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2023.10.31

公正証書で借用書を作成するには?行政書士が解説

公正証書で借用書を作成するには?行政書士が解説

 こちらの記事では、借用書を公正証書として作成するための手続や、作成する場合の記載すべきポイント等をまとめて記載させていただきました。10分程度で読んでいただくことができます。

目次

    公正証書とは

     公正証書とは、法律の専門家である公証人が、公証人法や民法等の法律に従って作成する公文書です。公正証書で主に作成される書類は、当事者間の契約によって作成する「金銭の貸借に関する公正証書、不動産の売買に関する公正証書、離婚に伴う財産分与、慰謝料等の支払に関する公正証書」や単独行為によって作成する「遺言公正証書、保証意思宣明公正証書」があります。公正証書は公文書に該当する書面ですので、高い証明力を有しています。

    公正証書(正本)
    画像:公正証書(正本)

    ◆公正証書の種類をより詳しく
    ⑴法律行為に関するもの(当事者間の契約):  土地や建物の売買契約公正証書、賃貸借契約公正証書、金銭消費貸借契約公正証書、離婚給付契約公正証書等
    ⑵法律行為に関するもの(単独行為):  遺言公正証書、保証意思宣明公正証書等
    ⑶私権に関する事実に関するもの:事実実験公正証書

    公正証書で借用書を作成することはできるの?

    借用書の画像

     公正証書は、単独行為によって作成するものを除き、当事者双方が署名と捺印をすることにより公証人が作成します。そのため、借用書のような、債務者のみが書面に署名又は記名押印をし、債権者に受け渡すことで契約する書面を公正証書として作成することは実務上ほとんどありません。つまり、公正証書として作成する契約書に「借用契約公正証書」のような文書は存在せず、当事者間の金銭の貸し借りの事実を証明し、返済方法や利息を決める場合には「金銭消費貸借契約公正証書」や「債務弁済契約公正証書」によって公正証書を作成することとなります。

    借用書は公証人から認証を受けることができます

     借用書を公正証書として作成することはあまりないことは先述しましたが、借用書は公証人による認証を得ることができます。公証人による認証とは、私署証書(作成した者の署名と押印がある文書)が作成名義人の意思に基づいて作成されたことを公証人が証明するものです。つまり、借用書を作成し、借用者が署名と捺印をした上で公証役場に持参し、公証人に認証を受けることで借用書がお金を借りた人の意思に基づいて作成されたことが推定されます。ただし、私署文書の認証は公正証書と異なり強制執行認諾文言(注1)を付けることができませんので内容に疑義が生じ、相手による金銭の不払いが生じた場合には裁判手続きにより債権回収する必要があります。

    私署証書の認証
    画像:認証のイメージ

    ちなみに、私署文書であっても、作成した者の署名と押印が無い文書は私署文書の認証の対象外となりますので、ご注意ください。

    注1)強制執行認諾文言は、正式には「強制執行認諾条項」といって、公正証書の文中に「債務者は本証書第○条記載の金銭債務を履行しないときは直ちに強制執行に服する旨陳述した」という条項を記載することで、文中の債務者による金銭債務の不履行が生じた場合に、直ちに、預金口座や給与の差押等の強制執行の申立を行うことが可能になります。

    公正証書による強制執行認諾文言を詳しく解説

    強制執行認諾文言 原則 例外
    どのような契約内容でも記載できるの? 金銭債務であればどのような契約書であっても記載はできます。 以下のような文書は公正証書として作成できません。
    ・公序良俗に反する内容
    ・法令に違反する内容
    金額や返済の方法が決まっていない場合も記載できるの? 強制執行認諾文言を付けるには債務、債務額を特定する必要があります。そのため、金額や返済の方法が決まっていない場合強制執行の認諾をつけることはできません。 なし
    将来の発生する債権には記載できるの? 将来の債権には原則として、強制執行の認諾を付けることはできません。 一定の条件や期限の到来によって効力が発生する債権については、強制執行認諾文言を付けることが出来る場合があります。(公証人によって判断が異なりますので打ち合わせが必要です。)

    公正証書で借用書を作成する―テンプレート―

     以下は、金銭消費貸借契約公正証書のひな形(テンプレート)でございます。契約における状況はそれぞれ異なるかと思いますので、ご参考程度にご覧ください。

    PDFのダウンロードはこちらです。(ダウンロードでは、以下案文の「○」部分を空白にしております。)

    金銭消費貸借契約公正証書(案文)

    貸主〇〇〇〇(以下「甲」という)、借主○○○○(以下「乙」という)及び連帯保証人〇〇〇〇(以下「丙」という)は、下記のとおり、金銭消費貸借契約を締結した。

    第1条(契約の目的)
     本契約は、○○のため金銭の借入を希望し、甲が乙に対し、金銭を貸与し、乙がこれを利息を付して返還することを約束したため、締結する。

    第2条(金銭消費貸借契約の内容)
     甲は、乙に対し、令和○年○月○日、金○○円(以下「本件貸付金」という。)を貸与し、乙はこれを受領した。乙は本件貸付金を以下のとおり弁済することを約束する。
    ⑴利息 年〇%の割合(年365日の日割計算)
    ⑵弁済期 元本は、令和○年○月から令和○月まで、毎月末日限り、各金○○万円(●回払い)
         利息は、令和○年○月から令和○月まで、毎月末日限り
    ⑶支払方法 下記の口座に、元利金を振込送金する方法により支払う。振込手数料は乙の負担とする。○○銀行 ○○支店
    普通預金 1234567
    ○○ ○○

    第3条(期限の利益喪失)
     乙が下記のいずれかに該当した場合には、甲は、何らの催告をせず、乙において、当然に期限の利益を失い、乙及び丙は、本契約に基づき甲に対して負担する一切の債務を直ちに弁済することとする。
     ⑴ 本契約の一つにでも違反したとき
     ⑵ 本契約に基づく分割金の支払いを2回怠ったとき
     ⑶ 破産手続、民事再生手続、会社更生手続又は特別清算の開始の申立があり、または第三者に申し立てられたとき
     ⑷ 手形または小切手に不渡りがあったとき
     ⑸ 差押、仮差押、仮処分、強制執行、担保権の実行による競売その他これらに準じる手続きが開始されたとき
     ⑹ その他、背信的行為の存在等、本契約を継続することが著しく困難な事情が生じたとき

    第4条(遅延損害金)
     乙が、期限の利益を喪失したとき、又は最終弁済期が経過したときは、期限の利益を喪失した日の翌日、又は最終弁済期の翌日から支払い済みに至るまで、残元金に対する年○%(年365日の日割計算)の割合による遅延損害金を支払う。

    第5条(連帯保証人)
     丙は、乙の委託により、甲に対し、乙の甲に対する第2条の金銭債務につき連帯して保証する旨を約束し、乙と連帯してこれを支払う。

    第6条(通知義務)
     乙及び丙は、住所、勤務先又は連絡先を変更した時は、速やかに、甲に対し、変更後の新住所、新たな勤務先の名称・所在地又は新たな連絡先を文書で通知する。

    第7条(強制執行認諸約款)
     乙及び丙は、第2条の金銭債務を履行しないときは、直ちに強制執行に服するものとする。

    第8条(合意管轄)
     甲乙は、本契約における権利義務に紛争が生じた場合、甲の住所地を管轄する地方裁判所を第一審裁判所とすることに合意する。

    公正証書で借用書を作成する―チェックポイント―

    赤ペンチェック

     上記に金銭消費貸借契約公正証書の案文を記載致しましたが、作成にあたり記載すべきポイントを下記にまとめさせていただきます。

    ◆金銭の授受がなされたことが明確に記載されていますか?
    民法の規定により、消費貸借契約を成立させるには、借主が貸主から金銭を受け取ることが必要です。

    ◆債務の特定はできていますか?
    公正証書に強制執行認諾文言を付ける場合には債務の特定が必要となります。そのため、金銭債務について「令和○年○月から令和○年○月まで、毎月末日限り、各金○万円を返済する。」のように具体的に特定して記載しましょう。

    ◆期限の利益の喪失について記載していますか?
    期限の利益とは、一定の期間債務の履行をしなくてよいことで債務者(借りる側)が得られる利益のことを指します。例えば、100万円を貸し付けて、その債務の弁済を一括払いではなく、分割払いにすることよって債権者(貸す側)は、債務者に対し、期限の利益を与えていると言えます。期限の利益は債権者と債務者いずれにもメリットがあり、債権者のメリットは、弁済期間が長ければ長いほど、その分の元金(既払金を除きます。)に対する利息を請求することができる点です。一方で債務者のメリットは期間に余裕をもってお金を返済できる点が挙げられます。

    ☆ポイント
    期限の利益を喪失すると、債務者は分割払いによる返済ではなく一括による元利金の弁済を行わなくてはいけません。

    ◆遅延損害金は記載していますか?
    遅延損害金とは、約束の期日までに支払いがなかった場合に、翌日以降の損害を、元金に対し年○%という形で相手に請求する損害賠償金です。遅延損害金は契約書に定めがない場合には法定利息による請求となりますので、一定の割合による遅延損害金の請求を希望する場合には必ず記載が必要となります。なお、遅延損害金の割合は元本の金額によって異なり、損害金の上限を超える部分は無効となりますので、ご注意ください。(下記表をご参照ください。)

    元本の金額 遅延損害金の上限
    10万円未満 29.2%
    100万円未満 26.28%
    100万円以上 21.9%

    ☆ポイント
    利息の返済は、毎月の元金の返済に加えて支払われることが多く、元利均等返済による方法(毎月返済する額が一定となる返済方法)や元金均等返済による方法(毎月返済する元金の額が一定となる返済方法)により支払われます。

    公正証書で借用書を作成する―手続の流れ―

     公正証書で借用書(金銭消費貸借契約書)を作成する流れについて①ご自身で作成される場合と②行政書士のサポートがある場合の2つのケースに分けて説明させていただきます。①ご自身で作成される場合の公正証書の作成の流れは一般的なものであり、公証役場によって求められる対応が異なりますので、ご参考程度にご覧ください。

    ①ご自身で作成される場合

    1.金銭の貸し借りについて話し合い
    まずは、貸主と借主双方がどのような契約で金銭の貸し借りを行うか決めましょう。公正証書に連帯保証人を記載する場合には、連帯保証人も交えて話し合うことをお勧めします。話し合いのポイントは「金額、弁済方法、弁済期、利息・遅延損害金、期限の喪失、強制執行」等の事項を具体的に決めて、全員が内容を理解し納得することです。特に強制執行認諾文言は、債務者や連帯保証人にとってはかなり重い内容の記載になりますので、しっかりとした説明しましょう。

    2.公正証書の案文作成
    当事者で公正証書に記載する内容がまとまりましたら、その内容を記載した案文を作成しましょう。公証人は、この案文が無ければ、基本的に取り合ってくれません。最初はメモ書きでよいので、内容を書き上げて、上記「公正証書で借用書を作成する―テンプレート―」に当てはめて作成してみましょう。

    3.公証役場に連絡
    公正証書の案文が完成したら、公証役場に電話等で連絡をします。電話は公証人ではなく、書記の方が対応されることが多いです。電話では「作成する公正証書の種類、案文を作成している旨、公証役場で打ち合わせをしたい旨」などを伝えましょう。公証役場で打ち合わせをする際には、当事者全員が揃って出向く必要はありませんので、代表者(借主等)が書記の方に希望の打ち合わせ日時を伝え、公証人と都合を調整します。

    4.公証役場で必要書類の提出と打ち合わせ
    電話で決めた日に公証役場に出向き、公証人と金銭消費貸借契約公正証書の作成について打ち合わせを行います。公証人との主な打ち合わせ内容は「案文の確認、案文に対する公証人からの質問、調印の予定月、当事者全員の職業」等です。公証役場に出向いた際は以下の物を持参すれば後の手続がスムーズでしょう。

    【持参すべき物】

    ※)「運転免許証」や「マイナンバーカード」が無い場合にはこちらから本人確認で使用できる書類をご確認ください。

    5.公証人による公正証書案文の作成 
    ※以下の「公正証書の案文」とは公証人によって作成された案文を指します。
    後日、公証人から代表者に対して、メール等で公正証書の案文が届きます。(打ち合わせをしてからおおよそ1週間~2週間ほどで届きます。)公正証書の案文の内容や表現について、変更を希望することも可能です。なお、公正証書の案文は事前に提出した案文の記載や表現が異なる場合がほとんどです。そのため、公証人から届いた案文は、必ず当事者全員に再度確認してもらいましょう。また、公証人によっては、公正証書の案文の提出時に計算書(手数料が記載された書面)が併せて送られる場合があります。計算書の金額は公正証書の調印(作成)当日に現金で必要ですので、忘れずに持参しましょう。公証人手数料は「30,000円~50,000円」となることが多いですが、公正証書に記載する目的価格によって変動があります。(公証人手数料の詳細はこちらをご確認ください。)

    6.公正証書の調印日の決定
    公正証書の案文について、当事者全員の合意が得られましたら、公証役場に合意した旨を伝えましょう。その際に、公正証書の調印希望日時を数日程度伝えると、公証人との調整がスムーズです。公正証書の案文の合意から、公正証書の調印までの平均的な日数は1週間から2週間程度です。なお、公正証書に連帯保証人を付ける場合には公正証書の調印時に連帯保証人の同席が必要ですので、余裕をもって日時を調整することをお勧めします。

    7.公正証書の作成(調印)
    公証役場に、当事者全員で出向き公正証書を作成します。調印に要する時間は30分程度です。強制執行認諾文言を付ける場合には、公正証書の調印と併せて交付送達手続きが行われることが一般的です。調印時には下記の物を持参する必要がありますので、忘れずにお持ちください。

    【必要物】

    • 当事者全員の「運転免許証」や「マイナンバーカード」の原本
    • 認印
    • 公証人手数料
    画像:送達証明書

    ご自身で対応される場合の手続は以上です。続いて行政書士のサポートがある場合について説明いたします。

    ②行政書士のサポートがある場合

    1.金銭消費貸借に関する聞き取り
    まず初めに代表者様と面談や電話、オンライン等によって契約の概要をお伺いします。一度目の打ち合わせ時に、金額や利息等の相手と合意した内容のメモ書きがあれば、今後の手続がスムーズですので、ご協力いただけますと幸いです。

    2.御見積書・契約書の作成
    お伺いした内容を基に御見積書と契約書の案文を作成させていただきます。料金と契約内容をご了承いただけましたら、書面をメール又は郵送等の方法によりお送りいたします。

    3.料金のお支払い
    料金のお支払いは、契約締結後5日以内とさせていただいております。お支払いを確認させていただきましたら、金銭消費貸借契約公正証書の作成に要する質問事項を作成し、メール等でお伝えいただきます。その際に、公証役場に提出するための当事者の皆様の運転免許証の写真も併せてお送りいただきます。

    4.契約書案文のご確認
    契約書の案文をご確認いただきます。案文は、当事者全員に確認いただくようお願い致します。

    5.公正証書の手続き
    当事者全員の合意をいただきましたら、公証役場で打ち合わせをします。以降の手続は上記「①ご自身で作成される場合」“3~7”で説明したとおりです。調印は原則として、関係者全員が公証役場に出向く必要がありますが、平日に都合がつかない場合には代理人として調印を行うことができます。

    公正証書の作成を行政書士に依頼するメリット

    メリット

    メリット(時間が短縮できる)
    公正証書の作成は、手続をスムーズに進めた場合であっても通常、1カ月ほどかかります。作成手続きに慣れていなければ、これ以上の日時がかかるケースがほとんどですので、迅速な公正証書の作成を希望であれば、行政書士等の専門家に依頼すると安心でしょう。

    メリット(公証人との打ち合わせが不要)
    公証人との打ち合わせでは、法律の知識を要するケースがあります。そのため、手続に慣れていない方は公証人の質問に答えることが難しい場合があります。行政書士であれば、これまでの作成経験に基づき公証人に対し的確に作成者の意図を説明することができますので、当事者の皆様の希望の公正証書を作成することができます。

    金銭消費貸借契約公正証書や借用書の作成のご依頼は【全国対応】

     金銭の貸し借りは、契約書を交わして行うことが重要ですが、作成した契約書を公正証書として作成することで、さらに大きな効果を得られることができます。しかし、公正証書の作成には、通常1~2カ月程度かかり提出する書類も多いので、なかなか公正証書を利用して契約を締結される方はいません。

    行政書士であれば、公証役場での面倒な手続きを丸投げで対応させていただくことができますので、ご依頼者様には調印当日に公証役場に行っていただき、公正証書に署名と捺印をしていただくのみでございます。

    お金の貸し借りで、お悩みの方はまずは弊所の無料電話相談により、お気軽にご相談ください。

    TEL:050-3173-4720
    お問い合わせ:こちら
    料金は以下↓↓に記載しております。

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    金銭消費貸借契約公正証書や借用書の作成料金

    下記の金額によって対応させていただいております。

    種類 料金 概要
    借用書 25,000円(税込) 私文書として作成します。
    金銭消費貸借契約書 25,000円(税込)
    金銭消費貸借契約公正証書
    作成サポート
    45,000円~ 公正証書の作成をサポートします。
    代理調印手続 12,000円(税込) 当事者いずれか一名の代理人として調印致します。
    書類の代理取得 2,500円~ 戸籍謄本、住民票等の書類が必要の場合には代理によって取得させていただくことができます。

    金銭消費貸借契約公正証書や借用書のご相談は

    弊所では、開業当初から契約書等の民事関連の業務を専門に取り扱っており、これまでに数多くの契約書面を作成させていただいた経験があります。また、今期から民事業務に関するセミナーについても、力を入れておりますのでご興味があれば是非ご参加ください。(開催は不定期です。)

    セミナー風景
    大倉行政書士事務所

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