戸籍の取得方法|親族の相続人調査が必要なケース - 相続・遺言・離婚専門の大倉行政書士事務所

2026.05.15

戸籍の取得方法|親族の相続人調査が必要なケース

戸籍の取得方法|親族の相続人調査が必要なケース
戸籍取得・相続人調査・時効援用

親族名義の土地の上に自己名義の建物を建て、長年にわたり固定資産税を負担してきたものの、土地の名義が古いまま残っている。実際に、当事務所へご依頼いただき、現在対応を進めている案件です。 このようなケースでは、土地の名義変更や時効援用を検討する前提として、まず戸籍の取得と相続人調査が重要になります。 本記事では、実際のご依頼案件をもとに、戸籍の基本、取得できる人、郵送請求の方法、役所へ事情を説明する際の添付資料、実務上の進め方についてわかりやすく解説します。

目次

  1. 戸籍とは何か
  2. 戸籍の取得が必要になる場面
  3. 親族名義の土地で相続人調査が必要になるケース
  4. 戸籍を取得できる人
  5. 郵送で戸籍を取得する方法
  6. 役所に事情を伝えるための添付資料
  7. 行政書士に依頼する場合のメリット
  8. よくある質問

戸籍とは何か

戸籍とは、日本国民の出生、婚姻、離婚、養子縁組、死亡、親子関係などを公的に記録する制度です。 相続手続、親族関係の確認、各種名義変更、許認可申請、年金手続、不動産登記の前提資料など、さまざまな場面で必要になります。

特に相続関係を調べる場面では、現在の戸籍だけでなく、出生から死亡までの連続した戸籍、 改製原戸籍、除籍謄本などを順番に取得していく必要があります。 これは、誰が相続人にあたるのかを客観的に確認するためです。

戸籍は単に「家族構成を確認する資料」ではなく、法律上の親族関係や相続関係を証明するための重要資料です。 古い名義の不動産、亡くなった親族名義の土地、相続人が不明な財産を扱う場合には、戸籍の確認が出発点になります。

戸籍の取得が必要になる主な場面

戸籍の取得が必要になる場面は多岐にわたります。代表的なものとして、相続手続、不動産の名義変更、 預貯金の解約、遺言書作成、家系関係の確認、親族への通知、相続人調査などが挙げられます。

相続手続

亡くなった方の相続人を確定するため、出生から死亡までの戸籍を取得します。

不動産の名義変更

登記名義人が死亡している場合、相続関係を証明する戸籍が必要になります。

相続人への通知

時効援用や協議の前提として、現在の相続人と住所を調査する必要があります。

実際にご依頼いただいた案件のご紹介

ここでは、実際に当事務所へご依頼いただき、対応している案件をもとにご説明します。 なお、個人情報保護の観点から、事実関係の一部は一般化・調整しております。

ご相談内容は、親族名義の土地の上に自己名義の建物を建て、約20年にわたり居住し、 固定資産税も継続して負担してきたものの、土地の登記名義人が明治生まれの親族であり、 すでに亡くなっている可能性が極めて高いというものでした。

ご依頼者様のご希望としては、現在の権利者を調査したうえで、必要に応じて時効援用の通知を行い、 最終的には土地の名義整理につなげたいという内容でした。

戸籍をさかのぼって相続人を調査する流れのイメージ
戸籍をたどり、現在の相続人を確認していくイメージ

まず必要になるのは現在の権利者の特定

このようなケースでは、いきなり土地の名義変更を進めることはできません。 なぜなら、現在の登記名義人がすでに亡くなっている場合、その相続人が現在の権利者となっているためです。

そのため、まずは戸籍をさかのぼり、土地名義人から現在に至るまでの相続関係を整理し、 誰が現在の権利者であるのかを確認する必要があります。 また、通知等を行う前提として、現在の相続人の住所調査も必要となります。

長年住んでいて固定資産税を払っていても、それだけでは足りません

「もう何十年も住んでいる」「固定資産税も払っている」という事情は、法的に意味を持ち得る重要な事情です。 もっとも、それだけで当然に土地の名義が変更されるわけではありません。

時効取得や時効援用を検討するにしても、その意思表示を誰に対して行うのかを明確にする必要があります。 つまり、まずは相手方となる現在の権利者を特定しなければ、次の対応に進めないのです。

固定資産税を長年支払っていることのみを理由として、直ちに土地の名義変更が認められるわけではありません。 実際には、戸籍収集による相続人調査、権利関係の整理、必要に応じた通知、そしてその後の法的手続という順序で進めることになります。

戸籍を取得できる人

戸籍は誰でも自由に取得できるものではありません。 原則として、本人、配偶者、直系尊属、直系卑属など、一定の関係にある人が取得できます。 たとえば、自分の戸籍、親の戸籍、祖父母の戸籍、子の戸籍などは取得できる可能性があります。

一方で、兄弟姉妹、おじ、おば、いとこ、遠い親族などの戸籍については、直系ではないため、 取得理由や必要性を具体的に説明する必要がある場合があります。

直系の戸籍から順番にたどる

相続人調査では、まず依頼者本人の戸籍から出発し、親、祖父母、さらにその上の世代へと戸籍をさかのぼります。 その過程で、土地名義人との関係を確認し、対象者の死亡、婚姻、子の有無などを追っていきます。

戸籍の取得は一度で完了するとは限りません。 ある市区町村で取得した戸籍を確認した結果、別の本籍地が判明し、次の役所に請求するという流れを繰り返すこともあります。

郵送で戸籍を取得する方法

戸籍は本籍地の市区町村役場で取得します。 遠方の役所に請求する場合は、郵送請求を利用するのが一般的です。

  1. 請求先の役所を確認する

    取得したい戸籍の本籍地を確認し、その本籍地を管轄する市区町村役場へ請求します。

  2. 戸籍請求書を作成する

    役所所定の申請書に、必要な戸籍の種類、対象者、請求理由、請求者情報を記載します。

  3. 本人確認書類を添付する

    運転免許証、マイナンバーカード表面など、請求者の本人確認書類の写しを同封します。

  4. 定額小為替を同封する

    戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍などの手数料分として、郵便局で購入した定額小為替を同封します。

  5. 返信用封筒を同封する

    返送先住所を記載し、切手を貼った返信用封筒を同封します。

郵送請求では、役所の担当者が書類だけで請求の必要性を判断します。 そのため、複雑な相続人調査や親族関係の説明が必要な場合は、申請書だけでなく、補足説明の書面を付けることが有効です。

役所に事情を伝えるための添付資料

親族名義の土地について、現在の相続人を調査する目的で戸籍を取得する場合、 役所の担当者に対して「なぜこの戸籍が必要なのか」をわかりやすく示すことが重要です。

申請書だけでは事情が伝わりにくい場合、連絡書や説明書を作成し、関係資料を添付することで、 担当者が判断しやすくなります。

役所へ戸籍取得の事情を説明する連絡書のイメージ
役所へ事情を説明する連絡書のイメージ

添付資料の例

  • 依頼者が作成した家系図
  • 固定資産税納税通知書の写し
  • 土地の登記簿謄本の写し
  • 対象者との関係を示す戸籍
  • 請求理由を説明する連絡書
  • 委任状
  • 本人確認書類の写し

家系図を添付する理由

家系図は、役所の担当者が親族関係を一目で確認するための補足資料になります。 特に、明治生まれの名義人を起点に相続人をたどる場合、関係者が多くなりやすく、 戸籍だけでは全体像を把握しにくくなることがあります。

家系図を添付することで、誰の戸籍を、どのような理由で取得したいのかを説明しやすくなります。

固定資産税納税通知書を添付する理由

固定資産税納税通知書は、依頼者がその土地について長年関与してきた事情を示す資料になり得ます。 もちろん、納税しているだけで所有権が認められるわけではありませんが、 戸籍取得の必要性や利害関係を説明する補足資料として意味があります。

登記簿謄本を添付する理由

登記簿謄本を添付することで、土地の現在の登記名義人が誰であるかを客観的に示すことができます。 「なぜその人の戸籍が必要なのか」という点について、役所側に説明しやすくなります。

行政書士に依頼する場合のメリット

戸籍の取得自体は、一定の関係があれば本人でも行うことができます。 しかし、今回のように、親族名義の土地、古い登記名義人、相続人調査、時効援用通知書の作成が関係する場合は、 単に戸籍を取るだけではなく、全体の流れを見据えた整理が必要になります。

行政書士は、権利義務又は事実証明に関する書類の作成を業務としており、 時効援用通知書、相続関係説明図、戸籍取得のための申請書、役所宛の連絡書などを作成することができます。

必要な戸籍を整理

どの人物の、どの時点の戸籍が必要かを確認しながら進めます。

役所への説明を補助

複雑な事情を連絡書や添付資料で整理し、担当者が判断しやすい形にします。

通知書作成へつなげる

相続人確定後、必要に応じて時効援用通知書の作成へ進めます。

職務上請求書を利用できる場合もある

行政書士は、受任している業務に必要な範囲で、職務上請求書を利用して戸籍を取得できる場合があります。 ただし、職務上請求書は無制限に使えるものではなく、具体的な受任業務と必要性があることが前提です。

今回のように、時効援用通知書の作成や相続関係説明図の作成など、具体的な書類作成業務がある場合には、 その業務に必要な範囲で戸籍収集を検討することになります。

なお、戸籍を取得した後の不動産登記手続は司法書士の業務です。 行政書士が対応できる範囲と、司法書士・弁護士等に引き継ぐべき範囲は、事案ごとに整理する必要があります。

時効援用通知書との関係

土地の時効取得を主張する場合、相手方に対して時効を援用する意思表示を行うことがあります。 この際、相手方がすでに亡くなっている場合には、その相続人に対して通知を行う必要が生じます。

そのため、時効援用通知書を作成する前提として、戸籍を取得し、現在の相続人を確認する作業が必要になります。 誰に通知するのかが不明確なままでは、通知書を作成しても実効性に問題が生じる可能性があります。

つまり、戸籍取得は単なる事務作業ではなく、時効援用通知書を適切に送付するための重要な準備段階です。

戸籍取得でつまずきやすいポイント

  • 本籍地が何度も変わっており、請求先の役所が複数になる
  • 古い戸籍の記載が読みにくい
  • 明治・大正・昭和初期の戸籍が関係し、相続関係が複雑になる
  • 直系ではない親族の戸籍取得について、役所から追加説明を求められる
  • 請求理由の書き方が不十分で、戸籍が交付されない
  • 相続人が多数に分かれ、住所調査まで必要になる

このような場合には、単に申請書を送るだけでなく、事情説明書、家系図、登記簿、固定資産税資料などを組み合わせて、 戸籍取得の必要性を丁寧に説明することが大切です。

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よくある質問

Q1. 親族の戸籍は誰でも取得できますか?

誰でも自由に取得できるわけではありません。本人、配偶者、直系尊属、直系卑属などは取得できる場合がありますが、 兄弟姉妹や遠い親族の戸籍については、請求理由や必要性を具体的に説明する必要があります。

Q2. 明治生まれの土地名義人の戸籍も取得できますか?

取得できる可能性はあります。ただし、古い戸籍の場合、本籍地の変遷や戸籍の保存状況を確認しながら進める必要があります。 まずは登記簿上の住所や本籍地、関係する親族の戸籍から順番に確認していきます。

Q3. 固定資産税を払っていれば土地の名義を変更できますか?

固定資産税を支払っていることは重要な事情の一つですが、それだけで当然に名義変更できるわけではありません。 相続関係、占有状況、時効取得の成否、相続人への通知、登記手続などを総合的に確認する必要があります。

Q4. 戸籍を郵送で請求する場合、何を同封すればよいですか?

一般的には、戸籍請求書、本人確認書類の写し、手数料分の定額小為替、返信用封筒を同封します。 相続人調査など複雑な事情がある場合には、家系図、登記簿謄本、固定資産税納税通知書、事情説明書などを添付することがあります。

Q5. 相続人調査はどこまで必要ですか?

目的によって異なります。土地名義人が死亡している場合、その相続人を現在の世代まで確認する必要があります。 時効援用通知書を送付する場合には、通知先となる相続人の特定と住所確認が重要になります。

Q6. 行政書士に戸籍取得だけを依頼できますか?

事案によります。行政書士は、権利義務又は事実証明に関する書類作成業務に関連して、必要な戸籍収集を行うことがあります。 単なる戸籍取得代行ではなく、時効援用通知書や相続関係説明図など、具体的な書類作成業務と関連して進めるのが通常です。

Q7. 戸籍を取得した後はどうなりますか?

取得した戸籍をもとに相続関係を整理し、現在の相続人を確認します。 その後、必要に応じて住所調査、時効援用通知書の作成、相続人への通知、名義変更に向けた手続の検討へ進みます。

Q8. 不動産の名義変更まで行政書士に依頼できますか?

不動産登記の申請代理は司法書士の業務です。 行政書士は、戸籍収集、相続関係説明図、通知書、事情説明書などの書類作成を担当し、 登記が必要な段階では司法書士と連携する形になることがあります。

まとめ

親族名義の土地の上に自己名義の建物を建て、長年固定資産税を支払っている場合でも、 土地の名義を変更するには、まず現在の権利関係を整理する必要があります。

登記名義人が明治生まれなどで既に亡くなっている可能性が高い場合には、 戸籍をさかのぼって相続人を調査し、現在の相続人を確認することが出発点になります。

戸籍取得では、申請書だけでなく、家系図、固定資産税納税通知書、登記簿謄本、事情説明書などを添付することで、 役所の担当者に事情を伝えやすくなります。

そのうえで、必要に応じて時効援用通知書を作成し、相続人に対して適切に通知を行うことになります。 複雑な親族関係や古い戸籍が関係する場合には、早い段階で専門家に相談し、必要書類と手続の流れを整理しておくことが重要です。

戸籍取得・相続人調査・時効援用通知書の作成でお困りの方へ

親族名義の土地、古い登記名義人、相続人が不明な不動産などは、最初の戸籍調査でつまずくことが少なくありません。 当事務所では、事情を整理したうえで、必要な戸籍の確認、役所への説明書類、相続関係説明図、時効援用通知書の作成などをサポートしています。

※事案の内容により、司法書士・弁護士等の専門家による対応が必要となる場合があります。

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