お金の貸し借りを分割払いでするには、公正証書が必須! - 相続・遺言・離婚専門の大倉行政書士事務所

2025.12.18

お金の貸し借りを分割払いでするには、公正証書が必須!

お金の貸し借りを分割払いでするには、公正証書が必須!
目次

    個人事業主が個人事業主や法人からお金を借りるケース

    事業をしていると、銀行からの融資以外にも知人や取引先からお金を借りるケースがあります。個人事業主が別の個人事業主や法人から資金を借りることは、決して珍しくありません。

    例えば、奈良で小さな店舗を営むAさんが、設備投資のために同業者のBさんからお金の貸し借りをする、といったケースです。

    こうした場合、単に口約束や簡単なメモだけでお金を借りるのは非常に危険です。なぜなら、金銭の貸し借りは信頼関係が前提とはいえ、後々返済でもめるリスクが高いからです。

    実際、『知人に貸したお金が返ってこない』『家族に立て替えた生活費をなかなか返してもらえない』など、金銭トラブルの相談は後を絶ちません。口約束のままでは法的な証拠が弱く、相手に返済を求めるのも一苦労です。

    また、分割払いでの貸し借りは、一括返済より条件が複雑になるため、なおさら契約書が重要です。長期にわたる返済計画では「いつまでにいくら払う」という取り決めが細かくなりますから、文書で管理しないと双方の認識がずれやすくなります。

    特に返済を分割払い(分割弁済)でする場合、返済期間が長期にわたります。その間に借りた側(債務者)の経営状況が悪化したり、貸した側(債権者)との関係が変化したりする可能性もあります。

    個人間でお金を貸す場合でも、ビジネス上の貸し借りでも、必ず正式な契約書を作成しましょう。そして可能であれば、その契約書を公正証書という形で作成することを強くお勧めします。特に分割払いの取り決めをするなら、公正証書にしておくことで万一のトラブルに備えることができます。

    公正証書で契約書を作成するメリット

    公正証書で契約書を作成するメリット

    では、なぜ金銭消費貸借契約書(お金の貸し借りの契約書)を公正証書にする必要があるのでしょうか。主なメリットは次の通りです。

    強い証拠力と執行力

    公正証書は公証人という公務員が作成する公式な文書です。単なる私的な借用書に比べて証拠としての信用力が高く、「借りていない」などと後から言い逃れされにくくなります。実際、公正証書があれば、借主が後になって「借りていない」「署名が偽造だ」などと主張してもまず通りません。

    それほど公正証書の信用力は高いのです。さらに、公正証書には「強制執行認諾条項」という一文を付けることができます。これは借りた人(債務者)が約束どおりに返済しなかった場合に、裁判をしなくてもいきなり相手の給料や財産を差し押さえることができる強力な約束です。

    つまり、もし返済が止まってしまったときでも、公正証書があれば裁判なしで強制執行(差押え)が可能になるのです。

    返済条件を明確にできる

    公正証書で契約を作る際には、返済の条件や万一延滞した場合の取り決めなど、細かい点まですべて文章に落とし込みます。「毎月いくら返すのか」「返済日は何日か」「利息はいくらか」「遅れたらどうするか」など、重要な条件を一つひとつ明確に定めます。

    普通の借用書だと口頭の約束任せで曖昧になりがちな点も、公正証書なら1文字単位まで確定させるため、後から「聞いていない」「そんな約束はしていない」と揉める余地が減ります。

    予防効果が高い

    公正証書を交わしておくことで、心理的にも「正式に契約した」という緊張感が生まれます。借りた側も、公証人の前できちんと契約した手前、「返さなくては大変なことになる」と強く意識するでしょう。

    その結果、実際に返済が滞る可能性が格段に下がると言われています。事実、公正証書を作成しておくだけで支払いが止まりにくくなり、未払いのままトラブルになるケースが激減します。

    公証人による内容チェック

    公正証書にする際は、公証役場で公証人が契約内容を確認します。不備があれば指摘されますし、法律に反する内容(例えば利息が法律の上限を超えている等)は認めてもらえません。

    公証人という第三者のチェックが入ることで、契約内容の妥当性も担保されます。特に利息については、個人間の貸し借りでも利息制限法という法律で上限(金額により年15〜20%)が定められており、法外な高利は無効になったり処罰対象となったりします。公正証書で契約を作る段階でこうした点もクリアにしておけるのです。

    こうしたメリットから、お金の貸し借りをするなら公正証書で契約書を作成しておくことがベストです。奈良県で契約を交わす場合も、奈良市にある公証役場(奈良合同公証役場)で公正証書を作成できます。

    では、公正証書で金銭消費貸借契約書を作る際に具体的に何を決め、どんな条項を入れておくべきでしょうか。

    金銭消費貸借契約書に盛り込むべきポイント

    公正証書で金銭消費貸借契約書を作成する際、主に次のようなポイントを盛り込みます。専門的な用語も出てきますが、一つずつ噛み砕いて説明します。

    いつ、誰が誰に、いくら貸したのかを明記します。例:「令和◯年◯月◯日、甲(貸主)は乙(借主)に金◯◯万円を貸し付けた」。これが契約の基本となる部分です。

    お金を貸す際に利息を付けるかどうかを決めます。個人間のお金の貸し借りでは無利息とすることも多いですが、利息を取る場合は年◯%という形で利率を定めます。

    利息制限法という法律で元本額に応じた上限(金額が大きいほど上限年利が低く、例:100万円以上なら年15%まで)があるため、その範囲内で設定します。前述のように、利息を付ける場合は法律の上限範囲内で設定しましょう(通常は年5%程度までにしておくと安全です)。

    分割払いにする場合、具体的な返済計画を定めます。例えば「返済は令和◯年◯月から令和◯年◯月まで毎月末日限り◯◯銀行◯支店の甲の口座に振り込む方法で行う」「毎月の返済額は◯万円(うち利息◯円、元本◯円)」などです。

    返済回数(期間)や各回の金額、支払日、振込手数料の負担者(通常は借主負担)なども具体的に取り決めます。

    また、繰上げ返済(途中で残額をまとめて返すこと)を認めるかどうかも決めておくと良いでしょう。繰上げ返済をする場合の手続きや取り扱い(利息計算の調整など)についても、必要に応じて契約書に定めます。

    さらに、確実な返済のため借主に銀行の自動送金サービスを利用させるといった取り決めを入れることもあります(例:「借主は毎月◯日に上記口座への自動送金手続きを行う」)。

    聞き慣れない言葉かもしれませんが、「期限の利益」とは、借主が分割払いの期限まで支払いを猶予されている権利のことです。

    簡単に言えば「約束通りの期日まで分割で払えばいいですよ」という利益です。しかし契約では、一定の事由が起きた場合にはその権利を失わせ、残りの債務を一括で請求できるように定めます。

    これが「期限の利益の喪失」条項です。典型的には「借主が返済を1回でも怠ったときは、貸主からの請求を待たずに当然に期限の利益を失い、残額全てを直ちに支払うものとする」という内容です。

    要するに、一度でも滞納したら残りの借金全額を一括で返してもらうという取り決めです。他にも「借主が破産など法的整理の申立てを受けたとき」や「借主の所在が不明になったとき」など、貸主にとって深刻な事態が起これば期限の利益を失わせる条件を列挙します。

    この条項を入れておくことで、もしもの時には分割払いの約束を打ち切って早期に回収に動けるようになります。

    万一支払いが遅れた場合に生じるペナルティとしての利息です。例えば「支払うべき期日を過ぎたら、支払い済みまで年◯%の遅延損害金を支払う」と定めます。

    これも法律で上限があり、現在は年3%(変動制)が法定利率となっています。遅延損害金を定めておけば、滞納された期間の損害をきちんと補填できる形になります。

    先ほどメリットのところで述べた、裁判なしで強制執行できる旨の特別な約束です。具体的には「借主が本契約に基づく支払いを怠ったときは直ちに強制執行を受けても異議ありません」という内容を公正証書の中に盛り込みます。

    これにより、公正証書が債務名義(判決と同じ効力を持つ書面)となり、滞納時には速やかに差押え等の法的手続きに移ることが可能となります。

    なお、この強制執行認諾条項は公正証書で作成する場合にしか付けられない特別な条項です(私文書の契約には付けられません)。

    場合によっては保証人や連帯保証人を付けることもあります。その際は、保証人も含めて公正証書に署名押印し、「連帯保証人は借主と連帯して一切の債務を負う」旨を明記します。

    保証人がいることで貸主はより安心ですが、保証人にも大きな責任が生じるため、慎重に検討しましょう。なお、保証人を付ける場合は、必ず保証人本人にも公正証書に署名押印してもらい、契約当事者として明記する必要があります(口約束の保証では意味がありません)。

    以上が、公正証書で金銭消費貸借契約書を作成するときに盛り込まれる主な項目です。これらを専門家のサポートのもとできちんと取り決めておくことで、契約後のトラブル防止につながります。

    実例:事業資金の貸し借りを公正証書で交わしたケース

    実例:事業資金の貸し借りを公正証書で交わしたケース

    では、実際に公正証書で契約を交わした例を見てみましょう。

    奈良県で飲食店を営む個人事業主のAさんは、店舗改装のために知人であるBさんの経営する会社から300万円を借りることになりました。

    返済は2年間で月々分割払いとし、利息は年5%を付ける約束でした。両者は信頼関係がありましたが、金額も大きいため万一に備えて契約書を交わすことにしました。

    AさんとBさんは当事務所(行政書士)に依頼し、金銭消費貸借契約書を作成してもらった上で奈良市の公証役場で公正証書にしました。契約当日、AさんとBさんは奈良合同公証役場に一緒に出向き、公証人から契約条項の読み上げと説明を受けました。

    内容に双方問題がないことを確認すると、その場で署名・押印し、公正証書が無事完成しました。初めて公正証書を作成したAさんは少し緊張しましたが、公証人が手続きをリードしてくれたおかげでスムーズに済み、Bさんも「これで安心だ」と胸を撫で下ろしました。

    契約書には先ほど挙げたポイントがすべて盛り込まれています。例えば、「毎月末日までに◯◯銀行のBさん指定口座へ125,000円ずつ振り込む」「1回でも滞納したら残額を一括請求できる」「遅延損害金は年3%」等です。当然、強制執行認諾条項も入っています。

    日常的なシチュエーションでも公正証書が有効

    お金の貸し借りは、何も事業者同士だけの話ではありません。日常生活でも様々なシチュエーションで発生します。例えば、日常では次のようなケースがあります。

    このような個人間の貸し借りでも、公正証書は非常に役立ちます。身近な間柄だからといって油断すると、後々トラブルになった際に関係がこじれてしまいます。

    最初に公正証書を作っておけば、たとえ相手が家族や友人でも、お互いに責任を持って約束を守ろうという意識が生まれます。特に高額な貸し借りや長期間にわたる分割払いの約束をする場合は、必ず公正証書にしておくべきです。

    例えば、奈良に住む主婦のCさんは、同じ奈良県生駒市内に住む友人のDさんに急な出費があり50万円を貸しました。2年間で毎月返してもらう約束でしたが、口約束だけでは心配だったため、公正証書を作成しました。

    Dさんは最初、「友達相手にちょっと大げさじゃないか」と驚きましたが、公証役場で正式に契約したことで気持ちが引き締まり、「絶対に迷惑をかけないように返そう」と思ってくれました。

    その後Dさんは計画通り返済を続け、滞ることはありませんでした。

    公正証書を作成する手続きと費用

    公正証書を作成する手続きと費用

    実際に公正証書を作ろうと思ったら、どのように進めれば良いでしょうか。ここでは、奈良で金銭消費貸借契約の公正証書を作成する流れと費用の目安について説明します。

    手続きの流れ

    1.契約内容の準備

    まず、貸し借りの条件を細部まで詰めておきます。誰が・誰に・いくら貸すか、返済方法、利息や返済期日、万一の取り決め(保証人の有無等)を決め、メモや案文の形にします。行政書士などに依頼すれば、この契約書原案の作成を手伝ってもらえます。

    2.公証役場へ予約・相談

    奈良市の奈良合同公証役場など、公証人がいる役場に連絡し、公正証書を作成したい旨を伝えて予約を取ります。公証人は基本的に契約内容そのものの相談には乗ってくれませんが、書類形式のチェックや必要書類の案内をしてくれます。

    3.必要書類の準備当日

    までに、当事者双方の本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカード等)、印鑑(認印でも可ですが実印が望ましい)、そして契約内容をまとめた書面などを用意します。

    法人が関与する場合は会社の登記事項証明書、保証人がいる場合は追加の本人確認書類が必要になります。行政書士に依頼している場合、これらの書類準備もサポートしてもらえます。

    4.公証役場での作成当日

    予約した日時に貸主・借主(または代理人)が公証役場に出向きます。公証人が用意した公正証書の原稿を読み上げ、内容に間違いがないか確認します。

    問題がなければ、当事者全員がその場で署名・押印します。こうして公正証書が正式に完成します。なお、当日貸主または借主本人が来られない場合は、事前に委任状を準備することで代理人が代理で契約手続きを行うことも可能です。

    5.公正証書の保管と正本交付

    完成した公正証書の原本は公証役場に保管されます。代わりに、公証人から正本(原本と同等の効力を持つ写し)が交付されます。

    通常、貸主が強制執行できるよう正本を受け取り、借主には謄本(写し)を渡します。公正証書はこの正本があれば強制執行の際に裁判所に提出するだけで済む重要な書面ですので、なくさないよう大切に保管しましょう。

    費用の目安

    公正証書を作成する際には、公証人手数料がかかります。手数料は貸借する金額に応じて法律で定められています。

    (※これは基本手数料で、証書のページ数が多い場合などに多少の加算があります)

    つまり、数百万円規模の貸し借りであれば手数料は1万円台程度で、公正証書という強力なお守りを手に入れることができます。

    また、公正証書の正本・謄本の発行には1通あたり数百円~数千円の費用(公証人の手数料とは別に収入印紙代等)もかかります。

    行政書士に契約書作成を依頼した場合の報酬は事務所によって異なりますが、公正証書作成サポートとして7~10万円程度が一般的です。

    しかし、貸したお金を確実に返してもらう安心を得られると考えれば、決して高い投資ではありません。裁判になれば弁護士費用などもっと大きなコストがかかることを考えると、最初に公正証書を作っておく意義は大きいと言えます。

    以上のように、手順を踏めばそれほど難しいものではありませんが、初めて公正証書を作る方にとっては準備すべきことも多く不安かもしれません。そのようなときは、やはり専門家である行政書士に相談しながら進めると安心です。では最後に、本記事の内容を簡単に振り返りましょう。

    公正証書作成は行政書士におまかせください

    公正証書作成は行政書士におまかせください

    お金の貸し借りを分割払いでするなら、公正証書で契約書を作成するのがベスト。口約束や私的な借用書だけでは法的に弱く、トラブルになるリスクが高まります。

    公正証書には強制執行認諾条項を付けられるため、万一の未払い時でも裁判を経ずに差押えが可能です。この強制力が貸し手の安心につながり、借り手にも返済の遵守を促す効果があります。

    返済条件や利息など重要事項を細かく取り決め、契約書に明記できます。曖昧さを残さないことで後々の紛争を予防します。

    公正証書は事前の準備が大切です。公証人は契約内容の相談には乗ってくれませんので、事前に内容をしっかり詰めておく必要があります。わからない点があれば行政書士など専門家に相談しましょう。

    奈良で公正証書を作成したい場合は、ほとんどのケースで奈良合同公証役場で手続きを行います。必要書類(本人確認書類や印鑑、契約内容メモなど)を揃え、貸主・借主双方が公証役場に出向いて作成します(代理人による手続きも可能です)。

    行政書士は契約書作成のプロです。公正証書にする前提となる契約書の原案作成から、条件の調整、必要書類の案内、そして公証人とのやり取りまでサポートします。特に金銭消費貸借の公正証書は条項も専門的なので、最初から行政書士に依頼しておくと安心です。

    お金の貸し借りはデリケートな問題ですが、だからこそ最初にきちんとルールを決めて文書に残すことが重要です。公正証書という形で契約を交わせば、奈良でのビジネスシーンでも日常生活でも、金銭トラブルを未然に防ぎ、安心してお金を貸し借りすることができます。もし「金銭消費貸借契約書を作りたい」「公正証書にしたい」という場合は、ぜひ行政書士にご相談ください。

    奈良県で金銭契約の公正証書作成を検討中の方は、ぜひ当事務所までお気軽にお問い合わせください。専門家として全力でサポートいたします。

    料金表

    金銭消費貸借契約書・公正証書作成に関する料金目安です。

    サービス 料金(税込)
    金銭消費貸借契約書の作成 39,000円〜
    公正証書の作成サポート 77,000円〜

    ※ 別途、公証人手数料として30,000円前後が必要となります。
    ※ 事案の内容・金額・条項数により費用が変動する場合があります。

    対応地域

    生駒市を中心に、奈良県北部および近隣エリアからのご依頼に対応しています。 公正証書作成については、全国対応も可能です。

    奈良県

    • 生駒市
    • 奈良市(学園前・富雄・西大寺・登美ヶ丘・高の原 ほか)
    • 大和郡山市
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    その他の地域

    • オンライン・郵送対応により全国対応可能
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    ※ 上記以外の地域でも対応可能です。まずはお気軽にご相談ください。

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