遺言執行者の報酬は誰が払う?決め方・費用の内訳・行政書士へ依頼する際の確認点 - 相続・遺言・離婚専門の大倉行政書士事務所

2026.10.13

遺言執行者の報酬は誰が払う?決め方・費用の内訳・行政書士へ依頼する際の確認点

遺言執行者の報酬は誰が払う?決め方・費用の内訳・行政書士へ依頼する際の確認点

遺言執行者を専門家に頼みたいものの、「報酬はいくらになるのか」「相続人の誰が払うのか」「遺産から差し引いてよいのか」が分からず、依頼を迷っていませんか。家族が遺言執行者に指定されている場合にも、無報酬で引き受けなければならないのかという疑問があります。

遺言執行者の報酬には、全国一律の金額や割合はありません。遺言に報酬の定めがあるかを確認し、定めがない場合には関係者との取り決めや家庭裁判所による報酬の決定を検討します。執行費用を相続財産から負担する原則と、実際に誰が立て替えるかも分けて考える必要があります。

この記事では、2026年10月12日時点で確認できる法令・公表情報をもとに、報酬の決め方、見積書で確認する項目、精算時の注意点を説明します。遺言の作成年月日や相続開始時期によって経過措置の確認が必要な場合があるため、個別の遺言書に当てはめる際は原本と関係資料を確認してください。

遺言執行者の報酬は何を基準に決まる?

まず遺言書の報酬条項を確認する

民法1018条は、家庭裁判所が相続財産の状況などを考慮して遺言執行者の報酬を定めることができる一方、遺言者が遺言で報酬を定めた場合を別に扱っています。したがって、最初に読むべきものはインターネット上の相場表ではなく、実際の遺言書です。制度の根拠はe-Gov法令検索の民法1018条で確認できます。

金額が直接書かれている場合もあれば、一定の計算方法や、指定した専門家の報酬規程を参照する形になっている場合もあります。後者では、どの規程を使うのか、どの時点の金額を基準にするのか、最低報酬や消費税をどう扱うのかが分からなければ、すぐに総額を確定できません。

また、「遺言執行者を指定する」という条項と、「その人の報酬を定める」という条項は別です。名前が書かれているだけで、その人が提示する金額を無条件に遺産から支払えるとは考えないでください。

定めがない場合は合意の内容や家庭裁判所の手続を検討する

遺言に報酬の記載がない場合、無報酬で引き受けるのか、有償で引き受けるのかを曖昧にしたまま進めないことが大切です。関係者との取り決めをする場合には、金額だけでなく、誰が契約するのか、その合意が誰に効力を及ぼすのかを確認します。

例えば、一人の相続人が専門家に依頼したという事情だけで、他の相続人や遺贈を受ける人の取得分から自由に費用を差し引けるわけではありません。遺産からの支払に影響する人を確認し、合意で処理できない場合には民法1018条に基づく家庭裁判所の報酬決定を検討します。

「遺産の何%が法律上の報酬」という一律のルールはありません。

事務所ごとの料金表、契約による報酬、遺言による指定、家庭裁判所が定める報酬を混同しないことが重要です。出所や適用条件の分からない割合だけで支払額を計算しないでください。

家族が担当する場合も報酬と実費を分ける

子どもや配偶者などが遺言執行者になる場合にも、親族であることだけで報酬額が決まるわけではありません。報酬を受け取らないと決める場合であっても、戸籍の取得費用、郵送料、必要な証明書の発行手数料などは発生し得ます。

「家族だから無料」という言葉で実費まで自己負担するのかを曖昧にすると、後から精算を巡る行き違いが起こります。無報酬である旨と、必要経費の立替・精算方法を別々に整理すると、他の相続人にも説明しやすくなります。

報酬は誰が払う?遺産からの負担と立替払いの違い

執行に必要な費用は相続財産の負担が原則

民法1021条は、遺言の執行に関する費用を相続財産の負担とする原則を定めています。ただし、それによって遺留分を減らすことはできないとしています。条文はe-Gov法令検索の民法1021条をご確認ください。

この原則は、「相続人全員が同額を自分の財布から支払う」という意味ではありません。遺言の内容、費用の性質、報酬の決まり方、関係者との契約内容などを踏まえ、支払の根拠と負担の整理を行います。

また、遺産が負担する費用だからといって、遺言執行者が自由に金額を決めてよいわけでもありません。報酬の根拠が不明なまま、相続財産から任意の金額を取り出さないことが重要です。

一時的に支払う人と最終的に負担する財産は別

口座の払戻し前に証明書を取り寄せる場面では、遺言執行者や相続人の代表者が実費を立て替えることがあります。このときは、立替日、支払先、用途、金額、領収書をまとめておきます。

後で遺産から精算する予定なら、その方針も早い段階で共有しておくと安心です。単に「自分が払っておいた」と伝えるだけでは、遺言執行のための支出なのか、葬儀費用なのか、個人的な交通費なのかを他の人が判断できません。

費用の整理では三つを分けます。

「何の費用か」「誰が一時的に支払ったか」「最終的にどこから負担するか」を別々に記録すると、報酬と立替金を二重に計上するミスを防ぎやすくなります。

遺留分に関係する場合は先に確認する

特定の人に財産が集中する遺言では、報酬や費用の控除が、他の相続人の遺留分にどのように関係するかが問題になることがあります。報酬を支払ったからという理由だけで、相続人の遺留分に関する問題まで解決するわけではありません。

遺留分の請求や費用の負担について争いがあるときは、遺言執行者だけで取り分を調整したり、行政書士が一方の代理人として交渉したりするのではなく、弁護士への相談が必要です。

遺言執行にかかる費用の内訳

見積書では、遺言執行者の報酬と、それ以外の費用を分けて確認します。以下は、見積時に区分して確認したい項目です。すべての案件で全項目が必要になるわけではなく、どこまでが基本報酬に含まれるかも依頼先によって異なります。

費用の区分主な内容確認すること
遺言執行者の報酬就任後の遺言執行業務に対する報酬金額・計算方法・含まれる業務・支払時期
調査・証明書等の実費戸籍、登記事項証明書、残高証明書等の取得費用実費の概算、立替の方法、精算資料
連絡・移動等の費用郵送、必要な移動、振込等の費用追加となる条件や事前承認の扱い
登記・税務等の費用登記に関する税金、司法書士報酬、税理士報酬など別の専門家への依頼と、その見積りの有無
家庭裁判所の手続費用遺言執行者の選任等が必要な場合の申立費用必要な手続と執行報酬との区別
生前の遺言作成費用遺言書の文案作成、公正証書作成等の費用死後の執行報酬が含まれる契約かどうか

例えば、家庭裁判所への遺言執行者選任の申立てでは、裁判所の案内上、執行の対象となる遺言書1通につき収入印紙800円分と連絡用の郵便料が必要です。これは遺言執行者に支払う報酬ではなく、選任の申立てに必要な費用です。詳細は裁判所「遺言執行者の選任」をご確認ください。

生前に公正証書遺言の作成を依頼した場合も、その費用に将来の執行業務が当然に含まれるとは限りません。遺言作成時の契約書と、執行者に就任する際の条件をそれぞれ確認しましょう。

見積りは遺産の総額だけで比較しない

財産の種類と必要な処理で負担が変わる

同じ総額の遺産でも、確認済みの預金を少数の相続人へ振り込む場合と、不動産や有価証券を調査し、遺言の指定に従って換価・引渡しを進める場合では、必要な作業が異なります。後者では売却等の権限が遺言から認められるかという確認も欠かせません。

口座数、財産の所在地、資料の不足、相続人の人数、海外とのやり取りの有無なども、見積りを依頼する際に伝えたい事情です。奈良市の自宅だけだと思っていたところ、東大阪市にも共有持分が見つかったような場合には、当初想定した調査や手続が変わる可能性があります。

割合方式では計算の土台を確認する

報酬が財産額に応じた割合で計算される場合には、何を「財産額」に含めるかを確認します。不動産の評価基準、借入金を差し引くかどうか、遺言執行の対象外の財産をどう扱うかによって、計算の結果が変わるためです。

死亡時の残高を基準にするのか、実際の払戻額を基準にするのかといった点も、後日の争いを避けるために書面で整理しておくとよいでしょう。定額方式でも、最低料金で対応する範囲や追加条件が明確かを確認します。

比較するのは「表示された最安値」ではなく「今回の条件での総額と業務範囲」です。

消費税込みか、実費が別か、登記や税務の費用が含まれるかをそろえないと、見積書の数字だけでは比較できません。

追加業務が生じたときの連絡方法も決める

調査の途中で別の口座が見つかった場合や、関係者の死亡によって相続関係の確認が増える場合もあります。その際の追加報酬を「後で適当に決める」のではなく、追加が必要になる条件、説明する時期、承認の方法を確認してください。

依頼前に財産を完全に把握できていなくても構いません。確定している情報と未確認の情報を分けて伝え、何が判明したら見積りを見直すのかを共有することが大切です。

報酬の支払時期と精算で確認すること

着手時・途中・完了時の支払を区別する

報酬をいつ支払うかは、遺言の定め、契約内容、報酬決定の内容などを確認します。費用の預り金や実費の前払いは、報酬そのものの支払とは区別してください。

民法1018条2項は報酬の支払等について民法648条2項・3項を準用しています。単純に「どの案件も必ず同じ時点で全額を払う」と考えるのではなく、依頼時に支払条件を確認することが重要です。条文はe-Gov法令検索の民法1018条・648条に掲載されています。

遺産と個人のお金を混ぜずに記録する

遺産の入出金と、遺言執行者個人の生活費を同じ記録で管理すると、後で説明するのが難しくなります。金融機関の取扱いを確認したうえで、遺言執行に関する入出金を区別して管理し、領収書や振込記録を残してください。

精算資料は、「当初把握した財産」「追加判明した財産」「収入・支出」「報酬」「受取人への引渡額」「残額」の対応が分かる形にすると確認しやすくなります。財産目録と最終的な振込額が違う場合には、利息や実費等の差額の理由も説明します。

費用の精算方針が決まらないまま、遺産を全額引き渡してしまうことは避けましょう。一方で、必要性や根拠を示さず多額の資金を残し続けることも適切ではありません。残す必要がある費用は項目と見込みを明確にします。

遺産から払えることと相続税で控除できることは別

遺言執行費用を遺産から支払う場合でも、それがそのまま相続税の債務控除の対象になるわけではありません。国税庁は、控除できる債務について、原則として死亡時に存在し、確実と認められるものと説明しています。

死後の執行業務に対する報酬を、亡くなった方の借入金と同じように扱わないよう注意してください。具体的な申告上の扱いは税理士に確認し、制度の説明は国税庁「相続財産から控除できる債務」を参照してください。

行政書士に依頼する前に業務範囲を確認する

遺言執行の相談では、費用と同時に、依頼先がどの立場で何を担当するかを確認します。「遺言執行者に就任する依頼」なのか、「既に就任している家族の書類整理を支援する依頼」なのかによっても、契約の内容は異なります。

行政書士への依頼では、相続関係や財産資料の整理、権利義務に関する書類の作成など、法令上対応できる業務を明確にします。不動産登記の申請代理は司法書士、相続税の申告・税務相談は税理士、争いのある権利関係の交渉や裁判手続の代理は弁護士など、内容に応じた担当が必要です。

裁判所へ提出する書類の作成についても、行政書士資格による一般の受任業務と混同せず、司法書士・弁護士の対応範囲を確認してください。複数の専門家を利用する場合は、費用だけでなく、資料の引継ぎと連絡の窓口も整理しておくと安心です。

費用を調べている間も別の期限に注意する

報酬の見積りや費用負担の話合いが長引いても、相続登記などの期限を止められるわけではありません。費用の比較と並行して、財産の種類ごとに必要な手続と期限を確認し、急ぐものを区別しておきましょう。

遺言執行者の報酬に関するよくある質問

遺言に報酬が書かれていなければ無報酬ですか?

記載がないことだけで結論は決まりません。無報酬で引き受けるのか、関係者との取り決めがあるのかを確認し、必要に応じて民法1018条に基づく家庭裁判所の報酬決定を検討します。遺言執行者が一方的に任意の金額を引き出すことは避けてください。

相続人である子どもが遺言執行者でも報酬を受け取れますか?

相続人であることだけで報酬を受け取れないわけではありません。ただし、自分の取り分と執行者としての報酬は別です。遺言の定めや合意等の根拠を確認し、実費も含めて他の関係者に説明できる形にします。

相続人の一人が全額を立て替えてもよいですか?

立替自体を検討することはできますが、立替えた事実だけで全額を他の人に負担させられるとは限りません。費用の性質、依頼契約、遺産からの精算の可否を先に整理し、領収書や支払記録を保存してください。

遺言書を作成したときの料金に執行報酬も含まれますか?

契約内容によります。遺言書の作成支援と、死亡後の執行業務は別の仕事です。執行者の指定が書かれていても、将来の執行報酬まで支払済みとは限らないため、当時の契約書・見積書を確認します。

大倉行政書士事務所の遺言執行の基本報酬はいくらですか?

2026年10月12日に確認した公表料金では、遺言書執行は121,000円(税込)からで、実費は別途です。事案の複雑さ等によって加算される場合があります。必要な調査・書類作成・手続の範囲を確認したうえで、個別の費用をご案内します。

生駒市で遺言執行の費用や進め方を相談するには

奈良県生駒市の大倉行政書士事務所では、遺言・相続に関するご相談を承っています。費用を具体化するためには、遺言書の写し、分かる範囲の財産一覧、相続関係、現在どこまで手続を進めているかを整理しておくと、相談が進めやすくなります。

遺言書執行の公表基本報酬:121,000円(税込)〜

実費別途。事案の複雑さ等により追加報酬が生じる場合があります。公表料金では、遺言執行任務の完了後に相続人の方にお支払いいただく案内となっています。相続人調査、財産調査、通知、財産目録等のうち基本報酬に含む範囲と、別途費用が必要な範囲は見積り時に確認します。

これはすべての案件の総額を保証する金額ではありません。登記・税務・紛争対応等が必要な場合は、それぞれの専門業務と費用を分けて確認します。

大切なのは、報酬を安いか高いかだけで判断せず、何を任せ、どの根拠で誰が負担し、どのように精算するかまで確認することです。遺言書の内容が曖昧な場合も、資料を確認しながら必要な準備を整理しましょう。

事務所名大倉行政書士事務所
所在地奈良県生駒市山崎町3番11-1
電話番号0743-83-2162
受付時間9:00〜18:00
対応地域生駒市・奈良市・東大阪市・大阪市およびその周辺地域
お問い合わせお問い合わせフォームはこちら

参考サイト

その他の関連記事