2022.04.11
相続手続の費用はどれくらいかかる?
相続が発生すると残された相続人はさまざまな相続の手続を行うため、時間と費用が必要になってきます。
限られた、時間と費用の中で相続を行うことは非常に難解です。専門家ですら、いまだに経験したことのない相続事例に遭遇することも少なくないです。
さらに相続は頻繁に起こるものではないので、費用がどれくらいかかるのかを少しでも把握できている人は少ないのではないでしょうか?
この記事では、「相続手続に必要な書類の収集費用」や「預貯金、不動産、有価証券、自動車の相続手続の費用」の相場などを画像付きで説明しています。
それでは、まずは相続の流れについて簡単に説明し、その後に費用について解説します。
相続の流れを解説
手続の手順として、まず遺言書の有無を確認します。一般的に遺言書が存在すると相続人や遺言執行者はその遺言のとおりに相続を行うことなります。
しかし、遺言書が無い場合には相続人となる者全員で遺産分割協議を行わなければいけません。遺産分割協議とは、故人の遺産について相続人が「誰が、何を、どのくらい」相続するかを話し合って決めることです。
遺産分割が終わると、遺産分割協議書という亡くなった方の財産を相続人でどのように分割したかどうかを証明する書面を作成します。遺産分割協議書は分割によって特定財産の継承が決まった相続人が、金融機関や法務局で分割内容を証明するために提出します。
つまり、遺産分割協議が終わり遺産分割協議書を作成すると、遺産を相続する人がそれぞれ不動産の登記、預貯金の払戻、自動車・有価証券の名義変更等の手続を行うという流れになります。
相続手続に必要な書類の収集費用
戸籍謄本の取得費用
戸籍謄本は、あらゆる相続手続において必ず必要になります。取得方法は市区町村役場の窓口やコンビニで取得することが可能です。戸籍謄本(全部事項証明書)、戸籍抄本(個人事項証明書)とも取得にかかる手数料は1通につき450円です。ただし、コンビニによる取得は少し安く手に入ります。
また、戸籍は本籍地のある市区町村役場で取得するのですが、本籍地が遠方にある場合や平日に時間が無い場合などの理由で取得が困難な場合には、郵送による取得が可能です。
【戸籍謄本と戸籍抄本の違い】
戸籍謄本は戸籍に記載されている全員の身分事項を証明するものであるのに対し、戸籍抄本は戸籍に記載されている人の1人または複数人の身分事項を証明するものです。戸籍は重要な個人情報なので、1人の戸籍が必要な場合には戸籍抄本を利用するようにしましょう。
除籍謄本の取得費用
除籍謄本とは、婚姻、離婚、死亡などによって戸籍から全員が抜けた状態をそのまま謄写したものをいいます。除籍謄本(全部事項証明書)、除籍抄本(個人事項証明書)があり、取得にかかる費用は1通につき750円です。
改製原戸籍の取得費用
改製原戸籍とは、戸籍が法律の改正によって、新しく作り変える際に元となった戸籍です。
現在、戸籍は役所内にデータとして保管されていますが、元々の戸籍は紙で保管されていました。この紙の戸籍を「改製原戸籍」といいます。
交付の手数料は1通につき750円で、故人の出生から死亡までの戸籍を集めるときなどに取得します。
住民票の取得にかかる費用
住民票とは住民の氏名、生年月日、住所等が記載されたものです。相続において、不動産登記の際などに、不動産を取得する者の住民票が必要となります。なお、不動産の登記をする際には住民票に本籍の記載が必要なので、住民票を発行する際は本籍を記載をしましょう。
住民票の写しの交付手数料は、都道府県によって異なる場合もありますが、1通につき300円〜400円で取得できます。
大阪市内で住民票を取得する場合は、300円です。
住民票除票の取得にかかる費用
人が死亡すると、死亡届を役所に提出します。死亡届が受理されると、その故人は住民票から抹消されます。この抹消された住民票を「住民票の除票」と言います。住民票の除票の交付手数料は1通につき300円~400円です。
大阪市内で住民票の除票を取得する場合は、300円です。
印鑑登録証明書の取得費用
印鑑登録証明書とは、実印登録のある市区町村役場で登録した際の印影を取得して、それが書類などに捺印した印鑑と同じものであることを証明してもらう書類です。
印鑑登録証明書の交付手数料は1通につき300円です。
財産別の相続手続の費用
相続の手続において、財産の種類によって費用は異なります。
・ 預貯金の相続手続の費用
・ 不動産の相続手続の費用
・ 自動車の相続手続の費用
・ 有価証券の相続手続の費用
上記の順番でそれぞれ説明していきます。
預貯金の相続手続の費用
故人が名義人となっている銀行口座は、相続人や遺言執行者(遺言を執行することを指定された人)が銀行で手続を行えば、名義変更によって口座を引き継ぐことができます。
名義変更に必要な書類
金融機関によって異なりますが、一般的に以下の書類が必要になります。
- 相続届(金融機関が指定するもの)
- 通帳、キャッシュカード
- 故人の出生から死亡までの戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書
- 窓口に来た人の実印
- 故人の届け出印
- 委任状(代理による場合)
- 遺産分割協議書または遺言書
名義変更の手続は行政書士等の専門家に1件3万円〜10万円ほどの報酬で依頼できます。
›預貯金の相続手続のわかりやすい解説はこちら
不動産の相続手続の費用
不動産を相続した場合に、相続人が不動産の所有権を移転させる必要があります。この所有権の移転を行わずにその土地の売買や贈与を行うことはできません。
所有権移転登記に必要な書類は法務局の窓口やホームページからもダウンロードが可能です。登記手続を行う場所は不動産がある地域を管轄する法務局で行います。
名義変更に必要な書類
相続人の1人が相続する場合の必要物は下記の物です。
- 登記申請書(法務局の窓口やHPからダウンロード)
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続関係を説明した図
- 不動産を相続する者の住民票
- 被相続人の住民票の除票(戸籍の附票)
- 不動産の固定資産税評価証明書
- 遺産分割協議書(印鑑登録証明書を添付)もしくは遺言書
- 委任状(代理による場合)
不動産の登記を1人で行うことが不安な方は、司法書士に依頼することができます。司法書士に支払う費用は5万円〜15万円程度になります。
なお、不動産の登記を行う場合には登録免許税という登記手続の際に国に納める税金がかかる場合があります。これは司法書士の報酬とは別途必要になりますので、頭に入れておきましょう。
相続登記による登録免許税の計算は
「土地・建物の固定資産税評価額×0,004」で計算します。
有価証券の相続手続の費用
【上場会社の場合】
故人の株式を相続した相続人は、故人の取引口座がある証券会社に届出をすることで、名義変更を行うことが可能です。名義変更をする際には、遺産分割協議書や遺言書が必要となります。
【非上場会社の場合】
株式を発行している会社に相続の旨を伝えて、株主名簿の書き換えなどを行う必要もあります。
株式の相続手続は取り扱い会社によって異なるので、必要書類などは窓口でお尋ねください。行政書士等の専門家に依頼する場合の費用の相場は2万円~5万円ほどです。
自動車の相続手続の費用
亡くなった方が、自動車を所有していた場合に、相続人が自動車を売却、廃車する場合は所有権の移転を行う必要があります。自動車を相続を行う場所は、自動車のナンバーを管轄する運輸支局で手続を行うことになります。
運輸支局で相続手続を行うには、必要書類の提出や手数料を支払わなければいけません。一般的に必要な書類は下記の物です。
- 自動車検査証
- 申請書→ダウンロードはこちら
- 手数料納付書(検査登録印紙500円)
- 自動車保管場所証明書(警察署証明の日から40日以内のもの)
- 戸籍謄本(死亡の事実、相続人全員が確認できるもの)
- 新所有者となる者の実印(代理の場合は委任状)
自動車の名義変更を行政書士に依頼する場合の費用の相場は、2万円〜5万円程度です。
›自動車の相続手続のわかりやすい解説はこちら
最後に:相続手続に不安がある方は専門家におまかせください
大倉行政書士事務所は相続業務を専門としています。相続に関してお困りの方はお気軽にご相談ください。