面会交流の公正証書・離婚協議書の文例|頻度・受渡し・中止時の決め方 - 相続・遺言・離婚専門の大倉行政書士事務所

面会交流の公正証書・離婚協議書の文例|頻度・受渡し・中止時の決め方

面会交流の公正証書・離婚協議書の文例|頻度・受渡し・中止時の決め方

「子どもとは月に一度会う」「日時はその都度相談する」。面会交流についてこのように話し合えていても、集合場所や連絡期限が決まっていないと、実施のたびに調整が必要になります。離婚協議書や公正証書に残す際は、子どもが無理なく過ごせる条件と、父母が実行できる手順を一緒に整理しましょう。

面会交流は「親子交流」とも呼ばれ、会って過ごすほか、電話・手紙などによる交流も含みます。この記事では、合意内容を書面にするための文例を示し、頻度・受渡し・中止時の対応、公正証書の効力を説明します。文例は一般的な検討用であり、すべての家庭にそのまま適するものではありません。

面会交流は公正証書や離婚協議書に記載できる

取り決めの中心は子どもの利益と生活

父母が合意した面会交流の内容は、離婚協議書に記載したり、公証人に依頼して公正証書にまとめたりできます。日本公証人連合会の「離婚」の案内でも、離婚に関する公正証書に盛り込む項目として面会交流が挙げられています。

民法第766条では、子の監護に関する事項を定めるに当たり、子の利益を最も優先して考慮することとされています。「親が会いたい回数」だけで決めず、年齢、体調、通学、生活のリズム、本人の気持ちを踏まえて考えます。

例えば、移動に長時間かかる家庭で毎週の対面を決めると、休息や学校の準備に影響することがあります。反対に、生活環境が整い本人も望んでいるのに、一般的な文例に合わせて必要以上に短い時間へ固定する必要もありません。回数の数字より、継続できる理由を確認することが大切です。

共同親権の選択と面会交流の条件は別に整理する

2026年4月1日に施行された改正法により、離婚後の親権について父母双方を親権者と定める選択肢が設けられました。しかし、共同親権にすれば交流日数が自動的に半分になる、単独親権なら交流できない、という仕組みではありません。親権の定めとは別に、子の利益に沿って交流の具体的な条件を考えます。

制度の説明は、法務省「Q&A形式の解説資料(民法編)」で確認できます。文例でも「親権のない親」と固定せず、実際の状況に合わせて「子と別居する親」「子と同居する親」などと整理すると、役割を取り違えにくくなります。

文例を使う前に整理する面会交流の条件

文例を使う前に整理する面会交流の条件

最初から条文を書き始めるより、生活上の条件を書き出す方が合意内容を確認しやすくなります。次の表は検討項目の例です。すべてを細かく決める必要はありませんが、認識が異なりそうな部分は残さないようにします。

項目書面にする前の確認
交流する子氏名・生年月日を確認し、きょうだいごとに条件を変える必要があるか考える
頻度・時間月の回数、曜日、開始・終了時刻、宿泊の有無を決める
日程調整候補日を出す人、連絡する時期、返答期限、確定の方法を決める
受渡し集合場所、送迎する人、終了後の引渡し場所を特定する
連絡・費用使用する連絡手段と、交通費・利用料などの負担を決める
中止・変更体調不良、学校行事、災害等の連絡方法と振替の調整方法を決める
見直し進学・転居・本人の希望の変化など、再協議するきっかけを整理する

「月1回程度」は柔軟に運用しやすい反面、毎月必ず1回なのか、実施しない月があってよいのかで理解が分かれることがあります。「適宜協議する」とする場合も、話合いが毎回円滑にできるかを考え、必要なところだけ手順を補いましょう。

書く前に分けておく3つの事項

すでに合意したこと、まだ合意していないこと、子どもの様子を見て調整することを区別します。希望を記したメモの段階で、相手も承諾した確定事項のように扱わないことが大切です。

面会交流の公正証書・離婚協議書に使う文例

以下では、甲を子と別居する親、乙を子と同居する親、丙を対象となる子とします。実際の書面では当事者と子を特定してください。回数や時刻は説明のための仮の設定であり、法律上の標準ではありません。公正証書にする場合は、合意内容を基に公証人が作成するため、文例だけで完成するものではありません。

文例1:曜日・時刻・受渡し場所をあらかじめ定める

定例の交流を設定する場合の記載例

甲及び乙は、丙の利益を最も優先して考慮し、丙の年齢及び発達の程度に応じた意向を尊重した上で、甲と丙との交流を次のとおり行うことに合意する。

交流は、原則として毎月第2土曜日の午前10時から午後3時まで、宿泊を伴わない方法で実施する。開始時及び終了時の受渡し場所は[施設名・具体的な待合せ場所]とし、乙が丙を開始時に同所へ送り、甲が丙を終了時に同所へ送り届ける。各自が担当する送迎の交通費は、それぞれ負担する。

学校行事、丙の体調不良その他やむを得ない事情がある場合は、判明後速やかに[連絡手段]で連絡し、丙の生活に支障のない別の日程を協議する。

この例は、父母が定例の日程で実施でき、子にも負担がない場合を想定しています。「駅で受け渡す」だけでは複数の出口があるため、改札名や施設内の場所まで認識をそろえます。施設を利用する場合は、開館時間や利用条件も確認してください。

受渡しを父母が直接行うことに不安がある場合、この例をそのまま使うのは適切ではありません。支援団体等を利用できるか、どのような条件で対応可能かを先に確認し、実施できる方法へ変更します。

文例2:勤務予定に合わせて毎月調整する

月ごとに日程を確定する場合の記載例

甲及び乙は、甲と丙との宿泊を伴わない交流を月1回実施することを基本とする。甲は前月20日までに翌月の候補日を2日以上、[連絡手段]により乙へ伝え、乙は丙の学校行事及び生活予定を確認し、前月25日までに回答する。

甲及び乙は、実施日、開始・終了時刻及び受渡し場所を同じ連絡手段で確認して確定する。候補日での実施が難しいときは、乙はその旨と代替案を伝え、双方は丙の負担に配慮して再調整する。

日程が確定していない状態で、一方が丙の居宅や学校等へ迎えに行くことはしない。

調整型では、候補日を出す期限と返答期限を設けると、直前の連絡を減らしやすくなります。ただし、「返事がなければ承諾とみなす」と安易に決めると、通知の見落としや子の事情を反映できないことがあります。合意できない月の扱いも、双方の生活に即して確認しましょう。

この文例には確定できなかった場合の日程が自動的に決まる仕組みはありません。調整が続けて成立しない場合は、定例日を設定するか、連絡調整の支援を利用できるかなど、運用そのものを見直します。

文例3:短時間のオンライン交流を取り入れる

オンライン交流を設定する場合の記載例

甲及び乙は、丙の意向及び体調に配慮し、甲と丙との交流を、当面、毎月第1日曜日の午後6時から15分程度、[使用する通話サービス]による映像通話で行うことに合意する。

乙は丙が通話できる環境を整え、甲は丙の疲労や不安が見られる場合には終了時刻を待たずに通話を終える。通信障害又は丙の体調不良により実施できないときは、別の日程を[連絡手段]で協議する。甲及び乙は、交流の録画・録音や画面の画像の公開を行わない。

実施開始から3か月を目安に丙の様子を確認し、交流の時間及び方法について再度協議する。

オンラインなら常に負担が小さいとは限りません。年齢によっては画面越しの会話が難しく、準備をする同居親の協力も必要です。対面交流に代えて実施するのか、対面に追加するのかも明らかにしてください。方法を変えても安全上の懸念が解消されない場合には、無理に実施へ進めないことが必要です。

中止・振替・連絡方法まで決めると運用しやすい

中止した理由と代替日程を分けて考える

子の発熱や災害などで予定どおり実施できないことはあります。中止の連絡では、いつ、どの連絡先へ、何を伝えるかを決めておきます。本人の健康上の事情について、毎回診断書を出すなど過度の負担を当然の条件にするのではなく、必要な情報の範囲を考えましょう。

振替については「翌月に2回実施する」と自動的に積み上げる方法が子の生活に合うとは限りません。学校行事や休息を確認して日程を調整し、同じ月に難しい場合の扱いまで検討します。親の都合による変更についても、分かった時点で連絡するルールを双方に適用すると認識をそろえやすくなります。

送迎費用・写真・第三者の同席を整理する

生駒市から奈良市へ移動する場合と、東大阪市など別の生活圏で待ち合わせる場合では、送迎の方法や負担が変わります。交通費のほか、施設利用料、食事代、付き添いが必要な場合の負担も検討してください。特定の額を決めるなら、どの費用を含むかを明らかにします。

写真の撮影や共有、祖父母の同席、プレゼント、学校行事への参加は、通常の対面交流と分けて確認すると行き違いを減らせます。写真を親族へ送ることと、不特定多数が閲覧する場所へ掲載することも同じではありません。子のプライバシーを守るため、必要なルールを整理しましょう。

法務省の共同養育計画作成支援ページ「離婚後」でも、交流の内容・頻度、待合せ場所、プレゼントなどの検討事項が紹介されています。手帳や年間予定表と照らし合わせて、実際に対応できる内容か確認するための参考になります。

養育費との関係と安全面で注意すること

養育費の支払いを面会交流の交換条件にしない

養育費と面会交流は、子の生活や成長に関係する事項ですが、支払いと面会を交換する仕組みではありません。「養育費が入った月だけ会わせる」「会えなかったから翌月の養育費を払わない」と扱うことは避け、それぞれの問題として対応します。

この点は、法務省「子どもの養育に関する合意書作成の手引きとQ&A」でも説明されています。支払いが滞っている場合には金銭支払の手続を、交流の実施で困っている場合には交流条件の調整や家庭裁判所の手続を検討します。

子の不安や暴力の危険があるときは安全を優先する

子が交流を嫌がったときは、理由を決めつけず、年齢や発達に応じて気持ちを把握することが大切です。予定に疲れているのか、受渡しに不安があるのか、暴力などの危険があるのかによって必要な対応は異なります。子に父母の交渉役をさせたり、どちらかを選ぶ回答を迫ったりすることは避けます。

文例よりも安全の確認を優先する場合

DVや虐待などにより危険が生じるおそれがあるときは、一般的な文例を根拠に交流や直接の話合いを強いるべきではありません。安全な連絡方法を確保し、配偶者暴力相談支援センターや弁護士などへ相談してください。

第三者の立会いや受渡しの支援も選択肢ですが、利用すれば必ず安全に実施できるとは限りません。法務省の親子交流支援に関する参考指針も、危険が生じる場合に交流の実施を強制する趣旨ではないとしています。利用条件、対応地域、費用、終了・中止基準は、各団体に確認する必要があります。

公正証書にしても面会交流を当然に強制できるわけではない

公正証書は、合意内容を公的な文書として残す方法です。ただし、養育費などの金銭支払と、親子が会って過ごす行為とでは、義務が守られなかったときの手続が異なります。

取り決めの形面会交流に関して確認すること
離婚協議書・合意書合意内容を記録する。書面だけで交流を強制的に実現できるわけではない
公正証書公証人が作成する。金銭支払の強制執行に関する仕組みが、そのまま交流の実施に適用されるわけではない
調停・審判等履行勧告や、要件を満たす場合の間接強制など、取り決めの内容に応じた手続を検討する

民事執行法第22条第5号が定める執行証書の対象は、一定の金銭等の給付を目的とする請求です。面会交流の条項に「強制執行を受ける」と書くだけで、交流自体を公正証書に基づき強制執行できるものではありません。

また、裁判所の履行勧告手続の案内では、公正証書などで当事者間の合意をしただけの場合は、履行勧告を申し出ることができないとされています。利用できる手続を取り違えないことが重要です。

話合いがまとまらない、又は話合いができない場合は、家庭裁判所の親子交流調停を検討します。調停等の取り決めに基づく間接強制についても、具体的な義務の内容などによって可否が問題となるため、「細かく書けば必ずできる」とは考えず、弁護士に確認してください。

合意内容を確認して作成し、成長に合わせて見直す

作成時は、従前の約束や交流の実施状況を整理し、これから変更する点を明らかにします。過去の協議書、公正証書、調停調書などがある場合には、新しい条項との整合性も確認してください。

文案ができたら、父母がそれぞれ読み、「この条件で実際に送迎できるか」「予定変更の連絡先は使えるか」「子の負担が大きくないか」を確認します。公正証書にする場合は、本人確認や子を特定する資料など、必要書類を作成先の公証役場へ確認します。

成長に伴って、短時間の交流が適していた子が長い時間を望むことも、その逆もあります。進学や転居などの節目に見直す機会を設けると、古い予定を無理に続ける事態を避けやすくなります。変更が合意できた場合は、変更対象、適用開始日、変更しない条項を書面で確認しましょう。

作成費用を確認するときのポイント

行政書士へ書面作成を依頼する費用と、公正証書にする場合の公証人手数料・必要書類の取得費用は分けて確認します。公正証書全体に盛り込む内容や依頼範囲によって異なるため、面会交流の条項だけを見て総額を判断しないようにしましょう。

面会交流の書面化に関するよくある質問

面会交流は月1回と決めなければいけませんか?

すべての家庭に適用される月1回という法定の回数はありません。子の年齢、生活、意向、移動の負担などを踏まえて検討します。本文の回数や時間は説明のための例です。

「日時や場所はその都度協議する」だけでもよいですか?

父母間で無理なく調整できるなら、柔軟な決め方も考えられます。ただし、連絡がつかない、毎回認識が食い違うといった事情があれば、候補日を出す期限や受渡し方法などを具体化する必要があります。

子どもが会いたくないと言った場合はどうしますか?

年齢や発達に応じて気持ちを尊重し、不安や拒否の理由を丁寧に確認します。文書があることだけを理由に無理に実施せず、時間・場所・方法の変更や支援の利用を検討します。危険がある場合は安全の確保を優先してください。

離婚した後でも面会交流の合意書は作れますか?

離婚後に父母で具体的な条件を合意し、書面にすることも可能です。以前の協議書や裁判所での取り決めがある場合は内容を確認し、今回どこを新たに定め、どこを変更するのかを明確にします。

行政書士に相手との交渉や面会の実現を任せられますか?

行政書士への書面作成の依頼と、争いのある条件の交渉代理や裁判手続は区別が必要です。相手との対立の解決や調停・強制執行等については、弁護士へ相談してください。書面を作成すれば必ず交流が実現するというものではありません。

生駒市で面会交流を含む離婚協議書の作成を考えている方へ

面会交流の書面化では、頻度だけでなく、連絡・受渡し・予定変更まで整えることが大切です。そのうえで、子の成長や生活の変化に応じて見直せるようにし、養育費や親権の定めとの関係も確認します。

奈良県生駒市の大倉行政書士事務所では、行政書士の業務範囲で、当事者間で合意した離婚条件の書面化に関する相談に対応しています。確認したい事項や合意済みの内容を整理しておくと、書類作成の相談を進めやすくなります。争いのある条件について相手と交渉する必要がある場合は、弁護士への相談をご検討ください。

事務所名大倉行政書士事務所
所在地奈良県生駒市山崎町3番11-1
電話番号0743-83-2162
受付時間9:00〜18:00
対応地域生駒市・奈良市・東大阪市・大阪市およびその周辺地域
お問い合わせお問い合わせフォームはこちら

参考サイト

その他の関連記事

記事一覧に戻る