大阪市中央区での宅建業免許申請と全日入会代行事例 - 相続・遺言・離婚専門の大倉行政書士事務所

2025.10.07

大阪市中央区での宅建業免許申請と全日入会代行事例

大阪市中央区での宅建業免許申請と全日入会代行事例
目次

    事務所写真の撮り方から府庁の指摘ポイントまで

    宅地建物取引業(宅建業)の免許申請は、書類を整えて提出するだけの「形式的な手続」と思われがちですが、実際には細かな現地確認・写真の撮影方法、契約関係の整理など、実務上の注意点が多く存在します。

    今回は、大阪市中央区で実際に行った宅建業免許申請および全日本不動産協会(全日)への入会代行の事例をもとに、実務で注意すべきポイントを整理して解説します。

    大阪市中央区で宅建業/今回の申請概要と事務所の状況

    大阪市中央区で宅建業/今回の申請概要と事務所の状況

    依頼者は大阪市中央区内で、法人として新たに宅建業を開始する予定の方でした。すでに事務所物件は契約済みでしたが、実際にはまだ「事務所としての体裁を整えていない」状態でした。このようなケースは決して珍しくありません。契約書上の用途が「事務所」となっていても、内部が空のままでは宅建業法上の「事務所」としては認められません

    なお、通常は私の方で現地に赴いて写真撮影を行うのですが、今回は少し特殊な事情がありました。依頼者様が銀行融資の実行日までに申請書への大阪府庁の受領印を必要としていたため、撮影作業を待つ時間的余裕がなかったのです。

    私はまず、依頼者に対して「最低限の備品を揃えてからでなければ、写真撮影は行えません。(行っても再撮影となります。)」とお伝えしました。宅建業の免許審査では、形式的な契約よりも「実際に業務を行える環境かどうか」が問われます。

    なお、通常は私の方で現地に赴いて写真撮影を行うのですが、今回は少し特殊な事情がありました。依頼者様が銀行融資の実行日までに申請書への大阪府庁の受領印を必要としていたため、撮影作業を待つ時間的余裕がなかったのです。

    そこで、事務所の写真撮影については、依頼者様側で書面の指示およびビデオ通話を通じて私が遠隔で確認を行い、最終的な撮影は担当係の方にお願いするという形を取りました。

    結果として、無事に融資実行日前に申請を受理させることができ、依頼者様にも大変喜んでいただきました。(余談ではありますが、現場状況やスケジュールに応じて、こうした柔軟な対応が求められることも多々あります。)

    大阪市中央区で宅建業/事務所写真の撮影における注意点

    大阪市中央区で宅建業/事務所写真の撮影における注意点

    宅建業免許申請で最も多い不備の一つが「事務所写真」です。書類の記載内容が完璧でも、提出された写真から「業務実態が確認できない」と判断されれば、補正や再提出を求められるケースは少なくありません。したがって、写真撮影の段階から、行政書士としても細部にまで目を配ることが重要です。

    備品を揃えることの重要性

    まず前提として、担当者が確認したいのは「事務所を契約しているか」ではなく、「実際に宅建業を遂行できる環境が整っているか」という点です。そのため、次のような基本備品は最低限整える必要があります。

    写真撮影の基本ルール

    宅建業免許では、「事務所全体の様子が一目でわかる写真」が求められます。大阪府の場合は特に、平面図と照らして位置関係が明確にわかるように撮影することが求められます。 写真は単なる添付資料ではなく、「現地調査の代替資料」として扱われるため、どの角度からどのように撮影したかが非常に重要になります。

     担当者は、提出された写真を見ながら「業務を行うスペースがあるか」「他の用途と区別されているか」「外部からも事務所と分かるか」を確認します。したがって、撮影の方法次第で印象が大きく変わるといっても過言ではありません。

    四つ角撮影―部屋の全体像を把握させる

    撮影の基本は、「部屋の四隅から、それぞれ対角に向かって撮影する」ことです。四方向すべてを撮影することで、部屋の広さや構造、備品の配置が一目で分かるようになります。この手法は、担当者に「空間の全体像」を理解させるための最も有効な方法です。

    同じ部分が重複して写っていてもまったく問題ありません。むしろ「ここが写っていない」「入口周辺の写真がない」などの指摘を受ける方がリスクです。原則として、「多すぎるより少ない方が問題」と心得ておくと良いでしょう。

    カーテン・ブラインドは開ける

    意外と多い不備が、「カーテンを閉めたまま撮影してしまう」ケースです。外光が遮断されると、写真全体が暗くなり、担当者から「空室のように見える」「実際に使用していないのでは」と誤解されることがあります。

    一部の写真でカーテンを閉めていても大きな問題にはなりませんが、すべての写真が閉じた状態だと、壁の一部や床が暗くなってしまい、「間取りが分からない」と判断されることがあります。

    また、大阪府の「宅地建物取引業免許申請の手引き」でも、カーテンやブラインドは開けた状態で撮影するよう明記されています。その理由は、単に明るく撮影するためだけでなく、「室内写真と外観写真の整合性を確認するため」です。

    担当者は、外観写真と室内写真を照合し、「窓の位置や形状が一致しているか」「別の場所を撮影したものではないか」などを確認します。つまり、カーテンを開けることによって、“この部屋が確かに申請書記載の所在地にある事務所である”ことを証明する意味があるのです。

    この点を理解しておくと、単なる「見栄えのための撮影」ではなく、審査の根拠資料としての写真を意識した準備ができるでしょう。

    備品は個別にも撮影する―「存在証明」としての写真

    パソコンや電話、コピー機などの備品は、事務所全体を撮影した写真の中に写っていれば原則として問題ありません。しかし、机の下や他の物陰に隠れて見えない場合、「備品が確認できません」と指摘されることがあります。

    このため、全景写真とは別に、備品単体の写真を追加で撮影することを強くお勧めします。たとえば、次のようなアングルを押さえておくと安心です。

    これらを個別に提出しておくと、「業務に必要な設備が確実に揃っている」という印象を与え、担当者からの質問や補正指示を未然に防ぐことができます。

    忘れやすい撮影ポイント(マンション事務所の場合)

    マンションの一室を事務所として使用する場合、撮影時に特有の注意点があります。中でも見落とされがちなのが、「事務所までの行き方(動線)」を撮影することです。「エントランス→エレベーターホール→共用廊下→事務所の扉」までの一連の流れを写真で示すよう求められます。

    これは、申請書に記載された所在地と実際の部屋が一致しているか、また一般の来訪者が無理なく出入りできる構造になっているかを確認する目的があります。この動線写真を省略してしまうと、「どの建物内のどの部屋なのか判断できない」とされ、後日「共用部分や玄関周辺の写真を追加提出してください」と補正を求められます。

    そのため、マンションやテナントビルの場合は、以下の順で撮影しておくと確実です。

    これらを順番に並べて提出すると、担当者が現地をイメージしやすく、審査が非常にスムーズになります。また、次のような“撮影忘れ”や“撮り方の誤り”も非常に多いので注意が必要です。

    法人名の表示(プレート・シール・名札など)は、事務所の「独立性」を確認するための重要な要素です。扉の付近に社名を貼るのが基本ですが、もし近くに法人名の入ったポストがあり、かつ同一部屋であることが明確に分かる場合には、それで代替可能です。

    経験上、これも非常に多いミスの一つです。入口を閉めたままでは、内部の様子や構造が分からず、「扉の向こうが本当に事務所なのか」を確認できません。そのため、扉を開けた状態で、内部の机や備品が少し見えるように撮ることが理想です。

    このように、宅建業免許における写真は、「説明しなくても見れば分かる」状態が理想です。事務所の全体像・設備・明るさ・清潔感が伝わる写真をそろえることで、審査担当者も安心して判断できます。

    特に大阪府庁では、「説明より写真」で判断される傾向が強く、行政書士としては、依頼者に「どの位置から何をどう撮るか」を具体的に指示することが最も重要です。これを徹底するだけで、審査の通過率・スピードが格段に上がります。

    大阪府中央区で宅建業/大阪府庁での指摘内容と対応

    大阪府中央区で宅建業/大阪府庁での指摘内容と対応

    今回の申請では、書類上の軽微な不備として「事務所の権限関係」に関する指摘がありました。具体的には、事務所の賃貸借契約書が代表者個人名義で締結されていた点が問題となりました。内容そのものは単純なミスでしたが、宅建業の免許審査では「誰がどの権限でその事務所を使用しているか」が非常に重視されるため、細かな記載でも確認の対象になります。

    契約者名義と法人の関係

    宅建業の申請では、原則として「法人が自らの名義で事務所を使用できる権限を有している」ことを証明する必要があります。これは宅建業法上、事務所を「業務の本拠地」として継続的に使用することが求められているためです。したがって、次のようなケースでは注意が必要です。

    このような場合、法人と契約名義人の間で「使用承諾書」や「転貸借契約書」を作成しておく必要があります。いずれの形式であっても、「法人がその部屋を正当に使用できる権限がある」ことが明確になっていれば問題ありません。

    実務上のポイント

    以前は、宅建業免許申請の際に「権限疎明書類(承諾書・使用許可書など)」の提出が求められていました。これは、法人名義で契約していない場合や、賃貸人が第三者である場合に、「その事務所を宅建業の拠点として使用することを所有者が承諾しているか」を確認するためのものでした。

    しかし、現在の申請では、書類提出の形式を簡略化し、こうした「形式的な承諾書類」は原則として不要とされています。大阪府庁でも、提出・提示書類から「賃貸借契約書」や「使用承諾書」の提示は削除されております

    とはいえ、ここで注意が必要なのは、“不要になった”のは書類の形式であって、実質的な確認がなくなったわけではないという点です。担当者は依然として、「誰が、どのような権限でその事務所を使用しているのか」を確認します。

    大阪市中央区で宅建業/全日本不動産協会(全日)への入会代行

    大阪市中央区で宅建業/全日本不動産協会(全日)への入会代行

    今回の依頼では、宅建業免許申請とあわせて「全日(全日本不動産協会)」への入会手続きも一括でご依頼いただきました。

    保証協会への加入は、宅建業免許を取得する上で欠かせない要件です。

    全宅と全日の違い

    宅建業を新たに開始する際には、「保証協会」への加入が必須となります。この保証協会には大きく分けて下記の二つの団体があります。

    実務上は、どちらに加入しても宅建業免許の要件を満たすことに変わりはありません。ただし、組織の構成・サポート内容・地域ネットワークの強さに違いがあります。

    多くの方が加入するのは「全宅保証(全宅)」です。全国的に会員数が最も多く、特に中小規模の不動産会社が多数所属しています。組織母体である「全国宅地建物取引業協会連合会(通称:全宅連)」が各都道府県に広く支部を持っており、保証協会手続きや講習、開業後のサポート体制が整っていることが特徴です。

    そのため、初めて宅建業を始める方や、業務経験の浅い方にとって、安心感のある選択肢といえるでしょう。一方、今回の依頼者様は当初全宅への加入を希望されていましたが、検討の結果、途中で「全日(全日本不動産協会)」への入会に変更されました。その理由は、「地域密着での活動サポートを受けられる」という点にありました。

    全日は、会員数では全宅に比べて少ないものの、支部ごとの結びつきが非常に強く、地域での交流機会が多いという特徴を持っています。特に大阪府内では、全日大阪府本部を中心に、各地域支部で勉強会・研修会・懇親会などが定期的に開催されており、新規開業者でも地元業者とすぐにつながりが持てるという利点があります。

    全日のオンライン申請システム

    今回の申請では、久しぶりに全日本不動産協会(全日)への入会代行を行いましたが、現在は手続のほぼすべてがオンライン化されています。

    かつては大阪市咲洲にある全日大阪府本部まで出向き、担当者との面談を経て書類を提出するという流れが一般的でした。しかし現在は、すべての手続きが電子申請システム上で完結します。申請者(または行政書士)が専用フォームにアクセスし、必要事項を入力・PDF添付のうえ送信するだけで、初回の受付から書類確認・補正対応・入会審査までがオンラインで進みます。

    申請後は、担当者から登録メールアドレス宛に確認メールや補正依頼の案内が逐一届き、内容も非常に分かりやすく整理されています。特に印象的だったのは、担当者のレスポンスの早さと丁寧さです。今後の流れなど、細かい点までメールで丁寧に説明してくださり、こちらからの質問にも即日で回答をいただけました。

    実務者としても非常に仕事がしやすく、安心して進められる手続環境になっていると感じました。

    大阪市中央区で宅建業/まとめと今後の展望

    大阪市中央区で宅建業/まとめと今後の展望

    行政書士として感じるのは、形式的な書類作成よりも「現場をどう整えるか」「どう説明するか」が許可の可否を左右するという点です。

    宅建業免許は、事務所・人・資金・誠実性の4要件を満たすことが原則ですが、その根底には「実態重視」の考え方があります。

    一見細かいように見える事務所写真の撮影方法や契約名義の整合性も、すべてこの理念に基づくものです。今後も、宅建業免許と保証協会入会の双方を行政書士がサポートすることで、不動産業界の健全化と円滑な開業支援に貢献できればと考えています。

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