離婚後の子どもの戸籍と名字はどうなる?子の氏の変更許可・入籍届と共同親権の注意点 - 相続・遺言・離婚専門の大倉行政書士事務所

2026.10.04

離婚後の子どもの戸籍と名字はどうなる?子の氏の変更許可・入籍届と共同親権の注意点

離婚後の子どもの戸籍と名字はどうなる?子の氏の変更許可・入籍届と共同親権の注意点

離婚後、子どもと一緒に暮らすことになれば、子どもの戸籍や名字も自分と同じになると思っていませんか。実際には、離婚届で親権者を定めても、子どもの戸籍と氏は自動的には変わりません。同じ戸籍に移すには、通常、家庭裁判所の「子の氏の変更許可」を受け、その後に市区町村へ「入籍届」を提出します。さらに、2026年4月からの共同親権の制度では、15歳未満の子どもの手続きを誰が行うかにも注意が必要です。戸籍・氏・親権を分けて考え、必要書類と手続きの順序を確認しましょう。

離婚届を出しても、子どもの戸籍と名字は自動で変わらない

父母が離婚し、一方の親の戸籍や氏が変わっても、それだけで子どもの戸籍と氏が変わるわけではありません。例えば、母が婚姻前の氏に戻り、子どもと同居を始めても、子どもは従前の戸籍と氏のままという状態が生じます。これは戸籍の誤りではなく、親の離婚と子の氏の変更が別の手続きだからです。[1]

また、離婚届の親権に関する欄は、子どもが入る戸籍を指定する欄ではありません。親権者を誰にするか、どこで暮らすか、どの戸籍に入り、どの名字を名乗るかは、関連していても同じ問題ではありません。

項目整理する内容混同しやすい点
親権子の監護・教育、財産管理などに関する権利義務親権者の指定だけで戸籍が移るわけではない
戸籍親子関係などの身分関係を記録するもの同居している家族が必ず同じ戸籍とは限らない
氏戸籍上の名字学校などで使う呼び名と戸籍上の氏は区別する
住所・世帯住民登録や実際の生活場所転居の手続きだけでは子の氏の変更は完了しない

手続きを考える順番

「子どもの氏をどうするか」「誰の戸籍に移すか」「子どもの年齢はいくつか」「現在の親権者は誰か」を整理し、それぞれに合う手続きを確認します。母から父の戸籍へ移る場合も、基本的な考え方は同じです。

本記事は、日本の戸籍に記載されている子が、離婚後に父または母の戸籍へ移る一般的なケースを中心にしています。外国籍の親がいる場合、子が既に婚姻している場合、養子縁組を伴う場合などは、同じ説明だけで判断しないでください。

名字が同じでも「子の氏の変更許可」が必要になる

婚姻中の名字を使い続けても、戸籍は別になる

離婚した親が、婚姻中と同じ名字を使い続ける届出をしている場合、親子の名字の見た目は変わらないことがあります。それでも、別々の戸籍にいる子をその親の戸籍へ移す場合には、通常、子の氏の変更許可と入籍届が必要です。[2]

例えば、婚姻中も離婚後も母子が「山田」と名乗っていても、子が父の戸籍、母が別の戸籍にいることがあります。「文字が同じだから氏の変更は不要」と自己判断せず、現在の戸籍と入籍先を戸籍窓口で確認してください。

この点は、富山市の「子の氏・戸籍を父から母、母から父へ変更する場合」の案内でも説明されています。戸籍を移す必要があるかどうかは、名字の表記だけでは判断できません。

親自身の氏と、入籍先の戸籍を先に決める

親が婚姻前の氏に戻るのか、婚姻中の氏を使い続けるのかによって、子どもについて検討する内容も変わります。また、親自身がどの戸籍に入っているかによっては、新しい戸籍の編製などの確認も必要です。子を入れる先を曖昧にしたまま申立書を準備せず、戸籍窓口で本籍・筆頭者を確認しましょう。

家族で話し合う際は、「名字の表記を変えたくない」という希望と、「同じ戸籍にしたい」という希望を分けて聞くと整理しやすくなります。子どもの学校生活への不安も、戸籍の手続きとは別に、学校へ確認すべき事項として書き出しておくとよいでしょう。

誰が申立てる?15歳の区分と2026年の共同親権

子の氏の変更許可の申立人は子ども本人です。ただし、15歳未満の場合は法定代理人が子を代理します。成人年齢の18歳ではなく、15歳がこの手続きの重要な区分です。申立人と、書類を実際に窓口へ持参する人も区別してください。[3]

子の年齢・親権の状態家庭裁判所への申立ての基本確認すること
15歳以上子本人が申立てる親の希望だけでなく、本人の意思を確認する
15歳未満・単独親権親権者が法定代理人として子を代理する現在の親権者を戸籍等で確認する
15歳未満・共同親権原則として父母が連名で共同して申立てる他方の親の氏名を無断で記入しない
15歳未満・子の氏の変更について親権行使者が裁判手続で指定されている指定された親が単独で申立てることができる指定を証明する審判書等を準備する

共同親権だから、同居している親だけで進められるとは限らない

2026年4月1日に、父母の離婚後等の子の養育に関する改正法が施行されました。改正の施行については、府中市の制度見直しの案内でも確認できます。

共同親権の下で15歳未満の子の氏を変更する場合、裁判所は原則として父母連名の申立てを求めています。日常的に子と暮らし、学校の連絡を担当している親であっても、その事情だけで単独申立てができると考えないでください。[3]

「相手に任せる」という私的な合意だけでは足りない

裁判所のQ&Aでは、共同親権の場合、一方の親だけを法定代理人として子の氏の変更を申し立てるためには、親権行使者の指定を受ける必要があり、父母間の私的な合意だけでは手続きを委ねられないと説明されています。一般的な委任状を作れば解決するとは限りません。[4]

無断で署名しないでください

相手の同意がないのに、連名の形にするため氏名を記入したり、署名・押印を代わりにしたりしてはいけません。協議が整わないときは、子の氏の変更に関する親権行使者の指定について、弁護士や家庭裁判所に確認しましょう。

親権行使者の指定は、特定の事項について親権を単独で行使する者を定める手続きです。共同親権全体を単独親権に変更する手続きと同じではありません。詳細は、裁判所の「親権行使者の指定調停」で確認できます。

離婚後に子どもの戸籍を移す手続きの流れ

1.離婚後の戸籍の記載を確認する

まず、離婚後の父母と子の戸籍を確認します。家庭裁判所に提出する父母の戸籍には、離婚の記載が必要です。離婚届を提出した直後は、その内容が戸籍に記載され、証明書を取得できるまで日数を要することがあるため、取得可能な時期を窓口で確認してください。[1]

離婚前に取得した戸籍をそのまま使えると考えず、提出先が求める記載を確認します。「親の新しい戸籍」「子が現在入っている戸籍」を並べ、氏、本籍、筆頭者、親権に関する記載を整理すると、書類の取り違えを防ぎやすくなります。

2.子の住所地を管轄する家庭裁判所へ申立てる

申立先は、原則として子どもの住所地を管轄する家庭裁判所です。本籍地の家庭裁判所とは限りません。複数の子が申し立てる場合は、そのうち1人の子の住所地の家庭裁判所へ申し立てることができます。[3]

例えば、子どもが生駒市で暮らし、本籍が大阪市にある場合でも、申立先は子の住所を基に確認します。引越しの予定がある場合は、その時期も含めて裁判所へ確認すると安心です。裁判所と市区町村は役割が異なるため、同じ庁舎で一連の手続きが完結するわけではありません。

3.照会等に対応し、許可の審判書謄本を受け取る

申立後、裁判所から電話や郵便で確認を受けることがあります。共同親権で父母が申立てた場合、双方に照会されることもあります。「書類を出せば、その日に必ず許可が出る」とは限りません。入学や進学の予定がある場合でも、余裕を持って準備してください。[4]

4.市区町村へ入籍届を提出する

許可を受けた後、入籍届に家庭裁判所の審判書謄本を添付し、市区町村へ提出します。家庭裁判所の許可だけでは、戸籍を移す手続きは終わりません。入籍届の届出先は、子の本籍地または届出人の所在地の市区町村です。[5]

大阪市に届出をする場合の窓口等は、大阪市の「入籍届」の案内で確認できます。ここでいう入籍届は子が親の戸籍へ入るための届出であり、結婚の際に提出する婚姻届ではありません。

子が15歳以上なら入籍届の届出人は子本人、15歳未満なら法定代理人です。共同親権の場合は父母双方の署名が必要とされます。親権行使者の指定を受けているなどの事情があるときは、その書面を示し、具体的な届出方法を市区町村へ確認してください。[5]

必要書類と費用|裁判所と市区町村を分けて準備する

家庭裁判所の申立てに必要なもの

裁判所が示す標準的な書類と費用は次のとおりです。同じ戸籍で複数人の必要事項を確認できる場合など、同じ書類は1通で足ります。必要に応じて追加資料を求められることがあるため、家族の状況と照らし合わせて確認してください。[3]

項目標準的な内容注意点
申立書子の氏の変更許可申立書15歳以上・未満の区分と親権の状態に合う書式を使う
子の戸籍戸籍謄本・全部事項証明書現在の戸籍の内容を確認する
父母の戸籍父・母の戸籍謄本・全部事項証明書離婚による申立てでは、離婚の記載があるもの
親権行使者の指定を示す書面該当する場合、審判書謄本と確定証明書、または調停調書謄本等子の氏の変更に関する指定であることを確認する
収入印紙子ども1人につき800円子ども2人なら印紙代は合計1,600円
連絡用の郵便料等申立先の裁判所が案内する額・納付方法戸籍の取得費用や郵送費等も別途考える

最新の書式は、裁判所の「子の氏の変更許可」から確認できます。古い様式や個人サイトの記入例をそのまま流用せず、現在の案内を使用してください。

入籍届の「戸籍添付不要」を裁判所の手続きと混同しない

市区町村への入籍届は、2024年3月1日から戸籍謄本の添付が原則不要となっています。一方、家庭裁判所への申立てには、現在も標準的な添付書類として戸籍謄本が示されています。[5]

「どこに提出する書類か」を確認しましょう

市区町村への届出で戸籍の添付が原則不要になったことは、家庭裁判所の申立てでも戸籍が不要になったという意味ではありません。また、入籍届に添付する子の氏の変更許可の審判書謄本は別に必要です。

取得前に、裁判所用と市区町村用で書類一覧を分けておくと、取り過ぎや不足を防ぎやすくなります。例外的に追加資料が必要な場合もあるため、提出先の案内を最終確認してください。

いつまでに手続きする?親の「3か月」との違い

離婚した親が婚姻中の名字を使い続けるための「離婚の際に称していた氏を称する届」は、離婚と同時、または離婚成立の日から3か月以内に提出する届出です。この期限は、子どもの戸籍を移す入籍届の期限とは別です。[6]

入籍届そのものには届出期間の定めはありませんが、届出をしなければ氏変更の効力は生じません。親の氏の届出と子の手続きを混同し、「子も3か月以内でなければ変更できない」「裁判所の許可が出たので提出しなくてよい」と考えないでください。[1]

手続き時期の考え方
親が婚姻中の氏を使い続ける届出離婚と同時、または離婚成立の日から3か月以内
子の氏の変更許可の申立て離婚後の戸籍、親権、子の年齢等を確認して準備する
許可後の入籍届届出期間の定めはないが、提出しなければ氏変更の効力は生じない
学校等への届出や証明書提出各機関の締切、必要書類、変更の反映時期を個別に確認する

期限のない手続きでも、入学書類、資格試験、旅行の予約などと時期が重なる場合には調整が必要です。戸籍の記載にかかる日数、証明書の取得、裁判所の確認、市区町村への届出をひと続きの予定として考えましょう。手続きの途中で子が15歳になる場合も、使用する書式や届出人の扱いを提出先へ確認してください。

親自身の氏の届出については、府中市の「離婚の際に称していた氏を称する届」が参考になります。

戸籍を移した後も、生活上の届出と親子関係は別に考える

住所、学校、保険などの変更を一覧にする

入籍届に基づいて住民票の氏や本籍に関する記載は変更されますが、転居や世帯の異動まで同時に済むわけではありません。氏の変更後には、必要に応じて学校、加入している健康保険、マイナンバーカード、金融機関などへの確認も進めます。住所異動との区別は、大田区の入籍届の案内でも説明されています。[1]

実務上は、「確認する相手」「戸籍上の氏を変更した日」「必要な証明書」「提出期限」「完了した日」を一覧にすると便利です。学校で従来の名字を使い続けられるか、どの書類には戸籍上の氏が必要かなどは学校へ確認し、親だけで一律に決めないようにしましょう。

子どもへの説明も、手続きの準備に含めましょう

名字を変えたいか、友人や学校へどう伝えたいか、手続きの時期に不安がないかを、年齢や理解に応じて確認してください。書類をそろえることだけを優先せず、本人の生活への影響を一緒に考えることが大切です。

戸籍の移動だけで、もう一方の親との関係はなくならない

子どもの氏や戸籍を変えることは、父母との法律上の親子関係を消す手続きではありません。戸籍が別になったことだけを理由に、養育費の問題や相続権がなくなるわけではなく、親権の指定も別の問題です。養育費や親子交流の取り決めは、戸籍の移動とは分けて整理してください。[7]

例えば、離婚協議書を作成する場合は、子の氏に関する考え方だけでなく、書類準備への協力や連絡方法など、合意している具体的な事項を整理します。ただし、協議書を書けば家庭裁判所の許可や適法な申立てを省略できるわけではありません。共同親権の手続きについても、私的合意で法定代理のルールを置き換えないことが重要です。

離婚後の子どもの戸籍・氏に関するよくある質問

親子が同じ名字なら、裁判所の許可は不要ですか?

同じ表記でも、離婚後の親と子が別戸籍にいる場合、子をその親の戸籍へ移すには通常、子の氏の変更許可と入籍届が必要です。名字の見た目ではなく、現在の戸籍と入籍先を確認してください。

共同親権の場合、父母が必ず一緒に裁判所へ行く必要がありますか?

共同で申立書を作成することと、同時に裁判所へ出向くことは別です。裁判所のQ&Aでは、必ずしも父母がそろって提出する必要はなく、郵送提出も可能とされています。ただし、申立後に双方へ照会されることがあります。

兄が16歳、妹が12歳の場合は、親がまとめて代理できますか?

同じ家族でも年齢によって扱いが異なります。16歳の子は本人が申立人となり、12歳の子は法定代理人が代理します。複数の子の書式や添付書類のまとめ方は、申立先の裁判所へ確認してください。

再婚相手の戸籍に入れば、その人の養子になりますか?

入籍届による戸籍の移動と、養子縁組は別の手続きです。同じ戸籍に入るだけで再婚相手との養親子関係ができるわけではありません。養子縁組も検討する場合は、親権や必要な同意などを含め、別途確認してください。

相手と連絡を取ることに危険や強い不安がある場合はどうすればよいですか?

署名を求めるために無理に直接連絡せず、弁護士や公的な相談窓口へ相談してください。共同親権の手続きや裁判所からの連絡についても、安全に受け取れる方法を確認する必要があります。記事の一般的な流れより、本人と子の安全を優先してください。

まとめ|親の離婚と子の戸籍変更は、別の手続きです

離婚後に子どもを自分の戸籍へ移すときは、通常、子の氏の変更許可を受けた後、市区町村へ入籍届を提出します。氏の表記が同じでも手続きが必要になることがあり、15歳未満かどうか、共同親権かどうかによって申立ての方法も変わります。

戸籍、親権、子の意思、必要書類、学校生活の予定を一つずつ分けて確認することが、手戻りを防ぐ近道です。裁判所の許可を得ただけで終わらせず、その後の入籍届と必要な生活上の変更まで確認しましょう。

生駒市で離婚に伴う書類の整理をお考えの方へ

奈良県生駒市の大倉行政書士事務所では、離婚に伴う戸籍等の書類準備や、合意済みの内容に基づく離婚協議書の作成などについて、行政書士が対応できる範囲をご案内しています。奈良市や東大阪市などからのご相談でも、親権の状態、子の年齢、現在の戸籍、合意している事項を整理しておくと相談が円滑です。

家庭裁判所提出書類の作成や裁判手続きの代理は、行政書士の業務としてお受けするものではありません。父母間に争いがある場合は弁護士、裁判所提出書類の作成は対応範囲を確認した司法書士等へ相談してください。

事務所名大倉行政書士事務所
所在地奈良県生駒市山崎町3番11-1
電話番号0743-83-2162
受付時間9:00〜18:00
対応地域生駒市・奈良市・東大阪市・大阪市およびその周辺地域
お問い合わせお問い合わせフォームはこちら

参考サイト

  1. 大田区「入籍届」
  2. 富山市「子の氏・戸籍を父から母、母から父へ変更する場合」
  3. 裁判所「子の氏の変更許可」
  4. 裁判所「裁判手続 家事事件Q&A」
  5. 府中市「入籍届」
  6. 府中市「離婚の際に称していた氏を称する届」
  7. e-Gov法令検索「民法」(子の氏、親子関係、相続等)
  8. 裁判所「親権行使者の指定調停」
  9. 大阪市「入籍届」
  10. 府中市「父母の離婚後等の子の養育に関する見直しについて」

制度・参照情報は2026年9月29日時点で確認しています。個別の事情や届出時点の戸籍・親権の状態によって取扱いが異なるため、実際の手続きは家庭裁判所と届出先の市区町村の最新案内を確認してください。

その他の関連記事