婚約したカップルは、互いが婚姻に向かって努力する義務を負います。そのため、婚約しているのにも関わらず、浮気をされた場合には、法律上の不法な行為として相手に対して慰謝料等の損害を請求することができます。
こちらの記事では、婚約者に浮気された場合の慰謝料の請求や、慰謝料の請求が合意に至った場合の公正証書の作成について述べさせていただきます。
そもそも婚約とは
婚約とは、簡単に言うと将来に結婚する約束のことです。婚約には、法律上の決まった手続(届出等)がありませんので、客観的に婚約を証明するためには、次のような事情が生じていたかなどにより判断されます。
・結婚式場の予約
・相手の親への挨拶
・婚約指輪の受け取り 等
婚約者に浮気をされたら慰謝料を請求する
婚約者の浮気により婚約解消した場合には、相手に対して慰謝料を請求することができます。慰謝料の相場は、100万円から300万円ほどですが、この金額は「婚約の期間」や「妊娠しているかどうか」等の事情によって金額が増額します。また、婚約者による浮気で慰謝料を請求する場合、相手が浮気を認め慰謝料を支払う約束ができればよいですが、裁判等により婚約者に対して慰謝料を請求するには、相手が浮気をしたという証拠が必要となります。婚約者の浮気を立証するためには、次のような証拠が必要と考えられます。
- ホテルに入っていく写真や動画
- ホテルを利用したことが分かるレシート
- 浮気相手との性的なやり取り 等
浮気されても慰謝料が請求できないこともある?
婚約者の浮気が原因の婚約解消であっても、相手に対し慰謝料を請求できない場合が2つあります。
1つ目は、婚約を証明できない場合です。ただ同棲しているだけでは、婚約として認められない為、浮気をされたとしても慰謝料を請求することが出来ません。そのため、婚約していると証明できるように「結婚式場の予約」や「相手の親への挨拶」、「婚約指輪の受け取り」等のいずれかは済ませておく必要があるでしょう。もちろんこれらの行為がなくとも第三者からの証言などで婚約と認められる可能性はあります。
2つ目は、性的関係を伴わない浮気です。上述の浮気では、全て性的関係を含むものとして説明しておりますが、これがなければ慰謝料を請求することは難しいでしょう。浮気の定義はそれぞれ異なるかと思いますが、裁判等により婚約者の浮気による慰謝料を求めるには婚約者と浮気相手との間に性的関係があったことを証明する必要があります。そのためには、先述でも上げましたが「ホテルに入っていく写真や動画」や「性的なメールやチャットのやり取り」等が重要な証拠となるでしょう。
婚約者による不当な婚約破棄によっても慰謝料を請求できる
婚約者の浮気による婚約解消は、慰謝料を請求することができますが、これ以外にも婚約者の正当な理由がなく婚約破棄がされた場合には、慰謝料を請求することができます。正当な理由のない婚約破棄とは例えば以下のような理由によることが考えられます。
- 性格の不一致による婚約破棄
- 親の反対による婚約破棄
- 別の人が好きになったことが理由に婚約破棄
- 宗教の信仰上の都合による婚約破棄 等
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婚約者による浮気等による慰謝料は公正証書で契約する
公正証書は、公証人と呼ばれる元々裁判官や検察官として長い法律実務の経験を有する特別な公務員が作成する文書のことです。公正証書は全国に300ヵ所程ある公証役場で作成することができます。婚約者による浮気等により慰謝料の支払の合意ができた場合、公正証書によって支払の約束をしておくことをお勧めします。公正証書は、契約内容に強制執行認諾条項(※1)を記載することができますので、婚約者の浮気等による慰謝料を安全に回収することができます。
※1)強制執行認諾条項とは、お金の支払う義務のある者が公証人の面前で「もし支払わなければ、強制執行をしてもいいですよ。」と認める内容の条項のことです。これがあるとお金の支払を受ける者は、相手からお金が支払われない時に、すぐに強制執行手続を開始することができます。 |
婚約者の浮気による契約を公正証書でする場合には、次のような内容を公正証書として契約することが考えられます。以下には、主な内容を挙げさせていただきましたが、当事者が合意できる内容であればこれら以外の内容についても基本的に記載することができます。当然、法的に有効かつ違反ではない内容に限ります。
- 婚約解消(婚約破棄)の理由
- 慰謝料の金額
- 慰謝料の支払方法
- 支払方法が分割の場合の期限の利益喪失
- その他の誓約内容 等
公正証書を作成する流れ
公正証書の作成の流れは、各公証人又は公証役場によって異なる場合があります。下記には、一般的な進め方を記載しております。
1.申込
まずは、慰謝料の支払に関する公正証書を作成したいことを電話やメール等で公証役場に連絡しましょう。作成が可能な内容であれば、必要な書類をその時に聞いておきましょう。もし、作成できない場合には、他の役場に依頼を検討する必要があるでしょう。
2.案文と必要書類の送付
上記によって聞いた必要な書類を持参し、予約した日時に公証役場に出向きます。なお、この時点では必要な書類を提出と公証人との打ち合わせをしましょう。この後の原稿の確認等のやり取りはメールやFAXが中心となります。
3.公正証書の作成
当事者が揃って公証役場に出向き、公正証書に署名と捺印をして公正証書は完成します。所要時間は30分前後です。
【関連記事】 >浮気による契約は公正証書で作成するべきか |
婚約者に浮気をされた場合の調査方法
婚約者の浮気を調査する方法として、どのような方法が考えられるのでしょうか。以下では3つの方法を記載させていただきます。
口頭の確認
もし婚約者の言動が怪しくなったと感じたら、まずは口頭で聞いてみましょう。この時に直接「浮気してる?」と聞くことも場合によっては効果的ですが、浮気慣れしている人からするとあまり効果的ではありません。まずは、何気ない会話から探って相手にボロがでないかを確認しましょう。例えば、「昨日何をしていたか」や「明日の予定」を2日、3日連続して聞いて、最終日に矛盾が生じていないかを確認する方法が効果的です。しかし、普段からこのような会話をしていないと、反対に怪しまれてしまいますのでその点は注意しましょう。
携帯アプリ等の利用
浮気調査に携帯アプリを利用することも効果的です。最近は、浮気を調査するためにアプリに周囲の音の録音や位置情報取得、遠隔操作といった機能があるアプリもあります。これらのアプリは基本的に無料でダウンロードできます。これらを利用することにより、浮気調査による費用を抑えることができますし、場合によっては有効な浮気の証拠を得られるケースもあります。しかし、使用の仕方によっては、相手にばれてしまい関係が悪くなってしまったり、プライバシーの侵害や違法行為となってしまうリスクがありますので、使用には十分に気を付ける必要があるでしょう。
興信所等への依頼
興信所を利用するメリットは、婚約者の決定的な浮気をつかめるかもしれないところです。興信所による調査は、実際に調査員が婚約者を尾行してホテルに入る写真や動画を撮ったり、浮気相手の特定をすることができます。これらの証拠を得ることができれば、裁判等で決定的な証拠となり慰謝料の請求を有利に進めることができるでしょう。しかし、興信所は少なくとも50万円前後の高額な依頼費用がかかりますので、費用面の出費は大きくなると考えられます。
婚約者の浮気による契約書や公正証書は
婚約者の浮気により、婚約解消せざるを得ない状況になった時、これまでの時間は何だったのかや、これからどうすれば良いのかと精神的な苦痛は大きいかと思います。慰謝料はこのような精神的苦痛に対して支払われる賠償金です。お金によって、婚約解消の全てが解決することはできませんが、慰謝料の支払いを請求することで、相手は自信がしてきた浮気の重大性に気が付くことになるでしょう。
婚約者との慰謝料等の支払い契約は必ず書面によって行うようにしておきましょう。口頭の約束は、相手により、その場しのぎの嘘をつかれている可能性があります。しかし、実印を押した契約書や公正証書を作成しておくことで、万一、相手に支払い意思が見られない場合に契約書が証拠となり賠償が認められる可能性が高くなります。
ご依頼後の流れ
婚約解消による慰謝料支払契約書の作成をご依頼いただいた場合には、次の流れによりご申込いただけます。
1.ご連絡
まずは、次のお問い合わせフォーム、メール又はお電話等でお申込みください。お申込みの時点では、当該契約書を作成するために必要な「婚約解消に至った理由、慰謝料の金額、その他の希望」等をお伺いさせていただきます。行政書士は、依頼を受けた業務や内容について守秘義務が課されていますので、安心してご相談いただくことができます。
お問い合わせフォーム→こちら Mail:info@okura-lawjimusho.com Tel:050-3173-4720 |
2.お見積書とご契約
前記1によりお伺いした内容を元に、お見積書と契約書を作成させていただきます。内容にご了承いただけた場合には、契約とお振込みをいただきます。お振込みは、契約後5日以内の事前払いとさせていただいておりますので、ご了承ください。
3.契約書の案文作成
当事務所によって、和解書の案文を作成し、チャットやメールによってお送りさせていただきます。内容を、相手方で確認いただきながら、内容や表現の変更や修正を重ねて、最終的にお二人が合意された契約書や示談書、合意書等を完成させます。浮気相手との示談書等の契約書面についても同様の手順によって作成させていただきます。なお、変更や修正においては、追加費用をいただいておりませんので、最後まで安心してサポートをご利用いただけます。
お問い合わせ
料金
業務内容 | 料金 | 概要 |
慰謝料の支払契約書 | 39,000円~ | 慰謝料の支払を約束する契約書を作成させていただきます。 |
浮気防止の誓約書 | 35,000円~ | 浮気を防止する内容の誓約書を作成させていただきます。 |
交際契約書 | 39,000円~ | 交際中のカップル間の契約書を作成させていただきます。 |
公正証書のサポート | 33,000円~ | 上記の契約について公正証書として作成する場合にはこちらの料金が加算されます。なお、上記全ての契約で公正証書の作成が可能なわけではありませんので、ご了承ください。 |
お客様の声
当事務所は大阪市鶴見区にある事務所ですが、これまでに周辺の大阪府、兵庫県、京都府、奈良県、三重県などの近畿圏内を中心に、遠方では東京都、神奈川県などのご依頼にも対応させていただいた実績があります。婚約者の浮気による契約書や和解書、示談書、合意書の作成サポートに関する初回の電話相談は無料ですので、お気軽にご連絡ください。
以下は、全国からご利用いただいたお客様のご感想です。
作成のイメージ
通常は7ページから9ページの契約書や合意書を作成させていただいております。これら以外にも、離婚協議書や離婚公正証書についても同様にサポートさせていただけます。
よくある質問
Q1.婚約しているのに他の異性と浮気(性的関係あり)をしていることが分かり別れました。この場合には、相手に対して慰謝料を請求できますか。
婚約したカップルは、婚姻状態ではないものの他の異性と性的な関係を持たない義務があると考えられています。そのため、もしこの義務に反して他の異性と性的な関係を持ち、それが理由で婚約解消された場合には、婚約者は精神的な苦痛を受けたことが容易に想像できます。そのため、慰謝料の請求が認められます。
Q2.婚約期間が長い場合には慰謝料は多く請求できるのでしょうか。
はい。婚約期間が長い方が、結婚への期待が大きいでしょうから浮気により婚約解消となった場合には慰謝料が高額になるケースが多いです。
まとめー婚約者に浮気されたらどのように対処するべきか
最後までご覧いただきありがとうございました。こちらの記事では、婚約者の浮気が発覚し婚約解消等になった場合に相手に請求する慰謝料の相場や、契約書や公正証書の作成手順等について以下の内容を詳しく記載いたしました。
1.そもそも婚約とは
2.婚約者に浮気をされたら慰謝料を請求する
⑴浮気されても慰謝料が請求できないこともある?
⑵婚約者による不当な婚約破棄によっても慰謝料を請求できる
3.婚約者による浮気等による慰謝料は公正証書で契約する
⑴公正証書を作成する流れ
4.婚約者に浮気をされた場合の調査方法
⑴口頭の確認
⑵携帯アプリ等の利用
⑶興信所等への依頼
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