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夫婦間の扶養の義務はあるのか?別居時の契約とは

夫婦間の扶養義務はあるのか?別居時の契約とは 婚姻

夫婦間には法律に基づく扶養義務が存在し、その内容は婚姻中、別居中、離婚後で異なります。扶養義務とは、経済的に自立できない配偶者や家族に対して支援を行う義務であり、法律によって明確に定められています。具体的には、婚姻中はお互いに生活を支え合うことが求められ、別居中でも婚姻費用として一定の支援が必要です。離婚後には、扶養的財産分与という形で一定期間支援が行われることがあります。

こちらの記事では、夫婦間の扶養義務についてその概要を説明するとともに、別居や離婚時の契約の重要性に焦点を当てて解説させていただきます。さらに、扶養義務に関する契約書の作成や公正証書の利用についても詳しく解説しますので、是非ご参考ください。

夫婦間の扶養義務について

扶養義務とは

扶養義務とは

「扶養義務」とは、自分で生活費を稼げない又は稼ぐことが難しい親族に対して、経済的援助をする義務のことです。扶養義務を負う人を「扶養義務者」、支援を受ける人を「被扶養者」といいます。また、扶養義務者から被扶養者に支払われるお金を「扶養料」と呼びます。

配偶者、未成年の子供、高齢者、傷病者、失業者など、経済的自立が難しい親族がいる場合、扶養義務者は原則としてその親族を支援しなければなりません。

扶養義務の種類

扶養義務には「生活保持義務」と「生活扶助義務」の2種類があります。

  • 生活保持義務
    扶養義務者と同じ水準の生活を被扶養者にも保障する義務。これは「被扶養者の配偶者」や「未成年の子供を養っている両親」などが負います。
  • 生活扶助義務
    扶養義務者の生活に支障のない範囲で被扶養者を扶養する義務。これは「被扶養者の兄弟姉妹」や「成人している子供の両親」などが負います。

これら2種類の扶養義務のうち、本記事では特に生活保持義務について詳しく説明します。親族が経済的に困窮している場合、自分がどちらの扶養義務を負っているのかを確認し、その範囲内で支援を行う必要があります。

民法による夫婦の扶養義務

下記の条文により、夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならないことが定められているため、結婚している場合、夫や妻も扶養義務者となります。

民法第752条(同居、協力及び扶助の義務)
夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。

夫婦間の扶養義務の期間について

夫婦間の扶養義務の期間のイメージ

夫婦間の扶養義務は、婚姻中、別居中、離婚後の三つの期間において異なっております。

ここでは、それぞれの期間における具体的な扶養義務について解説します。

婚姻中(同居)の扶養義務

婚姻中は、収入が多い方が配偶者を扶養する義務があります。これは民法に基づく義務であり、夫婦が同じ生活レベルを維持するためのものです。具体的には、毎月の給与の一部を娯楽費を含む生活費を配偶者に渡すことなどが含まれます。

別居中の扶養義務

別居中であっても、夫婦間には扶養義務があります。この場合、通常は婚姻費用として毎月一定額を支払うことになります。婚姻費用は、夫婦が別居している間の生活費を含むものであり、裁判所が定めた算定表(養育費・婚姻費用算定表)を基に金額を決めることができます。算定表には、収入や生活費、子供の有無などを考慮した具体的な指標が示されています。特に未成年の子供がいる場合、婚姻費用には養育費も含まれるため、子供の生活を維持するための費用も計算に含められます。

離婚後の扶養義務

離婚後は、夫婦関係が解消されるため、基本的に扶養義務はなくなります。しかし、離婚後の生活に不安を抱える配偶者がいる場合、離婚時の契約により、財産分与として一定期間扶養的な支援を行うことが可能です。これを「扶養的財産分与」といいます。扶養的財産分与は、離婚後に経済的に自立できない配偶者が自立して最低限生活ができるまでの間の生活費を負担するもので、通常は2~3年間の期間が設定されます。例えば、「離婚日から3年間は毎月○円を支払う」といった具体的な金額と期間を定めることが一般的です。

扶養的財産分与は、支払い義務が一定期間続くものの、配偶者が経済的に自立できるようになればその義務は終了します。これにより、離婚後の生活を安定させることが可能となりますが、支払う側にとっては一定の負担が伴います。そのため、扶養的財産分与の金額や期間は、夫婦間の話し合いや調停によって決められることが多いです。

【関連記事】
>別居合意書を公正証書とするポイントを専門の行政書士が解説

扶養的財産分与が調停や裁判等で認められるケース

扶養的財産分与は、全てのケースで認められるわけではなく、調停や裁判等で以下の要因が考慮されます。

  • 長期間の専業主婦
    長年専業主婦として家庭を支えてきたため、すぐに仕事に就くことが難しい場合。
  • 健康状態の問題
    病気や健康上の理由で生活が困窮する可能性がある場合。
  • 熟年離婚
    高齢で新たに職を見つけることが難しい場合。

扶養的財産分与の相場と期間

扶養的財産分与の相場は、月に4万円から6万円程度(支払者の経済状況を考慮します。)で、期間は通常2~3年ほどです。扶養的財産分与は、離婚後に配偶者の扶養を行う内容なので、一般的に婚姻費用よりも低額になります。

夫婦間の扶養義務では書面による契約を締結しておく

夫婦間の扶養義務では書面による契約を締結しておく

夫婦間の扶養義務については、書面による契約を強く推奨します。

その理由と、特に公正証書として契約することの重要性について述べます。

書面にする理由

  • 証拠の確保
    婚姻中を除いて、別居中や離婚後の扶養義務に関しては、書面による契約が重要です。口頭での合意は証拠として残らないため、相手が約束を守らない場合に証明が難しくなります。書面にしておけば、相手が約束を守らなかった際に調停や裁判で有利に働きます。
  • 契約内容の厳格化
    書面にすることで、契約内容が明確かつ厳格になります。これにより、相手が契約を遵守する可能性が高まります。具体的な金額や支払方法、支払期間などを明記することで、双方の理解が一致しやすくなります。
  • 法的拘束力の強化
    書面にすることで、法的に有効な契約となり、相手が契約を守らなかった場合に法的手段を講じることが可能になります。口頭での約束は証拠が不十分なため、法的措置が難しくなります。

公正証書としておく

別居や離婚後の扶養に関する金銭の授受については、公正証書による契約が最も安全です。公正証書は、法的専門家である公証人(かつて裁判官などの公務員であった人)が作成する公式な文書です。以下に、公正証書として契約するメリットと手続きについて説明します。

夫婦間の扶養義務を公正証書としておくメリットと手続き

公正証書とするメリット

公正証書として契約を締結することには、以下のようなメリットがあります。

  • 内容の確認と適正化
    公証人が公正証書の内容や条文の表現を確認し、適切な表現に整えてくれます。これにより、法律的に正確でわかりやすい文書が作成されます。
  • 原本の保管
    公正証書の原本は公証役場に保管されるため、紛失しても公正証書謄本の交付が可能です。
  • 強制執行の効力
    金銭的な授受に関する契約には強制執行認諾文言を含めることができ、万が一契約が履行されない場合には、強制執行を通じて迅速に債権の回収が行えます。

公正証書の流れ

公正証書を作成するための手順は以下の通りです。

  1. 公正証書の案文作成
    契約内容をもとに、公正証書の案文を作成します。作成には、専門的な知識が必要な場合もあるため、事前に記載内容に関する調査が重要です。
  2. 必要書類の取得
    戸籍謄本や運転免許証、記載する内容によっては登記簿謄本などの必要書類を準備します。
  3. 公証役場への連絡
    公証役場に連絡し、公証人との打ち合わせ日程を調整します。その際、必要書類についても確認しておきましょう。
  4. 公証役場での打ち合わせ
    公証役場で初回の打ち合わせを行い、公正証書の全体の内容を確認します。
  5. 公証人による原稿作成
    公証人が公正証書の原稿を作成し、メール等でその内容を確認します。内容が決まれば、最終的な作成日を決定します。
  6. 公正証書の調印
    夫婦が公証役場に出向き、公正証書に調印します。調印後、公正証書が正式に作成されます。

公正証書の費用

公正証書の作成には、一般的に4万円から6万円の費用がかかります。費用は公正証書の内容や規模によって異なるため、事前に公証役場で確認しておくと良いでしょう。

【関連記事】
>公正証書を夫婦間で作成する場合の注意点は?

共働きの夫婦間の扶養義務

共働きの夫婦間の扶養義務について家庭裁判所の写真

共働きであっても、扶養義務は変わりません。したがって、別居中であっても婚姻費用の支払義務があります。しかし、離婚後の扶養的財産分与については、共働きの場合には認められる可能性が低いです。これは、扶養的財産分与が生活の最低限を保障する性質があるためです。

扶養義務違反があった場合

もし夫婦間で扶養義務が履行されていない場合や、相手と協議できない場合には、婚姻費用の分担請求調停を考慮することができます。

婚姻費用分担調停について

別居中の夫婦間で婚姻費用(生活費など)の分担について合意が得られない場合、家庭裁判所に調停または審判の申立てが可能です。調停手続では、夫婦の資産、収入、支出などの事情を踏まえ、解決案を提示し合意を目指します。調停が不成立の場合、審判手続に移行し、裁判官が審理を行い決定します。

  • 申立人:夫か妻
  • 申立先:相手方の住所地の家庭裁判所又は当事者間の合意で定める家庭裁判所
  • 申立てに必要な費用
    収入印紙:1200円分
    連絡用郵便切手(申立先の家庭裁判所に確認)
  • 申立てに必要な書類
    申立書及びその写し1通
    標準的な申立添付書類
    夫婦の戸籍謄本
    申立人の収入関係の資料(源泉徴収票、給与明細、確定申告書等の写し)

※必要に応じて追加書類の提出を求められることがあります。

【参考】
>裁判所 婚姻費用の分担請求調停

契約を締結しておく注意点などについて

契約を締結しておく際の注意点について記載させていただきます。

合意するための話し合い

夫婦で合意するためには、まず自分の立場や要求を強調しすぎないようにし、相手の立場や意見を尊重することが重要です。例えば、家計の負担を分担する際に、給与が多い方が負担を増やすという主張を一方的に押し付けると、合意をするのが難しいかもしれません。そこで、自分の提案だけでなく、相手の意見や状況を理解し、双方が納得できる妥協点を見つけるよう努めることが大切です。

経済的配慮と調整

扶養料の決定においては、相手の収入状況を考慮し、経済的な能力を踏まえた現実的な額を設定することが重要です。また、金額を決める話し合いでは双方の妥協が必要であり、現実的かつ公平な金額を定めましょう。

手続きと時間の考慮

合意に至らなければ夫婦で契約は成立せず、契約を有効にするためには合意を目指す努力が必須です。合意に至らない場合、調停を申し立てることができますが、調停手続きには最低でも半年以上かかることがあるため、時間を十分に考慮しておく必要があります。

夫婦間で子供の扶養を協議する

夫婦間で子供の扶養について協議する際には、次のポイントを考慮する必要があります。

養育費と扶養料の区別

養育費と扶養料の区別について子供と家族

養育費は子供が成人するまでの生活に必要な費用を指し、成人以降は扶養料として請求されることがあります。

養育費は未成年の子供の基本的な生活費を含む一方、成人後の扶養料は自立に向けた支援を目的としています。

大学までの費用の取り決め

子供の大学までの費用を養育費として扱うか、扶養料として扱うかについては意見が分かれることがあります。一般的には大学卒業までの費用も養育費に含めることが多く、公正証書でその取り決めを明記することがあります。こうすることで、大学までの費用が養育費としての責任範囲に含まれることを明確にし、将来のトラブルを防ぐことができます。

夫婦間の扶養契約はお任せください

当事務所は民事法務を専門としており、夫婦間の扶養義務に関する契約についても豊富な経験と実績があります。夫婦間の扶養義務は法律によって認められており、扶養が行われていない場合には扶養請求を行うことが可能です。このような請求に対して相手が応じた場合、具体的な扶養の内容や条件について契約を結ぶ必要がありますが、契約は書面にしておくことが推奨されます。

書面による契約は、双方の合意内容を明確にし、後々のトラブルを防ぐために重要です。当事務所では、このような書面の作成を専門に行っており、契約内容を法的に正確かつ明確に文書化します。これにより、双方が納得できる形での合意が実現し、安心して契約を履行することができます。

当事務所はこれまでに数百件の夫婦間の契約案件に対応しており、その中で培った豊富な知識と経験をもとに、適切かつ迅速な対応を心がけています。また、ネット上での口コミ数は150件を超え、総合評価は4.9/5と高い評価をいただいております。

どのようなケースでも安心してご相談いただけるよう、全力でサポートさせていただきます。夫婦間の扶養義務に関する契約についてお困りの際は、ぜひ当事務所にご依頼ください。

ご依頼後の流れ

夫婦間の扶養契約書の作成をご希望でしたら、次の流れによりご申込いただけます。

1.ご連絡
まずは、次のお問い合わせフォーム、メール又はお電話等でお申込みください。お申込みの時点では、夫婦間の扶養契約書を作成するために必要な「事件の概要や経緯、希望」等をお伺いさせていただきます。行政書士は、依頼を受けた業務や内容について守秘義務が課されていますので、安心してご相談いただくことができます。

お問い合わせフォーム→こちら
Tel:050-3173-4720

2.お見積書とご契約
前記1によりお伺いした内容を元に、お見積書と契約書を作成させていただきます。内容にご了承いただけた場合には、契約とお振込みをいただきます。お振込みは、契約後5日以内の事前払いとさせていただいておりますので、ご了承ください。

3.夫婦間の扶養契約書の案文作成
当事務所によって、夫婦間の扶養契約書の案文を作成し、チャットやメールによってお送りさせていただきます。内容を、ご夫婦で確認いただきながら、内容や表現の変更や修正を重ねて、最終的にお二人が合意された書面を完成させます。なお、変更や修正においては、追加費用をいただいておりませんので、最後まで安心してサポートをご利用いただけます。

お問い合わせ

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    ご依頼内容をご選択ください*

    相談のご希望日*

    料金

    業務内容 料金 概要
    夫婦間の扶養契約書 35,000円 別居等が原因による夫婦間の扶養に関する契約書を作成します。
    公正証書のサポート 30,000円~ 上記の契約について公正証書として作成する場合にはこちらの料金が加算されます。なお、上記全ての契約で公正証書の作成が可能なわけではありませんので、ご了承ください。

    お客様の声

    現在(令和6年6月)時点で、他のウェブサイトやGoogleなどを含めて、計150件以上の口コミをいただいており、総合的な評価は「4.9/5」と高く評価されています。このため、当事務所が提供するサービスは自信を持ってご提供しています。

    ただし、すべての口コミが良い評価ではなく、改善すべき点もあります。具体的には、相談のしやすさなどに関する改善点が見られますので、日々その向上に努めています。以下は、お客様からいただいたご感想の一部です。

    レビュー

    作成のイメージ

    通常は7ページから9ページの夫婦間の扶養契約書を作成させていただいております。

    夫婦間の扶養義務はあるのか?別居時の契約とは-よくある質問

    Q.扶養義務とは何ですか?
    「扶養義務」とは、経済的自立が困難な親族に対して、経済的援助を行う義務のことです。扶養義務を負う者は「扶養義務者」、援助を受ける者は「被扶養者」と呼ばれます。また、扶養義務者から被扶養者に支払われるお金を「扶養料」といいます。

    Q.民法における夫婦間の扶養義務はどうなっていますか?
    民法第752条により、夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならないと定められています。結婚している場合、夫や妻は扶養義務者となり、法律に基づく扶養義務があります。

    Q.夫婦間の扶養義務の期間について教えてください。
    扶養義務は、婚姻中、別居中、離婚後の三つの期間において異なります。婚姻中は収入が多い方が配偶者を扶養する義務があります。別居中は、婚姻費用として一定額を支払う義務があります。離婚後は基本的に扶養義務はなくなりますが、扶養的財産分与として一定期間扶養的な支援を求めることができます。

    Q.扶養的財産分与とは何ですか?
    扶養的財産分与とは、離婚後に経済的に自立できない配偶者に対して一定期間扶養的な支援を行うことです。通常、2~3年間の期間が設定され、具体的な金額と支払期間を契約で定めることが一般的です。

    Q.扶養的財産分与が調停や裁判で認められるケースは?
    扶養的財産分与が認められるケースには、長期間専業主婦だった場合、健康状態に問題がある場合、高齢で新たに職を見つけるのが難しい場合などがあります。これらの状況が考慮されて扶養的財産分与が認められることがあります。

    Q.夫婦間の扶養義務に関する契約は書面にするべきですか?
    はい、夫婦間の扶養義務に関する契約は書面にすることを強く推奨します。書面による契約は証拠として残り、契約内容が明確になります。公正証書として契約することがさらに安全であり、法的な拘束力を強化します。

    Q.公正証書の作成にはどのような手順がありますか?
    公正証書を作成する手順には、契約内容の案文作成、必要書類の取得、公証役場への連絡と打ち合わせ、公証人による原稿作成、調印などがあります。公正証書の作成には通常4万円から6万円の費用がかかります。

    Q.共働きの夫婦間でも扶養義務はありますか?
    共働きであっても扶養義務は変わりません。別居中であれば婚姻費用の支払い義務がありますが、離婚後の扶養的財産分与については共働きの場合、認められる可能性が低いです。その理由は、扶養的財産分与は主に生活の最低限を保障する目的であるからです。

    Q.扶養義務に関して話し合いがまとまらない場合、どのような手続きがありますか?
    別居や離婚により扶養義務に関する合意ができない場合、家庭裁判所に婚姻費用分担調停(別居中)、財産分与請求調停(離婚後)を申し立てることができます。調停では双方の事情を聴取し、解決案を提示します。調停が不成立の場合は審判手続に移行し、裁判官が判断を下します。申立てには必要書類や費用があるため、詳細な手続きについては家庭裁判所に確認することが大切です。

    夫婦間の扶養義務はあるのか?別居時の契約とは-まとめ

    最後までご覧いただきありがとうございました。こちらの記事では、夫婦間の扶養義務についてその概要を説明するとともに、別居や離婚時の契約の重要性に焦点を当てて解説させていただきました。

    下記に、本記事を簡潔にまとめたものを記載させていただきます。

    1.夫婦間の扶養義務について

    • 扶養義務とは
      扶養義務とは、自分で生活費を稼げない親族に対して経済的援助をする義務です。扶養義務者が支援を行い、支援を受ける人を被扶養者と言います。例えば、配偶者や未成年の子供、高齢者などが該当します。
    • 扶養義務の種類
      生活保持義務: 扶養義務者と同じ水準の生活を被扶養者に保障する義務。主に配偶者や未成年の子供に該当。
      生活扶助義務: 扶養義務者の生活に支障のない範囲で支援する義務。主に兄弟姉妹や成人している子供の両親に該当。
    • 民法による夫婦の扶養義務
      民法第752条により、夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならないと定められています。つまり、結婚中の夫婦は扶養義務があります。

    2.夫婦間の扶養義務の期間について

    • 婚姻中(同居)の扶養義務
      婚姻中は、収入が多い方が配偶者を扶養する義務があります。これは民法に基づき、夫婦が同じ生活レベルを維持するためです。
    • 別居中の扶養義務
      別居中も扶養義務があります。通常、婚姻費用として毎月一定額を支払う必要があり、裁判所が定めた算定表を基に金額が決まります。特に未成年の子供がいる場合は、養育費も含まれます。
    • 離婚後の扶養義務
      離婚後は基本的に扶養義務はなくなりますが、扶養的財産分与として一定期間扶養的な支援を行うことが可能です。通常は2〜3年間の期間が設定され、支払う側に一定の負担が伴います。

    3.夫婦間の扶養義務では書面による契約を締結しておく

    • 書面にする理由
      証拠の確保: 書面にすることで証拠が残り、相手が約束を守らなかった際に有利に働きます。
      契約内容の厳格化: 明確な契約内容により、双方の理解が一致しやすくなります。
      法的拘束力の強化: 法的に有効な契約となり、履行されない場合には法的手段が可能になります。
    • 公正証書としておくメリット
      内容の確認と適正化: 公証人が内容を確認し、適切な表現に整えます。
      原本の保管: 公正証書の原本は公証役場に保管され、紛失時にも謄本の交付が可能です。
      強制執行の効力: 強制執行認諾文言を含めることができ、迅速に債権回収が可能です。
    • 公正証書の流れ
      案文作成: 契約内容を基に案文を作成します。
      必要書類の取得: 戸籍謄本などの必要書類を準備します。
      公証役場への連絡: 公証役場と打ち合わせ日程を調整します。
      公証役場での打ち合わせ: 内容を確認します。
      公証人による原稿作成: 原稿を作成し確認します。
      公正証書の調印: 夫婦が公証役場で調印します。
    • 公正証書の費用
      一般的に4万円から6万円程度の費用がかかります。内容や規模によって異なるため、事前に確認が必要です。

    4.共働きの夫婦間の扶養義務

    共働きでも扶養義務は変わりません。別居中は婚姻費用の支払義務があり、離婚後の扶養的財産分与の認定は、生活の最低限を保障するため、共働きの場合には認められにくいです。

    • 扶養義務違反があった場合
      扶養義務が履行されない場合や協議できない場合は、婚姻費用分担調停や夫婦関係調整調停(離婚前)を考慮します。家庭裁判所で調停を申し立て、合意を目指します。調停が不成立の場合は、審判手続に移行します。

    5.契約を締結しておく際の注意点

    • 合意するための話し合い
      自分の立場や要求を強調しすぎず、相手の意見や状況を尊重し、双方が納得できる妥協点を見つけるよう努めることが重要です。
    • 経済的配慮と調整
      相手の収入状況を考慮し、現実的かつ公平な金額を設定します。
    • 手続きと時間の考慮
      合意に至らない場合は調停を申し立てることができますが、調停には時間がかかるため、十分に考慮する必要があります。

    6.夫婦間で子供の扶養を協議する

    • 養育費と扶養料の区別
      養育費は未成年の子供の生活に必要な費用を指し、成人後は扶養料として請求されることがあります。大学までの費用を養育費として扱うか、扶養料として扱うかは、公正証書で明記することで将来のトラブルを防ぐことができます。

    7.夫婦間の扶養義務はあるのか?別居時の契約とはーよくある質問と回答

    前記トピックをご確認ください。

    【参考】
    >民法 – e-Gov法令検索
    この記事を書いた人

    事務所:大倉行政書士事務所
    所在地:大阪市鶴見区鶴見三丁目5番19号-702号
    代表者:大倉雄偉
    保有資格:行政書士、宅地建物取引士
    経験:当事務所は、民事法務を専門とする行政書士として、これまでに多数のカップル、夫婦、同性間の契約書や誓約書、公正証書の作成サポートを行ってまいりました。

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