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2023.05.27

離婚公正証書の作成費用はどれくらい?安い作成方法はあるの?

離婚公正証書の作成費用はどれくらい?安い作成方法はあるの?

本記事では、離婚協議書と離婚公正証書の違いを初めとしてこれらの書面に記載する条項や、公正証書の作成のメリット・デメリット、公正証書作成費用等を記載させていただきました。それでは、まず初めに離婚協議書と離婚公正証書の違いについて説明させていただきます。

離婚協議書と離婚公正証書の違い

離婚を行うための準備段階として、離婚協議書を作成することが挙げられます。離婚協議書とは、離婚するための条件を夫婦で事前に決めておいてそれを書面にまとめ、夫婦で合意しそれぞれが署名と捺印を行ったものです。離婚協議書は私人により作成される私文書に該当します。一方で、離婚公正証書とは離婚に際して、公証人によって作成される文書のことで、正式名称は「離婚給付等契約公正証書」等と言われます。

離婚協議書や離婚公正証書には具体的にどのようなことが記載されるのでしょうか。一般的な条項として「養育費(夫婦間に子供がいる場合)、財産分与、慰謝料」などの財産に関することや「親権・監護権、面会交流、通知義務、清算事項」などの財産以外の内容を記載します。上記の内容について、原則として夫婦の合意で、決定することができ、内容を定めたものを離婚協議書や離婚公正証書として作成します。ただし、民法上の規定によりあまりに一方に不利すぎる条文は無効となる場合がありますので、注意しましょう。

離婚協議書に書く内容「財産分与」「親権」「養育費」「慰謝料」

離婚公正証書

離婚公正証書とは、公証人(※1)によって作成される離婚に関する契約書です。一般的に離婚協議書と離婚公正証書に記載する内容に関しては、大きく異なることはありません。しかし、離婚協議書は私文書扱いとなり、公正証書ほど高い証拠力が担保されていません。そのため、債務者(支払いの義務がある者)が支払いを行わない場合に、債権者(支払いを受ける者)が強制執行を行うためには裁判手続きを通して行わなくてはなりません。一方、離婚公正証書を作成していた場合、公正証書は公証人が作成する文書ですので、証拠力が担保されており、強制執行の認諾に関する条文に設定することができます。これを強制執行認諾文言といい、この文言が記載された公正証書に夫婦が署名を行うことで、後に債務者が金銭的債務(養育費の支払い、財産分与の支払い等)を履行しなかった場合に、裁判所の手続を経ることなく強制執行を行うことができます。強制執行の認諾に関しては、私文書では効力が認められないので、公正証書として離婚協議に関する書面を作成する最大のメリットと言えます。

※1)公証人とは公証役場で働く公務員であり、法律職に長年携わった法律の知識が豊富な者(元裁判官、検察官等)が法務大臣の任命を受けて就任する職

ポイント★(養育費の支払いは強制執行による保護が手厚い)

毎月の養育費の支払いのが不履行となった場合に、強制執行認諾文言付きの公正証書を作成していた場合、強制執行を行うことができます。強制執行は養育費や財産分与等の条文に対し適応がされますが、特に養育費の未払いについては強制執行による保護が手厚いです。例えば、養育費の強制執行では支払い期限が到達していない金銭についても適応されます。つまり、養育費の支払いを怠った債務者に対し、強制執行を行うことで、今月分の未払金額のみではなく来月や再来月分の養育費についても執行が可能となっております。また、差押することが出来る範囲についても、通常は債務者の給料の4分の1までしか認められておりませんが、養育費の場合は給料の2分の1まで認められています。

公正証書の強み

公正証書として文書を作成することにより、得られる利益を説明します。

1.私文書と比べて証拠力が高く、信頼性が高い

公正証書は公証人により作成されるため、私人が作成した、私文書よりも高い証拠力をもち、信頼性が高いです。例えば遺言書を公正証書で作成するケースを例に挙げてみます。遺言書は自筆証書遺言書(私文書)による作成も法律上は認められています。しかし、自筆証書遺言書の場合、本当に本人により作成されたかどうかや、作成時に有効な遺言をするための能力はあったかなどの争いがあった場合にそれを証明することは容易ではありません。一方で公正証書の場合、公証人や証人の関与により、本人の意思を確認した上で、利害関係者等の強要をうけることなく遺言書の作成が可能ですので、証拠や信頼の担保は大きいということです。つまり、これは離婚公正証書に関しても同様のことが言えます。

2.法律的に問題ない文書が作成できる

公正証書の作成にあたり、公証人は提出した文案を基に法律的観点から十分に検討し、条文の記載方法について問題がないかを見極め、最適の文書で公正証書を作成します。そのため、嘱託人や代理人によって提出された契約書文案の記載内容に不正確、不明瞭なところがあった場合には、公証人により質問がされたり、記載内容に不備があれば修正してもらうことができます。(一部のみですが。)つまり、公正証書は作成者の意思を反映した法的に有効な文書を作成することができます。また、公証人は契約当事者の一方に対して徳をするような内容を作成することはなく、中立的な立場で内容を判断するため、当事者一方の権利を害する心配性はありません。

3.執行力のある文書を作成できる

先述のとおり、公正証書で作成した文書については金銭的債務について裁判の手続を経ることなく強制執行することができます。すなわち、離婚公正証書における養育費や慰謝料の支払いについて、債務者が期限内に支払いを行わなかった場合、債権者は公正証書をもって、債務者の財産の差押による債権回収を行うことができます。なお、私文書により作成された離婚協議書等については上記のような執行力が認められませんので、強制執行を行う際には、訴訟提起し勝訴判決を得る必要があります。

4.変造・偽造の恐れが無い

公正証書が作成されると、公正証書の正本、謄本(いわゆる写し)を取得することはできますが、原本(当事者が署名と捺印を行ったもの)については、公証役場に保管されます。したがって、仮に夫婦の一方が自己の都合の良いように公正証書の内容を書き換えたとしても、原本が公証役場に保管されているため、変造や偽造のおそれはありません。もし離婚協議書として作成していた場合には、変造や偽造が行われた場合、その事実を判断するのは裁判所ですので、万一のことを考えても公正証書として作成される方が安全です。

以上、公正証書の強みを紹介しましたが反対に弱み(デメリット)はどのようなものがあるのでしょうか。公正証書を作成するデメリットとして主に挙げられるものを以下3点記載します。

公正証書のデメリット

1.公証人に支払う手数料がある

公正証書として契約書を作成する場合、公証人手数料令に準じた額を公証人に対して支払う必要があります。手数料は公正証書に記載する額によって異なるため、正確な金額をお答えすることはできませんが、平均的には「40,000円~60,000円」程度で作成ができます。離婚協議書として作成した場合には、ご自身で作成される場合には費用はかかりませんが、公正証書のとして作成する場合には公証人(公務員)に支払う手数料は必ずかかります。

2.公正証書作成までに時間がかかる

公正証書を作成する場合、一般的に①案文の作成②必要書類の収集③公証役場での打ち合わせ④公正証書の作成の手続を順番に行っていきます。そのため、離婚協議書のようにすぐに作成できるようなものではありません。公正証書の作成に要する平均的な日数は手続に慣れていない方で約1か月~2か月程度の時間を要します。(専門家に依頼した場合は約3週間程度です。)

3.公正証書に行かなくてはいけない

公正証書の調印日(署名と押印)において契約当事者は、原則として公証役場に出向かなくてはいけません。離婚に関する話し合いの中で関係が複雑化している相手と一緒になって、時間を割いて公証役場に行くことは精神的、時間的な負担は大きいです。公正証書への署名と押印手続は、夫婦どちらか一方は代理によって行うこともできますが、その場合には専門家に対する調印の日当を支払う必要がありますので、金額を抑え、後のトラブルを防止する観点からもご夫婦で行くべきと筆者は考えます。

離婚公正証書の手数料は?

離婚に関する書面を公正証書にするかどうかの判断は難しいです。「離婚協議書はお手軽にできるけど、後にトラブルになるかもしれない。」、「公正証書を作成すると時間もお金もかかってしまう。」とお悩みの方は大変多くいらっしゃいます。それでは、公正証書を作成するには具体的にどのくらい手数料かかるのでしょうか。

公証人に公正証書を作成してもらう場合、政令によって定められた以下の「公証人手数料令」に準じて手数料を支払うことになります。そのため、離婚公正証書に記載する、目的価格(離婚によって得られる利益・不利益の価格)が高くなればその分手数料も高ります。例をあげますと、「財産分与:100万円」、「慰謝料:300万円」を支払う又は、支払いを受ける旨の公正証書を作成する場合には、目的価格はこれらを合算して算出されます。なお、このケースでは、目的価格は16,000円となります(以下の画像を参照ください。)。しかし、実際には計算金額のとおりになることはほとんどなく、記載する条項もこれら以外にあると思いますので、通常は「40,000円~60,000円」程度かかります。

公証人手数料の計算の仕方例

公正証書の作成は行政書士にお任せください

公正証書は、当事者の離婚の合意をもとに、公証人が公正かつ中立的な立場で書面を作成し、当事者が契約をするものです。公証人は法的に有効な条項や内容であるかどうかの判断はしますが、当事者の一方の利益を考えてアドバイスするわけではありません。

行政書士であれば、ご依頼者様のご希望をお伺いし、忠実に条文に記載させていただくことができます。作成した案文をもとに協議していただき必要に応じて修正や変更もさせていただき、ご依頼者様のご負担をできる限り軽減させご納得いただけるような文書を作成致します。また、行政書士はご依頼者様の代理で公証役場での手続を進めることもできます。そのため、お仕事などで平日に都合がつかない方にとっては、ご自身の負担を軽減できることでしょう。

大倉行政書士事務所では、離婚協議書の作成に関するご相談から公正証書の作成サポートまで、最初から最後まで丁寧に対応させていただきます。ぜひお気軽にご相談ください。

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