相手の暴力や暴言、浮気などにより、今後一切関わらない内容の誓約書の作成を検討されている方はいないでしょうか。最近、このような相談をいただくことが増えたように感じます。今後一切関わらない内容の誓約書、示談書(合意書)等を作成する場合、どのようなことを記載するべきでしょうか。こちらの記事で、記載すべき内容について解説させていただきます。
今後関わらないための誓約書の種類とは
今後一切関わらない誓約書ってなに
誓約書とは、誓約する者一方のみが義務を負うことを証する書面です。誓約書へは、誓約する者が署名押印をし、相手方に渡すことで、誓約する者は誓約内容に拘束されることとなります。つまり「今後一切関わらない誓約書」とは、誓約する者が相手方に今後一切関わらないことを誓約した内容が記載された書面ということになります。
誓約書以外の書類について
相手と今後関わらない内容の書面の一つとして、誓約書が挙げられますが、他にはどのような書面が考えられるのでしょうか。ケースによって次のような契約書の作成も検討されます。
- 示談書
- 合意書
- 離婚協議書(離婚の場合)
次にこれらの契約書について主な記載内容を解説します。
示談書
こちらは、カップルの一方による浮気や暴力等の理由により、精神的な苦痛や怪我を負った場合に相手と示談する目的で作成する書面です。婚姻関係にないカップルの浮気による示談書は、慰謝料ではなく解決金などといった名目により金銭の支払に関する契約をすることができます。また、相手の暴力により怪我を負った場合には、慰謝料を請求することも考えられるでしょう。
上記のような、浮気による解決金や暴力による慰謝料の条項以外の記載としては、カップル間の交際解消に関する合意や、今後の関係を一切断ち切る内容等の記載を検討することができます。
示談書を作成するポイント
示談書によって、金銭の支払を約束する場合には、示談内容を明確に記載し、支払債務が発生する場合には支払期日や支払金額を確定させることが重要でしょう。また、必要に応じて浮気や暴力による謝罪規定や、作成の目的である今後一切関わらない誓約を誓約規定として記載するとよいでしょう。
【記載例】 示談内容:令和○年○月○日に貴方が私を押し倒して、全治2週間の怪我を負いました。当該事件について、以下の内容で示談しました。 支払金額:金額○○円 支払期日:令和○年○月○日まで 謝罪の規定:○○(加害者)は○○(被害者)に対し、本書面の署名捺印後、速やかに口頭及び書面により謝罪することとします。 |
合意書
合意書に記載する内容も、上記の示談書とほとんど異なりはありませんが「示談書」は、交通事故、不倫、刑事事件などの損害賠償義務が生じる契約に用いられることが多く、「合意書」は、これら以外の様々な契約で用いられています。したがって、今後一切関わらない誓約はこれらいずれの書面でも作成できると考えられます。
離婚協議書
こちらは、相手の暴力や浮気などにより夫婦間の協議により離婚をするケースで作成されます。離婚協議書は示談書や合意書と記載する内容が大きく異なり、契約条項に「親権、養育費、面会交流、財産分与、年金分割」等の離婚に伴う契約を記載することが一般です。
なお、今後一切関わらない内容については前記条項に加え「誓約事項」などを記載し、その内容は「甲は、乙に対し、本件離婚後、電話やメール等の連絡をしないことを約束する。」などと記載することが考えられます。しかし、現実に未成年の子供がおり、相手による面会交流権が認められる場合は、一切の接触をしない内容を定めることは難しいでしょう。
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今後一切関わらない書面への記載まとめ
今後一切関わらない書面への記載内容をまとめると次のようになります。作成する状況や合意内容に応じて選択して記載してください。
- 今後一切関わらないことになった事実や原因
- 上記事実が生じたことによる謝罪や謝罪の方法
- 金銭の支払が発生する場合は「支払金額」「支払方法」「支払時期」
- 今後一切関わらないことの誓約事項
- 上記の各事項を違反した場合の措置 等
上記各項の詳細は次のとおりです。
今後一切関わらないこととなった事実や原因
誓約書や示談書を作成することとなった事実や原因は必ず記載するようにしましょう。事実を記載し、相手がその書面に署名と捺印をすることで、相手がその内容は間違いないという意思を示したことが証拠として残ります。婚約破棄による示談書を作成する場合には、相手が不当に婚約を破棄した内容をできるだけ具体的に記載しましょう。このような”不当に婚約破棄をされた事実”を記載せずにいきなり「貴方は私に慰謝料として○○円払う。」などと記載すると、請求原因が不明であり支払義務が生じない場合があるでしょう。
事実が生じたことによる謝罪や謝罪の方法
事実に対する謝罪を求める場合には書面に記載しておきましょう。謝罪の条項があると、相手が悪いことをしたと認めていることや、相手がその内容を踏まえて反省をしていることが客観的に見て取れます。
金銭の支払が発生する場合は「支払金額」「支払方法」「支払時期」
契約書などにより慰謝料や違約金の支払を求める場合には、支払金額、支払期日及び支払方法等は具体的に記載しましょう。特に、支払方法が口座振込による方法の場合には、支払先の口座情報を記載しておかなければ相手はどこに支払うかわかりません。実は、支払先口座が記載されていない契約書は意外と多いので記載漏れのないように注意しましょう。
今後一切関わらないことの誓約事項
作成の目的である、今後一切関わらない内容についても記載しておきましょう。特に「関わらない」という部分が抽象的ですので、どのように関わらないかを具体的に記載する必要があるでしょう。作成のヒントとしては「万一、街中で私を見つけても話しかけません。」のような感じでしょうか。子の内容にさらに条件を付け加えましょう。
各項の説明は以上です。上記以外の内容にも、誓約事項を違反した場合の違約金の設定も行うことができます。ただし、違約金は高すぎると無効になりますので、注意しましょう。
示談書は公正証書にできる!
婚約破棄に基づく慰謝料請求や不貞行為基づく慰謝料請求並びに離婚に伴う慰謝料請求の記載がある契約をする場合、その内容を公正証書として作成することができます。(例外があります。)公正証書(※)とすることにより、慰謝料の金銭的な受領を安全に行うことができます。
具体的には、公正証書によって契約することにより、条項に強制執行の認諾を記載することができ、この条項を記載することで、金銭的な支払を受けるための権利の履行を相手がしなかった場合、つまり相手がお金を支払わなかった場合に、裁判による確定判決等を得ずに給与や預金の差押が可能となります。
※)公正証書とは法務局が管理する公証役場に所属する公証人と呼ばれる法律の専門家によって作成される公文書のことです。公証証書は私人が作成する文書と違い、書類が真正なものである強い推定がされるので、とても信用がある文書と言えるでしょう。 |
【関連記事】 >浮気による契約は公正証書で作成するべきか |
誓約書や契約書の作成はお任せください
誓約書や契約書の作成にお悩みの方は、当事務所にご相談ください。当事務所では全国でこれらの書類の作成に対応させていただいております。初回の相談は無料ですので、是非お気軽にお申し付けください。
手続の流れ
1.問い合わせ
問い合わせフォームや電話により作成されたい内容をお伝えください。
2.見積書、契約書の作成
見積書と契約書を作成させていただきます。基本的料金はこちらから確認いただけます。
3.お支払い
当事務所では、契約書等の作成を事前払いとさせていただいております。通常は契約後5日以内にお振込みによりお支払いいただております。
4.書類の作成とご確認
お振込みをいただきましたら、質問事項書面を作成し回答いただいた後、概ね1週間で案文を完成します。案文について変更があれば、変更修正に対応させていただきます。
5.書類の製本と郵送
書類の製本が必要であればさせていただき、製本後の書類を郵送させていただきます。
お問い合わせ
料金
業務内容 | 料金 | 概要 |
今後一切関わらない誓約書 | 35,000円 | 分かりやすいように表題は「今後一切関わらない誓約書」とさせていただきましたが、実際には夫婦やカップル間で作成する契約書や示談書、和解書として、今後一切関わらない内容を記載させていただくことが多いです。 |
浮気防止の誓約書 | 30,000円 | 浮気を防止する内容の誓約書を作成させていただきます。 |
その他契約書 | 30,000円~ | その他の契約書の料金です。内容をお伺いさせていただいた上で御見積させていただきます。 |
公正証書のサポート | 30,000円~ | 上記の契約について公正証書として作成する場合にはこちらの料金が加算されます。なお、上記全ての契約で公正証書の作成が可能なわけではありませんので、ご了承ください。 |
お客様の声
当事務所は、大阪市内にある事務所です。しかし、契約書などの作成依頼は大阪府、兵庫県、京都府などの近畿圏を中心に、これまでに東京都や神奈川県、広島県、沖縄県など幅広くご相談をいただき対応してきた経験があります。(沖縄の公証役場で作成を依頼した経験もあります。)
以下は、全国からご利用いただいたお客様のご感想です。ご依頼をお考えでしたら、いつでもお気軽にお申し付けください。
作成のイメージ
通常は7ページから9ページの契約書、示談書、合意書等を作成させていただいております。これら以外にも、離婚協議書や離婚公正証書についても同様にサポートさせていただけます。
セミナー情報
当事務所は民事法務に関する定期セミナーや相談会(支部活動)を開催しております。参加をご希望の方はご連絡ください。
よくある質問
Q.作成代行の期間はどれくらいでしょうか。
A.契約から2週間前後で完了することが多いです。ただし、具体的な内容や依頼の状況によっては、もう少し時間がかかる場合もあります。
Q.相手方と代わりに記載内容を交渉していただけますか。
A.代理人として相手と交渉する行為はできかねます。合意の上で、ご相談ください。
Q.示談書や合意書等の契約書の作成を依頼した場合には、その後のサポートはしていただけますか。
A.作成後は、書面を製本し郵送をさせていただきます。その後に、契約の内容に疑義が生じた場合には双方が合意の上で内容を変更させていただくことも可能です。
Q.誓約書には必ず署名が必要ですか?
A.はい、誓約書には必ず署名が必要です。署名がないと、誓約内容に対する効力が不明確になり、法的な拘束力が弱まります。署名は、誓約書の真正性と当事者の意思を明確に示すために重要です。
Q.誓約書と示談書の違いは何ですか?
A.誓約書と示談書は、どちらも法的な書面ですが、内容と目的が異なります。誓約書は、一方の当事者が特定の行為や約束を誓約する書面です。一方、示談書は、双方の当事者が合意に達した内容を文書化したもので、通常、金銭の支払いや謝罪など具体的な合意事項が含まれます。
Q.誓約書の作成において注意すべき点は何ですか?
A.誓約書を作成する際には、いくつかの重要な点に注意する必要があります。まず、誓約内容が具体的かつ明確であることが重要です。例えば、金銭の支払い方法や期限、違反時の措置などを具体的に記載します。また、事実に基づいた内容を記載し、誓約の範囲や条件を明確にすることも重要です。
Q.誓約書を公正証書にするメリットは何ですか?
A.誓約書を公正証書にすることで、多くのメリットがあります。まず、公正証書は公証人が作成するため、文書の真正性が強く保証されます。さらに、相手が誓約を履行しない場合、裁判を経ずに強制執行が可能となるため、金銭の支払いなどを確実に行うことができます。
Q.今後一切関わらない誓約書の内容が破られた場合、どうすればよいですか?
A.誓約書の内容が破られた場合の対処法としては、まず、誓約書に違約金の条項を記載しておくことが有効です。これにより、違反時に相手に対して違約金を請求することができます。
Q.誓約書に記載する「具体的に関わらない」とはどのように書けばよいですか?
A.「具体的に関わらない」と記載する際には、具体的な行動を明確に示すことが重要です。例えば、「電話やメールでの連絡を一切しない」、「街中で見かけても話しかけない」、「SNSやその他のオンラインプラットフォームでの接触を一切行わない」など、具体的な行動や状況を詳細に記載します。
Q.誓約書の作成後、内容に変更が生じた場合はどうすればよいですか?
A.誓約書の内容に変更が生じた場合は、双方の合意の上で変更内容を記載した書面を作成し、再度署名を行うことが必要です。変更内容が明確に記載され、双方がその内容に同意していることを証明するために、新たな書面を作成することが重要です。
Q.誓約書の内容が曖昧な場合、後から問題になることはありますか?
A.はい、誓約書の内容が曖昧である場合、後から解釈の違いによる紛争が生じる可能性があります。そのため、誓約書の内容はできるだけ具体的に記載し、不明確な表現を避けることが重要です。具体的な事項や条件を明確に記載することで、誤解やトラブルを未然に防ぐことができます。
まとめー今後一切関わらない誓約書を作っておきたい
最後までご覧いただきありがとうございました。こちらの記事では、今後一切関わらない誓約書を主題に作成を検討できる契約書の種類や、今後一切関わらない誓約書に記載することが考えられる条項について下記のとおり詳しく述べさせていただきました。
1.今後関わらないための誓約書の種類
⑴今後一切関わらない誓約書ってなに
⑵誓約書以外の書類について
⑶示談書
⑷示談書を作成するポイント
⑸合意書
⑹離婚協議書
2.今後一切関わらない書面への記載まとめ
3.示談書は公正証書にできる!
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