2022.03.29
遺言書の公的な保管方法とは?
遺言書を作成したのだけれど、保管方法に悩んでいませんか?遺言書の保管場所の悩みは誰もが抱える悩みです。自分で保管していると、見つからなかったときに不安になるし、誰かに預けたいけれど信頼できる人が見当たらない。このような悩みを抱えているご相談を数多く受けてきました。
ではそのような場合にはどうすればよいのでしょうか。考えられる方法を2つ下記に記載しました
遺言書保管制度を利用する
遺言書保管制度とは、令和2年の7月より法務局において新たに設けられたです。これは法務局に遺言書を持参することで遺言書保管官によって遺言書が保管されます。遺言書保管制度は令和2年に始まった比較的に新しい制度です。そのため、現在はあまり認知はされていませんが、遺言書の改竄や、紛失の可能性が少ないのでこれからどんどん利用されることが予想されます。
利用方法
遺言書保管制度を利用するには、自筆証書遺言書を作成の上、遺言者の住所地や本籍地を管轄する法務局の中から遺言書保管所を選びます。
そして、法務局の窓口やネットから遺言書保管申請書を入手して記入し、遺言書と一緒に遺言書保管官に提出します。申請を行うには事前に予約が必要なのでネットや電話で連絡しましょう。
必要物
- 遺言書
・ホチキスをしない。
・封筒も不要。 - 遺言書保管申請書
・ネットや窓口で取得しておき作成したうえで、予約して来庁する。 - 住民票の写し(本籍、筆頭者の記載があるもので、マイナンバーや住民票コードに記載が無いもの)
- 顔写真付きの身分証明書(運転免許証やマイナンバーカード等)
- 手数料
・遺言書1通につき3,900円
・収入印紙で納付します。(法務局で購入可能)
※遺言書を外国で作成した場合は、内容が分かる日本語の翻訳文が必要です。
手順
1.自筆証書遺言書を作成する
保管制度を利用するためには、自筆で遺言書を作成し法務局に提出しなければなりません。なお法務局では、遺言書の内容について確認がされません。作成に関する質問は行政書士等の専門家にご相談下さい。
2.保管申請する遺言書保管所を決める
保管の申請場所は次のいずれかの遺言書保管所の中から選択します。
・遺言者の住所地を管轄する遺言書保管所
・遺言者の本籍地を管轄する遺言書保管所
・遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する遺言書保管所
※2通目以降、追加で遺言書の保管を申請をする場合は、最初に申請した保管所に対してのみ行うことができます。
3.遺言書保管申請書を作成する
最寄りの法務局の窓口やネットで申請書を取得し、申請書に記入します。(遺言書保管申請書のダウンロードはこちら。)
4.保管申請の予約をする
手続を行うには必ず予約が必要です。予約についてはこちらをご覧ください。
5.遺言書保管所に来庁し、保管申請を行う
上記であげた、必要物を持参の上予約した日に来庁し手続を行います。
来庁には必ず本人が行かなければなりません。
公正証書遺言の作成による保管
公正証書遺言は、遺言者が、公証人(国の公務である公証作用を担う実質的な公務員)と証人2名の前で、遺言内容について口頭で告げ、公証人が、遺言書の内容が遺言者の意思であることを確認し、これを文章にまとめたものを、遺言者及び証人2名に読み聞かせることで、内容に間違いがないことを確認して、作成する遺言書です。
民法では、「証人2人以上」と定められていますが、証人は2人でよいとされます。
利用方法
公正証書遺言書を作成するには、まず公証役場に予約を取って、公証役場に訪れます。公証役場に赴いたら、公証人との面談で、遺言内容や必要書類について打ち合わせをします。そして、遺言作成の準備が整ったら、作成日を決めて作成当日に遺言者と証人2人が公証役場に赴き、公証人が公正証書遺言書を作成します。ただし、遺言者が、病気や高齢のために公証役場に赴くことができない場合は、公証人が指定の場所に赴いて作成することが可能です。(手数料50%加算+交通費がかかります。)
また、公正証書遺言書を作成するにおいて相談は行政書士等の専門家に行うことができます。
公証人の手数料
目的の価格 | 手数料 |
100万円以下 | 5,000円 |
100万を超え200万円以下 | 7,000円 |
200万を超え500万円以下 | 11,000円 |
500万円を超え1000万円以下 | 17,000円 |
1000万円を超え3000万円以下 | 23,000円 |
3000万円を超え5000万円以下 | 29,000円 |
5000万円を超え1億円以下 | 43,000円 |
1億円を超え3億円以下 | 43,000円に超過額5000万円までごとに13,000円を加算した額 |
3億円を超え10億円以下 | 95,000円に超過額5000万円までごとに11,000円を加算した額 |
10億円を超える場合 | 249,000円に超過額5000万円までごとに8,000円を加算した額 |
必要物
- 遺言者の印鑑登録証明書
・発行から3か月以内のもの - 遺言者の官公署発行の顔写真付き身分証明書
・運転免許証やマイナンバーカード等 - 遺言者と相続人との続柄が分かる戸籍謄本
・市区町村役場の住民窓口等で取得 - 財産を遺贈する場合は受遺者の住民票
・法人の場合は、その法人の登記事項証明書(登記簿謄本) - 不動産を遺言書に記載する場合は次の書類
・登記事項証明書(登記簿謄本)と固定資産評価証明書 - 次の者のメモ
・証人予定者の氏名、住所、生年月日及び職業をメモ
・遺言執行者の氏名、住所、生年月日及び職業のメモ
手順
1.公証役場に予約
公正証書遺言を作成する場合はまず、最寄りの公証役場に連絡して公正証書遺言書を作成する意思を伝えて、面談の日時を決めます。
2.遺言内容のメモや必要書類を提出する
遺言書で残したい内容のメモをまとめ、公証人に提出します。提出は直接公証役場に持参して行うこともできますし、メール、ファックス、郵送等により行うことができます。またその時に上記に記載した必要物も持参しましょう。
3.作成日時の確定
公正証書遺言書の内容が確定したら、遺言者、証人、公証人の都合の良い日で作成日時を決めます。作成場所については公証役場でも、公証人の出張による作成も可能です。(公証人の出張による作成は50%加算の手数料+交通費がかかります。)
4.公正証書遺言書の作成
作成当日に、遺言者が、公証人と証人2名の前で、遺言の内容を改めて口頭で告げて、公証人が判断能力を有する遺言者の真意であることを確認します。そして、作成の手順に沿って公正証書遺言書を作成します。
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大倉行政書士事務所は遺言書作成業務を専門としています。遺言書に関してお困りの方はお気軽にご相談ください。