2024.06.24
離婚協議書で年金分割の合意をするには
夫婦が離婚をすることとなった場合には、離婚条件について2人で話し合うことになるかと思います。このように夫婦の合意によって離婚や離婚条件を決める方法を協議離婚といい、協議離婚の際に作成する文書を離婚協議書といいます。
こちらの記事では、離婚協議書によって定める夫婦の離婚条件のうち、特に年金分割について詳しく記載をさせていただきます。
離婚協議書によって定めること
離婚協議書で定める年金分割について説明させていただく前に、まずは離婚協議書に定める離婚条件について簡単に説明させていただきます。離婚時に協議書によって定める条項は夫婦それぞれ異なりますが、次のような内容を定めることが多いです。
- 子供の親権
- 子供の養育費の金額や支払方法
- 面会交流の回数や方法
- 夫婦の財産分与
- 慰謝料の金額や支払方法
- 年金分割による合意 等
特に離婚後の契約では上記の養育費や財産分与など金銭的な受渡をする契約がされることが通常ですので、契約した後に互いに揉めない為にも、書面によって作成しておいた方が安全でしょう。これらの離婚条件を口頭によって契約することもできますが、離婚後の金銭的な問題で揉めることは実は多いです。
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年金分割について
夫婦は、離婚時に婚姻中に支払った厚生年金について、将来に受給する年金の按分を合意の上決めておくことができます。これを「合意分割」といいます。離婚時に話し合う年金分割は、この合意分割以外に、「3号分割」と呼ばれる方法もあり、離婚時にはこの2種類を検討することになります。それぞれの内容や利用条件等についてまずは下記で解説します。
合意分割とは
合意分割とは、夫婦の婚姻期間中の厚生年金記録を最大2分の1の按分で分割することが出来る制度です。つまり、夫婦が共働きで会社に勤めて、それぞれが収めた厚生年金をその納めた支払額に関係なく、年金受給時に公平に受け取ることができるようになる(按分割合は合意で決めますが。)イメージです。離婚協議書や公正証書に記載される年金分割はこちらの分割になります。合意分割を利用するには、次の要件に該当する必要があります。
- 平成19年4月1日以後に離婚をしている
- 婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)がある
- 請求する者と相手方双方の合意がある
- 離婚後2年以上経っていない
合意分割は上記のとおり、当事者双方の合意がなければできません。そのため、もし相手方の合意ができない場合には、調停や審判を利用することができます。
3号分割とは
国民年金の3号被保険者が請求することで、配偶者等の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を2分の1ずつ、当事者間で分割することができる制度です。この3号分割の最大の特徴として、年金分割をするにあたって夫婦の合意が不要という点が挙げられます。また、3号分割は、夫婦の年金分割の按分割合が「2分の1」ずつと決まっているため、合意分割と異なりこの割合を変更することができません。3号分割を利用するには、平成20年4月1日以後の婚姻期間中に3号被保険者である期間がなければいけません。
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離婚協議書で年金分割を定めることはできる?
離婚協議書によって夫婦の年金分割について定めることは可能です。しかし、離婚協議書によって定める合意分割は夫婦で合意分割の割合を決めた証拠にしかならないので、公正証書や年金分割合意書(公証人の認証付※)のように、夫婦各々が年金事務所で手続をすることはできず、離婚協議書によって合意分割をする場合は、離婚後に夫婦そろって年金事務所で手続する必要があります。
そのため、実際は離婚協議書によって年金分割を定めるケースは少なく、よくあるケースとして、離婚協議書とは別で年金分割合意書を作成し、公証人の認証を受けたり、公正証書自体に年金の合意分割を記載することで、離婚後に各々が年金事務所で手続をできるようにします。
※)公証人の認証とは:私文書が有効に成立しているかを証明するため、私文書にされた署名や押印が本人のものであることを、公証人が証明することです。年金分割合意書も私文書ですので、公証人の認証を受けることができます。認証を受けるには、夫婦で揃って公証役場に出向く必要があります。
離婚後に年金分割(合意分割)を1人でするためには
離婚後に年金の合意分割を一人でするために必要な書類をまとめます。
⑴公証役場が関与
・公正証書の正本・謄本又は抄録謄本
・公証人の認証を受けた年金分割合意書
⑵裁判所が関与
・審判書の謄本又は抄本及び確定証明書
・調停調書の謄本又は抄本
これらの書類以外にも、手続には戸籍謄本やマイナンバーカードが必要となりますので、詳細はこちらのページよりご確認ください。なお、3号分割については上記⑴及び⑵に記載した書類は不要です。
離婚協議書で年金分割を定めておくメリット
離婚協議書で年金分割を定めても、結局年金手続を各々が行えないのであれば意味がないのではないかと考えられますが、実は離婚協議書によって定めることで得られるメリットもあります。例えば、年金分割を離婚後に協力し合うことを書面によって約束できる点です。
例えば、年金事務所には一緒に行く前提で、離婚協議書によって事前に「年金の按分割合、手続をする年金事務所、離婚後いつまでにするか」等を具体的に決めておくことができます。
年金分割を記載した離婚協議書や公正証書の作成はお任せください
夫婦で離婚をする際に作成する、年金分割を決めた離婚協議書や公正証書の作成サポートは当事務所にお任せいただけます。当事務所はこれまでに何百件もの離婚による書面作成をサポートさせていただき、総口コミ数は150件(評価4.9/5)を超えております。下記のようなお悩みをお抱えの方は、一度ご相談下さい。
- 年金分割がどのような制度なのか理解していない
- 自分が合意分割が必要なのかどうかわからない
- 年金分割以外のことも決めておきたい
- 離婚後に年金分割ができるように離婚協議書や公正証書を作成しておきたい
- 離婚後に年金分割ができるように年金分割合意書を作成し、認証を受けておきたい
当事務所は、大阪市内にある事務所ですが、離婚協議書や公正証書のご依頼はメールやチャット、電話等による対応が可能ですので、近辺の大阪府、京都府、兵庫県、奈良県等の近畿圏をはじめとし、遠方では、これまでに東京都、神奈川県、広島県、沖縄県などからのご依頼にも対応した実績があります。当事務所への初回の電話相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。下記では、依頼後の手続の流れ等について記載しております。
手続の流れ
1.ご連絡
まずは、お問い合わせフォームやお電話等によって年金分割を伴う離婚協議書や公正証書を作成されたい旨をお伝えください。この時点で、これらの離婚協議書や公正証書を作成するために必要な「離婚の合意や離婚条件、記載のご希望」等をお伺いさせていただきます。行政書士は、依頼を受けた業務や内容について守秘義務が課されていますので、安心してご相談いただくことができます。
2.お見積書とご契約
前記1によりお伺いした内容を元に、お見積書と契約書を作成させていただきます。お見積は基本的に電話等による口頭でお伝えするケースがほとんどですが、ご要望がありましたら書面(PDF)によってメールに送付させていただくことも可能です。これらの内容にご了承いただけた場合には、ご契約とお振込みをいただきます。お振込みは、契約後5日以内の事前払いとさせていただいておりますので、ご了承ください。
3.離婚協議書や公正証書の案文作成
当事務所によって、年金分割を検討し記載した離婚協議書や公正証書の案文を作成し、チャットやメールによってPDF形式でお送りさせていただきます。内容を、ご夫婦で確認いただきながら、内容や表現の変更や修正を重ねて、最終的にお二人が合意された離婚協議書や公正証書を完成させます。なお、変更や修正においては、追加費用をいただいておりませんので、最後まで安心してサポートをご利用いただけます。
料金
書面の種類 | 料金 | 概要 |
離婚の公正証書 | 60,000円~ | 離婚公正証書の原案を作成し、公証役場において打ち合わせや必要書類の提出等を行います。 |
公証役場での代理調印 | 15,000円 | 当事者一方の代理人として、公証役場で代理署名等を行います。代理人を立てて作成する場合には、委任者の委任状が必要です。 |
離婚協議書 | 30,000円 | 離婚協議書を作成し、PDFにより提供します。郵送は追加料金で対応させていただきます。 |
お客様の声
以下は、ご依頼いただいたお客様からのお声です。高い評価をいただくことが多いですが、質問のしにくさなどを指摘いただくことがありますので、この点を改善できるように日々精進しております。
作成のイメージ
ご依頼によって作成させていただく離婚協議書や公正証書は「7ページから9ページ」になることが多いです。内容にもよりますので、まずはご相談下さい。
離婚協議書で年金分割の合意をするには―よくある質問
Q1.年金分割をするメリットは何ですか。
婚姻期間中に共働きであっても、収入に差があった場合には、年金の合意分割をしておくことで、将来に貰える年金額が増加します。
Q2.離婚後1年経っていますが年金分割は可能でしょうか。
はい。年金分割は離婚後2年間は請求できますので、可能です。しかし、離婚後1年経っていると相手側は請求に応じない可能性があり、その場合には合意分割は難しいでしょう。この場合には調停や審判を利用することとなります。
離婚協議書で年金分割の合意をするには―まとめ
最後までご覧いただきありがとうございました。こちらの記事では、離婚協議書によって定める年金分割について主に述べさせていただき、これに付随して公証人の認証付きの私文書や公正証書についても下記のとおり解説させていただきました。
1.離婚協議書によって定めること
2.年金分割について
⑴合意分割とは
⑵3号分割とは
3.離婚協議書で年金分割を定めることはできる?
⑴離婚後に年金分割(合意分割)を1人でするためには
⑵離婚協議書で年金分割を定めておくメリット