自筆証書遺言書保管制度の利用方法|法務局への申請・必要書類・費用 - 相続・遺言・離婚専門の大倉行政書士事務所

自筆証書遺言書保管制度の利用方法|法務局への申請・必要書類・費用

自筆証書遺言書保管制度の利用方法|法務局への申請・必要書類・費用

自分で書いた遺言書を法務局に預けられる制度が、自筆証書遺言書保管制度です。自宅での紛失や、死亡後に遺言が見つからない事態への備えとして検討できます。ただし、書いた紙を封筒に入れて窓口へ持参すれば、そのまま預けられるわけではありません。

利用には、用紙や余白の条件を満たした遺言書、保管申請書、本人確認書類などを準備し、予約した窓口へ本人が出向く必要があります。この記事では、法務局に預けたい方に向けて、申請先の選び方、必要書類、費用、預けた後の管理までを整理します。

制度・手数料は2026年10月29日時点で確認できる公的案内に基づきます。2026年に公布された遺言制度の改正と、この記事で扱う現在の保管制度は、施行状況を分けて確認してください。

法務局の遺言書保管制度でできること

遺言書の原本と画像情報を保管する制度

この制度は、本人が作成した自筆証書遺言に係る遺言書を、法務局の遺言書保管所で保管する仕組みです。公証人が作成する公正証書遺言とは異なり、遺言の内容はあらかじめ本人側で整えます。預ける窓口と、文案を作成・確認する段階を分けて考えることが大切です。

原本を公的な場所に保管するため、自宅での紛失や隠匿などのリスクを抑えられます。死亡後には、相続人等が遺言書情報証明書を取得して手続に使うことができ、法務局で保管されている遺言書については家庭裁判所の検認が不要になります。

法務局に預けても有効性の保証にはならない

窓口では、自書、日付、署名、押印などの外形的な確認が行われます。しかし、財産の分け方が本人の状況に合っているか、遺留分の問題がないか、相続時に解釈の争いが起きないかまで審査して保証する制度ではありません。

特に大切な区別

「法務局で保管された」ことと、「遺言の内容に法的な問題がない」ことは別です。文案に不安があるときは、清書と保管予約の前に内容を確認してください。

制度の全体像は、法務省「自筆証書遺言書保管制度について」で確認できます。保管制度だけで財産調査や相続手続がすべて完了するわけではない点も押さえておきましょう。

自宅保管・法務局保管・公正証書遺言の違い

自宅保管・法務局保管・公正証書遺言の違い

どの方法が適しているかは、自書の負担、内容の複雑さ、本人が来庁できるか、死亡後の手続をどう進めたいかで変わります。保管料だけを比較せず、文案作成から死亡後の利用までを見通して選びます。

比較する点自筆証書遺言を自宅などで保管自筆証書遺言を法務局で保管公正証書遺言
作成の基本本人が方式に従って自書する本人が方式と保管用の様式に従って自書する本人の意思を確認して公証人が作成する
保管場所本人が決める遺言書保管所公証役場で原本等を管理する
死亡後の検認原則として必要法務局で保管されている遺言書は不要不要
気を付けたい点発見される工夫と紛失等への対策本人による申請、用紙の条件、内容の事前確認公証人との打合せ、必要資料、証人の準備

例えば、本文を自分で書くことが難しい場合には、保管制度の利用だけではその問題を解決できません。公正証書遺言を検討する場合には、作成方法に加え、証人を誰に依頼できるかなども確認します。

どこの法務局に申請できるのか

住所地・本籍地・所有不動産の所在地から確認する

最初の保管申請先は、原則として、遺言者の住所地、本籍地、または本人が所有する不動産の所在地を管轄する遺言書保管所から選びます。どの法務局の窓口でも取り扱うわけではなく、登記のために利用した出張所が保管申請に対応しているとは限りません。

生駒市に住んでいて奈良市に不動産を所有する場合なども、住所だけで判断せず、対象となる保管所と管轄を確認します。大阪市の家族が手続を手伝う場合でも、その家族の住所だけを理由に申請先を選ぶことはできません。

保管所や管轄の案内は、法務省の制度案内にある「管轄/遺言書保管所一覧」から確認できます。地域による管轄の取扱いもあるため、予約する前に申請可能な窓口か確かめておくと、予約の取り直しを防げます。

追加の保管は最初に預けた保管所で行う

既に遺言書を預けており、別の遺言書を追加して保管する場合には、最初の遺言書を保管している遺言書保管所が申請先となります。転居したからといって、当然に新住所の近くへ追加申請できるとは限りません。

最初の申請先を決める際には、今の来庁のしやすさに加え、将来の内容変更や保管申請の撤回も考えておきましょう。一方、全国の保管所で扱える手続もあるため、手続の種類ごとに窓口を確認することが大切です。

法務局へ預ける遺言書の用紙と形式

A4・片面・余白の条件を満たす

保管する遺言書には、民法上の方式に加えて、画像化して保存するための様式上の条件があります。財産目録を添える場合も含めて、最初から保管用の条件に合わせて用紙を用意すると、清書のやり直しを減らせます。

確認する項目保管制度で求められる主な条件
用紙A4サイズ。文字を読み取りにくくする模様や彩色を避ける
記載する面片面のみ。財産目録も両面に記載しない
余白上5mm以上、下10mm以上、左20mm以上、右5mm以上
ページ番号複数ページの場合は「1/3」など総ページ数も分かる形で記載する
とじ方ホチキスなどでとじず、各ページを分けた状態で持参する
封筒保管申請に封筒は不要。封をして提出しない

ページ番号や署名も、確保した余白にはみ出さないようにします。通帳のコピーを財産目録に利用する場合も、コピーに必要な余白があり、口座情報が判読できるかを確認してください。

本文の自書と目録の署名・押印も確認する

A4の用紙であっても、本文をパソコンで印刷しただけでは、この記事で扱う自筆証書遺言の方式を満たしません。本人が本文、日付、氏名を自書し、現在の案内に従って押印します。自書でない財産目録には、各ページの署名・押印も必要です。

消えるインクは避け、長期の保存に適した筆記具を用います。日付の記載漏れ、目録への署名漏れ、訂正方法の誤りなども、提出前に点検してください。詳しい条件は、法務省「遺言書の様式等」で確認できます。

保管申請に必要な書類と持ち物

遺言書と保管申請書は別の書類

遺言書には財産の承継などの希望を記載します。一方、保管申請書には遺言者や受遺者等、遺言執行者等についての情報を記載します。遺言書を準備しただけで、保管申請書の準備が済んだことにはなりません。

申請書は、法務省の制度案内に掲載された最新の様式と記載例を使用します。住所、本籍、筆頭者、氏名を資料と一致させ、遺言に記載した受遺者等や遺言執行者等の記入漏れがないかを確認します。

持参するもの準備時の確認事項
遺言書の原本本文と財産目録を確認し、封筒に封をせず、とじないで用意する
保管申請書最新様式を使い、来庁前に記入を済ませる
本籍・筆頭者の記載がある住民票の写し等市区町村等から交付された書面を用意する。マイナンバー・住民票コードは記載しない
顔写真付きの本人確認書類マイナンバーカード、運転免許証など、官公署発行の有効な書類
保管申請手数料遺言書1通につき3,900円。収入印紙による納付

外国籍の方、海外に住む方、外国語の遺言書を作成した方などは、用意する資料が異なる場合があります。一般的な持ち物の一覧だけで判断せず、本人の事情を伝えて必要書類を確認してください。

住民票の「写し」はコピーという意味ではない

市区町村から交付される「住民票の写し」を、自宅でさらにコピーしたものとは区別します。また、本籍と筆頭者の記載がない住民票では、その情報を確認できません。取得の際に必要な記載項目を伝えておくことが重要です。

古い案内には「作成後3か月以内」と書かれているものがありますが、保管申請に係る添付書類の有効期間の定めは、2023年5月12日から廃止されています。ただし、記載内容が現在の住所・氏名等と合っているかは確認してください。これは、運転免許証などの本人確認書類の有効期限がなくなるという意味ではありません。

有効期間の変更は、高知地方法務局の自筆証書遺言書保管制度の案内にも掲載されています。必要書類の種類は、東京法務局「遺言書の保管申請の手続」が参考になります。

予約から保管証を受け取るまでの流れ

書類を整えてから窓口の予約を取る

保管申請には予約が必要です。法務省の制度案内から予約方法を確認し、申請できる保管所を指定します。予約だけを先に取り、遺言書や申請書が未完成のまま来庁すると、手続を終えられず改めて出向くことになる場合があります。

  1. 財産の分配内容を整理し、遺言書を作成する
  2. 保管できる法務局と用紙の条件を確認する
  3. 保管申請書・添付書類・本人確認書類を準備する
  4. 保管申請の予約を取る
  5. 本人が来庁し、確認と手数料納付を行う
  6. 保管証を受け取り、保管番号を管理する

一部の保管所では事前チェック等の取組が案内されていますが、利用範囲や方法は地域で異なります。事前確認を受けた場合も、内容の有効性が保証されるわけではなく、当日の本人による手続が不要になるわけでもありません。

保管申請は本人が行う

保管の申請は、代理人による申請や郵送ではできません。家族や行政書士が準備を補助しても、本人に代わって遺言書を預けることはできません。本人の体調や移動の負担を含め、来庁できる日程を考えます。

付き添いが必要な場合には、窓口での取扱いをあらかじめ相談しておくと安心です。入院中などで本人が出向けない場合は、保管申請の代行を探すより、公正証書遺言など別の方法が適するかを検討します。

保管証は遺言の内容を証明する書面ではない

手続終了後に交付される保管証には、遺言者の情報、保管所の名称、保管番号などが記載されます。再発行されないため、大切に保管してください。保管番号は、その後の照会や各種手続で役立ちます。

保管証を受け取ったら、本人の控えのほか、必要に応じて信頼できる人へ保管の事実や番号を伝えることも検討します。ただし、保管証だけで遺言本文の内容を確認したり、すべての相続手続を行ったりできるわけではありません。

保管にかかる費用と追加の手続の手数料

法務局へ支払う手数料と、文案の確認などを専門家に依頼する費用は別です。保管料3,900円の中に、財産調査、文案作成、戸籍等の取得費用まで含まれると考えないようにしましょう。

手続公的な手数料主に利用する場面
遺言書の保管申請1件・1通につき3,900円遺言者が遺言書を預ける
モニターによる閲覧1回1,400円保管されている内容を画面で確認する
原本の閲覧1回1,700円原本の状態を確認する
遺言書情報証明書1通1,400円死亡後、遺言内容を確認し相続手続に使う
遺言書保管事実証明書1通800円死亡後、関係する遺言書の保管の有無を調べる
保管申請の撤回・変更の届出手数料不要返還を受ける、住所等の変更を届け出る

手数料の根拠と納付方法は、法務省「手数料」に掲載されています。専門家へ依頼する場合には、何をどこまで依頼するのか、実費が別になるかを確認して見積りを比べます。

預けた後の住所変更・書き直し・通知

住所等の変更届と遺言の内容変更は別

遺言者や受遺者等、遺言執行者等の住所・氏名に変更があった場合には、変更の届出が必要です。古い情報のままでは、死亡後の通知や内容確認の手続に支障が生じるおそれがあります。

一方、財産を渡す相手や分配内容の変更は、住所の変更届だけではできません。遺言書を返してもらって改めて作成する、別の遺言書を作成して追加で保管するなどの方法を検討し、以前の遺言との関係も整理します。

返してもらうことと遺言の撤回を混同しない

「保管の申請の撤回」は、法務局での保管をやめて原本の返還を受ける手続です。それだけで遺言自体の効力がなくなるわけではありません。遺言内容も取り消したい場合には、遺言の撤回として適切な方法が必要になります。

反対に、保管をやめて自宅で保管する場合は、死亡後の検認などの扱いも見直す必要があります。制度を利用したことがあるという過去の事実だけで、その後も検認不要になるわけではありません。

指定者通知を希望する場合は連絡先も確認する

遺言者が希望する場合、死亡の事実を法務局が確認した後、あらかじめ指定した人へ保管の事実を知らせる指定者通知を利用できます。対象者は3名まで指定できます。通知を受ける人には、保管の事実を確実に伝えたい相手を考えておきます。

ただし、指定された人であれば誰でも遺言書の閲覧や証明書の請求ができるわけではありません。各手続には相続人、受遺者、遺言執行者等としての資格が必要です。制度の説明は、法務省「通知」で確認できます。

死亡後に家族が行うこと

死亡後は、関係する相続人等が遺言書情報証明書を取得し、遺言の内容を確認して必要な手続を進めます。保管事実証明書は保管の有無を確認する書類であり、遺言本文が分かる情報証明書とは役割が異なります。

検認が不要であっても、金融機関への相続届出、不動産の名義変更、必要な税務申告などが自動で行われるわけではありません。遺言執行者を指定している場合は、その人が就任するか、どの手続を担うかも確認します。

家族に伝えておきたい情報

保管所の名称、保管番号、遺言者の本籍・筆頭者、遺言執行者に指定した人の連絡先などを整理しておくと、相続開始後の確認がしやすくなります。暗証番号などの秘密情報を遺言書へ無造作に記載する必要はありません。

遺言書保管制度のよくある質問

行政書士や家族に保管申請を代行してもらえますか?

保管の申請は本人が行う必要があり、代理申請はできません。文案や資料の準備を相談することと、本人に代わって申請することは区別してください。

住民票は必ず3か月以内のものを取り直しますか?

保管申請に係る添付書類については、作成後3か月以内という有効期間の定めは廃止されています。ただし、本籍・筆頭者など必要な事項が記載され、現在の情報を確認できる書面を準備してください。

保管証をなくすと遺言書も無効になりますか?

保管証をなくしたことだけで遺言が無効になるものではありません。保管証は再発行されないため、保管所へ今後の手続に必要な確認方法を相談します。保管番号が分かる控えがあれば整理しておきましょう。

法務局に預ければ、相続人全員の協力は一切不要ですか?

保管の有無だけで、すべての相続手続の必要書類や関与する人が決まるわけではありません。遺言の内容、遺言執行者の有無、財産の種類、各手続先の確認事項によって対応が異なります。

生駒市で遺言の保管に向けた準備を進める方へ

法務局へ預ける前には、遺言書の内容、形式、申請用の情報を分けて確認すると準備が進みます。奈良県生駒市の大倉行政書士事務所は、遺言や相続に関する相談・手続に対応する事務所です。奈良市から相談する場合も、まず財産の一覧と家族関係、既に作成した遺言の有無を整理しておくと、確認すべき事項が明確になります。

内容の確認や書類準備の相談と、本人に限られる保管申請は区別が必要です。既に争いが生じている問題、登記、税務などについては、それぞれを扱う専門家の業務範囲も確認して進めます。

事務所名大倉行政書士事務所
所在地奈良県生駒市山崎町3番11-1
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