ゆうちょ銀行の相続で相続放棄した人がいるとき|相続人の確認と銀行への伝え方 - 相続・遺言・離婚専門の大倉行政書士事務所

ゆうちょ銀行の相続で相続放棄した人がいるとき|相続人の確認と銀行への伝え方

ゆうちょ銀行の相続で相続放棄した人がいるとき|相続人の確認と銀行への伝え方

ゆうちょ銀行の相続人の中に相続放棄をした人がいる場合は、家庭裁判所で相続放棄が受理されたかを確かめ、放棄後の相続人の範囲を確認してから銀行へ申し出ます。「自分は貯金を受け取らない」という家族内の合意だけでは、法律上の相続放棄にはなりません。

家庭裁判所での相続放棄には、原則として、自分のために相続が始まったことを知った時から3か月という期間があります。銀行の書類を集めている間も、この期間とは別に時間が進みます。放棄するか迷っている段階では、払戻しや分配を急がず、裁判所の案内や法律相談を先に確認してください。

この記事は、放棄する人・放棄した人がいる家族が、ゆうちょ銀行へ何を伝え、戸籍や証明書をどう準備するかを説明します。相続放棄そのものの申述書を作る記事ではありません。

「相続しない」の意味を三つに分けて確認する

家族間の合意、申述中、受理済みでは、銀行への説明が異なります。(AI生成の解説画像)
家族間の合意、申述中、受理済みでは、銀行への説明が異なります。

家族から「相続を放棄した」と聞いても、何の手続きをしたのかによって銀行への説明が変わります。まずは、書類の名称と手続きの段階を確認しましょう。

現在の状態相続人としての扱い銀行へ伝えること
遺産を受け取らないと家族で合意それだけで相続人でなくなるわけではない遺産分割の内容と、署名等をする人
家庭裁判所へ相続放棄を申述中受理済みとして扱わず、手続きの状況を確認申述中であること、回答を待っていること
家庭裁判所で相続放棄が受理済み初めから相続人ではなかったものとされる受理の事実と、放棄後の家族関係

たとえば、兄弟で話し合って「ゆうちょの貯金は姉が全部受け取る」と決めても、ほかの兄弟が法律上の相続人でなくなるわけではありません。どの財産を取得するかという遺産分割の問題と、相続人の地位自体から離れる相続放棄を区別します。

銀行の請求書や遺産分割協議書へ押印した後で、「受け取らないつもりだったから相続放棄のつもりだった」と説明しても、同じ意味として扱われるとは限りません。負債もあるため放棄したい人は、財産の受取りや処分へ進む前に相談することが大切です。

銀行へ「放棄した」とだけ伝えない

家庭裁判所への申述の有無、受理の有無、手元にある通知書・証明書の名称を伝えます。家族のメモや口約束を、受理を証明する書類の代わりにしないでください。

家族から引き継ぐときは、受理された相続と資料を照合する

放棄した家族から通帳や書類を受け取るときは、「誰の相続を、誰が放棄したのか」が分かる形にします。家族内で複数の死亡が続いている場合、以前の相続放棄の通知書を今回のものと取り違えることがあるためです。被相続人、申述人、裁判所、受理に関する記載を確認してください。

受理されたことを口頭で聞いただけで資料がない場合は、銀行へその事情を伝え、必要な証明方法を確認します。親族だから誰でも裁判所の資料を自由に取れると考えず、証明書の交付等を申し出る立場や必要資料は、担当する裁判所の案内に従ってください。

引き継ぎの一覧に書くこと

対象記録する内容
放棄の資料誰の相続・誰の申述・通知書か証明書か
銀行の資料通帳等、必要書類案内、提出済み書類の控え
連絡の経過どの窓口へ、いつ、どこまで伝えたか
原本の所在持っている人、提出先、返却の予定

この一覧には、放棄した人へ銀行手続きの権限があると示す意味はありません。残る相続人等が正しい立場で手続きを進めるため、現在の資料を整理する目的で用います。通帳を預かったことだけで払戻しを受けられるわけではありません。

放棄前に入出金があった場合

すでに誰かが口座から出金していた場合は、出金日、金額、行った人、使途、残っている金銭や資料を記録します。相続放棄への影響は個別の事情によるため、「少額だから問題ない」「葬儀費だから全額問題ない」などと家族だけで結論を出さないでください。

この段階で当事務所へ銀行書類の準備を相談する場合も、その入出金があったことをお知らせください。確認が必要な事情を除いたまま書類を整えると、後で提出内容と実際の経過が食い違うおそれがあります。使途の返還や負担について対立がある場合には、弁護士への相談を先に検討します。

残る相続人自身も相続放棄を検討している場合は、銀行の受取人を急いで決めるより、承認・放棄の判断と期間の確認を優先します。銀行へ連絡する家族と、財産を最終的に取得する人を同じだと考えず、その段階で分かっていることだけを伝えてください。

銀行へ渡す受理関係の資料は、対象となる相続と申述人が読み取れる状態で準備します。必要な箇所を隠したコピーに置き換える前に、提出する原本と控えの扱いを窓口へ確認してください。

相続放棄の後は、誰が相続人になる?

民法939条では、相続放棄をした人は、その相続について初めから相続人ではなかったものとされます。ただし、「放棄した人の取り分を残りの人へ足す」だけで必ず整理できるわけではありません。配偶者、子、直系尊属、兄弟姉妹という関係と、同じ順位に残る人を確認します。

子の一人が放棄した場合と、子全員が放棄した場合

子の一人だけが放棄した場合は、同じ順位にほかの子がいるかを確認します。子全員が放棄した場合は、次の順位の直系尊属が相続人になる可能性があります。両親が亡くなっていても、祖父母などの直系尊属の状況まで確認が必要になることがあります。

先順位の相続人がすべていなくなり、直系尊属もいない場合などには、兄弟姉妹の順位を検討します。配偶者は、子や直系尊属、兄弟姉妹と同じ順位の仕組みで入れ替わるものではありません。単純に「長男が放棄したので次男が代表」と決める前に、家族関係と受理の状況を整理します。

放棄した人の子が当然に代わって相続するわけではない

相続開始前に子が亡くなっていた場合などの代襲相続と、子が相続放棄した場合は異なります。相続放棄を理由として、その人の子が当然に代襲相続するわけではありません。戸籍の関係図に孫がいるからといって、自動的に銀行の請求者へ加えないようにしてください。

家族の中で死亡や放棄が重なっている場合は、各人について「名義人の死亡時に生存していたか」「どの相続について放棄したか」を分けて確認します。別の家族の相続を放棄したことが、今回の相続にもそのまま及ぶわけではありません。

遺言がある場合は、財産を受け取る根拠も確認する

遺言がある場合は、誰が相続人かという確認に加え、預貯金を誰へどのように渡す内容か、遺言執行者がいるかを確認します。相続放棄と遺贈の放棄は別の問題となるため、「相続放棄をした人には遺言に書かれた財産も必ず渡せない」と一律には処理できません。遺言の文言や遺贈の種類による判断が必要な場合は、先に法律相談を利用してください。

ゆうちょ銀行へ伝える情報と相続確認表の準備

相続確認表は、銀行が個別の事情に応じた必要書類を案内するための資料です。放棄した人がいる場合は、その事実を隠さず伝えます。すでに相続確認表を提出した後で放棄が受理された場合も、古い相続人の構成のまま書類を完成させず、変更を連絡してください。

  • 亡くなった名義人の氏名、死亡日、分かる範囲の記号番号
  • 遺言の有無と、遺言執行者の有無
  • 放棄した人の氏名、名義人との関係、受理された裁判所
  • 申述中の人がいる場合は、その人と手続きの段階
  • 放棄によって新たに相続人となる可能性がある人
  • すでに銀行へ提出した資料と、まだ準備していない資料

最初の申出では、すべての戸籍を完璧にそろえていなければ相談できないわけではありません。今分かっている関係と未確認の点を分けて伝え、銀行から必要書類の案内を受ける方法を確認します。放棄の連鎖がある場合は、確認表の記入だけで判断を済ませず、関係を説明できる一覧を手元に置くと整理しやすくなります。

銀行から追加資料を求められたときは、「誰について、何を証明するための資料か」を聞きましょう。同姓の家族が多い場合や、途中で姓が変わった人がいる場合には、対象者を取り違えないようにします。

受理通知書・受理証明書と戸籍はどうそろえる?

相続放棄の手続きが受理されると、申述人へ受理の通知が届きます。また、家庭裁判所に相続放棄申述受理証明書の交付を申請する手続きがあります。銀行に何を提出するかは、ゆうちょ銀行からの個別の案内で確認してください。通知書のコピーだけで足りると決めつけたり、必要性を確認せず家族全員分の証明書を追加取得したりすることは避けましょう。

受理を示す資料と、家族関係を示す資料は役割が違う

受理証明書は相続放棄の受理を示す資料であり、名義人から次順位の相続人までの家族関係をすべて証明する戸籍の代わりになるものではありません。銀行は、死亡の事実、相続人の範囲、放棄の事実などを組み合わせて確認します。

子全員が放棄して兄弟姉妹の順位まで確認することになった場合、最初に用意した名義人と子の戸籍だけでは関係がつながらないことがあります。どこまでの出生・婚姻・死亡の記録が必要かを確かめ、不足箇所を狙って取得します。先順位の人が存命かどうかを、家族の記憶だけで確定しないようにしてください。

法定相続情報一覧図に放棄の事実は反映されない

法定相続情報一覧図は、戸籍に基づく法定相続関係を示す仕組みです。相続放棄は戸籍に記載されないため、相続放棄をした人も一覧図に記載されます。一覧図に名前があることだけを理由に、その人の放棄がなかったと判断するものではありません。

一覧図を利用する場合も、受理を示す資料を別に求められることがあります。銀行へは、一覧図があることと、放棄があることの両方を伝えます。実際の受取人が一覧図の記載者と同じかどうかは、遺言や放棄なども含めて確認されます。

提出した原本をほかの手続きでも使う場合

複数の銀行、不動産、相続税の手続きがあると、同じ資料を別の窓口へ提出することがあります。ゆうちょ銀行へ原本を持参する際は、返却を希望する資料を提出前に伝えましょう。返却時期や窓口でのコピー対応は、その場で確認します。

原本と控えを別の袋へ分け、交付された日、提出先、返却された日を簡単に記録しておくと、家族間での受け渡しが分かりやすくなります。銀行から届いた案内の有効期限や印鑑証明書の発行時期にも注意し、長期間保留になった後は再確認してください。

放棄を検討中なら、貯金の払戻しや分配を急がない

民法には、相続財産の全部または一部を処分した場合などに、単純承認をしたものと扱う規定があります。具体的な行為が該当するかには事情による判断が伴います。放棄を考えている人が、自己判断で貯金を解約して自分の生活費へ使うなどの行為は避け、先に専門家へ確認してください。

通帳や書類を安全に保管すること、残高を調べること、払戻金を受領して使うことは、同じ行為ではありません。ただし、葬儀費用などの名目があればどんな出金でも問題がない、と一般化することもできません。支出を予定している場合は、金額、目的、支払先、ほかの資金の有無を整理して相談します。

銀行へ死亡を伝えて相続手続きの案内を受けることと、相続を承認するか放棄するかを判断することも分けて考えます。口座の不正利用を避けるための連絡を後回しにし、故人の暗証番号で出金を続ける方法は選ばないでください。

申述の期間を銀行手続きの完了日から数えない

相続放棄の3か月は、銀行から必要書類が届いた日や、家族で話合いを始めた日から必ず数えるものではありません。次順位となった人についても、先順位の放棄を知った事情などにより起算点の検討が必要です。いつ何を知ったのかを記録し、期限が近い場合はすぐに家庭裁判所や弁護士等へ相談してください。

財産や負債の調査が終わらない場合には、熟慮期間を伸長する申立てを検討できることがあります。延長が当然に認められるわけではないため、銀行の回答を待つ間に期間を過ぎないようにします。

自分で進める場合と、相談を分けた方がよい場合

放棄が受理済みで、残る相続人が明確、遺言や分配内容にも争いがない場合は、銀行の案内に従って書類をそろえる進め方が考えられます。家族の中で、戸籍を集める人、銀行と連絡する人、原本を管理する人を決めておくと、同じ資料の重複取得を減らせます。

一方、相続人が次々に放棄している、債務の範囲が分からない、家族の説明と裁判所の資料が一致しない、遺言の意味に争いがある場合は、銀行提出書類を作る前に法的な整理が必要です。銀行が必要書類を案内してくれることと、家族間の紛争や放棄の有効性を解決してくれることは同じではありません。

放棄後の関係が整理できており、戸籍収集や銀行提出の準備を任せたい方は、ゆうちょ銀行の相続手続き代行の案内をご確認ください。銀行手続きは2行まで35,000円(税込)、3行目以降は1行ごとに17,000円が基本です。戸籍収集・遺産分割協議書作成や実費等は別途となり、複雑な事情がある場合は個別に見積もります。

相続放棄の家庭裁判所への申述書作成、争いの交渉や訴訟は当事務所の銀行手続き代行の対象外です。放棄そのものを相談したい場合と、受理後の銀行書類を準備したい場合を分けてお伝えください。

相続放棄とゆうちょ銀行の手続きでよくある質問

放棄した人の印鑑証明書も必ず必要ですか?

相続放棄の受理が確認できる場合と、単に遺産を取得しない合意をした場合は異なります。放棄後の相続人と受取方法を銀行に確認してもらい、必要書類の案内に従って準備してください。

相続確認表を出した後に放棄が受理されました。そのまま続けられますか?

相続人の範囲や必要書類が変わる可能性があります。受付窓口へ受理されたことを伝え、確認表や請求書の訂正・追加が必要かを確認してください。

家族全員が放棄すれば、最後に連絡した人が貯金を受け取れますか?

そのような仕組みではありません。全順位を確認して相続人がいない場合は、相続財産の清算等の別の問題になります。代表して銀行へ連絡しただけで受取権が生じることはありません。

銀行の相続代行を依頼すれば、放棄の期限も延びますか?

延びません。銀行への依頼や専門家との契約で法定の期間が自動的に延長されるものではありません。放棄を検討する場合は、その期限の確認を最優先にしてください。

参考にした公式情報

法令・公式の手続き案内・事務所情報の確認日:2026年11月6日。

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