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2023.12.04

公正証書の作り方は?離婚時は作成するべき?

公正証書の作り方は?離婚時は作成するべき?

 夫婦で離婚をする際に、今後の養育費や財産分与等の決めごとについて公正証書によって作成したいと考えられる方は多くいらっしゃいます。特に、債権者(支払いを受ける側)からすると公正証書を作成することにより得られる利益や安心は大きいため、離婚の契約は公正証書によって契約されるケースが多いです。

こちらの記事では、公正証書について説明しつつ、離婚時に作成する公正証書の記載内容や公正証書の作成手順等について解説いたします。

そもそも公正証書とは?

そもそも公正証書とはどのようなものなのでしょうか。
公正証書は「私人からの嘱託により、公証人がその権限に基づいて作成する文書」であり、私人が作成する私文書と区別されます。公正証書は私文書と比べ、公証人(公正な第三者である公務員)によって作成されるため、契約が当事者の有効な意思表示によってになされたかにについて強い推定がされます。

離婚公正証書(正本)
画像:公正証書(正本)

離婚の際の契約は公正証書でしなければいけないの?

公正証書にするか?離婚協議書にするか?

 離婚をする際には、今後の養育費や財産分与等について話し合いをすることが一般的です。夫婦で話し合った内容は、私文書として離婚協議書作成したり、公証人が作成する公正証書によって作成しておくことで、後の「言った、言っていない」等の言い争いを防止します。離婚時の契約は、必ず公正証書として残しておく必要はなく、私文書によっても有効に契約をすることができます。

では、なぜ離婚時の契約は公正証書によって行うことが多いのでしょうか。その理由としては、公正証書を作成することによって得られるメリットの大きさが考えられます。続いて、公正証書を作成するメリットについて解説致します。

公正証書を作成するメリット

離婚公正証書を作成するメリット

1.信用がある文書が作成できる

公正証書は、法律実務経験の長い、元々検察官や裁判官であった公証人(法務大臣の任命を受けた特別な公務員)によって作成されます。そのため、公証人によって作成される公正証書は、私人によって作成される私文書よりも高い証明力を有しています。

2.強制執行がスムーズ

公正証書は、債務者の支払いが滞った場合等に直ちに強制執行に服する旨の条項を公証人によって記載することができます。公正証書に強制執行の認諾に関する条文(強制執行認諾文言などといいます。)があると、債務者(支払をする者)に債務の不履行があれば、債権者 (支払を受ける者)は一定の手続を経て、ただちに強制執行を行うことができます。このような強制執行認諾文言がある公正証書を執行証書と言います.

3.的確な条文を記載できる

公正証書を作成する流れは後に詳しく解説しますが、公正証書を作成する場合、公証人に案文を提出する必要があります。案文には、「どのような契約にするか」や「支払はどのように行うか」などを具体的に決めます。公正証書として作成することで、自分で作成した条文の内容を公証人が確認し、適切に添削されますので、法的に問題の無い適切な内容の契約書が作成できます。

公正証書の作り方を解説!【離婚】

公正証書の作り方(離婚)フローチャート

1.夫婦間での話し合い

離婚にあたり、婚姻期間に得た夫婦の共同財産をどのように分配するかや、夫婦間に未成年の子がいる場合には親権や養育費、財産分与の金額等について話し合います。離婚の際には、一般的に下記の内容について話し合われます。

★ポイント
金銭の支払については、支払金額と一括の場合は支払期日、分割払いの場合は、支払いの始期と終期を記載する必要があります。(例 財産分与として、金200万円を令和○年○月から令和○年○月まで)

2.公正証書の案文を作成

夫婦で話し合った内容を、条文にして案文を作成します。案文はメモ書き程度のものでは、公証人によっては公正証書の案文を作成してもらえない場合があります。そのため公証人に公正証書の案文を提出する際は、書籍やネットの雛形を事前に確認して、これを参考にして作成するようにしましょう。こちらの記事でも、以下に「離婚給付契約公正証書」のひな形(テンプレート)を記載しております。

3.必要書類の準備

案文が完成したら、公証人に案文を提出する前に戸籍謄本等の必要書類を準備します。必要書類は基本的に事前にメール等で公証人に確認してもらい当日に持参します。案文を提出した後に、必要書類を準備し提出することもできますが、一度にまとめて提出した方が、公証人による案文の確認の際に、「住所や生年月日」等の情報と提出した案文の内容を照らし合わせて確認することができるため、そちらの方が良いでしょう。

離婚に関する公正証書を作成する場合には以下の書類の提示が必要になります。(公証役場によっては戸籍謄本の原本の提出を求められる場合があります。)

【全ての方が必要】

【離婚の公正証書に必要】

※1)調印時に「実印」が必要です。
※2、3)条文に不動産に関する内容を記載する場合に必要です。
※4)条文に年金分割の記載する場合に必要です。

4.公証人による案文の確認

案文や必要書類を提出すると、約2週間ほどで公証人又は書記の方から公正証書の案文がメールやFAXによって届きます。公証人の案文は事前に提出していた案文と記載表現が大きく異なるケースがほとんどです。そのため、提出された案文は改めて内容に間違いがないかを夫婦間で確認しましょう。

5.公証人に連絡

送られた案文に変更がなければ、公証人にその旨を伝えて、公正証書の内容を確定します。その際に、公正証書の調印(作成)日を調整するため、事前に夫婦の都合がいい日を3日程度空けておき、その日時もあわせて伝えると調印の段取りがスムーズです。

6.調印

上記によって公証人と決めた日時において、調印を行います。調印には基本的に以下のような書類や印鑑が必要となり、所要時間はおおよそ40分程度です。

【当日の持ち物】

※5)公証人手数料とは、公証人手数料令によって定められている公証人の公正証書作成の手数料です。公証人手数料は公正証書の案文と一緒に送られることが多く、その金額は条文に記載する財産価格によって異なりますが「40,000円~70,000円」ほどです。

公正証書の作り方は?離婚公正証書のひな形(テンプレート)

公正証書の案文の例を以下に記載致しました。ご自身のケースに当てはめてご参考程度にご利用ください。なお、こちらの案文のご使用はご自身の責任の下ご利用いただくようお願い致します。

Word文書のダウンロードは→こちらです。

画像:ダウンロードのイメージ

離婚給付等契約公正証書


本職は、当事者の嘱託により、次の法律行為に関する陳述の趣旨を録取し、本証書を作成する。

本旨

第1条(離婚の合意)
 夫・○○(以下「甲」という。)と妻・○○(以下「乙」という。)は、本日、協議離婚する(以下「本件離婚」という。)こと及び乙が速やかに離婚届を提出することを合意した。
第2条(親権者の指定)
 甲と乙は、両者間の未成年の長男・○○(平成○年○月○日生、以下「丙」という。)の親権者を乙と定め、乙において、丙が成年に達するまで、監護養育することを合意した。
第3条(養育費)
 1 甲は、乙に対し、丙の養育費として、離婚届出の前後を問わず、令和○年○月から丙が満○歳に達する日の属する月(令和○年○月)まで、1か月金5万円を、毎月末日限り、乙の指定する下記の預金口座(以下「本件口座」という。)に振り込む方法により支払う。振込手数料は甲の負担とする。

銀行:三井住友銀行支店 ○○支店
種別:普通預金
口座番号:1234567
口座名義:○○
 2 前項にかかわらず、甲又は乙のいずれかが再婚した場合は、甲は、乙に対し、丙の養育費として、再婚した日の属する月から丙が満20歳に達する日の属する月まで、1か月金○円を、前項と同様の方法により支払う。
第4条(財産分与)
 甲は、乙に対し、財産分与として、離婚届出の前後を問わず、金○万円の支払義務があることを認め、これを次のとおり分割して、本件口座に振り込む方法により支払う。振込手数料は甲負担とする。
 ⑴ 令和○年○月○日限り、金○万円
 ⑵ 令和○年○月から令和○年○月まで毎月末日限り、毎月金○万円ずつ
第5条(面会交流)
 1 乙は、甲が丙と毎月○回以上面会交流することを認める。
 2 面会交流の具体的な日時、場所及び方法等は、甲及び乙が、丙の意思を尊重し、その福祉に配慮して協議の上、定める。
第6条(通知義務)
 甲及び乙は、住所又は勤務先等を変更したときは、速やかに相手方に対し、変更後の新住所又は新たな勤務先の名称、所在地及び電話番号を文書で通知する。
第7条(清算条項)
 1 甲及び乙は、本件離婚に関し、以上をもって円満に解決したことを確認し、本証書に定めた事項以外は、財産分与等名目のいかんを問わず互いに何らの金銭的請求をしない。
 2 甲及び乙は、本証書に定めたもののほかには、何らの債権債務がないことを相互に確認する。
第8条(協議解決)
 本証書に定めのない事項又は本証書の解釈について疑義が生じたときは、甲及び乙は、誠意をもって協議の上解決する。
第9条(強制執行の認諾)
 甲は、本証書に定める金銭債務を履行しないときは、直ちに強制執行に服する旨陳述した。

公正証書の作り方は?離婚の際にはどこに行けばいいの?

 公正証書は公証役場に常駐する公証人によって作成されますので、基本的に離婚における契約を締結する当事者となる夫婦が2人で揃って公証役場へ出向き手続きを行うことになります。離婚契約に関する公正証書は全国に約300か所あるどの公証役場でも作成できますので、利用者が自由に公証役場を選ぶことが出来ます。一方、公証人は自己の管轄地域を出て公正証書を出張作成することはできませんので、出張によって公正証書の作成を依頼する場合には、公証人の管轄に注意しましょう。

以下が大阪、兵庫、京都の主要な公証役場の場所になります。公証役場への案文の提出や必要書類の提出はメールやFAXによっても行うことができますが、初めての場合には打ち合わせを含めて公証役場に実際に行かれることをお勧めします。(直接出向く場合には事前連絡が必要です。)

【大阪府】

公証役場 所在地 電話番号
大阪府
本町公証役場 大阪市中央区安土町3-4-10 京阪神安土町ビル3階 06-6271-6265
難波公証役場 大阪市浪速区難波中1-10-4 南海SK難波ビル6階 06-6643-9304
上六公証役場 大阪市天王寺区東高津町11-9 サムティ上本町ビル4階 06-6763-3648
梅田公証役場 大阪市北区芝田2-7-18 LUCID SQUARE UMEDA 3階 06-6376-4335
堺合同公証役場 堺市堺区北瓦町2-4-18 現代堺東駅前ビル4階 072-233-1412
兵庫県
神戸公証センター 神戸市中央区明石町44番地 神戸御幸ビル5階 078-391-1180
阪神公証センター 尼崎市南塚口町2丁目1番2 塚口さんさんタウン2番館2階 06-4961-6671
京都府
京都合同公証役場 京都市中京区東洞院通御池下る笹屋町436-2 シカタディスビル5階 075-231-4338
宇治公証役場 宇治市宇治壱番132-4 谷口ビル2階 0774-23-8220

公正証書の作り方は?離婚公正証書の作成料金と費用

 弊所では以下の料金で離婚公正証書(離婚給付等契約公正証書)の作成をサポートさせていただいております。なお、ご状況によってはご依頼をお受けできない場合がありますので、その点をご了承ください。ご依頼が可能かどうかは電話やメール(info@okura-lawjimusho.com)又はお問い合わせフォームよりお問い合わせください。

サービス 価格 概要
離婚協議書(公正証書原案)の作成 25,000円 私文書として、離婚協議書を作成させていただきます。
離婚給付契約公正証書作成サポート 55,000円~(※1) 公正証書の原案作成、公証人との打ち合わせ、調印日の段取り等をサポートさせていただきます。

※)夫婦で離婚が決まっていない場合や、協議内容がまとまっていない場合には対応できかねます。
※)実費(交通費や郵送費等)は別途費用がかかります。
※1)公証役場での代理調印(署名と押印)が必要な場合には別途「11,000円」費用がかかります。

離婚協議書や公正証書の原案作成のみ、又は公証役場での代理手続(代理調印を除く)でしたら、遠方のご依頼であってもメールや郵送により対応させていただくことができますので、お気軽にご相談ください。

全国対応

公正証書の作成時に必ずかかる【公証人手数料】とは

公証人が、公正証書を作成した場合の手数料は、公証人手数料令によりその金額が定められいるため、公正証書を作成する際には必ず公証人手数料がかかります。公証人手数料は上記の行政書士報酬額とは別途かかる費用になります。以下、公証人の基本手数料です。

公証人手数料

公正証書の作り方は?離婚時によくある質問

Q1.離婚協議書と離婚公正証書の違いはなんですか

離婚協議書は私人によって作成される文書のことです。一方公正証書は公証人と言われる法務大臣の任命を受けた公務員が作成する文書です。

Q2.公正証書にはどのようなことを記載すればいいですか?

離婚時に作成する公正証書には以下のような内容を記載するケースが多いです。

Q3.学費の負担について記載できますか?

可能です。学費を具体的な金額を定めることもできますし、負担する割合(各2分の1ずつ等)を決めることも可能です。

Q4.養育費の額はどのように決めればよいでしょうか?

養育費の金額は、原則夫婦の話し合いによって決めます。話し合いにより金額や支払期間が決まらない場合には裁判所の算定表を用いると決めやすいでしょう。

Q5.離婚の公正証書は離婚前、離婚後どちらに作成すればよいでしょうか?

一般的には離婚前に作成します。しかし、離婚後であっても作成することは可能です。

Q6.離婚はしたくないのですが、不貞による慰謝料は請求できるのでしょうか?

可能です。ただし、婚姻期間中の公正証書による契約は作成が難しいため、公証人と打ち合わせが必要となります。

公正証書の作り方【離婚】まとめ

最後までご覧いただきありがとうございました。離婚時(離婚前)に今後の金銭的な支払を私文書や公正証書によって残しておくことには非常に有効です。養育費のように、長い期間において支払いがされる契約では、夫婦間の後の争いを防止する目的でも公正証書を作成しておくべきでしょう。

離婚に関するご相談やご依頼については、電話やメールにより全国的にご対応させていただくことができますので、お悩みでしたら是非ご相談ください。

大倉行政書士事務所の紹介

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