離婚公正証書の費用は誰が払う?折半・一方負担を決めるときの考え方 - 相続・遺言・離婚専門の大倉行政書士事務所

2026.10.11

離婚公正証書の費用は誰が払う?折半・一方負担を決めるときの考え方

離婚公正証書の費用は誰が払う?折半・一方負担を決めるときの考え方

離婚公正証書を作る方針は決まっていても、「費用は夫が払うのか」「作成を希望した側が全額負担するのか」「半分ずつにすると、どこまでが折半の対象なのか」という点で話が止まることがあります。養育費や財産分与の合意とは別に、作成費用の精算まで整理しておくことが大切です。

結論として、夫婦間で最終的に負担する割合は、折半、一方の全額負担、費目ごとの分担などを合意して決められます。ただし、公証人に対して誰が支払義務を負うかという問題は別です。本記事では、費用の総額そのものよりも、負担者・立替払い・精算方法の決め方を中心に解説します。

離婚公正証書の費用は「夫婦間の分担」と「支払先への義務」を分ける

夫・妻・作成を希望した側のいずれかに自動的に決まるわけではない

「養育費を払う側だから公正証書代も全額」「作りたいと言った側だから自己負担」という説明だけで、夫婦間の最終負担を決めることはできません。離婚原因について責任があるかという問題と、公正証書の作成費用をどう分担するかも、分けて考えます。

双方が納得すれば、半額ずつにすることも、収入や離婚後の生活状況を踏まえて一方が多く負担することも考えられます。どちらが正しいかを先に決めつけるより、何の費用を、いくらまで負担する提案なのかを具体化すると、認識の違いを整理しやすくなります。

公証人に対しては連帯して支払う義務がある

e-Gov法令検索の公証人手数料令第2条は、公正証書の作成などを依頼する人である「嘱託人」が複数いる場合、それぞれが手数料等を連帯して支払う義務を負うと定めています。

例えば、夫婦間で「最終的な負担は半分ずつ」と決めても、それだけで公証人に対する各自の支払義務が半額に限定されるわけではありません。一方がまとめて支払い、後で合意した負担割合に従って精算する方法と、公証人への支払いの問題は区別してください。

「法律に何の決まりもない」という説明には注意

夫婦間の費用分担を合意できることと、公証人に対する連帯支払義務があることは両立します。「折半と決めたから、自分の半額以外は公証人に支払わなくてよい」とは限りません。

行政書士・弁護士への報酬は依頼契約も確認する

専門家への報酬については、誰が依頼者となり、どの業務を、どの条件で依頼したかを確認します。夫婦間で分担を決めたとしても、その合意だけで専門家との依頼契約が変更されるわけではありません。依頼者と費用を負担する人が異なる場合は、契約前にその関係を伝えておきましょう。

「作成費用を折半する」の前に対象となる費用を整理する

同じ「公正証書の費用」という言葉でも、公証役場に支払う手数料だけを意味する場合と、戸籍の取得費用や専門家報酬まで含める場合があります。総額だけを伝えると、完成後に「その費用まで承諾していない」という問題が生じかねません。

費用の種類内容分担前の確認点
公証人手数料公正証書の内容や目的の価額等に応じた手数料養育費・財産分与・慰謝料など、盛り込む内容を伝えて確認する
正本等の交付・送達関係証書の交付、相手への送達などに伴う費用当初の見積額に含まれる範囲と、追加になる項目を確認する
資料の取得費用戸籍、印鑑登録証明書、不動産関係資料など各自で負担するか、必要分をまとめて分担するか決める
専門家への報酬合意内容の書面化、公正証書作成の支援など依頼業務、修正対応、代理出席等の有無を確認する
交通費・郵送費等移動や書類のやり取りにかかる実費分担対象に含めるものと各自負担のものを区別する

見積書を共有する際は、合意した費目に印を付け、金額が確定していないものは「概算」と分かるようにしておくと安心です。「一式」という記載だけで判断せず、追加費用が生じる条件も確認してください。

古い手数料表の金額を前提に分担額を約束しない

公証人手数料は2025年10月1日に改定されています。現在の養育費支払契約では、手数料算定のための目的の価額は支払総額を基礎としつつ、5年分までを上限とする取扱いです。これは養育費を受け取れる期間が5年に制限されるという意味ではありません。

正確な算定は、日本公証人連合会の公証人手数料表と公証役場で確認します。料金表の一部分だけを見て「全部でこの金額」と約束せず、記載内容が固まった段階の見積額を共有することが重要です。

折半・一方負担・費目別負担の選び方

負担割合の決め方に、すべての夫婦に共通する正解はありません。納得できる方法を選び、実際に支払える時期まで確認します。次の表は、分担方法を考えるための例です。

分担方法決め方の例注意点
折半合意した対象経費を2分の1ずつ負担する対象経費と端数の扱いを明確にする
一方が全額負担夫又は妻が対象経費をまとめて負担する専門家報酬や後日の変更費用まで含むか確認する
割合を変える当面の資金事情等を踏まえて7対3などにする法定割合ではなく、双方の合意による例である
費目ごとに分ける公証人手数料は折半、各自の証明書は各自負担とするどちらにも分類されない費目を残さない

「負担割合」と「いったん支払う人」は同じでなくてもよい

例えば、双方で確認した分担対象額が仮に60,000円で、最終負担を半額ずつとする場合、一方が60,000円を先に支払い、他方が30,000円を後で振り込む方法が考えられます。この60,000円は計算方法を示す仮定であり、実際の公証人手数料や当事務所の料金ではありません。

立替払いをする人は、精算額だけでなく、振込期日と口座も確認しておきます。負担を軽くするつもりで立て替えても、返済時期が決まらなければ、離婚後に再び連絡を取り続ける負担が生じます。

親族に援助してもらう場合も、贈与か立替かを曖昧にしない

自分の親が費用を出してくれる場合、「親が援助して返還を求めない」のか「自分が後で親に返す」のかを区別しておきましょう。親族が支払った事実だけで、元配偶者にも親族への返済義務が当然に生じるわけではありません。夫婦間の負担合意と親族との資金のやり取りを別々に記録することが大切です。

費用負担の条項は対象・割合・期限まで具体化する

費用負担は、合意した内容に応じて離婚協議書や公正証書の条項として整理します。少なくとも、対象費用、各自の負担割合、立替払いの有無、精算方法が読み取れるようにしてください。以下は検討用の文案例であり、公証人による確認や個別事情に応じた調整が必要です。

公証役場に支払う費用だけを折半する例

費目を限定した分担の文案例

甲及び乙は、本公正証書の作成に係る公証人手数料、正本等の交付手数料及び本公正証書の送達費用を、それぞれ2分の1の割合で負担する。各自の本人確認資料の取得費用及び各自が個別に依頼した専門家への報酬は、それぞれが負担する。

この例では、費用の種類を限定しています。専門家への共同の依頼費用も折半する方針であれば、その業務と範囲を別途特定する必要があります。また、送達を実施するかどうかなど、実際の作成手続と一致しているかを確認してください。

立替金の金額が確定している場合の例

立替精算の文案例

甲及び乙は、甲が立替払いした本件公正証書作成関係費用のうち、乙の負担額が金○円であることを確認する。乙は甲に対し、同金員を令和○年○月○日限り、甲の指定する口座へ振り込んで支払う。振込手数料は乙の負担とする。

未確定の金額を、確定した債務であるかのように記載してはいけません。見積段階なら、何を根拠に確定額を知らせるかを決めます。費用精算の約束について公正証書による強制執行まで想定する場合は、「費用は折半する」という記載だけで足りると考えず、金額の特定や執行認諾の対象を公証人に確認してください。

補助金が出た場合と出なかった場合も考えておく

補助金の利用を予定しているときは、交付前の支払者と、交付後の精算方法を分けて整理します。審査の結果、対象外となった場合に誰が負担するかも、先に話し合っておくと安心です。

ただし、補助金を受け取った後の精算が制度上の「経費を負担した人」という要件に関係することがあります。補助金を当然に夫婦で分ける前提にはせず、実際の負担関係を自治体に説明して確認してください。

費用負担を養育費や財産分与と混同しない

養育費から作成費用を一方的に差し引かない

養育費は、子どもの生活を支えるための費用です。「公正証書代を払ったので、その分を今月の養育費から引く」という一方的な処理は避けてください。費用分担について争いがあっても、既に決めた養育費の支払条件が自動的に変更されるわけではありません。

例えば、養育費月50,000円の支払約束があるのに、作成費用20,000円を控除して30,000円だけ振り込めば、受け取る側は不足分20,000円が未払いだと考えます。費用の立替精算は別の振込みにするなど、養育費の入金記録と区別できる方法を検討しましょう。

支払いの名目を分けて残す

養育費、財産分与、公正証書作成費用の精算は、それぞれ対象とする支払いが異なります。まとめて振り込む場合でも、内訳が分かる記録を双方で残すと、後日の残額確認に役立ちます。

親権や婚姻関係の有無にかかわらない子の扶養責務、養育費の取決めについては、裁判所の「養育費に関する手続」で確認できます。費用負担の問題と、子どものための支払義務は分けて扱いましょう。

財産分与から精算するなら、合意前後の金額を確認する

双方の合意に基づいて、財産分与として支払う金額と作成費用の精算を整理する場合も、元の分与額、費用の負担額、実際の振込額が分かる形にします。「全部込みで解決した」という表現だけでは、何が支払済みになったのか判断しづらくなります。

既に署名した協議書や清算条項がある場合は、その文言との整合性も確認してください。合意内容や差引きの可否自体が争いになっているときは、文案の工夫だけで処理せず、弁護士へ相談することが必要です。

生駒市の作成支援補助金を利用するときの注意点

生駒市では、要件を満たすひとり親を対象に、養育費に関する公正証書等の作成支援を行っています。2026年10月11日に確認した市の案内では、対象経費の全額を上限43,000円、予算の範囲内で補助する制度です。

対象者には、市内に居住すること、申請時にひとり親であること、養育費の取決めに係る経費を負担していること、債務名義を有し、対象児童を現に扶養していることなどの要件があります。同じ取決めについて過去に補助を受けていないことも必要です。

確認事項生駒市の案内に基づく内容
対象費用養育費に関する公証人手数料、関連する書類取得費用など。養育費以外の法律行為のみの手数料は除かれる
申請期限公正証書等を作成した日の翌日から起算して6か月以内
支出の証明申請者の氏名、日付、金額、取引内容、発行者等を確認できる領収書など
証書の内容強制執行認諾付き公正証書など、養育費の取決めが債務名義になっていること

詳細は、生駒市の「養育費に関する公正証書等作成支援事業補助金」をご確認ください。上限43,000円がすべての申請者に定額で支給される制度ではありません。専門家報酬も当然に対象になると考えず、費目ごとに確認します。

費用を折半する場合や相手が先に支払う場合は、実際の負担者と領収書の名義について、支払い前に市へ相談することが大切です。奈良市へ転居する予定がある方も、どの自治体にいつ申請できるかを確認してください。自治体によって制度や要件が異なるため、生駒市と同じ条件とは限りません。

支払い当日と作成中止に備えて確認しておくこと

負担割合に合意したら、当日誰が支払うか、立替金をいつ精算するかまで決めます。公証人手数料の支払時期や方法については、日本公証人連合会の手数料の案内に、原則として正本等の交付時に現金又はクレジットカードで支払うこと、例外的に予納があることが示されています。利用する公証役場で具体的な方法を確認しましょう。

支払猶予の制度もありますが、自動的な免除ではなく、資力に関する証明等が問題になります。「費用が払えないから作成できない」と決めつける前に、公証役場や自治体の担当窓口で利用条件を確認する余地があります。

予約の変更と依頼の中止は、それぞれの支払先に確認する

夫婦間の話合いが変わり、作成を延期・中止する場合に備え、公証役場と専門家への依頼について、それぞれ費用の扱いを確認しておきます。予約日を変えること、原案を大きく変更すること、依頼そのものをやめることは同じではありません。

夫婦間で「中止になれば全額返してもらえる」と約束しても、支払先との契約や手続上の取扱いとは一致しない可能性があります。合意内容が固まらないうちに高額な費用を立て替えないよう、見積・契約条件・双方の確認記録を残してください。

離婚公正証書の費用分担に関するよくある質問

離婚原因を作った側に、作成費用を全額負担してもらえますか?

一方の全額負担を提案し、双方で合意することは考えられます。ただし、離婚原因について責任があるという理由だけで、公正証書の費用がすべて自動的にその人の負担になるとは説明できません。慰謝料等の争いもある場合は、弁護士に相談してください。

相手に相談せず行政書士へ依頼した場合、報酬の半額を請求できますか?

依頼した事実だけで、相手の半額負担が当然に決まるわけではありません。費用分担の合意や依頼契約の内容を確認します。相手にも負担してもらう予定なら、業務内容と見積額を共有してから依頼することが大切です。

相手が立替金を返さない場合、公正証書があればすぐ差押えできますか?

費用精算の債務について、金額や期限が特定され、強制執行に必要な記載等が整っているかによります。養育費の条項だけに執行認諾が付いている場合もあるため、証書があることだけで判断せず、公証人や弁護士に確認してください。

補助金を利用すれば、一度も費用を支払わずに済みますか?

生駒市の案内は、証書等の作成後に申請・審査を経て交付される流れです。補助金がそのまま当日の支払資金になるわけではありません。立替資金、申請期限、対象費用を事前に確認してください。

費用の範囲と精算方法まで整理した公正証書作成へ

離婚公正証書の費用は、誰が何割負担するかだけでなく、何の費用を対象とし、誰が先に支払い、いつ精算するかまで決めることが重要です。養育費等の支払いと混同せず、既に合意した離婚条件とも整合する書面にまとめましょう。

奈良県生駒市の大倉行政書士事務所では、当事者間で合意された離婚条件の書面化や、公正証書作成に向けた文案整理について相談を受け付けています。東大阪市にお住まいで、生駒市周辺での相談を検討されている方も、合意済みの事項と未決定の事項を分けてお知らせください。費用負担の交渉代理や紛争解決、裁判手続は取り扱いません。

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