妻(夫)の不倫が発覚した時には、感情的になってしまいがちです。しかし、このような場合には冷静な対応を心がけましょう。感情のままに暴言や暴力を振るってしまうと、こちらが適法に請求できる慰謝料も金額は減ってしまったり、立場が不利になってしまったりしてしまうリスクがあります。
こちらの記事では、妻(夫)の不倫によって慰謝料の請求をする方法や不倫相手にも慰謝料を請求することができるのか等について述べさせていただきます。
妻(夫)の不倫では不倫相手にも慰謝料を請求できる?
妻(夫)が不倫をした場合、妻(夫)に対して慰謝料を請求することは当然ですが、不倫相手に対して慰謝料を請求することはできるのでしょうか。結論として、不倫相手に対しても慰謝料を請求することができます。しかし、不倫相手に請求するには、不倫相手の故意・過失があることを立証する必要があります。故意や過失があると言えるためには具体的には、以下のような事実があることが必要と考えられます。
- 既婚者であることを知りながら不貞行為をした場合
- 既婚者であることを知らなくとも、知ることが容易にできるようなケースで不貞行為をした場合
不倫相手に請求することで慰謝料が安全に支払われる?
妻(夫)の不倫相手が、正社員などで安定した給与をもらっているのであれば、慰謝料は不倫相手に請求した方が回収できる可能性が高いと言えるでしょう。近年は、職場の男女平等の動き広がっており女性の管理職的な立場の方も増えてきました。しかし、未だに社会全体を見ても男性の収入の方が女性の収入より高い傾向がありますので、請求する慰謝料の全額を確実に手に入れるためにも、慰謝料は妻(夫)の不倫相手に請求することを推奨します。
妻(夫)の不倫相手は慰謝料を断れるの?
妻(夫)の不倫相手に慰謝料を請求する場合には、まずは内容証明郵便(※1)等によって相手の住所に慰謝料の請求書を送ることになります。この請求書を確認して、不倫相手がすぐに請求慰謝料を支払ってくれれば問題はありませんが、内容証明郵便によって請求をしたとしても相手が記載した期日までに慰謝料を支払わない可能性があります。このように内容証明郵便等によって請求をしたとしても、相手は慰謝料を支払わない選択をすることができます。それでは「内容証明郵便を送った意味があるのか」と思われたかもしれませんが、内容証明郵便には、相手に慰謝料の請求をする以外にも、相手に請求したという証明が郵便局によってされますので、あとで裁判等で慰謝料の請求をしたことや相手が請求の事実を認識していることを証明することができます。そのため、内容証明自体に法的な強制力がないからと言って全く無意味なものではありません。
※1)内容証明郵便とは、いつ、どのような内容の文書を誰が誰に対して送ったのかを郵便局によって証明することができる郵便です。このように内容証明郵便を利用することで、送った日付や差出人と受取人等を証明することができます。しかし、内容証明郵便では、配達の証明ができませんので、配達証明付きで送ることが一般的です。 |
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妻(夫)の不倫相手が慰謝料を認めた場合
妻(夫)の不倫相手が慰謝料の支払いを認めた場合には、支払の約束を口頭ではなく書面でしましょう。口頭の場合、後で慰謝料の金額や支払方法及びその他の契約事項について紛争が生じてしまう可能性があります。書面を作成する場合には、表題(タイトル)は「示談書」や「誓約書」等として、不倫をした事実の自認や謝罪、慰謝料の金額や支払方法を明確に記載しておきましょう。慰謝料が分割払いである場合には、期限の利益喪失条項(※2)を記載しておくと分割払いの不払いがあった場合に、残額を一括で請求することができます。
※2)期限の利益とは、ある日が到来するまで、弁済義務のある債務を履行しなくてもよい利益のことです。具体的には「5万円を毎月1万円ずつに返してください。」と言われた債務は、ある月に1万円を支払っても、次の月までは残りの4万円を支払わなくてよいということですので、期限の利益があると言えます。
期限の利益喪失条項は、期限までに毎月の支払い(上記のケースでは「1万円」)が無い場合に、期限の利益を喪失させ、前倒しで全ての債務(上記のケースでは「残り4万円」)を履行させる旨を定めた条項です。 |
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不倫相手との契約は公正証書を作成するべき
不倫相手が妻(夫)との不倫を認めた場合には、公正証書によって契約することも検討できます。公正証書とは、公証人と呼ばれる法律の専門家が作成する公文書のことです。公正証書は上記で説明した示談書等と異なり、記載した慰謝料の支払い等について強制執行の認諾を記載することができます。この強制執行認諾条項を記載しておくことで、万一、不倫相手が慰謝料の支払いを怠った時に、裁判をせずに、給与や預金の差押ができます。
このような公正証書の効果により、不倫相手が会社員等である場合には、債務を履行しなければ給与が差し押さえられる可能性があり、差し押さえがされると会社に債務を履行していないことがバレてしまいます。普通は、会社にプライベートな事情は知られたくはないでしょうし、社内で良くない噂が広まってしまうなどのリスクがありますので、公正証書を作成することで、相手に安全に支払を求めることができるでしょう。
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不倫相手が慰謝料の支払いを認めない場合
上記のように、不倫による慰謝料の支払いの約束を公正証書によってすることで得られるメリットは大きいです。しかし、公正証書を作成するには、不倫相手の合意が必要ですので、この合意が無ければ作成できません。
公正証書が作成できなければ、私文書(示談書等)として作成するか、慰謝料の支払い自体を拒んでいる場合には訴訟を検討することになるでしょう。訴訟以外にも調停も利用することができますが、不倫相手を相手に調停をするケースは少ないです。
不倫相手と上手に話し合いするには
話し合う内容を決めておく
不倫相手と話す場合には、2、3度以上会って話すケースは少ないと思います。そのため、対面では不倫による慰謝料の支払い等の契約の大枠を決めて、細かいところは、後日メールや郵送でやり取りをすることとなるでしょう。対面による話し合いは相手の反応を伺うことができるので大切な時間です。まずは、最低でも以下の内容は聞いておくべきでしょう。
- 不倫関係にあった期間
- 既婚者であることを知っていたか
- 不倫相手の本人確認書類の確認
詳細を下記に説明いたします。
不倫関係にあった期間
不倫関係にあった期間が長ければ、その分慰謝料の金額も増額されることが予想されます。しかし、慰謝料の金額は不倫関係にあった期間のみで判断されるわけではありませんので、不倫関係にあった期間は一つの慰謝料の算定基準にすぎません。ただし、不倫期間が短い場合よりも長い場合の方がされた側の精神的な苦痛が大きくなることは容易に予想できますので、期間が長ければ長いほど高額な慰謝料請求を検討できると言えるでしょう。
既婚者であることを知っていたか
不倫相手に対して、慰謝料を請求するには、妻(夫)と貴方が婚姻関係にあったことを不倫相手が知っていたもしくは十分に知ることができていたことを証明しなければいけません。もし、不倫相手が妻(夫)と貴方の婚姻関係を知っているのであれば、この証言は裁判等でも重要になります。書面によって記載してもらうことが重要ですが、口頭でしか聞くことが出来ない状況では録音や録画をしておきましょう。
なお、不倫相手が妻(夫)と貴方の関係を知らないからといって慰謝料が確実に請求できないわけではありません。妻(夫)と貴方が客観的に見ても婚姻関係であることが明らかな場合には、浮気相手の落ち度ですので、慰謝料を請求できる可能性はあります。
不倫相手の本人確認書類の確認
公正証書の作成や法的手続きでは、相手の氏名や住所が知っておくことはとても重要です。そのため、相手の運転免許証やマイナンバーカードは必ず確認させてもらいましょう。その際に、相手の承諾が得られるのであれば、本人確認書類を写真や録画で撮っておきましょう。相手に対して、氏名や住所を口頭で聞くと、虚偽の氏名や住所を伝えられる可能性があります。もしこうなってしまったら、後で不倫相手の氏名や住所を調べることは、ほぼ不可能に近いと言えます。
感情的にならない
不倫相手と話す際には、冷静に不倫の事実確認や慰謝料の金額を決めましょう。感情的になって相手を罵倒してしまうと、相手が委縮して有意義な話し合いができない場合があります。話し合いは冷静かつ迅速に進めることを意識しましょう。
上記では、話し合いのポイントに「冷静に」と記載しましたが、相手に対して優しさや思いやりを見せることは一切不要です。このような対応をしてしまうと、かえって相手に甘く見られてしまう可能性があります。
すぐにまとめる
話し合いが終わった後は、すぐに内容をまとめるようにしましょう。後日に回してしまうと重要なことを忘れてしまったり、話した内容が曖昧になってしまうリスクがあります。
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妻(夫)の不倫が発覚した場合の慰謝料の請求
妻(夫)の浮気が発覚した後は、書面を作成しておき証拠を残すようにしましょう。書面は、公正証書を作成しておくことを推奨しますが、相手との合意ができない場合や、金銭的に作成が難しい場合には示談書や合意書、和解書等を交わしておくと安心です。
当事務所では、大阪市内にある事務所ですが、契約書などの作成については、大阪府、兵庫県、京都府などの近畿圏を中心に、遠方ではこれまでに、東京都や神奈川県、沖縄県等のご依頼に対応した経験があります。もし、妻(夫)の不倫による夫婦間の契約や不倫相手との契約等を上記の書面を作成することでお悩みでしたら、当事務所によりサポートさせていただけますのでお気軽にお問い合わせください。
ご依頼後の流れ
示談書や公正証書等の作成をご希望でしたら、次の流れによりご申込いただけます。
1.ご連絡
まずは、次のお問い合わせフォーム、メール又はお電話等でお申込みください。お申込みの時点では、示談書や公正証書を作成するために必要な「事件の概要や経緯、希望」等をお伺いさせていただきます。行政書士は、依頼を受けた業務や内容について守秘義務が課されていますので、安心してご相談いただくことができます。
お問い合わせフォーム→こちら Mail:info@okura-lawjimusho.com Tel:050-3173-4720 |
2.お見積書とご契約
前記1によりお伺いした内容を元に、お見積書と契約書を作成させていただきます。内容にご了承いただけた場合には、契約とお振込みをいただきます。お振込みは、契約後5日以内の事前払いとさせていただいておりますので、ご了承ください。
3.示談書等の案文作成
当事務所によって、示談書等の案文を作成し(公正証書の場合は公正証書案を作成します。)、チャットやメールによってお送りさせていただきます。内容を、ご夫婦で確認いただきながら、内容や表現の変更や修正を重ねて、最終的にお二人が合意された示談書等を完成させます。なお、変更や修正においては、追加費用をいただいておりませんので、最後まで安心してサポートをご利用いただけます。
お問い合わせ
料金
業務内容 | 料金 | 概要 |
浮気防止の誓約書 | 30,000円 | 浮気を防止する内容の誓約書を作成させていただきます。 |
夫婦間合意契約書 | 35,000円 | 夫婦の財産関係を記載した契約書を作成させていただきます。 |
夫婦関係改善契約書 | 35,000円 | 夫婦関係の改善を目的とした書面の作成をサポートさせていただきます。 |
不倫相手との示談書等 | 35,000円 | 不倫相手との契約書の作成をサポートをさせていただきます。 |
離婚協議書 | 30,000円 | 離婚に伴う契約書を作成させていただきます。 |
公正証書のサポート | 30,000円~ | 上記の契約について公正証書として作成する場合にはこちらの料金が加算されます。なお、上記全ての契約で公正証書の作成が可能なわけではありませんので、ご了承ください。 |
お客様の声
下記は、ご依頼いただいた方からいただいたお声でございます。
作成のイメージ
通常は7ページから9ページの契約書や合意書を作成させていただいております。これら以外にも、離婚協議書や離婚公正証書についても同様にサポートさせていただけます。
よくある質問
Q1.不倫相手との交渉はしていただけますか。
交渉はできません。あくまで、お二人で話し合いされた内容に基づき書面を作成させていただきます。
Q2.公正証書の作成時に不倫相手と一緒に公証役場に行かなければいけませんか。
はい。公正証書を作成するためには、不倫相手と慰謝料の支払い等を合意する必要があります。そのため、契約時には原則として、不倫相手と一緒に公証役場に行っていただかなければいけません。
まとめー妻(夫)の不倫が発覚した場合の慰謝料の請求
最後までご覧いただきありがとうございました。こちらの記事では、妻(夫)の不倫によって発生する慰謝料請求権や慰謝料の支払いを安全に受けるための対策などについて下記の内容を詳しく述べております。
1.妻(夫)の不倫では不倫相手にも慰謝料を請求できる?
2.不倫相手に請求することで慰謝料が安全に支払われる?
⑴妻(夫)の不倫相手は慰謝料を断れるの?
3.妻(夫)の不倫相手が慰謝料を認めた場合
⑴不倫相手との契約は公正証書を作成するべき
⑵不倫相手が慰謝料の支払いを認めない場合
4.不倫相手と上手に話し合いするには
⑴話し合う内容を決めておく
ⅰ不倫関係にあった期間
ⅱ既婚者であることを知っていたか
ⅲ不倫相手の本人確認書類の確認
⑵感情的にならない
⑶すぐにまとめる
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