2022.07.25
市民後見人とは?どんな人が何のために選任されるの?
みなさんは後見人制度をご存じでしょうか?後見人制度とは、認知症や知的障害、精神障害などによって物事を判断する能力が不十分な者に対して家庭裁判所が成年後見人(本人の権利を守る者)を選任し、法律的に支援する制度です。
成年後見人には、「弁護士、司法書士、社会福祉士等」の専門家が選任されることが多く、実は親族が選任される件数をこれらの専門家が大幅に上回っています。令和3年の最高裁判所事務総局家庭局のデータによると、親族以外が成年後見人等に選任されたものは、全体の約80.2%でした。
内訳は以下です。
親族 | 7,852件(前年 7,243件) |
親族以外 | 31,719件(前年 29,528件) |
うち弁護士 | 8,207件(前年7,733件) |
司法書士 | 11,965件(前年 11,187件) |
社会福祉士 | 5,753件(前年 5,438件) |
市民後見人 | 320件(前年311件) |
(注1) 後見等開始と同時に成年後見人等が選任された場合の数値であり、後見等開始の後に成年後見人等が選任された事件は含まれていない。
(注2) 関係別件数とは、成年後見人等が該当する「関係別」の個数を集計したものであり、1件の終局事件について複数の成年後見人等がある場合に、複数の「関係別」に該当することがあるため、認容で終局した事件総数とは一致しない。
出典:最高裁判所事務総局家庭局「成年後見関係事件の概況」をもとに作成
https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/2021/20220316koukengaikyou-r3.pdf
成年後見制度は、昨今の高齢化に伴って利用者数は年々増加しています。平成29年から令和3年までの成年後見制度の利用者数の推移を見てみると明らかです。今後も高齢化が進み成年後見制度の利用者数は増えていくことが予想されます。
市民後見人とはなにか
市民後見人とは、市区町村などが実施する研修を受講するなどして、成年後見人として必要な知識を得た一般市民の中から、家庭裁判所が成年後見人等として選任した方です。
市民後見人の特徴
ボランティアとして行われている
市民後見人は基本的にボランティアとしての位置付けのため、社会貢献意識が強く、責任感が強い方が選任される傾向にあります。
地域情報に関して強い
市民後見人は、被後見人と同じ地域で生活している市民から選任されるため、その地域の情報について、幅広く把握しており、細かい身上監護を行えるといった特徴もあります。
市民後見人の活動スタイル
市民後見人が選任されるスタイルとして以下の4つが主にあげられます。
- 市民後見人が単独で選任されるスタイル
- 市民後見人と専門職の後見人が複数で選任されるスタイル
- 市民後見人が後見人なり、後見監督人が置かれるスタイル
- 社会福祉協議会等が成年後見人に選任され、市民後見人の養成研修を受講している方がその法人のスタッフの一員として活動するスタイル
市民後見人が選任されるケースではこういったケースがあるのですね。
ところで、「後見監督人」とはどういった職種なのでしょうか?
後見監督人とは、「後見人として選任された人が行う事務手続を監督するために、家庭裁判所によって選任された人」のことを言います。後見監督人として選任された人は後見人がきちんと本人の財産管理を行っているかどうかを監督し、定期的に家庭裁判所に報告しなければいけません。
そうなんですね。たしかに後見人は被後見人の多額の財産を扱う場合もあるので、後見監督人がいると安心というわけですね。
最後に:市民後見人はどんな人が選任されるのか
市民後見人には、本人と同じ地域で生活している市民の中で、市区町村の研修を修了して、後見に必要な知識・技術・倫理性を身につけて、家庭裁判所の選任を受けることで選任されます。
さらに、市民後見人は基本的にボランティアとして行われているので、社会貢献の意識強い方が選任されるといった特徴もあります。