合、公正証書を作成する代わりに、私文書（私人が作成する文書）での契約を締結することが多いです。

【おすすめ記事】 ＞別居合意書を公正証書とするポイントを専門の行政書士が解説 ＞公正証書を夫婦間で作成する場合の注意点は？

別居婚による契約書や公正証書の作成は

別居婚は従来の結婚観にとらわれない新しい形の関係性として、近年注目を集めています。ただし、この形態が全ての夫婦に適しているわけではなく、お互いの理解と合意が重要です。当事務所では、夫婦間に関する契約書作成を主にサポートさせていただいております。民事法務を専門にし、夫婦やカップル間の契約書、合意書等の作成を多数サポートしてきました。

当事務所は大阪市内に拠点を構えていますが、大阪府、兵庫県、奈良県、京都府をはじめ、東京都、神奈川県、沖縄県、広島県など、広範囲な地域からのご依頼にも対応しております。以下では、当事務所にご依頼いただいた場合の手続きの流れなどについてご説明いたします。

ご依頼後の流れ

別居婚による契約書の作成をご希望でしたら、次の流れによりご申込いただけます。

１．ご連絡
まずは、次のお問い合わせフォーム、メール又はお電話等でお申込みください。お申込みの時点では、別居婚による契約書を作成するために必要な「事件の概要や経緯、希望」等をお伺いさせていただきます。行政書士は、依頼を受けた業務や内容について守秘義務が課されていますので、安心してご相談いただくことができます。

お問い合わせフォーム→こちら Tel:050-3173-4720

２．お見積書とご契約
前記１によりお伺いした内容を元に、お見積書と契約書を作成させていただきます。内容にご了承いただけた場合には、契約とお振込みをいただきます。お振込みは、契約後５日以内の事前払いとさせていただいておりますので、ご了承ください。

３．別居婚による契約書の案文作成
当事務所によって、契約書の案文を作成し、チャットやメールによってお送りさせていただきます。内容を、ご夫婦で確認いただきながら、内容や表現の変更や修正を重ねて、最終的にお二人が合意された契約書を完成させます。なお、変更や修正においては、追加費用をいただいておりませんので、最後まで安心してサポートをご利用いただけます。

お問い合わせ

料金

業務内容	料金	概要
別居婚による契約書	35,000円	別居婚による婚姻費用や養育費の支払いを記載した書面をサポートさせていただきます。
夫婦間合意契約書	35,000円	夫婦間の合意内容を記載した契約書を作成させていただきます。
離婚協議書	30,000円	離婚に伴う契約書を作成させていただきます。
公正証書のサポート	30,000円～	上記の契約について公正証書として作成する場合にはこちらの料金が加算されます。なお、上記全ての契約で公正証書の作成が可能なわけではありませんので、ご了承ください。

お客様の声

現在（令和６年６月）時点で、他のウェブサイトやGoogleなどを含めて、計１５０件以上の口コミをいただいており、総合的な評価は「4.9/5」と高く評価されています。このため、当事務所が提供するサービスは自信を持ってご提供しています。

ただし、すべての口コミが良い評価ではなく、改善すべき点もあります。具体的には、相談のしやすさなどに関する改善点が見られますので、日々その向上に努めています。以下は、お客様からいただいたご感想の一部です。

作成のイメージ

通常は７ページから９ページの別居婚による契約書を作成させていただいております。これら以外にも、離婚協議書や離婚公正証書についても同様にサポートさせていただけます。

別居婚とは/知っておくべき６つのポイント－よくある質問

Q.別居婚とは何ですか？
別居婚は、法律上は夫婦でありながら、実際には別々の住居で生活する婚姻形態です。正式に結婚しているものの、夫婦が物理的に離れて暮らすことが特徴です。

Q.別居婚を選ぶ主な理由は何ですか？
主な理由としては、仕事の都合、個人の自由や空間の確保、親の介護などがあります。また、関係の改善や離婚の準備、経済的独立を目的にすることもあります。

Q.別居婚にはどのようなメリットがありますか？
別居婚のメリットには、自由な時間や空間の確保、新鮮さを保ちやすいことなどがあります。お互いの生活リズムを尊重しながら関係を維持しやすくなります。

Q.別居婚のデメリットは何ですか？
デメリットには、コミュニケーション不足による誤解や不信感の可能性、経済的な負担が増える可能性、社会的な理解が得られにくい場合があることが挙げられます。

Q.別居婚における婚姻費用（生活費）はどのように決めますか？
婚姻費用の取り決めは夫婦の協議によって行います。必要に応じて家庭裁判所の「養育費・婚姻費用算定表」を参考にすることが有効です。合意に至らない場合は第三者の介入や法的手続きを検討することもあります。

Q.別居婚における子供の養育費はどうなりますか？
子供がいる場合、養育費は通常、監護権を持たない方が支払います。婚姻費用と合わせて取り決めを行い、夫婦間で協議して決定します。

Q.別居婚を選択する際、どのような契約を結ぶべきですか？
別居婚に際しては、生活費やその他の取り決めについて書面で契約しておくことが重要です。公正証書を作成することで、将来的なトラブルを防ぐことができます。

Q.公正証書とは何ですか？
公正証書は、公証役場で公証人が作成する文書で、法的に高い信頼性があります。強制執行力が付与され、将来的なトラブルに備えるための有効な手段です。

Q.別居婚を選択する夫婦は増えていますか？
別居婚は比較的新しい婚姻形態であり、正確な統計データは少ないですが、生活スタイルの多様化により、別居婚を選択するカップルは増加していると考えられます。

Q.別居婚が法律的に問題になることはありますか？
別居婚自体は違法ではありませんが、民法第752条に基づく同居義務があるため、相手の同意なしに別居を始めると同居義務違反となる可能性があります。法律的なトラブルを避けるためには、相手と充分に話し合い、合意を得ることが大切です。

別居婚とは/知っておくべき６つのポイント－まとめ

最後までご覧いただきありがとうございました。こちらの記事では、別居婚やその特徴、選択理由、メリット・デメリット、手続き、契約の重要性について、知っておくべき6つのポイントを詳しく解説させていただきました。下記に本記事で記載した内容を簡潔にまとめさせていただきます。

１．別居婚とは

別居婚は、法律上の夫婦関係を維持しながら、実際には別々の住居で生活する婚姻形態です。正式に結婚しており、法的には夫婦として認められますが、物理的には別々に暮らします。

２．別居婚を選択する理由

仕事の都合: 転勤や海外赴任により別々に住む必要がある場合。
個人の自由や空間: 互いの自由と空間を尊重したい場合。
親の介護: 親の介護のために別居を選ぶ場合。
その他の事情: 夫婦関係の改善や離婚の準備、経済的理由など。

３．別居婚のメリットとデメリット

メリット
自由と時間の確保: 独立した時間と空間を持てる。
新鮮さを保ちやすい: 定期的に再会することで関係の新鮮さを維持できる。

デメリット
コミュニケーションの不足: 物理的な距離によるコミュニケーション不足。
経済的な負担: 別々の住居維持により追加の費用が発生。
社会的理解: 一般的な結婚観と異なるため、周囲の理解が得られにくい。

４．別居婚の割合や離婚率

別居婚はまだ少数派であり、正確な割合や離婚率に関する統計データは少ないが、生活スタイルの多様化により選択するカップルは増加している。

５．別居婚の手続きに関する基本事項

婚姻届の提出: 法的な婚姻状態を維持するために必要。
生活費と契約: 婚姻費用について事前に書面で契約することが重要。
婚姻費用の決め方: 協議や家庭裁判所の算定表を参考にする。
子供の養育費: 養育費も含めて取り決め、必要に応じて調停などの法的手段を考慮。

６．別居婚の契約は公正証書でするべき

公正証書のメリット
公証役場で保管: 紛失や破損のリスクが低い。
強制執行: 契約内容が履行されない場合に法的に強制可能。
公証人のチェック: 内容の法的正確性が保証される。
作成上の注意点: 破綻した関係では公正証書が有効で、良好な関係では私文書が多い。

【参考】 ＞民法 – e-Gov法令検索