2024.05.22
モラハラ夫と離婚したい!公正証書でする契約とは
「婚姻生活中に夫によるモラハラを受けているので離婚をしたいです。」とご相談をいただくことがたまにあります。このような場合には離婚をすることが可能なのでしょうか。離婚をするにはまずは、夫婦で話し合いによって離婚をする協議離婚、次に離婚調停をすることが一般的ですが、夫婦で話し合いが出来なければ離婚裁判をすることも検討する必要があります。
しかし、現行の法律では、離婚裁判はどのようなケースでも認められるわけではなく、離婚を裁判によって実現するには離婚事由が生じていなければ認められません。離婚事由とは「不貞行為、悪意の遺棄(生活費を渡さない)、3年以上の生死不明、回復の見込みのない強度の精神病、その他婚姻を継続しがたい重大な事由」の5つがあります。モラハラによる離婚が裁判で認められるためには、その他婚姻を継続しがたい重大な事由があることを立証することとなるでしょう。
さて、こちらの記事では、モラハラ夫と離婚したいとお考えの方に向けて、協議離婚を前提に離婚をするケースについて述べさせていただきます。
モラハラについて
モラハラという言葉は、よく聞くことがあると思いますが具体的にはどのような言動を示すのでしょうか。そもそものモラハラの意味は「言葉や態度などによって、一緒に生活する人間や働く人間の人格や尊厳を傷つけたり、肉体的、精神的に傷を負わせて、その人を攻撃すること」をいいます。モラハラは、身体的暴力のように外傷を伴わない精神的な攻撃ですので、問題が表面化しずらい傾向があります。そのため、モラハラ被害が続くと被害者の心身は次第に不健康になっていき、最悪の場合にはうつ病などのメンタルヘルス不調の原因となることもあります。
モラハラの例
モラハラは、定義が抽象的なので具体的にどのような行為が該当するかの判断は少し難しいかもしれません。例えば、以下のような行為はモラハラと言えるでしょう。
能力の否定
「こんなこともできないのか」、「何にもできないやつだな」等の相手の能力を否定する言動はモラハラに該当します。これは、職場内でよくあるケースですが、夫婦間の家事や育児でもこのようなモラハラが起こります。
行動の制限
「友達とランチに行ってはいけない」、「異性としゃべってはいけない」等の相手のプライベートや行動を制限する行為もモラハラに該当します。
モラハラ被害を受けやすい人
モラハラによる被害は、目に見える者ではなく、相手の心理を巧みに操作することにより相手を支配するという側面もあります。そのため、次のような性格の人はモラハラの被害を受けやすいと言えるでしょう。
- 言い返さない人
- 自分に自信がない人
- あまり怒らない人 等
モラハラをやめさせるには
相手によるモラハラを辞めさせるには、まずは相手に対し、相手の言動がモラハラに当たることを伝えることでしょう。モラハラの加害者は、意識せずにモラハラをしている場合があります。もし、少しでも「おかしいかも」と感じたら、自分で解決しようとせず、両親や友人、知人に話を聞いてもらいましょう。客観的な意見によりモラハラであることが発覚するかもしれません。
相手がモラハラについて改善したいという意思があるのであれば、今後モラハラをしないことを約束した誓約書や夫婦間の合意書を作成しておくとよいでしょう。このような書面を作成することで相手はモラハラを自覚するようになり生活が改善される場合があります。
モラハラによる離婚は公正証書の作成を
モラハラが原因で離婚をする場合には、まずは協議離婚による離婚を検討します。協議離婚では夫婦で話し合いをして離婚や離婚条件に合意します。これらの合意ができた場合には契約は公正証書によってすることをお勧めします。
公正証書は、公証役場で公証人によって作成される公文書のことです。公文書は私人が作成する私文書よりも社会的に信用のある文書を作成することができます。公正証書を作成する最大のメリットは、お金の支払い義務のある方が契約により定めた金額を支払わない場合に強制執行の手続が裁判を経ずしてできるところです。この強制執行をするためには公正証書に強制執行認諾条項が付けられていなければいけません。強制執行認諾条項は、債務者が公証人の面前で強制執行認諾を認める内容を陳述することで記載してもらえます。(代理による陳述も可能です。)
離婚公正証書に記載する内容
離婚により公正証書を作成したいとご相談される方は多いです。その理由は、離婚に伴う契約は「養育費、財産分与、慰謝料」等の金銭的な支払いを伴う契約が多いからです。モラハラによる離婚も慰謝料の支払い等が記載されることが一般的ですので、慰謝料の支払いを確実に受けるためにも強制執行認諾条項付きの公正証書によって作成される方が多いです。
離婚公正証書では次のような条項が記載されます。モラハラが原因により離婚をする場合には、モラハラによる精神的な損害として慰謝料の請求ができますので、離婚条件には慰謝料も加えておくとよいでしょう。
- 離婚の合意について
- 未成年の子供の親権
- 未成年の子供の養育費
- 未成年の子供の面会交流
- 財産分与
- モラハラによる慰謝料
なお、協議離婚は夫婦の合意が前提となりますので、上記の内容の全てが認められるわけではありません。そのため、財産分与について相手と合意ができなければ、離婚条件の不合意として調停や審判、判決等による解決がされることとなります。
モラハラにより裁判で認められる慰謝料の相場
慰謝料は与えられた精神的苦痛の分だけ支払われる損害賠償です。裁判によりモラハラの慰謝料が認められた場合の相場は「100万円から300万円」ほどです。ただし、裁判によるモラハラは被害者がモラハラの証拠をもって損害を立証しなければなりませんので、ハードルが高いと言えるでしょう。
モラハラがあったことの証拠となりうるもの
・医師の診断書(うつ病等)
・録音や動画(相手の暴言等)
・メールやLINEによるやり取り
公正証書の作成の流れ
1.公正証書の作成合意
まずは、夫婦で公正証書を作成することの合意をしておきましょう。その際に、モラハラによる慰謝料の金額の定めやその他の離婚に伴う条件を話しておくとよいでしょう。もし、夫婦で離婚や条件に合意ができない場合には公正証書は作成できませんので互いに協力して話し合いをすることが大切です。
2.公正証書の記載内容の検討
上記によって話し合い決めた内容を契約書に記載します。契約書に記載する内容は夫婦で合意した内容のみを記載しましょう。もし、合意できていない内容がある場合には、空欄にしておき公正証書の作成までに決めることとし、公正証書を作成することに専念しましょう。一部の合意ができないからといって、手続を一度止めてしまうと作成までかなりの時間がかかってしまいます。
3.必要書類の準備
公正証書を作成するには、戸籍謄本や本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード等)を事前に提出する必要があります。また、記載する内容によっては不動産に関係する書類や年金に関する書類、保険に関連する書類が必要となりますので、必要に応じて書類は用意しましょう。もし、何が必要か分からない場合には公証役場に必要な書類を聞きましょう。
4.公証役場の予約
契約書の作成や必要書類の収集が終われば、作成する公証役場に連絡します。公証役場は平日にしか業務を行っていませんので、予約による電話は平日にしましょう。一度目の電話では、モラハラによる離婚公正証書を作成したい旨や必要な書類は全て準備できている旨、打ち合わせを希望する日等を伝えます。
5.公正証書原稿の確認
公証役場での打ち合わせが終わると、メール等により公証人から公正証書の原稿が届きます。届いた原稿を改めて夫婦で確認して変更や修正が無ければその旨を伝えましょう。変更や修正がある場合には公証人に伝えると変えてもらえます。この変更修正は公正証書の作成時にもすることができますが、作成当日の変更は余計に時間がかかりますので、事前に済ませておくことをお勧めします。
6.公正証書の作成
公正証書を予約していた日に作成します。作成は、概ね30分で終わります。作成時には運転免許証等の本人確認書類や認印が必要となりますので忘れずに持参しましょう。
モラハラによる離婚で公正証書や協議書を作成する方
当事務所は、離婚による公正証書や協議書の作成を専門に取り扱っております。これまでにモラハラによる離婚を含めて多くの件に対応して参りました。モラハラは精神的な負担が大きく最悪の場合にはうつ病を発症してしまう場合があります。モラハラの加害者は自分がモラハラをしていると自覚をしていないケースが実は多いです。そのため、まずは相手にモラハラをやめるように要求し、それでも相手による改善が見られない場合には離婚を検討されると良いかと思います。
また、自分でなかなか相手に対して強く言えないとお考えの方も中にはいるかもしれません。このような場合には、既に相手によるモラハラがあるケースが多いので、まずは家族や友人に相談し、第三者を挟んで話し合うことも検討できるでしょう。
※ご依頼に当たっての注意 ・紛争性のある書面の作成は対応できません。 ・作成させていただく協議書や公正証書は夫婦の合意が無ければできません。 ・一方の代理人としての相手に対する交渉はできません。 |
手続の流れ
1.ご連絡
メールや問い合わせフォームよりお申込みください。お申込みの時点では、離婚協議書や公正証書を作成するために必要な「離婚の合意や離婚条件、記載のご希望」等をお伺いさせていただきます。行政書士は、依頼を受けた業務や内容について守秘義務が課されていますので、安心してご相談いただくことができます。
2.お見積書とご契約
前記1によりお伺いした内容を元に、お見積書と契約書を作成させていただきます。内容にご了承いただけた場合には、契約とお振込みをいただきます。お振込みは、契約後5日以内の事前払いとさせていただいておりますので、ご了承ください。
3.離婚協議書や公正証書の案文作成
当事務所によって、離婚協議書や公正証書の案文を作成し、チャットやメールによってお送りさせていただきます。内容を、ご夫婦で確認いただきながら、内容や表現の変更や修正を重ねて、最終的にお二人が合意された離婚協議書や公正証書を完成させます。なお、変更や修正においては、追加費用をいただいておりませんので、最後まで安心してサポートをご利用いただけます。
4.公正証書の作成
離婚契約を公正証書でする場合には、公証役場へ必要書類や案文を提出し公正証書を作成します。
料金
書面の種類 | 料金 | 概要 |
離婚の公正証書 | 60,000円~ | 離婚公正証書の原案を作成し、公証役場において打ち合わせや必要書類の提出等を行います。 |
公証役場での代理調印 | 15,000円 | 当事者一方の代理人として、公証役場で代理署名等を行います。代理人を立てて作成する場合には、委任者の委任状が必要です。 |
離婚協議書 | 30,000円 | 離婚協議書を作成し、PDFにより提供します。郵送は追加料金で対応させていただきます。 |
お客様の声
当事務所は大阪市鶴見区にある事務所ですが、離婚協議書や公正証書の作成サポートは、全国の都道府県でもご利用いただいております。ご依頼をお考えでしたら、いつでもお気軽にお申し付けください。また、大阪府や京都府、兵庫県、奈良県など近畿圏内についても対応させていただけます。
以下は、全国からご利用いただいたお客様のご感想です。
作成のイメージ
通常は7ページから9ページの離婚協議書や公正証書を作成させていただいております。
まとめーモラハラ夫と離婚したい!公正証書でする契約とは
最後までご覧いただきありがとうございました。こちらの記事では、夫や妻によるモラハラにより離婚したい方に向けて次の内容を記載させていただきました。
1.モラハラについて
⑴モラハラの例
⑵モラハラ被害を受けやすい人
⑶モラハラをやめさせるためには
2.モラハラによる離婚は公正証書の作成を
⑴離婚公正証書に記載する内容
⑵モラハラにより裁判で認められる慰謝料の相場
⑶公正証書の作成の流れ