2022.07.30
遺言執行者ってなに?どんな人がなれるのか?
この記事では、遺言執行者とはいったい何者なのか?またどんな人が就職できるのかについて解説しております。
遺言執行者とは?
遺言執行者とは、遺言書の内容の実現に必要な行為を行う為、遺言書、または家庭裁判所によって選任された者をいいます。
執行者として任命された者は、遺言書の執行以外にも代理人として広い職務権限を有しています。例えば、執行者は相続人に代わって訴訟事務も行うことが可能です。
大げさな言い方をすると、遺言書の範囲内であれば大抵の事ができるのが遺言執行者です。その代わり責任も重大です。
遺言執行者になれる人
では遺言執行者にはどのような人が選任されるのでしょうか?
執行者になれる人は、民法によって定められています。
- 自然人(生きてる人間)
- 法人(会社など)
原則的には、遺言執行者は一部の例外を除いて誰でも、会社や社団法人などの法人でも就職が可能です。
遺言執行者になれる者として法人が挙げられていますがどういった法人なのでしょうか?
そうですね。遺言執行者として選任される法人として主に挙げられるのは「行政書士法人、司法書士法人、信託銀行など」ではないでしょうか。
それだと、遺言執行者として安心して業務をまかせられますね!
では、反対に遺言執行者になれない人はどういった人でしょうか?
いい質問ですね。それでは見ていきましょう。
遺言執行者になれない人
民法上の規定により遺言執行者になれない人
遺言執行者は誰にでもなれるわけではありません。
執行者になれない人も民法第1009条に定められています。
第1009条(遺言執行者の欠格事由) 未成年者及び破産者は、遺言執行者となることができない。
条文を読むと遺言執行者になれない人は、下記の2種類だけです。
- 未成年者
- 破産者
つまり、これらの者以外は法律上では遺言執行者になれるということになります。ただし、民法上で遺言執行者に就職できるとしても、実質的になれない者も存在します。
実質的に遺言執行者になれない人
実質的に執行者になれない人とはどういった人なのでしょうか?
これらの方には、被後見人などの認知症等が理由によって判断能力が衰えている状態にある人や遺言書等によって相続権を排除された相続人が挙げられます。
- 被後見人
- 被保佐人
- 相続権を排除された相続人
被後見人・被保佐人
これらの者は認知症等の理由により、判断能力が衰えている状態にあるので、遺言執行者として業務を行うことができません。このような場合には、再度家庭裁判所によって執行者を選任する手続を行わなければいけません。
さらに、被後見人が仮に執行者として業務を行った場合には、法律的に取消が可能なので執行者には判断能力を有するものを選任しなければいけません。
相続権を排除された者
遺言書により、相続人の廃除を行うことができます。相続人の廃除とは、遺言者が生前に法定相続人から受けた侮辱や虐待により相続人から排除することです。
相続人の廃除を遺言書で行う場合には、上記の画像のように行います。遺言書によって相続人の廃除規定が記載されていた場合、遺言執行者は相続人排除の手続を家庭裁判所で行わなければいけません。
そのため、遺言執行者には遺言者の財産を比較的に多く承継する相続人が指定されるケースが多いです。
遺言執行者になれる方は意外と多いのですね。それでは、知人の外国人の方を指定しても良いということなのでしょうか?
はい。実際に遺言書の内容を正しく執行できるかどうかを差し置いて、法律上では就職可能ということになりますね。ちなみに、遺言執行者として指定されるケースで多いのが、行政書士や弁護士等の専門家ですね。
相続人は遺言執行者になれるの?
遺言執行者として指定された相続人は、自分が相続をする立場でも執行者として就職することはできるのでしょうか?相続人自身が利益相反する立場なので、できないと思われているかもしれないですが…
実は、相続人でも遺言執行者になることができます。例えば、上記の画像のように遺言書によって指定された場合や、家庭裁判所によって選任された場合には遺言執行者に就職することができます。
相続人が遺言執行者として選任するメリットとしては、以下のことがあげられます。
- 亡くなったタイミングがすぐにわかる
- 亡くなった方について詳しく知っている
- 身内で相続を完結させることができる
さらに、遺言執行者であれば名義変更等の際にハンコが有れば銀行や不動産の名義変更などが可能になります。
専門家に遺言執行者を任せるメリット
最後に遺言執行者として行政書士等の専門家に依頼するメリットをご紹介します。
- 相続人間の仲が悪い時
- 法定相続人以外に遺産を残したい時
- 相続の手続に時間がかかる時
相続人間の仲が悪い
法定相続人同士の仲が悪いと、遺言執行者として指定された相続人と共同相続人の間で争いが起きる可能性があります。そのため、遺言執行者として直接的にかかわりのない行政書士等の専門家に依頼することで、未然に相続人の争いを防ぐことができます。
また、普段生活を共にしていない、被相続人の配偶者と被相続人の兄弟が相続人となるケースでは特に紛争になるケースが多いと言えます。紛争が発生した場合には、弁護士が介入することになるので多額の費用がかかることが予想されます。
法定相続人以外に遺産を残したい時
遺言書を残すと法定相続人以外の者にも、財産を残すことが可能です。法定相続人以外の者に財産を残す際に、遺言執行者が相続人だと普段かかわりのない者の財産の名義変更を行わなくてはいけない場合もあります。
そのため、行政書士等の専門家が変わりに遺言執行事務を行うことがあります。
相続の手続に時間がかかる時
普段相続手続に慣れていない方が相続手続を行うと通常、半年近くかかるケースが多いです。そのため相続を扱っている専門家に手続を代行してもらう方が、有効な場合があります。
例えば、被相続人の中には預貯金や株式、不動産等の財産が合計で10個以上あるケースです。このような場合には手続が各所で違い、煩雑なので専門家に依頼することをおすすめします。
専門家に遺言執行者の再委任などの手続を依頼すると、通常1か月から3か月程度で手続を行うことができます。
以上で、遺言執行者に関する記載は以上となります。
みなさん、遺言執行者になれる人、なれない人を理解することはできましたか?遺言書相談窓口では遺言書に関する情報を多く記載しております。是非とも他の記事もご覧ください。
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