遺産分割協議書は自分で作成できる?書き方・必要書類・行政書士へ依頼する場合を解説 - 相続・遺言・離婚専門の大倉行政書士事務所

2026.10.09

遺産分割協議書は自分で作成できる?書き方・必要書類・行政書士へ依頼する場合を解説

遺産分割協議書は自分で作成できる?書き方・必要書類・行政書士へ依頼する場合を解説

相続人同士で遺産の分け方が決まった後、「遺産分割協議書は専門家に頼まないと作れないのか」「自分でWordなどを使って作成しても有効なのか」と疑問に思う方は少なくありません。

結論からいえば、遺産分割協議書は相続人が自分で作成することも可能です。決められた専用用紙を使用しなければならないわけでもありません。

ただし、単に相続人の名前と「誰が何をもらうか」を書けばよいわけではありません。相続人を一人でも漏らしたり、不動産や預貯金の表示が不十分だったりすると、相続登記や金融機関での相続手続に使えない場合があります。また、相続人間で争いがあるケース、未成年者が相続人に含まれるケース、相続が何代も続いているケースなどでは、自作の難易度が大きく上がります。

この記事では、遺産分割協議書を自分で作成したい方に向けて、作成前に確認すること、必要書類、具体的な書き方、自作を避けた方がよいケースまで順番に解説します。

遺産分割協議書は自分で作成できる

遺産分割協議書を作ること自体について、「必ず行政書士や司法書士に依頼しなければならない」という決まりはありません。相続人全員で遺産の分け方について合意できているのであれば、その合意内容を書面に整理することができます。

結論

相続関係が単純で、相続人と財産を正確に把握でき、全員が分割内容に合意しているケースであれば、遺産分割協議書を自分で作成できる場合があります。

一方で、遺産分割協議書は作成した後に、銀行口座の解約・払戻し、不動産の相続登記、自動車の名義変更などで使用される重要な書類です。そのため、「文章として意味が通じるか」だけではなく、提出先で財産を一義的に特定できるかという視点が重要です。

比較項目 自分で作成する場合 専門家へ依頼する場合
費用 専門家報酬を抑えられる 専門家報酬が必要になる
戸籍の確認 自分で相続人を確定する必要がある 戸籍収集から依頼できる場合がある
財産の表示 登記簿や通帳などを確認して自分で記載する 使用目的に合わせて整理してもらえる
複雑な相続 判断が難しくなりやすい 必要に応じて他士業への相談判断もしやすい
手間 資料収集から作成、修正まで自分で行う 書類作成にかかる負担を軽減できる

自作するか依頼するかは、「書類を作れるか」だけでなく、その前提となる相続人調査・財産調査まで正確にできるかで判断することが大切です。

自分で作成する前に確認すべき4つのこと

遺言書がないか確認する

最初に確認したいのが遺言書の有無です。有効な遺言書によって対象財産の取得者が既に指定されている場合、その財産について改めて遺産分割協議をする必要がないことがあります。

自宅から遺言書らしい書類が見つかった場合には、その種類によって家庭裁判所での検認が必要になることもあります。公正証書遺言や法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用した遺言書など、検認が不要なものもあるため、種類を確認してから手続を進めます。

法定相続人を全員確定する

遺産分割協議は、基本的に相続人全員で行う必要があります。そのため、「家族の中で相続する人は分かっているから」と戸籍を確認せずに協議書を作るのは危険です。

被相続人に以前の婚姻歴がある、認知した子がいる、子が先に亡くなって孫が代襲相続人になっている、兄弟姉妹が相続人になるといったケースでは、想定していなかった相続人が判明することがあります。

通常は被相続人の出生から死亡まで連続した戸籍・除籍・改製原戸籍などを確認し、法定相続人を確定します。

プラス財産だけでなく債務も確認する

預貯金や不動産だけを調べてすぐに協議書を作成するのではなく、借入金、未払金、保証債務などがないかも確認します。

特に相続放棄を検討する可能性がある場合には注意が必要です。相続放棄は原則として、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述する必要があります。

相続放棄を検討している場合の注意

遺産分割協議を成立させたり、相続財産を処分したりすると、その後の相続放棄に影響する可能性があります。借金の有無が分からない段階で、急いで協議書へ署名・押印することは避けた方が安全です。

遺産分割の対象となる財産を整理する

預貯金、不動産、有価証券、自動車、現金、貸付金などを確認し、一覧にしておくと協議書を作りやすくなります。

預金の場合は金融機関名だけではなく支店名・預金種別・口座番号など、不動産であれば登記事項証明書に記録されている所在・地番・家屋番号などを確認します。

財産の表示を推測や略称だけで記載しないことが重要です。

遺産分割協議書を作成するときの必要書類

「遺産分割協議書を作るために必要な書類」と「完成した協議書を銀行や法務局で使うために必要な書類」は完全には同じではありません。提出先や相続内容によって追加資料が必要になるため、以下は基本的な確認資料として考えてください。

書類・資料 主な目的
被相続人の戸籍類 出生から死亡までの身分関係を確認し、相続人を確定する
相続人の戸籍 現在の相続人であることなどを確認する
住民票・戸籍の附票等 住所関係を確認する必要がある手続で使用する
印鑑証明書 協議書を相続登記や金融機関手続などで使用するときに求められることが多い
登記事項証明書 土地・建物の正式な表示を確認する
固定資産関係資料 不動産の把握や評価の参考にする
通帳・残高証明書 金融機関、支店、口座、残高などを確認する
証券会社の取引残高報告書等 株式・投資信託などの銘柄や数量を確認する
自動車検査証等 相続する自動車を特定する
借入関係資料 債務の有無や内容を確認する

複数の金融機関で相続手続を行う場合には、戸籍一式の代わりに法定相続情報一覧図の写しを利用できる場面もあります。法定相続情報証明制度は法務局が案内している制度で、相続手続の際に戸籍の束を何度も提出する負担を軽減できる場合があります。

遺産分割協議書の基本的な書き方

遺産分割協議書に全国共通の専用様式があるわけではありませんが、少なくとも「誰の相続について」「相続人全員が」「どの財産を」「誰が取得することで合意したのか」が明確に分かるように作成します。

被相続人を特定する

まず、誰についての遺産分割なのかが分かるよう、被相続人の氏名、死亡年月日、本籍や最後の住所など、必要な情報を記載します。

相続人全員が協議したことを明確にする

本文では、相続人全員が被相続人の遺産について協議し、以下のとおり分割することに合意した旨を記載します。

書き出しの考え方

「被相続人○○の遺産について、共同相続人全員で遺産分割協議を行い、次のとおり分割することに合意した。」など、協議の対象と全員の合意が分かる形にします。

実際の案件では相続関係や財産内容に合わせて文言を調整してください。

誰がどの財産を取得するのか記載する

最も重要なのが財産の特定です。「長男が家を相続する」「妻が銀行預金を取得する」といった日常会話のような記載では、第三者がどの財産を指しているのか判断できないことがあります。

不動産

不動産については、登記事項証明書を確認しながら土地の所在・地番・地目・地積、建物の所在・家屋番号・種類・構造・床面積などを正確に記載します。住所と登記上の「所在・地番」は異なることがあるため注意してください。

預貯金

預貯金は、金融機関名、支店名、預金種別、口座番号などを組み合わせて対象口座を特定します。死亡時残高から利息や入出金によって金額が変動することがあるため、単に金額だけで特定する方法は慎重に検討します。

株式・投資信託

証券会社名、支店や口座、銘柄、数量など、対象となる金融商品を特定できる内容にします。保有商品が多い場合には、別紙の財産目録と一体として作成する方法も考えられます。

自動車

自動車は登録番号だけでなく、車台番号など自動車検査証の情報を確認し、対象車両を特定できるようにします。

相続人全員の署名・押印欄を設ける

協議内容を確定したら、相続人全員の署名・押印欄を設けます。相続登記や金融機関の相続手続に使用することを考えると、実印による押印と印鑑証明書の準備を前提として進めるのが実務上は一般的です。

ただし、提出先によって必要書類や印鑑証明書の取扱いが異なるため、実際に提出する金融機関や手続先の案内も確認してください。

自作するときに失敗しやすいポイント

注意点 問題になりやすい理由
相続人を一人漏らす 相続人全員で行うべき協議になっておらず、協議をやり直す問題につながる
財産の表示が曖昧 銀行や法務局などで対象財産を特定できないことがある
登記情報と住所を混同する 不動産の所在・地番・家屋番号を誤って記載する原因になる
後から財産が見つかる 新たな財産について追加の協議が必要になることがある
相続放棄の検討前に進める 債務が判明した後の相続放棄に影響するおそれがある
未成年者がいる 親権者との利益相反がある場合、家庭裁判所で特別代理人の選任が必要になることがある
相続人間に対立がある 単なる書類作成では解決できず、弁護士や家庭裁判所の手続を検討する必要がある

複数ページになる協議書についても、ページの差替えを防ぎ、一体の書類であることが分かる形にしておくことが重要です。製本方法や契印について、実際の提出先で必要となる取扱いを確認すると安心です。

不動産がある場合は相続登記の期限にも注意する

2024年4月1日から相続登記が義務化されています。相続で不動産を取得したことを知った日から原則3年以内に相続登記を申請する必要があります。

さらに、遺産分割によって不動産を取得した場合には、遺産分割成立の日から3年以内に、その内容に応じた登記を行う必要があります。

2024年4月1日より前に発生した相続についても対象となっており、一定の場合には2027年3月31日が期限となります。

自分で作成せず専門家へ相談した方がよいケース

次のようなケースでは、協議書の文章だけを考えるより、相続関係や財産を含めて専門家に確認してもらう方が安全です。

  • 被相続人の婚姻歴や親族関係が複雑である
  • 兄弟姉妹・甥姪まで相続人になっている
  • 相続人の一人が既に死亡し、さらに相続が発生している
  • 相続人に未成年者や判断能力について配慮が必要な人がいる
  • 不動産が複数ある
  • 預貯金・株式・自動車など財産の種類が多い
  • 相続財産や債務を完全に把握できていない
  • 協議内容をどのような条項にすればよいか分からない
  • 作成後に複数の金融機関などへ提出する予定がある

行政書士に依頼できること

日本行政書士会連合会は、行政書士が作成する「権利義務に関する書類」の代表例として遺産分割協議書を案内しています。

相続人間で分割内容について合意できている場合、行政書士へ戸籍収集、相続関係の整理、財産目録、遺産分割協議書などの作成を相談できます。

大倉行政書士事務所では、2026年10月確認時点の料金として、遺産分割協議書の作成40,000円(税込)、相続人調査・財産調査などを含む遺産分割プラン77,000円~(税込)を案内しています。実費や案件内容による追加費用については、依頼前の見積りで確認することが大切です。

行政書士だけでは対応できない手続もある

相続手続は一つの資格だけで完結するとは限りません。

主な問題・手続 主な相談先 考え方
合意済みの遺産分割協議書 行政書士 相続人間で決まった内容を書面に整理する場合
不動産の相続登記 司法書士 登記申請の代理が必要な場合
相続税申告 税理士 相続税の計算・申告が必要な場合
相続人間の争い 弁護士 代理交渉や紛争解決が必要な場合

相続人同士で遺産の分け方について争いが生じている場合、行政書士が一方の代理人となって交渉することはできません。話合いがまとまらず紛争になっている場合は、弁護士への相談や家庭裁判所の遺産分割調停などを検討します。

遺産分割協議書を自分で作成する場合のFAQ

遺産分割協議書は手書きでも作れますか?

手書きでなければ無効になる、またはパソコンで作成すると無効になるというものではありません。実際には修正や財産表示の正確性を考え、パソコンで本文を作成するケースが多くあります。最終的には相続人全員の合意内容が正確に反映されていることが重要です。

法定相続分どおりに分けなければいけませんか?

相続人全員が合意すれば、法定相続分とは異なる割合で遺産を分けることも可能です。ただし、税務上の影響や債務、遺留分など別の問題が生じるケースもあるため、内容によっては専門家への確認が必要です。

遺産分割協議書に実印は必須ですか?

遺産分割の合意そのものと、協議書を相続登記や銀行手続で使用する場面は分けて考える必要があります。実際の相続手続では実印による押印と印鑑証明書が求められることが多いため、提出先の必要書類を確認したうえで作成してください。

相続人の一人が遠方に住んでいても作成できますか?

全員が同じ場所へ集まらなければ協議書を作れないわけではありません。内容について全員の合意を確認したうえで、書類を郵送して署名・押印を進める方法もあります。ただし、連絡が取れない相続人がいる場合は別の対応が必要です。

協議書を作った後に別の財産が見つかったらどうなりますか?

新たに発見された財産が既存の協議書で処理できない場合、その財産について追加の遺産分割協議を行い、追加の協議書などを作成することがあります。将来見つかる財産についての条項を設ける方法もありますが、安易な包括条項が適切とは限らないため内容を検討する必要があります。

法務局へ行けば遺産分割協議書を作ってもらえますか?

法務局は登記手続の案内を行っていますが、相続人間の財産の分け方を決めたり、個別の遺産分割協議書の内容を作成してもらう場所ではありません。協議書そのものの作成支援が必要な場合は、案件に応じて行政書士などの専門家へ相談します。

まとめ|自作する場合ほど「相続人と財産の確定」が重要

遺産分割協議書は、自分で作成することが可能です。相続人が少なく、財産も明確で、全員が分割内容に合意しているケースであれば、自作を検討できるでしょう。

一方、協議書の書式以上に重要なのが、相続人を一人残らず確定し、対象財産を正確に特定したうえで全員の合意を反映することです。

相続人の範囲が分からない、戸籍が集められない、不動産と預貯金が複数ある、協議書の記載内容に不安があるといった場合には、書類を作り始める前の段階から専門家へ相談する方法もあります。

遺産分割協議書の作成を大倉行政書士事務所へ相談する

大倉行政書士事務所では、相続人間で合意した内容に基づく遺産分割協議書の作成をはじめ、戸籍収集、相続人調査、財産調査など相続手続に関するご相談に対応しています。

奈良県生駒市を拠点に、生駒市・奈良市のほか、東大阪市・大阪市など周辺地域からの相続相談にも対応しています。自分で作成できるケースか、専門家へ任せた方がよいケースか分からない場合も、現在の相続関係や財産内容を整理するところからご相談ください。

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