2022.08.10
見守り契約ってどんな制度でどこに頼む?料金相場や契約時の注意点
見守り契約とは、任意後見が始まる前に定期的に任意後見人になる予定の方が、ご本人と定期的にコミュニケーションをとり、任意後見契約の効力を発生させるタイミングをチェックしてくれる契約です。
この契約を結ぶことで、ご高齢者の健康の確認や認知症の初期症状を発見し、すみやかに任意後見へと移行できます。
見守り契約について
見守り契約の締結後は、2~3か月に1回程度、電話や直接訪問等で連絡を取り、ご本人の健康状態や環境に変化が無いかをチェックしたりします。
しかし、見守りの頻度が少ないとお考えの場合は、見守り契約を締結する際に、見守り回数を「1か月に2回行う」「1週間に1回」など具体的な回数を決めておくと良いでしょう。
見守り契約は1人でお住まいのお年寄りにとって有用なものかもしれませんね。
その通りです。ただし見守り契約だけではなく、その後の任意後見契約まで結んでおくことが重要と言えます。
見守り契約はどこに頼めばいいの
見守り契約の相手は誰に頼めばよいでしょうか?親族以外に頼む場合ケースでは行政書士や司法書士等の専門家があげられます。
- 行政書士
- 司法書士
見守り契約のメリット
- ご本人が安心して生活することができる
- 将来、任意後見人となる人と関係を深めることができる
- 後見開始をスムーズに行うことができる
- よい相談相手になってくれる
ご本人が安心して生活することができる
見守り契約を締結することで、ご本人が急に体調を崩した時や転んで起き上がれないときなどにも連絡1つで、かけつけてくれるためご本人が安心して生活を行うことができます。
また、身体的な心配だけでなく自己の財産管理に関する代理権も付与しておくことで、財産面も安心して生活することができます。
後見開始をスムーズに行うことができる
見守り契約は基本的に、その後の任意後見契約や死後委任事務契約などと一緒に締結されることが多いです。そのため、契約専門家が見守り契約中に本人の判断能力の低下を判断した場合、すぐに後見に移ることができます。
将来、任意後見人となる人と関係を深めることができる
上述の通り、見守り契約はいくつかの契約と一緒に、申し込むケースが多いです。そのため、見守り契約中に契約専門家の人柄や実務能力を測ることが可能です。
つまり、見守り契約中に契約専門家とコミュニケーションを取っておくことで、本当に後見人はこの人でよいのかを見定めることができます。
見守り業務に問題なければ、そのまま後見契約を任せる事も出来ますし、相性が合わない場合には、別の専門家に任せることも可能です。
よい相談相手になってくれる
見守り契約は、定期的に契約した専門家とコンタクトをとることが一般的です。ご本人が近所の方との付き合いがなかったり、離職後に行く場所がなければ相談する人を探すことも難しいでしょう。しかし、見守り契約を締結しておけば、定期的な専門家の訪問の際に相談することが可能です。
見守り契約の注意!
見守り契約を締結する上で下記の2つはおさえておきましょう。
身の回りの世話までは頼めない
見守り契約はあくまでも、本人を見守ることが目的の契約です。そのため、自分の都合でスーパーに買い物に行ってもらったりすることは基本的にできません。
よくあるケースとして、見守り訪問の際に部屋の掃除を頼むとやってくれると思われがちですが、通常は見守り契約の中には含まれていることはありません。契約後のトラブルにならないように、はっきりと契約内容を決めて契約書を交わせましょう。
判断能力の低下後はすぐに後見
見守り契約の主な目的の一つとして、スムーズに後見を開始することがあげられます。ご本人の判断能力が低下した場合にはすぐに後見が開始できるように準備をしておきましょう。
後見には、法定後見と任意後見がありますが、いずれも家庭裁判所に申立が必要です。なお、見守り契約を締結しているケースでは、契約中に任意後見契約公正証書を作成しておき、本人の判断能力の低下を見計らって開始することが一般的です。
見守り契約の締結
見守り契約の目的
契約書の第1条には、契約締結の目的を書きます。目的を定めることでその後の条項が定めやすくなりますし、当事者同士が契約の目的を確認する意味でも記載しておきましょう。
第○条(目的) 本契約の目的は、乙が地域社会において安心して暮らせるように、甲が定期的な電話による連絡又は訪問を行うことで、乙の健康状態や生活状況を把握して見守ることを目的とする。
見守り契約の内容
見守り契約には、後のトラブルを避けるためにも月々の訪問回数や訪問日を定めておきましょう。その他にも、見守りの内容についてあくまでも電話連絡や訪問面談等の「見守り」であると記載しておくと良いでしょう。
第○条(内容) 1.甲は乙に、電話連絡や訪問によって見守りを行う。ただし、乙の身の回りの世話や家事等は本契約には含まれないものとする。 2.甲は乙に、次号のように見守りを行う。 ⑴ 週に1回以上の電話 ⑵ 月に2回以上の訪問
見守り契約の期間
契約書には、契約期間も定めておきましょう。契約期間は1年とすることが一般的です。
「1年だと1年後新たに契約書を作らなくてはいけないのでは?」と思いますが、そんなことはありません。民法上は契約の更新を終了する意思表示が無ければ、同じ契約内容で契約が自動更新されることになっています。
第○条(契約期間) 1.本契約の有効期間は、契約締結日から1年間とする。 2.契約期間満了日の1か月前までに、甲又は乙から相手方に対して契約終了の意思表示がなければ、本契約と同一条件で1年間更新するものとし、以後も同様とする。
見守りサービスの相場
最後に見守り契約の相場について、いくつかの調査結果をご覧いただきます。
行政書士等の士業に見守り契約を依頼する場合の費用として「契約書作成料金+見守り代+駆けつけ料金」が一般的にかかります。
契約書作成料金
2万円から5万円
見守り代
こちらはサービスの充実性によって値段が以下のように変化します。下記は一例ですので、ご参考になれば幸いです。
電話のみ(月々1~2回程度) | 月額5,000円~7,000円程度 |
電話と訪問(月々1~2回程度) | 月額10,000円~15,000円程度 |
電話と訪問(週一回程度) | 月額15,000円~20,000円程度 |
駆けつけ料金 | 1回5000円程度 |
見守り契約の相場は以上の通りです。見守り契約を締結するにあたって値段は重要な判断材料ですが、やはり自分を最後まで見守ってくれる誠実で真面目な方を選ぶことの方が重要と言えます。
見守り契約に関するご相談は
見守り契約は、自分の判断能力が低下する前に締結するので、将来の後見人が「どういった性格なのか」「ちゃんと後見業務をしてくれるか」などをじっくりと検討することができます。
そのため、見守り契約は将来に向けた安心といった意味でよい契約です。
見守り契約に関するご相談は下記からお問い合わせ・ご連絡ください。