2024.06.28
離婚後のペットの所有権は誰になるの?面会は認められる?
現代社会では、犬や猫などのペットが家族の一員として認識されることが一般的になりつつあり、多くの人々がペットと深い絆を築いていることは説明するまでもありません。
婚姻中に夫婦で飼うことを決めたペットは、離婚時にどうなるのでしょうか。離婚により夫婦は別々に暮らすことになりますが、共同で飼っていたペットはどちらが引き取ることなるのでしょうか。また、離婚によりペットを引き取らない方は、将来的にペットと再会する機会を持つことができるのでしょうか。
この記事では、離婚後のペットの所有権の決め方について、法的な観点から詳しく述べさせていただきます。
離婚後にペットを所有できるのは誰?
法律上、ペットは「家族」ではなく「物」として扱われます。このため、ペットは離婚時における預金や不動産と同様に財産として扱われ、財産分与の対象となります。したがって、婚姻中に購入したペットは、誰が契約者であるかに関わらず、離婚後に話し合いによって所有権が決定されます。ただし、財産分与の請求期限には注意が必要です。例えば、離婚から2年が経過すると、財産分与の請求権を主張できなくなり、ペットの所有権は契約者に帰属することになります。
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離婚後にペットと面会できるの?
婚姻中に購入したペットについて、離婚後に所有権を持たない場合、定期的にペットと面会することは一般的に認められません。これは、ペットが法律上、「物」として扱われるため、未成年の子供と同様の面会交流権が存在しないからです。したがって、離婚後にペットとの面会を希望する場合は、離婚時に当事者間で面会を認める旨の特約を離婚協議書や公正証書などの書面に明記しておく必要があります。この特約がないと、調停を申し立ててもペットとの面会を認めてもらうことは困難です。
離婚後のペットの所有者に面会を認めてもらう方法
離婚後のペットの所有者に面会を認めてもらうには、ペットの所有者に対してメリットを示す必要があります。例えば、次のようなメリットを示すことが考えられます。
情報共有
ペットとの面会を認めることにより、お互いがペットの環境や健康について情報を共有することが可能となります。この情報共有は、離婚後のペットの健康を維持する責任を果たす上で重要です。定期的な面会があれば、ペットの日常生活や健康状態を確認し合うことができ、必要に応じて医療や栄養面での調整を行うことも容易になります。
精神的な支え
離婚前は、ペットと元配偶者が一緒に生活していたため、突然元配偶者が家族から離れることはペットにとって大きな負担となることが考えられます。したがって、週に1回でなくても、月に1回は、ペットと元配偶者を合わせることが心の支えになる場合があります。
負担の分担
相手が友人と旅行に行く際にペットを預かることを条件に、離婚後にペットと月数回の面会を認めてもらうように提案すると、その提案を受け入れてもらえる可能性があります。最近ではペット用の宿泊施設も増えていますが、ペットを赤の他人に預けることに抵抗がある人もいます。そのため、ペットを宿泊施設に預けるよりも、元々ペットと一緒に生活していた配偶者に預けた方が良いと考える人も少なくありません。
上記のようなメリットを示すことで、離婚後にペットの所有者に面会を認めてもらう可能性が高まります。
離婚後のペットの所有者を決めたら書面にしておく
離婚時に夫婦で決めたことを口頭でだけ残しておくと、後で問題が起こる可能性が高くなります。特にペットの所有権の問題も同じです。離婚時にペットの所有権を譲渡すると話しても、後でペットが恋しくなって前言撤回する可能性があります。口頭での合意だけでは、それを証明する手段がほとんどありません。ですから、離婚時には基本的に、離婚協議書(※1)や公正証書(※2)として書面に残すことが推奨されます。
※1)離婚協議書:離婚時に夫婦によって作成する離婚の合意や条件を定めた契約書
※2)公正証書:公正証書は、公証人が私人からの嘱託により、その権限に基づいて作成する公文書であり、私人が作成する離婚協議書等の私文書と区別されます。公正証書は私文書と比べ、公証人(公正な第三者である公務員)によって作成されるため、契約が当事者の有効な意思表示によってになされたかにについて強い推定がされます。さらに公正証書は、金銭的な支払の約束について未払があった場合に強制執行できる内容を記載することができます。
離婚後のペットの所有を決めたら公正証書にしておくべきか
離婚後のペットの所有権に関する話し合いがある場合、離婚協議書と公正証書のどちらを作成すべきか考える必要があります。公正証書は公証人(法律の実務経験が長い公務員)によって作成されるため、書類の真正性が確保されていますが、金銭的な支払いが含まれない場合、強制執行の認諾を記載する必要がなくその利点は限られます。
したがって、ペットの所有権を含む離婚協議事項が金銭的な支払いと関連している場合には公正証書を、それ以外の場合には離婚協議書を選択するのが良いでしょう。具体的なケースを次のとおり解説します。
離婚条件にペットの財産分与以外に次の条件の記載をする場合:公正証書
- 金員の財産分与
- 養育費
- 年金分割 等
離婚条件にペットの財産分与以外に上記の記載をしない場合:離婚協議書
もし、公正証書を作成する場合には次のような流れで作成されます。
公正証書作成の流れ
1.申込
まずは、夫婦で決めた離婚協議の内容を公正証書として作成したい旨を、どの公証役場でも問題ありませんので連絡します。その際には、作成を希望する公正証書の内容を公証人によって記載してもらえるかを確認しておくことが重要です。公証人は、作成する公正証書の内容を自らの法解釈等によって決めるため、全ての希望内容を記載してもらえるわけではありません。
2.案文と必要書類の提出
離婚条件等を記載した公正証書の案文や、提出が必要な書類(例 運転免許証、戸籍謄本など)を、メールやファックスなどで公証役場に提出します。具体的な必要書類や提出方法については、連絡の際に役場の書記や公証人から案内があります。
3.公正証書の原案確認
提出した案文と必要書類に基づいて、通常1週間程度で公証役場から公正証書の初稿が届きます。ただし、届くタイミングは公証人によって異なるため、可能であれば事前に確認しておくことをお勧めします。届いた初稿を夫婦で詳細に確認し、記載内容に誤りがないかを丁寧にチェックします。問題がなければ、公証人に最終確定の意思と公正証書の作成希望日を伝えます。
4.公正証書の作成
公正証書の作成日に、予約した公証役場を訪れて公証人から公正証書の朗読を受け、原本に署名と印鑑を押します。印鑑は認印でも問題ありませんが、印鑑登録証明書を持っている場合は実印が必要です。手続きは通常30分程度で完了します。
公正証書の作成は、その内容や目的に応じて手続きが異なることもありますが、基本的にはこのような流れで進行します。
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>離婚の公正証書は自分で作れる?
離婚後のペットの所有者を定めた書類の作成はお任せください
私の事務所は、大阪市に位置し、離婚や遺言相続などの民事法務を専門に扱っています。お客様の要望に応じて最適な解決策をご提案し、必要な書類の作成や手続きを丁寧にサポートしています。特に離婚関連の業務では、年間約150件の相談を受け、離婚協議書や離婚給与等契約公正証書の作成を支援してきました。行政書士は弁護士とは異なり、あくまで夫婦間での合意に基づく書類作成を行いますが、そのため弁護士よりも費用を抑えることが可能です。当事務所では、初回相談は無料ですので、お気軽に問い合わせフォームやお電話でご連絡ください。
当事務所は、大阪市内に位置し、主に大阪府、京都府、兵庫県、奈良県からの依頼を受けていますが、全国各地からも離婚協議書や公正証書の作成に関するご依頼を承っております。近畿圏以外では、これまでに北海道、東京都、神奈川県、広島県、福岡県、沖縄県などの都道府県からのお問い合わせやご依頼をいただいており、幅広い地域での実績を積んでいます。
手続の流れ
1.ご連絡
まずは、お問い合わせフォームやお電話で、ペットの財産分与を含む離婚協議書や公正証書の作成をご希望される旨をお知らせください。この段階で、離婚の合意や条件、その他記載内容についてお伺いします。行政書士は、依頼内容に対して厳格な守秘義務を負っていますので、ご相談は安心してください。
2.お見積書とご契約
前記1でお伺いした内容を基に、お見積書と契約書を作成いたします。お見積書は通常、電話での口頭でのご説明となりますが、ご希望があればPDF形式でメール等に送付いたします。契約内容や金額にご了承いただける場合には、事前のお振込みをお願いいたします。お振込み期限は契約後5日以内となっておりますので、ご注意ください。
3.離婚協議書や公正証書の案文作成
当事務所にて、ペットの財産分与を含む離婚協議書や公正証書の案文を作成し、PDF形式でチャットやメールにてお送りいたします。ご夫婦で内容を確認しながら、必要に応じて修正や変更を行い、最終的にご夫婦の合意に基づく書類を完成させます。なお、修正や変更に伴う追加費用は一切発生いたしませんので、安心してご利用ください。
料金
書面の種類 | 料金 | 概要 |
離婚の公正証書 | 60,000円~ | ペットの財産分与を含む離婚公正証書の原案を作成し、公証役場において打ち合わせや必要書類の提出等を行います。 |
公証役場での代理調印 | 15,000円 | 当事者一方の代理人として、公証役場で代理署名等を行います。代理人を立てて作成する場合には、委任者の委任状が必要です。 |
離婚協議書 | 30,000円 | ペットの財産分与を含む離婚協議書を作成し、PDFにより提供します。郵送は追加料金で対応させていただきます。 |
お客様の声
現在(2024年6月)Google、他サイトを含め、総数150件以上の口コミをいただき、全体的な評価が「4.9/5」という高評価を受けています。そのため、当事務所のサービスに対する自信を持っています。しかし、全ての口コミが高評価であるわけではなく、改善が必要な点もあります。特に、相談のしやすさに関する改善が求められており、我々は日々その向上に取り組んでいます。以下は、お客様からいただいた一部のフィードバックです。
作成のイメージ
通常、離婚協議書や公正証書は通常7ページから9ページ程度の長さですが、具体的な内容によっては10ページを超えることもありますし、内容が少ない場合は7ページに満たないこともあります。
離婚後のペットの所有権は誰になるの?ーよくある質問
Q1.離婚協議書や公正証書の作成期間は依頼からどのくらいかかりますか。
離婚協議書はご依頼後、1週間前後で作成し、公正証書はご依頼後、1か月以上かかることが通常です。
Q2.公正証書を作成する際に、持参する物は教えてもらえますか。
ご依頼後に、手続に沿って公正証書を作成する際の必要物を案内させていただきます。
Q3.婚姻中に私名義で購入したペットですが、相手が飼いたいといっています。そのような主張は認められるのでしょうか。
婚姻中に購入したペットは、夫婦の共有財産となります。そのため、相手方にもペットの所有を求める権利があると言えるでしょう。もし、ペットの所有で揉めているのであれば、調停等の手続の利用を検討できます。
Q4.離婚後に犬と面会をしたいのですが、どうすれば面会を認めてもらえるでしょうか。
離婚後の犬の所有者に面会交流による、相手のメリットを伝えてみてはいかがでしょうか。具体的にはこちらの記事の「離婚後のペットの所有者に面会を認めてもらう方法」で解説させていただきましたので、ご覧ください。
離婚後のペットの所有権は誰になるの?-まとめ
最後までご覧いただきありがとうございました。こちらの記事では、離婚によるペットの所有権の問題について所有者でない者は面会をすることができるのか、するためにはどのような対策を講じる必要があるのかなど、次のとおり述べさせていただきました。
1.離婚後にペットを所有できるのは誰?
2.離婚後にペットと面会できるの?
⑴離婚後のペットの所有者に面会を認めてもらう方法
3.離婚後のペットの所有者を決めたら書面にしておく
4.離婚後のペットの所有を決めたら公正証書にしておくべきか
⑴公正証書作成の流れ