亡くなった人の遺言書があるか調べる方法|公証役場・法務局・自宅の確認手順 - 相続・遺言・離婚専門の大倉行政書士事務所

亡くなった人の遺言書があるか調べる方法|公証役場・法務局・自宅の確認手順

亡くなった人の遺言書があるか調べる方法|公証役場・法務局・自宅の確認手順

亡くなった方が遺言書を残しているか調べるときは、公証役場の遺言検索、法務局の遺言書保管制度、自宅や預け先の確認を分けて進めます。どこか一か所で見つからなかっただけで、遺言書が一切ないとは断定できません。遺言の種類によって、確認できる範囲と請求できる人が違うためです。

この記事は、死亡後に遺言の所在が分からない相続人や、遺言執行者に指定されたことを知らされた方のための案内です。存命中の親の遺言内容を、本人に無断で家族が自由に検索できる制度の説明ではありません。見つかった後の開封や検認、相続手続きへのつなぎ方まで整理します。

遺言書を探す三つの確認先

公証役場の遺言検索、法務局の証明書、自宅や預け先の確認を対比した図(AI生成の解説画像)
公証役場・法務局・自宅や預け先では、確認できる遺言書の範囲が異なります。
確認先主に分かること分からないこと・注意点
公証役場公正証書遺言の作成・保管に関する検索情報自宅保管の自筆証書遺言は検索対象ではない
法務局の遺言書保管所保管制度を利用した自筆証書遺言の有無等制度へ預けていない遺言は分からない
自宅・預け先等手元の原本、写し、保管証、専門家等の連絡先見つけた書面が有効か、最新かは別の確認

公証役場と法務局は、同じ遺言の情報を一つの窓口ですべて検索する制度ではありません。本人が「公のところに預けた」と話していた場合も、公正証書を作ったのか、自筆証書を法務局へ保管申請したのかを分けて確認する必要があります。

制度の確認先:日本公証人連合会:公正証書遺言の検索。

手元の保管証や公正証書の写し、相談先の名刺などは手掛かりになります。ただし、その資料がないから制度を利用していないとは限りません。まず分かっている事実を記録し、どの確認先をまだ調べていないかを見える形にします。

「なかった」の範囲を記録する

「公証役場の検索で該当がなかった」「法務局への請求結果を確認した」「自宅の書類棚を調べた」は、それぞれ異なる確認結果です。一つの結果を、遺言書全体が存在しない証明として扱わないでください。

公正証書遺言は、公証役場の検索制度を確認する

日本公証人連合会の案内では、平成元年、すなわち1989年以降に全国の公証役場で作成された公正証書遺言について、検索システムにより調べることができます。死亡後は相続人等の利害関係人が、最寄りの公証役場で検索を請求できます。検索自体は無料とされています。

古い遺言や検索の対象・結果について不明な点がある場合は、作成した可能性のある公証役場などへ確認方法を相談します。検索対象の時期を踏まえず、「全国で何も作っていないことが証明された」と広く受け取らないことが大切です。

死亡の事実と、請求する立場の資料を用意する

死亡したことが分かる除籍謄本等、相続人等の立場を確認する資料、請求者の本人確認資料などを準備します。本人確認の方法として、運転免許証等の顔写真付き公的資料や、所定の印鑑登録証明書等が案内されています。具体的な組合せや代理での請求は、利用する公証役場へ確認してください。

氏名だけでなく、生年月日など本人を特定する情報も整理します。相続人以外の立場で請求する場合は、自分がどのような利害関係にあるかを説明し、それを示す資料を相談します。親しかった、葬儀を手伝ったという事情だけで、すべての請求ができると決めつけないでください。

検索で見つかることと、内容の証明を受け取ることは別

検索は、遺言を作成した公証役場などを確認する入口です。遺言内容を確認するための証明書等の取得については、保管先の公証役場へ必要な手続きと手数料を問い合わせます。検索が無料であることから、内容の書面交付まで全部無料と考えないようにします。

2025年10月以降の公正証書のデジタル化に伴う取扱いもあるため、以前の紙の正本・謄本だけを探す前提に限定しないことが大切です。手元に電子データがある場合も、どの書類・データが正式な交付物か、提出先で何が必要かを作成先へ確認します。

法務局では、保管の有無と内容の確認を分ける

法務局の遺言書保管制度を利用した自筆証書遺言については、死亡後に証明書の交付等を請求できます。調べたい目的によって、遺言書保管事実証明書と遺言書情報証明書を使い分けます。似た名前ですが、同じ内容の証明書ではありません。

証明書主な目的内容
遺言書保管事実証明書制度を利用した保管の有無を確認する請求人の立場に応じた保管事実等。遺言本文の画像そのものではない
遺言書情報証明書遺言内容を確認し、相続手続きに利用する保管された遺言書の画像情報等を確認できる

相続人か、それ以外の人かで確認範囲が異なる

法務省の案内では、遺言書保管事実証明書は、亡くなった方について相続人等であるかを確認するためにも利用されます。ただし、相続人以外の人が請求する場合は、自分が受遺者や遺言執行者等として記載されている遺言についての確認が基本となります。

そのため、相続人ではない人が「自分に関係する保管が確認できなかった」という結果を受けても、ほかの人に関する遺言まで一切ないと判断することはできません。請求人の立場と、どこまでの結果なのかを法務局へ確認することが大切です。

遺言書情報証明書や閲覧で内容を確認する

遺言書情報証明書の請求等は、相続人、受遺者、遺言執行者等、制度上の対象者が行います。請求できる人の確認と、必要な戸籍等の資料の準備が必要です。具体的な事情によって添付書類が省略できる場合もあるため、過去に通知を受けたかなども伝えます。

法務省は、全国の遺言書保管所での情報証明書の請求、郵送による請求等を案内しています。閲覧にはモニターと原本による方法があり、原本の閲覧は原本を保管する遺言書保管所で行います。内容の印刷された書面を必要とする場合には、証明書の種類を確かめて請求してください。

相続人でも原本を持ち帰れるわけではない

保管制度を利用した遺言書は、死亡後に相続人が原本の返還を受け、自由に持ち帰る仕組みではありません。遺言書情報証明書が原本に代わるものとして各種手続きに利用されます。金融機関等へ提出するときは、その手続きで必要な証明書や付随資料を確認します。

この制度を利用した自筆証書遺言は、家庭裁判所の検認が不要です。ただし、保管されていること自体で、遺言の内容や遺言能力に関するすべての争いが解決されるわけではありません。書面の保管と、有効性の最終判断を区別してください。

自宅や預け先を確認するときは、書面の状態を残す

公的な検索と並行して、自宅の書類棚、保管していた封筒、本人が使っていた整理ファイル等を確認します。エンディングノートや手帳には、遺言そのものがなくても、作成した日、相談した専門家、保管場所の手掛かりが書かれていることがあります。

専門家や親族に預けている可能性があれば、どのような立場で何を預かっているのかを問い合わせます。相手が本人確認や相続関係の資料を求める場合もあります。遺言の内容を知りたいからといって、他人のメールやアカウントへ無断でログインする方法は取らないでください。

発見した日時・場所・書面の組合せを控える

封筒、本文、別紙の財産目録などは、元の組合せが分かるように保管します。見つかった日や場所、保管していた人をメモし、書面を取り違えないようにします。写真を撮る場合も、封印を開けたり、綴じ目を外したりしてよいという意味ではありません。

原本へ赤字で印を付けたり、日付順に整理するために書き込んだりすることは避けます。比較用のメモは別に作り、原本の状態を変えずに確認できるようにします。書類が複数あっても、古いと思ったものを自己判断で捨てないことが重要です。

コピーや下書きだけが見つかった場合

写しだけがある場合は、原本がどこにあるか、公正証書の交付物なのか、自筆証書のコピーなのかを確認します。タイトルに「遺言書」と書かれたメモでも、方式や作成状況を確認せず、有効な遺言だと決めることはできません。

原本が見つからない場合や、コピーの内容を巡って対立がある場合には、発見した資料と経緯を整理して弁護士へ相談します。写しがあるから必ず手続きできる、又は原本がないから絶対に無効といった単純な整理は避けてください。

封印のある遺言書は、家庭裁判所での開封を確認する

民法1004条は、封印のある遺言書について、家庭裁判所における相続人等の立会いの下での開封を定めています。家族全員が集まったからといって、自宅で自由に開けてよいという扱いではありません。見つけた時点の封筒ごと保全し、必要な検認の手続きを確認します。

家庭で保管していた自筆証書遺言などは、通常、検認が必要です。公正証書遺言と、法務局の保管制度を利用した遺言書は検認不要ですが、「専門家に預けていた自筆証書」まで当然に不要になるわけではありません。

見つかった後は、種類と保管方法を確認

封印のある遺言を開ける前に手続きを確認します。検認は遺言の状態を明らかにするための手続きで、有効・無効を最終的に決めるものではありません。

すでに開封してしまった場合も、開けたことを隠して書類を作り直したり、再び封をして未開封と説明したりしないでください。封筒や書面を残し、経緯を家庭裁判所等へ伝え、必要な手続きを確認します。検認申立書の作成支援は司法書士・弁護士、申立代理は弁護士など、役割に合う相談先を選びます。

遺言を探している間も、別の期限を管理する

遺言の検索を始めたことだけで、相続放棄や相続税などの期限が自動的に止まるわけではありません。債務があるか分からない、相続を受けるか判断できない場合には、遺言の探索とは別に、期限と対応を確認します。

相続の承認又は放棄の熟慮期間は、原則として自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月です。調査しても判断資料がそろわない場合には、期間伸長の手続きが問題になることがあります。具体的な起算点や必要な申立ては、家庭裁判所や弁護士等へ確認してください。

また、遺言を探しているからといって、遺産を自由に処分してよいわけではありません。家財や預貯金の処分は相続の判断に関わる場合があるため、放棄を検討している人は特に、保存・調査と処分を区別して相談します。

調査の記録を一つにまとめる

検索先ごとに、確認日、請求した人、提出資料、回答の内容、追加で必要な作業を記録します。家族が別々に調べる場合も、同じ請求を重ねたり、一部の確認だけで全員が終わったと思い込んだりしないよう、担当を決めると整理しやすくなります。

記録する項目記載例の考え方
確認先・確認日公証役場、法務局、自宅、預け先を区別
回答の範囲保管の有無、作成先、追加資料の必要などを具体的に記録
受領資料証明書名、交付日、原本の保管者
次の作業内容の取得、検認、相続関係の確認等

貸金庫や遠方の預け先は、利用手続きを先に尋ねる

貸金庫に遺言がある可能性がある場合は、金融機関に死亡後の開庫手続きと必要資料を問い合わせます。鍵を持っていることと、自由に開庫する権限があることは別です。内容物の確認に立会い等が必要な場合もあるため、親族だけで既存の契約者になり代わって利用しないようにします。

遠方に住む親族が保管している場合には、まず遺言の種類や封印の有無、保管経緯を確認します。内容を送ってほしいという依頼を急ぎ、開封してコピーするよう求める前に、検認等の手続きが必要かを確かめます。郵送で原本を移す必要があるときも、送付先と取扱いを相談し、紛失を防ぐ方法を選んでください。

問い合わせ先から回答を受けたら、口頭で聞いたことと、証明書として受け取ったことを分けて記録します。まだ資料不足で検索できていない場合を「該当なし」と記録しないことも重要です。

遺言書があるか調べるときのよくある質問

親が元気なうちに、子どもが内緒で公正証書遺言を検索できますか?

存命中の検索は遺言者本人に限られると案内されています。死亡後の相続人等による請求と混同せず、生前は本人の意思を尊重して保管先を話し合います。

法務局に「ない」と言われたら、遺言はないと考えてよいですか?

保管制度を利用していない自筆証書や公正証書は、その確認だけでは分かりません。請求人の立場による確認範囲もあるため、回答の内容とほかの確認先を分けて考えます。

専門家に預けていた遺言書も検認は不要ですか?

預け先が専門家というだけでは、検認不要にはなりません。公正証書か、法務局の制度を利用したものかなど、遺言の種類と保管方法を確認します。

古い公正証書と新しい自筆証書が出てきたら、どちらを使いますか?

方式だけで一律に優先順位は決まりません。それぞれの有効性、日付、撤回条項、抵触する内容を確認する必要があります。両方を保管し、疑問があれば弁護士へ相談します。

遺言執行者に指定されていると言われたが、本文がありません。

指定を伝えた人や作成先、保管制度等の手掛かりから、正式な内容を確認する方法を調べます。第三者の口頭説明だけで権限を決め、銀行手続きや分配を進めないでください。

見つかった遺言から、相続手続きへ進めるには

遺言の内容を確認できたら、遺言執行者の指定、相続人、財産の範囲、検認の要否などを整理します。本人が資料を集めて進められる場合もありますが、戸籍の確認や通知・報告、預貯金手続きが負担になる場合は、作業を分けて支援を検討できます。

大倉行政書士事務所では、指定された遺言執行者の方に、相続関係や財産資料の整理、通知・報告書類、委任できる範囲の預貯金手続き等の支援をご案内しています。依頼しても執行者の立場が自動で交代するものではありません。公証役場や法務局への請求で必要な本人の資格・権限も別に確認します。

費用は、必要な作業と実費を確認して個別に見積ります。遺言の有効性や相続人間の紛争は弁護士、不動産登記や裁判所提出書類の作成は司法書士等へ相談するなど、必要な業務に応じて相談先を分けます。初回は、誰が亡くなり、どの確認まで終わり、何が分からないかをお知らせください。

指定されたご本人が資料整理や銀行の手続きを任せられる範囲は、遺言執行者に指定された方の手続き支援で確認できます。

参考にした公式情報

法令・公式案内の確認日:2026年11月6日。

事務所名大倉行政書士事務所
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