2024.03.03
離婚時の財産分与は不動産はどのように分けれるか?
離婚では、未成年の子の親権や養育費、財産分与など決めることは多いです。今回は、財産分与に焦点を当てて解説させていただきます。具体的には、不動産の財産分与について解説します。
離婚による財産分与で不動産を分与する主な方法は、以下が考えられます。
- 不動産を売却して売却金を折半する
- 不動産を譲渡し、名義を夫から妻(妻から夫)に変更する
- 不動産の住宅ローンを支払い続け、完済後に名義変更又は売却する
上記1から3を順番に解説させていただきます。
不動産を売却して売却金を折半する
離婚後に夫婦のいずれも、不動産に住む予定がない場合には、当該不動産を売却することが考えられます。不動産の売却は、不動産が単独所有か共有所有かによって手続が異なります。単独所有の場合には、名義人が単独で売却の手続を行えますが、共有所有の場合には、不動産の売却行為は民法上の処分行為に該当しますので、共有者全員の同意が必要となります。そのため、不動産の売却を行うには、共有者の実印による押印や印鑑登録証明書が必要となります。
離婚による財産分与を目的とし、不動産の売却を行う場合には、必ず離婚協議書又は離婚給付等契約公正証書を作成しておきましょう。不動産の売却により、夫婦のいずれかから売却金(取得分:2分の1)が自己の口座に入金された場合に、税務署から贈与等を疑われる場合があります。万一、そのような事情があった際に上記書面を作成しておくと、離婚に伴う財産分与によって財産の移転があったことを証明することができます。(離婚による財産分与では原則として贈与税がかかりませんので。)
不動産を譲渡し、名義を夫から妻(妻から夫)に変更する
離婚の財産分与で単独名義又は共有名義の不動産を、いずれ一方の単独名義にすることもできます。このようなケースでは、住宅ローン債務が完済されているかどうかが重要となります。住宅ローン債務が完済されている場合には、自由に不動産の譲渡や名義変更を行うことができますが、住宅ローン債務が残っている場合には、借入先の銀行の承諾を得て、ローンの組み直しや名義変更をする必要があります。万一、このような承諾がなく勝手に不動産の名義変更を行った場合には、住宅ローン契約違反として残ローンの支払いを一括で請求される場合があります。
借入先の銀行の承諾が必要な理由として、銀行の承諾なく住宅ローンが残っている不動産の名義変更がされた場合に、新しく当該不動産に居住する者に残りのローンの支払能力があるかどうかを銀行によって確認できないからです。(通常、不動産の名義人が、居住しローンを支払いますので。)また、住宅ローン契約によって銀行からお金を借りるためには、厳重な審査のうえ決定されますので、勝手に住宅ローンの目的である不動産の名義人を変えてしまうと銀行にとって不都合が生じてしまうのです。
不動産の住宅ローンを支払い続け、完済後に名義変更又は売却をする
離婚後も、現在の住宅ローン名義人(夫)がローンの支払いを続けて、住宅ローン完済後に不動産を名義変更又は売却するケースとして、当該不動産に、妻や未成年の子が一定の期間住み続けるようなケースが考えられます。このような事情で、離婚協議書や離婚給付等契約公正証書を作成する場合には、条項の中で「夫が不動産について一定の期間、処分や管理などの行為を行わない旨」や「夫が離婚後も一定期間は住宅ローンの支払を続ける旨」等を記載します。また、妻と未成年の子が住み続ける間の住宅ローン以外の費用(固定資産税や修繕費等)の負担についても取り決めをしておくことが一般的です。
離婚による財産分与(不動産)を条文に記載する
それでは、上記で解説した内容を条文にして記載してみます。
(不動産を売却して売却金を折半する)
第○条(財産分与) 記 所 在 大阪市深野三丁目 123番地4 |
(不動産を譲渡し、名義を夫から妻(妻から夫)に変更する)
第○条(財産分与) 記 所 在 大阪市深野三丁目 123番地4 |
(不動産の住宅ローンを支払い続け、完済後に名義変更又は売却をする)
第○条(財産分与) 記 所 在 大阪市深野三丁目 123番地4 |
離婚による財産分与で不動産の価格を調べるには
財産分与の対象財産に不動産がある場合には、不動産の価格を調べる必要があります。不動産の価格を調べる一般的な方法は、固定資産評価額によるものです。評価額は、毎年送られる固定資産税納税通知書や不動産の所在地を管轄する市区町村役場で取得する固定資産評価額証明書によって確認することができます。評価額に記載のある金額は、実勢価格より低く設定されていますので、実勢価格を基準に財産分与をする際は、固定資産評価額を少し高めに計算されることが多いです。評価額以外の価格を調べる方法としては、路線価により算出する方法があります。
離婚協議書や公正証書の作成は
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お客様の声
当事務所にいただいたお客様の声の一部を以下に記載します。詳細については、こちらからご確認いただけます。
料金
サポート内容 | 料金 | 概要 |
離婚協議書 | 30,000円 | 離婚協議書を作成します。 |
離婚給付等契約公正証書 | 60,000円~ | ご夫婦の合意内容に基づいて、離婚給付等契約公正証書の作成をサポート致します。 |
※)依頼業務の煩雑さや難度によっては、上記金額と異なる場合があります。
よくある質問
Q1.離婚協議書(公正証書)の作成と離婚届はどちらが先ですか?
一般的には、離婚協議書の作成が先です。しかし、離婚届出後にも離婚協議書又は公正証書を作成することができます。
Q2.土地建物の財産分与で気を付けないといけないところはどこですか?
先述しましたが、住宅ローンが完済していない状態の不動産の名義変更には気をつけなければいけません。
Q3.離婚後に財産分与はできますか。
離婚後2年間は財産分与を請求できます。
Q4.離婚による財産分与で不動産を譲り受けた場合には、譲渡所得税はかかりますか。
財産分与により不動産を譲渡した者に対し、譲渡所得の課税が行われることになります。
(詳細はこちらをご確認ください。)